第14週目レビュー

第14週目レビュー

レギュラーシーズン最終節となった今季14週目。この週末はライバル同士の戦い「ライバリー」ゲームが各地で行われた週でもあり、いろいろな意味で盛り上がった週末になりました。特にカレッジフットボールプレーオフ(CFP)及び各カンファレンスタイトル争いにおいて負けられない試合をこなしたチームが多々あり、この週末の結果がそのレースに直に影響を及ぼしました。

大勝あり、アップセットあり、僅差の激戦あり・・・。シーズン大詰めの第14週目を振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

オハイオ州立大56、ミシガン大27

The Game」の異名を持つ全米きってのライバリーゲームとして知られるこの一戦。CFPランキング1位のオハイオ州立大ミシガン大のホームに乗り込みましたがスコアをご覧になれば一目瞭然。宿敵を圧倒したオハイオ州立大が対戦成績で8連勝として無敗でBig Tenカンファレンス優勝決定戦に駒を進めました。

筆者的にはミシガン大のここ最近の勢いを見れば番狂わせのチャンスもあるのではないかと踏んでいました。実際前半は28対16と決して手が届かない試合展開ではなかったのです。オハイオ州立大のオフェンスを止めることは出来ませんでしたが、少なくともミシガン大も鉄壁と言われるオハイオ州立大のディフェンス大を切り崩してパスを通すことに成功していたのです。

それを指揮していたQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)は前半250パスヤードにパス成功率約75%とし彼のパフォーマンス及びオフェンシブコーディネーターのジョシュ・ガティス(Josh Gattis)氏のプレーコーリングがハマりまくっていたのです。特にプレーアクションパスを多用してオハイオ州立大のスターDLチェイス・ヤング(Chase Young)をほぼ無力化。点取合戦となればもしかして・・・と思わせるには十分な前半戦でした。

しかし。

後半に入り徐々に点差が離されるとミシガン大オフェンスはまるで別人のように变化。相手ディフェンスがプレッシャーを上げてきたことによりパターソンは常に追い立てられるようになり後半は結局24投中成功できたパスはたったの4投。ヤード数も55ヤードとこれでは全米1位チームに太刀打ちできるはずはありません。

一方のオハイオ州立大というととにかくRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)の活躍が目立ちました。アンダーサイズのミシガン大DL陣は弾丸のようなドビンズの激走を一列目で止められず、彼の1キャリーの平均ヤードが6.8ヤードという数字にも現れているようにドビンズにやられ放題。試合が終わってみれば211ヤードのランに4TDという度肝を抜く数字を残し、またオハイオ州立大の歴代総ランヤード数で現ダラスカウボーイズイゼキール・エリオット(Ezekiel Elliott)を抜いて歴代2位(1位はアーチー・グリフィン氏)に躍り出たことからも分かるように、チーム史に名を残す選手となったのです。

またQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)は途中膝の怪我で退場するも復帰した1投目にTDパスを放るという新技を披露。彼もパスで4TDを記録しハイズマントロフィー候補として最低でも授賞式に呼ばれるべき逸材というところを世に知らしめました。

これでオハイオ州立大は12勝無敗で今週末のカンファレンスタイトルゲームを迎え、ここで勝てばプレーオフ進出当確です。仮に負けたとしてもここまでの彼らの戦いぶりを見れば1敗してもトップ4に入れる可能性は十分ありそうです。

ミシガン大としてはこのライバリーにおいて最大級の点差を付けられ完敗。今季5期目のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は就任以来未だこの試合で勝利の美酒を味わったことがありません。どんなに成績が良くてもライバルに勝てなければ評価が落ちてしまうと言われるこのカレッジフットボール界においてこの5連敗はハーボーブランドに更に傷を残すことになってしまいそうです。


アーバン大48、アラバマ大45

アイロンボウル」とも呼ばれ、上記の「The Game」と並び称される全米随一のライバリーであるアラバマ大アーバン大の一戦。サウスイースタンカンファレンス(SEC)タイトルゲームに出場できないCFP5位のアラバマ大にとってプレーオフ進出の望みをつなぐにはこのアーバン大戦で完全勝利を収めなければなりませんでしたが、逆に宿敵に返り討ちにあってしまいました。

アラバマ大はスターQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)を怪我で欠きバックアップのマック・ジョーンズ(Mac Jones)で臨まなければならない厳しい状況。アーバン大のQBボ・ニックス(Bo Nix)は今季1年生ながら先発を任されたルーキーで当然彼自身初の「アイロンボウル」ということでいつもとは何かが違う感じがしていましたが、その予感はある意味的中しました。

シーズンを通して不安視されていたアラバマ大のディフェンス大がこの日もアーバン大にビッグプレーを許して大量失点を許したり、ジョーンズが2度のインターセプション(その内1つはピックシックス)したかと思えば、アラバマ大のWRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle)が1つのリターンTDと3つのレシーブTDとで合計4つのTDに関わる大活躍を見せたり・・・。

