2019年度CFP全米王座決定戦プレビュー⑥【エトセトラ】

2019年度CFP全米王座決定戦プレビュー⑥【エトセトラ】

LSUのホームゲーム?

今年のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)はルイジアナ州ニューオーリンズにあるメルセデスベンツスーパードームで行われます。ここはニューオーリンズセインツのホームスタジアムでもあるのですが、州都であるバトンルージュ市にキャンパスを構えるルイジアナ州立大からはたったの80マイル(約130キロメートル)しか離れておらず、車だったら1時間半もしないで着いてしまう距離であり、この試合はルイジアナ州立大のホームゲームだなんて言われ方もしています。

一方のクレムソン大も南部のチームですからものすごい遠いというわけではありませんが、それでも600マイル(約960キロメートル)も離れており、車なら9時間かかる距離。当然チーム関係者は飛行機で移動するでしょうからこの距離は痛くも痒くもないでしょうが、彼らを応援したいファンたちにとっては当然日帰りという訳にはいきませんから、チケットの他にホテル代なども捻出する必要があります。

しかしルイジアナ州立大のファンならチケットさえあれば日帰りでも十分行き来できる距離です(といってもナイトゲームですから試合結果次第ではすぐに帰宅しないかもしれませんが)。だからこそこの試合により多くのルイジアナ州立大ファンが押し寄せるのではないかと言われているのです。

この状況を見てクレムソン大のダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督は映画「ロッキーIV」になぞって、自分たちが完全アウェーであるロシアに乗り込んでドルフ・ラングレン演じるイワン・ドラゴと対戦したロッキー・バルボア(シルベスタ・スタローン)の心境だと話したとか(笑)。


授業も休業

そんな感じでルイジアナ州立大ファンとしては非常にアクセスの良い大舞台となりますが、特に在学生たちは割りと安価で学生用チケットを手にすることができるので、かなりの学生ファンがニューオーリンズに乗り込むことが予想されます。

一方で試合は月曜日に行われることになっており、既に春学期が始まっているルイジアナ州立大としてはかなりの生徒がこの試合観戦に乗り込むために授業をすっぽかすことは予測されますが、大学は今回月曜日と火曜日の授業を全面的にキャンセルし、大学全体でチームを後押しする状況を作りました。ここまでくれば優勝してそのままバーボンストリート(ニューオーリンズの有名な歓楽街)に繰り出して夜通し飲んで酔いつぶれるくらいのところまでいきたいところでしょうね。


狙うは4度目

2014年度から始まったCFP制度は今回で6度目を迎えますが、そのうち実に過去最近5回連続で出場しているのがクレムソン大。そのうち2度も全米タイトルを獲得しています。

CFPナショナルタイトルを最初に手に入れたのは2016年。この時はQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson、現ヒューストンテキサンズ)を擁して1981年ぶりの全米制覇を達成。そして昨年度も決勝戦でアラバマ大を圧倒してナショナルチャンピオンに輝きました。

一方のルイジアナ州立大にとってCFP出場は初めてのこと。それ以前にはBCS(ボウルチャンピオンシップシリーズ)制度下で2度、そして1958年にも全米の頂に立っています。

2003年度は現アラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督、2007年にはレス・マイルズ(Les Miles、現カンザス大)前監督の指揮のもとこの栄冠を手に入れました。

つまり今回どちらが勝ってもチームにとっては4度目のナショナルタイトルとなります。

ちなみにNCAA1部のFBS(フットボールボウルサブディビジョン)歴代ナショナルチャンピオンは以下のとおりです。

アラバマ大(12回、2017年)
ノートルダム大(8回、1988年)
オクラホマ大(7回、2000年)
サザンカリフォルニア大(7回、2004年)
オハイオ州立大(6回、2014年)
マイアミ大(5回、2001年)
ネブラスカ大(5回、1997年)
ミネソタ大(4回、1960年)
テキサス大(4回、2005年)
フロリダ大(3回、2008年)
フロリダ州立大(3回、2013年)
クレムソン大(3回、2018年)
ルイジアナ州立大(3回、2007)

*カッコ内の年は一番最近タイトルを獲得した年。


直接対決の記録

ルイジアナ州立大、クレムソン大のフットボール部の歴史は長いですが(ルイジアナ州立大の部創立は1893年、クレムソン大は1896年)、地理的に比較的近い割に実は今回まで直接対決は3度しかありませんでした。

