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クレムソン大とスウィニー監督のサクセスストーリー

クレムソン大とスウィニー監督のサクセスストーリー

ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督がHCに就任して12年、クレムソン大はこれまでにないサクセスを謳歌しています。

今では優勝争いに絡まないシーズンはないほどまでに強くなりましたが、このような常勝チームになったのは実はごく最近の話なのです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

近年の躍進


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これまでクレムソン大にはフランク・ハワード(Frank Howard、1940年〜1969年)やダニー・フォード(Danny Ford、1978年〜1989年)といった殿堂入りコーチがいましたが、クレムソン大をカレッジフットボールの勢力図を変えるほどのチームに成長させたのは紛れもなく現HCのスウィニー監督です。

特にここ5〜6年の活躍は目覚ましく、全米でも5本の指に入る常勝チームにまで成長しました。これまで12年間で140勝33敗(勝率8割9分)でカレッジフットボールプレーオフ(CFP)には6年連続出場し2016年と2018年に全米制覇を成し遂げています。

前出のハワード氏ならびにフォード氏体制ではシーズン後に行われるボウルゲームの中でも主要ゲームと認知されてきたメジャーボウルゲームには2人合わせて4度しか出場を果たしていません(オレンジボウル:1951年、1982年、シュガーボウル:1959年)。

しかしスウィニー体制ではすでに5つのメジャーボウルに出場(オレンジボウル:2012年、2014年、2016年、フィエスタボウル:2017年、2019年、シュガーボウル:2018年、2020年)。さらにCFPナショナルチャンピオンシップにも2度出場しており、これだけ見てもスウィニー監督指揮下でチームが躍進していることが伺えます。

またスウィニー監督が就任する以前までクレムソン大は7度しか二桁勝利シーズンを記録してきませんでしたが、過去12年間で彼らが二桁勝利をあげたシーズンは実に10度もあります。もっと言えば2011年以来10年連続この大台を記録してきたのです。


2008年にスウィニー監督がHC就任


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2008年の監督就任会見時のスウィニー監督

スウィニー監督が就任した際の起用法には疑問符がつきまとっていました。2008年開幕時に監督だったトミー・バウデン(Tommy Bowden)氏が6試合を終えた時点で辞任し、その臨時監督にスウィニー監督が指名されました。しかしこの時までスウィニー監督はコーディネーター職の経験はほぼなし。当然監督経験も皆無で2009年に正式に監督に任命された際には果たしてこの人物がチームを率いることが出来るのかと囁かれたものです。

ただスウィニー体制でチームが上向きになるまでそう時間はかかりませんでした。2年目には9勝、4年目には10勝を飾ると前述の通り10年連続二桁勝利を挙げるなど安定した成績を積み重ねてきたのです。

しかし2011年から2014年までの間、クレムソン大は強いチームながら肝心なところで勝つことが出来ず殻を破ることが出来ませんでした。そんな様子をみて周囲は「クレムソニング(Clemsoning、重要な舞台でコケること)」と言う造語を用いて揶揄する事もあったくらいです。

巧みなリクルーティング術で頂点へ


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それでもスウィニー監督はブレずにチームを育成し続けました。そして2015年度にはようやくチームがACCを制しCFPナショナルタイトルゲームに進出(アラバマ大に敗戦)し、いよいよただ強いチームから常勝チームへと脱皮できた背景にはスウィニー監督の優れたリクルーティング力があったのです。

バウデン体制下でもリクルーティングで手腕を発揮していたスウィニー監督は彼の持つ独特な情熱とカリスマ性で草の根活動的にリクルーティングでチームのタレントレベルを挙げ、QBタジ・ボイド(Tajh Boyd)、WRデアンドレ・ホプキンス(DeAndre Hopkins、現アリゾナカーディナルズ)、WRサミー・ワトキンス(Sammy Watkins、現カンザスシティチーフス)、デショーン・ワトソン(Deshaun Watson、元ヒューストンテキサンズ)、トレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)など逸材を擁して戦力の底上げに成功。このサイクルを構築できたことでクレムソン大はついに常勝チームの仲間入りを果たしたのです。

その事をスウィニー監督は2018年の時点で以下のようにコメントしています。

「これまで我々は9年間に渡りチームを築き上げてきました。9年前に掲げたビジョンをブレること無く突き通してきたのです。成功も失敗も経験して我々は強くなりました。特にリクルーティングにおいてはトップレベルを維持し、それらの選手をしっかりと育成して夜に送り出してきました。そうするための厳しい規律、そしてそれを続けるための持続性を養いましたが、それは選手だけでなくコーチングスタッフにおいても言えることです。それらすべてが現在の我々のサクセスにつながっているのです。」

ときに歯に衣着せぬ発言で炎上騒動を起こすこともあるスウィニー監督ですが、選手たちを惹きつける彼のカリスマ性があればこそいい選手が集まってくるのだと思います。当然大学側もそのためのサポートは惜しまず、彼らのスポーツ施設は全米でも屈指のレベルを誇ります。

チームが勝つ→いいリクルートがやってくる→チームが勝ち続ける→収入が増額になる→施設をアップグレードできる→もっといいリクルートがやってくる→常勝チームになる・・・というポジティブなサイクルにどっぷりハマっている現在のクレムソン大。またオフェンシブコーディネーターのトニー・エリオット(Tony Elliott)氏、ならびにディフェンシブコーディネーターのブレント・ヴェナブルズ(Brent Venables)氏は全米でも随一のコーディネーターであり、いつ他チームのHCに着任してもおかしくない人材ながらクレムソン大に居続けているというこの安定感も見逃せません。

(もっともコーディネーターながらエリオット氏は200万ドル/約2億円、ヴェナブルズ氏は240万ドル/約2億4千万円の年収をもらっていれば急いで他チームにでていく理由もないのかもしれませんが。)

唯一無二の存在


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現在カレッジフットボール史上もっとも偉大な監督と言われるのがアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督。昨年度オハイオ州立大を倒して自身7度目の全米制覇を成し遂げ、歴代最多優勝監督に躍り出ました。

参考記事2020年度全米大学王座決定戦【分析】

そのセイバン監督は現在69歳(2021年2月現在)。まだまだ現役を続けると言ってはいますが、いずれはこの名将も引退する日が来るわけです。その後釜が誰になるのかなんて話はよくあるのですが、その候補に挙げられるのがこのスウィニー監督です。

なぜかと言えば実は彼は現役時代をアラバマ大のWRとして過ごしたという縁があるからです。卒業後コーチ道に足を踏み入れたばかりの頃は母校でそのキャリアをスタートさせたこともあり、いずれはアラバマ大に凱旋してチームを率いるのが自然だと考える人は多いはずです。

しかしながら中の上レベルだったクレムソン大をカレッジフットボール界で有数の強豪チームに育て上げ、街では知らない人はいないというくらいの存在になったスウィニー監督が、いくら母校だからといってこのクレムソン大での地位を投げうってまでしてアラバマ大に行くとは考えづらいとも言えます。アラバマ大ではおそらくセイバン監督という偉大なコーチの幻影に付きまとわられるでしょうが、クレムソン大ではスウィニー監督はまさに唯一無二の存在なのですから。

昔から「栄枯盛衰」と言いますから、クレムソン大のこの栄華がどれほど続くかは分かりませんが、現在の彼らの土壌を見渡せばアラバマ大、オハイオ州立大などのエリートチームと肩を並べて競い合う姿がしばらく拝めそうです。

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