2019年度CFP全米王座決定戦プレビュー④【注目のマッチアップ】

全米1位のと3位の対決・・・。結局最後に残ったのは130チーム中たった2つの無敗チームでした。そういった意味では全米最強の2チームが全米王座を巡って争うという最高のマッチアップが現実のものとなったわけです。スコアリングオフェンスはルイジアナ州立大が1位、クレムソン大が4位ということで今を代表するオフェンス力を持つ同士の戦いとなるわけですが、それぞれが攻守ともに戦力・戦略を持ち、準決勝戦から約2週間かけて相手チームを分析してくることもあり、ここまでくればどちらのチームのストレングス・オブ・スケジュール(Strength of Schedule)が上かとか、どちらのチームにハイズマントロフィー受賞者がいるかとか、そんなことは関係なくなります。この日の試合に相手を上回ることが出来たチーム、そのチームが全米王者という栄冠を手にすることができるのです。

そこで今回はこの2つの強豪チームがぶつかり合う上でどの点に注目していただいきたいか、この試合を左右するかもしれないというマッチアップを取り上げてみたいと思います。

バロウ vs クレムソン大セカンダリー

2019年度シーズン開幕前、ルイジアナ州立大QBジョー・バロウ(Joe Burrow)の名前はハイズマントロフィー受賞候補に上がっていませんでした。何しろオハイオ州立大で2年間ベンチを温め、ろくに試合経験がないまま2018年にルイジアナ州立大に転校。その年は特に目立った活躍もなく今年も中の上か上の中くらいのパフォーマンスに留まると思われていたのです。

しかし蓋を開けてみればバロウの活躍は長いカレッジフットボール界でも歴史に残るほどの圧倒的なインパクトを残し、御存知の通りハイズマントロフィーを獲得し並み居る強豪チームをなぎ倒してきました。

今年度からチームはニューオーリンズセインツ仕込みのパスゲームコーディネーター、ジョー・ブレディ(Joe Brady)氏を迎えて攻撃力(というか攻撃スタイル)が激変。しかしやはりこのチームのオフェンスはバロウありきのものであることは明確です。

先日行われたピーチボウルではオクラホマ大相手に493ヤードに7パスTD、さらには自身のランで1つTDを稼ぎ、合計8つのTDに絡む信じられないパフォーマンスを見せてくれました。

つまり相手ディフェンスとしてはバロウをどうにかして止めなければ活路は見いだせないというわけです。フロリダ大も、アーバン大も、アラバマ大も、ジョージア大もどのチームもバロウを攻略できずに敗れ去ったのですから。

一体誰がこのオフェンスを止められるのか・・・それが正直な感想ではありますが、もし唯一挙げるとすればそれはやはりクレムソン大ディフェンスでしょう。

クレムソン大ディフェンスは今季全米ナンバー1となる被パスヤードを誇ります(1試合平均151.5ヤード)。フィエスタボウルでのオハイオ州立大戦では今季トータルで41つものTDを奪ってきたジャスティ・フィールズ(Justin Fields)をたった1つのTDに抑えましたし、もっと重要なのはこの試合まで1つしかINTパスを犯してこなかったフィールズからクレムソン大DB陣はこの日だけで2つものINTを奪ったのです。

そういった意味ではクレムソン大セカンダリーはバロウがこれまで対峙してきた相手の中でも最強と言えるかもしれません。が、フィールズが今年ハイズマントロフィーのファイナリストに選ばれるほどの逸材だったとはいえ、バロウのレベルにまではまだ達していません。ですから逆に言えばクレムソン大DB陣にとってバロウはここ数年戦ってきたどのQBよりも手強い相手ということになります。

クレムソン大としては、バロウがピーチボウル時に見せた前半だけで7つのパスTDを奪うような展開は何としても避けなければなりません。


LSUレシーバー陣 vs クレムソン大セカンダリー

バロウが全米屈指のパサーであることは疑う余地もありませんが、ここまで彼が数字を伸ばしたのは彼の放つパスを受け取るレシーバー陣の活躍があったことも見逃せません。そういった意味ではレシーバーvsDB陣のマッチアップも見ものです。

上でも触れたとおりクレムソン大ディフェンスの強みは彼らのDB陣にあります。タフでサイズ的にも長身レシーバーに負けない選手たちが揃っているこのユニットはパスディフェンスで全米1位と冴えています。ここまでクレムソン大が対戦してきた相手がしょぼすぎたという点を無視はできませんが、それでもこの数字は評価されるべきところです。

先にもフィエスタボウルではオハイオ州立大のQBフィールズに320ヤード投げられながらも奪われたパスTDは1つ。もちろんこのパフォーマンスはクレムソン大フロントセブンがフィールズにプレッシャーをかけ続けたことも影響していますが、2つもパスINTを奪ったことからもDB陣が奮起したことが見て取れます。

しかし彼らがこのタイトルゲームで対峙しなければならない相手WR陣は一味も二味も違います。今年最優秀WR賞であるビレントニコフ賞を受賞したジャマー・チェイス(Ja’Marr Chase)、ピーチボウルで4TDを獲得したジャスティン・ジェファーソン(Justin Jefferson)に加えテラス・マーシャル(Terrace Marshall)、さらにはTEタデウス・モス(Thaddeus Moss)も加えれば、彼らをカバーしなければならないクレムソン大DB陣は大忙しとなります。

クレムソン大のキープレーヤーとなりそうなのはLBアイゼア・シモンズ(Isaiah Simmons)です。彼はLBではありますがセーフティとしてバックフィールドをカバーする姿もよく見られており、ディフェンスの穴を見つけることに長けているバロウに対抗することが期待されます。