初顔合わせは1958年度シーズンのシュガーボウル(開催日は1959年1月1日)。ルイジアナ州立大はこのシーズンハイズマントロフィーを獲得したHBビリー・キャノン(Billy Cannon)を擁して7対0と完封勝利を収め、自身初のナショナルタイトルを獲得しました。

2度目は1996年度のピーチボウル。この時は後にニューイングランドペイトリオッツ一筋で13年プレーしたRBケヴィン・フォルク(Kevin Faulk)の活躍で10対7とまたもルイジアナ州立大が勝利。

そして3度目の対戦となったのは2012年度のチックフィラボウル。クレムソン大はハイブリッドQBタジ・ボイド(Tajh Boyd)、WRサミー・ワトキンス(Sammy Watkins、現バッファロービルズ)、WRデアンドレ・ホプキンス(DeAndre Hopkins)、ルイジアナ州立大はWRオデム・ベッカム・Jr(Odem Beckham Jr.、現クリーブランドブラウンズ)、WRジャービス・ランドリー(Jarvis Landry、現クリーブランドブラウンズ)、RBジェレミー・ヒル(Jeremy Hill、元シンシナティベンガルズ)という現在もNFLの第一線で活躍する選手たちが相まみえ、25対24という僅差でクレムソン大が勝利しました。

4度目の対戦はCFPタイトルゲームという大舞台。果たしてどちらに軍配が上がるでしょうか?


タイガー vs タイガー 

ルイジアナ州立大とクレムソン大が共通して持つものが2つあります。その一つが彼らのマスコットである「タイガー」。

写真左がルイジアナ州立大の「マイク・ザ・マスコット」、右がクレムソン大の「ザ・タイガー」です。ルイジアナ州立大がトラをマスコットに採用した経緯は、19世紀に起こった南北戦争に参戦したルイジアナ州出身の歩兵団の相性が「ファイティング・タイガース」と呼ばれたことに由来します。一方のクレムソン大の場合はクレムソン大フットボール部のちちと呼ばれるウォルター・リグス(Walter Riggs)監督(1896年〜1899年)がアーバン大出身だったことと(アーバン大のマスコットもタイガー)、創部年にナショナルチャンピオンに輝いたプリンストン大がタイガースだったことにあやかったからだといいます。

ルイジアナ州立大の場合は実際のベンガルタイガーがマスコットとして飼育されています。このトラの名前が「マイク・ザ・タイガー」。マイクというのはフットボール部創生期にチームのアスレティックトレーナー(選手の健康を管理する人)の名前からとったそうです。「マイク・ザ・マスコット」は実際のトラである「マイク・ザ・タイガー」と区別するために付けられた名前なんですね。

2016年までのトラディションとして、ホームゲームには檻に入れられたままスタジアムにチアリーダーたちと入場し、その後はビジターロッカールームの横に陣取り相手選手たちを威嚇していたそうですが、2016年以降はスタジアムには送られずキャンパス内にある飼育施設に留まるようになりました。

どっちが本物のデスバレー?

そしてもう一つ共通していることは、両チームとも自身のホームスタジアムを「デスバレー(Death Valley)」と呼ぶことです。

ルイジアナ州立大のホームスタジアムである「タイガースタジアム」は10万2321人収容可能、クレムソン大のホームスタジアム「メモリアルスタジアム」は8万1500人収容可能と大学の施設なのにとんでもないサイズを誇っています。

ではなぜ「デスバレー」なのか・・・。

クレムソン大の場合、1948年にプレスビタリアンカレッジのフットボール部監督だったロニー・マクシミリアン(Lonnie McMillian)氏がチームがクレムソン大に遠征するするときの事を、行っても必ずと言っていいほどこてんぱんにのされてしまうことから「デスバレー」と彼らのキャンパスを呼称したことが始まりだとされています。

一方ルイジアナ州立大の場合、彼らのスタジアムがデスバレーと呼ばれるのは既述の1958年度にシュガーボウルでクレムソン大と対戦した後からだということが分かっているくらいでハッキリとした理由を見つけることは出来ませんでしたが、タイガースつながりのクレムソン大をシュガーボウルで倒したことで、自分たちのほうがデスバレーだ!というノリで名付けたとしても不思議ではありません。

タイガースタジアムは歓声がものすごいことでも知られており、相手チームとしてはファンの声がうるさすぎて何も聞こえないことはしょっちゅうだったようで、そのことからこのスタジアムがデスバレーと呼ばれるようになったという話もありますが、これはもう少し後のことになります。

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