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CFPのニューディール【オフシーズン便り#10】

CFPのニューディール【オフシーズン便り#10】

2014年度シーズンより導入されている現行のプレオーフシステム、その名もカレッジフットボールプレーオフ(CFP)。2024年度から参加できるチームが4チームから12チームに増加しますが、今オフ中にこのフォーマットや収益分配の内訳などのニューディールが決定しています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

6-6フォーマットから5-7フォーマットへ

12チームが参加できる新しいCFPフォーマットが発表されたのは1年ほど前の話になりますが、この時はNCAA(全米大学体育協会)の1部FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の10個あるカンファレンスの中でも上位5カンファレンスである「パワー5」カンファレンスの各優勝チーム5校と、「パワー5」以外の5つのカンファレンス群「グループオブ5」の各カンファレンス優勝チームの中で最もランキングが高いチーム1つ、合計6チームに自動的に出場枠が用意され、それ以外の6チームをCFPランキングの上位チームから埋めていくという「6-6」フォーマットが提案されていました。

しかし2023年度シーズンが始まる頃、「パワー5」カンファレンス群の1つであるPac-12カンファレンスから10チームが離脱。Big Tenカンファレンス(USC、UCLA、ワシントン大、オレゴン大)、Big 12カンファレンス(ユタ大、アリゾナ大、アリゾナ州立大、コロラド大)、ACC(スタンフォード大、カリフォルニア大)へとそれぞれが来期以降離脱することが決まってしまい、残されたオレゴン州立大とワシントン州立大の2校となってしまったPac-12カンファレンスは実質的に崩壊してしまったのです。

このことを受けてCFP運営委員会はカンファレンス優勝チームに自動的にプレーオフに出場できる枠を調整。「パワー5」カンファレンスが実質「パワー4」になってしまったためにここからの自動出場枠を4に減らし、「グループオブ5」の自動枠は据え置きの1つで合計5つに削減。その代わり「アットラージ(At Large)」の枠を6から7に増やして帳尻を合わせました。


収益の分配比率

Pac-12を除く9つのFBSカンファレンスおよび独立校(インディペンデント)のノートルダム大は3月にCFPでナショナルタイトルを定めるという現行の枠組みを2031年度シーズンまで延長することに合意しました。

それに伴い、CFPによる収益の各カンファレンスへの分配金の比率も更新されました。

これによると、Big TenカンファレンスとSEC(サウスイースタンカンファレンス)が共に29%(所属チームにおよそ2100万ドルの分配金)、ACCが17%(各チーム1300万ドル)、Big 12が15%(各チーム1200万ドル)、グループオブ5カンファレンス群が9%(各チーム180万ドル)で、残りがインディペンデントチーム(ノートルダム大は1200万ドル)に振り分けられるとか。

(ちなみにノートルダム大だけに関してはもし彼らがプレーオフに出場するとボーナスで600万ドルが配られることになっています)

これで分かるのはBig TenとSECの二巨頭とそれ以外にかなりの隔たりがあるということです。ボーナスを受け取ったノートルダム大も遠く及びません。

現行のモデルよりもFBS全てのチームが2026年までに今よりも多い分配金を手にすることができるようになりますが、カンファレンスのリアライメント(拡張・再編成)を経てパワーバランスが二極化する動きが早まる中でこの2カンファレンスの一人勝ちの図式が浮き彫りになっています。

Big TenはFOXスポーツと、SECはESPNと巨額のメディア利権の契約を結んでおおり、それだけでも懐は温かいのですが、それに上乗せする形でCFPからの分配金も増え続ければ彼らとそれ以外のカンファレンスたちの資金力の差は離れるばかりですし、それはそのままカンファレンスのパワーの差として現れてくるものです。

「グループオブ5」のチームたちも現状に満足しているわけではなく、分配金が多少増えたとはいえプレーオフに進出することでもらえるボーナスがなくなってしまったこともあって、なんとか現状を打開したいと各カンファレンスのコミッショナーは話し合いを設けてきたようですが、一方で彼らにとって自分たちの言い分を突き通せるほどの力がないことも分かっており、実際は泣き寝入りする以外道がないのが実情です。彼らの中から少なくても1チームは自動的にCFPに出場できるということで満足させられているという感じでしょうか。

14チームに増枠?

そしてまだ12チーム制度が始まっていないのにも関わらず、すでに14チームに枠を増やすという案も議題に上がっているようです。参加チームが増えれば試合が増える。試合数が増えれば収益が上がる・・・そんな皮算用でしょうか。

そしてこの議論の中には「3-3-2-2-1」フォーマットが浮上したという話です。これは自動枠をSECとBig Tenに3つずつ、ACCとBig 12に2つずつ、「グループオブ5」勢に1つ用意するというもの。ここでもSECとBig Tenの幅の利かせようが見えてきます。

しかもBig TenとSECの優勝チームには無条件でファーストラウンドバイ(シード権による初戦免除)を付与しようというのですから、これはその他のカンファレンスから非難轟々となったのです。

結局Big TenのコミッショナーもBig TenとSECの自動シード案は無いと発言するなど火消しに奔走していましたが、ここにも彼らの「エゴ」的な部分が見え隠れしています。

この14チーム制度は今のところまだ議論レベルにしかありませんが、何が起こるかわからないのがカレッジフットボールの世界であり、2026年までに枠が増えていたとしてもなんら不思議ではありません。

ESPNの独占TV放映権の契約延長

そしてCFP導入以来独占TV放映権を保持し続けてきたESPNがCFPとこの契約をさらに6年更新。そしてその更新契約額が何と6年間で78億ドル(1ドル100円計算だと7800億円)!!この契約は現行の契約が切れる2025年度シーズン後から(2026年度シーズンから)適用される予定です。

CFPが導入されて以来、それ以外のほぼ全てのボウルゲームの放映はESPNが行っており、これによってポストシーズンにおけるESPNの発言力がどんどん強くなっていると言われています。それは特にスケジューリングに顕著に現れており、ESPNの鶴の一声で試合の開始時間が決められるというくらいです。

2026年度シーズンからナショナルタイトルゲームはESPNからABCに放映権が移りますが、ESPNもABCもどちらも親会社がディズニーなので結局はどちらが放映しても収入先は同じということになります。

ここまでの額のお金が動いていれば、影響力のあるESPNがCFP側に参加チームの増枠を促したと疑ってしまいますし、もっといえば現在の利益追随主義的な動きは彼らがもたらしたものだといっても過言では無いかもしれません。

ESPNによるほぼ独占状況がカレッジフットボールというスポーツにとって健康的なのか、健全的なのか、そこら辺には疑問を感じてしまいますが、これがビジネスであることもまた否定できず、そしてカレッジファンとしてはここを通じて出ないと試合を観れないということになれば文句も言えないのかもしれません。

カレッジフットボールを放送するTV局は他にもCBS、NBC、FOXスポーツなどありますが、ことCFPに関してはランキングリリース番組やプレーオフ進出チーム発表番組などはESPNが独占で放映することがここに盛り込まれていますから、CFP=ESPNというフォーミュラはすでに出来上がっています。

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カレッジフットボール界はNILやトランスファーポータルなどを通じて急速に変化し続けています。12チーム制度のプレーオフは大いに歓迎したい新フォーマットですが、カレッジフットボールのオーセンティックな部分も少なからず残して欲しいものです。

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