ローレンス vs LSUフロントセブン

バロウは今年のNFLドラフトで総合ドライチとなることがほぼ確実とされていますが、クレムソン大のQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)は来年の総合ドライチとなる器を十分に持っていると言われています。パス能力、フレーム、そして高身長に似合わず予想以上の機動力、どれをとっても昨年の時点で既にプロ入りしてもおかしくないなんて言う声も聞かれました。

そしてその機動力ですが、フィエスタボウルでのオハイオ州立大戦では強力な相手ディフェンスに対してその脚で敵陣を乱し1つの貴重なTDランを見せました。元々パサーとしての能力は折り紙付きですが、この機動力を相手ディフェンスは甘くみることは出来ません。どんなに押し込んでもQBのランで1stダウンを奪われればディフェンス陣をいらだたせることも出来ますし、試合の流れを変えるほどの威力を持っていたりします。

ルイジアナ州立大はピーチボウルにて今季全米を代表するハイブリットQB、ジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)と対戦しましたが、彼をたったの43ランヤードに押さえ込むことに成功。それもこれもLBケイラヴォン・チェイソン(K’Lavon Chaisson)、DLラシャード・ローレンス(Rachard Lawrence)を中心としたフロントセブンの活躍があったからこそです。

さらに大麻所持のために11月から謹慎処分となっていたLBマイケル・ディヴィニティ(Michael Divinity)がこの試合に帰ってくることもルイジアナ州立大にとっては朗報。先発LBとして今季5試合に出場したディヴィニティは3つのQBサックを記録しているため、トレヴァー・ローレンスとしては厄介な人物が最悪のタイミングで戻ってくることになります。


エティエン vs LSUフロントセブン

得点力の高いルイジアナ州立大に対抗する手段として考えられる最も有効なものは試合をポゼッションゲームに持ち込みなるべく長いあいだバロウをベンチに座らせておくことです。そのためにはクレムソン大はランゲームを確立することが必須条件となります。そこで明白となるのはクレムソン大RBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)が効果的なランアタックを確立できるのかどうかということです。

ここまで1試合平均45点以上を叩き出してきたクレムソン大ですが、そんな中でも僅差に持ち込まれた試合が2つあります。一つはノースカロライナ大戦(21対20)、もう一つはフィエスタボウルでのオハイオ州立大戦(29対23)ですが、どちらの試合でもエティエンは70ヤード以上を稼ぐことに失敗しています(ノースカロライナ大戦67ヤード:、オハイオ州立大戦:36ヤード)。

もしエティエンがLSUフロントセブンに抑え込まれたまま点差をつけられれば、たとえローレンスが走れるQBだとしても否が応でも追いつくためにパスゲームを強いられます。そうなればルイジアナ州立大ディフェンスは一辺倒となったクレムソン大オフェンスを防ぎやすくなります。

ルイジアナ州立大のランディフェンスは全米20位となる1試合平均の被ランヤードが118ヤードとなっていますが、アラバマ大戦123ヤード、ミシシッピ大戦に至ってはなんと402ヤードも相手に走られています。つまり彼らのランディフェンスにも穴はあるということです。

クレムソン大がバロウ率いるハイパワーオフェンスを抑えるには間接的にエティエンの活躍が鍵となってくるでしょう。


ヒギンズ&ロス vs DBU

クレムソン大ではWRティー・ヒギンズ(Tee Higgins)とジャスティン・ロス(Justyn Ross)がチームのレシーバー陣でツートップを組んでいます。この二人は今シーズン合わせて約2000ヤード稼ぎましたが、フィエスタボウルではヒギンズが33ヤード、ロスが47ヤードと沈黙。ヒギンズは前半怪我で退場したこともありますが、オハイオ州立大ディフェンスに仕事をさせてもらえませんでした。

ただだからといって「DBU」の異名をもつルイジアナ州立大DB陣が油断できるというわけではありません。ヒギンズは次期NFL入りが噂されている選手であり、今季自己最高となる1115ヤードに13TDを記録しておりポテンシャルは十分。ヒギンズのフィエスタボウルでの怪我が一体何だったのか明らかにされていませんが、彼がフルパワーでこの試合に望めばローレンスのメインターゲットのなることは確実です。またロスは昨年1年生ながらナショナルタイトルゲームで153ヤードに1TDと大活躍。ポテンシャルは十分です。

一方彼らクレムソン大WR陣に立ちはだかるルイジアナ州立大のバックフィールドは精鋭揃いです。その中心人物となるのは1年生ながらオールアメリカンに選出されたCBデレク・スティングリー(Derek Stingley Jr.)。この将来有望な次世代の「DBU」を担うスティングリーがヒギンズならびにロスを相手にしていくわけですが、当然簡単にそれができるとは思いません。しかしスティングリーには彼と対をなすCBクリスチャン・フルトン(Kristian Fulton)という才能ある選手がいますし、彼らをサポートするSグラント・デルピット(Grant Delpit)もオールアメリカン級の選手。

数字の上ではクレムソン大パスオフェンスが全米19位となる1試合平均292.2ヤードに対しルイジアナ州立大のパスディフェンスは全米56位で1試合平均221.9被パスヤードとなっています。実はルイジアナ州立大ディフェンスは精鋭ぞろいの割には相手オフェンスのパスオフェンスからダメージを食らっているのです。バロウのオフェンスを止められないとなるとクレムソン大に残された道は点取合戦を演じてそれに競り勝つ以外ありません。それにはWR陣の奮戦が必須になってきます。

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