スタッツを見るとアラバマ大が勝っていてもおかしくない試合でしたが、ジョーンズの2つのINTパスや合計96ヤードも減退してしまったペナルティーヤード、更には同点のチャンスとなるFGを外したり、挙げ句の果てには試合の最終局面で12人の選手がフィールドに居残るペナルティーを犯して相手に致命的な1stダウンを与えてしまうなど、厳しい統制力で知られるニック・セイバン(Nick Saban)監督の指揮するチームらしからぬ面が多々見られました。

この敗戦でアラバマ大は2敗目となり事実上CFPレースから脱落。CFP2014年に導入されてから唯一すべてのCFPに参戦してきたアラバマ大ですが、これで初めてCFP進出を逃すことになります。また「アイロンボウル」も過去3年で1勝2敗ということでこの敗戦で長きに渡り栄華を築いてきた「アラバマ帝国」に凋落の兆しが見え始めてきたか・・・と感じる人も少なくはないのではないでしょうか。

アーバン大としてはこれで9勝目となりボウルゲームで白星を飾ることができれば二桁勝利の大台に乗ることになります。毎年その去就に注目が集まるガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督。アーバン大ファンの中にも敵が多くいることで知られている監督ではありますが、アラバマ大を倒すことが出来るだけで彼の監督の椅子は安泰となると言われます。そのタスクを着実にこなしているマルザーン監督に批判の矢が飛ぶ理由がいまいち分かりませんが、少なくともこのアラバマ大戦での勝利の余韻が残る間は全ファンがマルザーン監督を崇めることでしょうね。

ウィスコンシン大38、ミネソタ大17

開幕以来9連勝を果たして全米8位まで上り詰めたミネソタ大。勝ち進めばプレーオフの可能性が十分見込まれた彼らでしたが、既に2敗してプレーオフレースからとうの昔に脱落したウィスコンシン大にホームでしてやられ、Big Ten西地区のタイトルを奪われただけでなく夢のプレーオフへの道も塞がれてしまうという大変痛いシーズンの終わり方となってしまいました。

ユタ大45、コロラド大15

全米6位のユタ大は立ち上がりこそスローだったもののコロラド大に余裕の30点差をつけて快勝。この勝利で彼らはPac-12カンファレンス南地区を制しタイトルゲームでオレゴン大との対戦を決めました。既に紹介したようにアラバマ大が敗れたため彼らのプレーオフ進出の可能性は更に高まりました。

オクラホマ大34、オクラホマ州立大16

ベッドラムシリーズ(Bedlam Series)」と呼ばれるこのライバリーゲームも今季はオクラホマ大がCFP出場への可能性を残せるかどうかにおいて非常に重要な意味を持っていましたが、彼らが宿敵オクラホマ州立大を一蹴して1敗を守りました。今週末には同じく1敗でCFPへの可能性を持つベイラー大とのカンファレンスタイトルゲームに臨みます。レギュラーシーズン中には既に対戦済みでオクラホマ大が勝っていますが、このリマッチの行方は果たして・・・。

メンフィス大34、シンシナティ大24

グループオブ5」の雄同士の戦いとなったこの試合、メンフィス大は勝たなければ地区優勝も危ぶまれましたが、これをホームでしっかりと料理し1敗を守って所属するAAC(アメリカンアスレティックカンファレンス)のタイトルゲーム進出を決めました。それと同時に「グループオブ5」出身でランキング最高位に与えられる「ニューイヤーズ6」ボウル出場権争いにおいて大きく前進。今週末のタイトルゲームに勝てばおそらく彼らにその栄誉が与えられるでしょう。

ちなみにタイトルゲームでの対戦相手は先程プレーしたばかりのシンシナティ大。同じチームと2週連続対戦することが果たして吉と出るか凶と出るか・・・。

バージニア大39、バージニア工科大30

アトランティックコースとカンファレンス(ACC)海岸地区の優勝争いとなったバージニア大バージニア工科大のライバリー。勝ったほうがタイトルゲーム進出を決めるという至って明快な構図の中行われたこの試合は両チームが一歩も譲らない白熱した展開に。

決めては30対30で迎えた第4Q残り5分を切ったところで敵陣に向かうバージニア工科大のQBヘンドン・フッカー(Hendon Hooker)のパスをバージニア大のノア・テイラー(Noah Taylor)がインターセプトしそれを起点にFGを決めて3点差をつけたところ。そして続くバージニア工科大でのドライブでフッカーがエンドゾーンでサックされ、ファンブルしたボールをバージニア大のバーグ・イーライ・ハンバック(Birg Eli Hanback)がリカバーしてダメ押しTDを奪ったところ。

バージニア大は15年間宿敵であるバージニア工科大に苦水を飲まされてきましたが、その連敗記録がとうとうこの勝利で途切れることとなり、ホームだったバージニア大のスタジアムに駆けつけたファンは試合終了と同時にフィールドになだれ込み喜びを爆発。これぞカレッジフットボールの醍醐味というところを見せつけてくれました。

連敗記録を止めただけでなく自身初となるAACカンファレンスタイトルゲーム出場を決めたバージニア大。相手はディフェンディングナショナルチャンプのクレムソン大ということで相手にとって不足はありません。兎にも角にもフットボール部は弱小として知られていたバージニア大をここまで育て上げた4年目のブロンコ・メンデンホール(Bronco Mendenhall)監督の手腕に拍手を贈りたいです。

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