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だからカレッジフットボールに魅せられる:その1

だからカレッジフットボールに魅せられる:その1

2016年度シーズンが終わってかれこれ3ヶ月が経ちます。あのクレムソン大アラバマ大を35対31で破った激闘からもうそんなに経つのですね。現在は春季トレーニング(スプリングフットボール)真っ只中で全米では選手たちが限られた日数の間汗を流していることでしょう。しかし基本的にカレッジフットボールは現在オフシーズンであります。

ということでやることといえばマイナーなニュースを掲載したり、過去シーズンを振り返ったりすることぐらいですが、振り返ると言ってもなかなか簡単なことではありません。何と言ってもシーズン中は絶対的な試合数が膨大ですからね。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

世紀の一戦に巡り会うために

レギュラーシーズン中には強豪同士のビッグマッチも毎週数試合組まれています。しかしだからといってその対戦カードが必ずしも全て見ごたえのある試合になるとは限りません。そして仮に見た時に凄いゲームだったと思っても果たしてそのようなゲームをどれだけ多くそして長いこと覚えていられるでしょうか。

世紀の一戦」と称されるようなゲームとはそう簡単に巡り合うことは出来ないのです。もちろん個人的な思い入れもあるのでみなさんが強烈に覚えている試合は一般に言う「世紀の一戦」とは異なるものになるかもしれません。どちらにしても無限のごとくプレーされる試合数からすれば記憶に残るようなゲームはほんの一握りだということです。

しかし我々カレッジフットボールファンたちはたとえ試合がワンサイドになろうとも、期待を裏切るような結果になろうとも、贔屓のチームがまさかの敗戦を食らったとしても、試合を追いかけることを止めません。それはいつどの試合が「世紀の一戦」となるか分からないとしてもそれを心の何処かで追い求めているからなのかもしれません。

一番分かり易い例で言えば前述のクレムソン大とアラバマ大の間で行われた2016年度のナショナルチャンピオンシップゲーム。アラバマ大がリードし、後半クレムソン大が息を吹き返して逆転するとその流れのままタイトルを獲得するかと思われましたが、試合終了間際にアラバマ大QBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)の決死のランTDが決まります。これでアラバマ大が逆転勝ちして2連覇を果たした・・・と誰もが思ったものでしたが、諦めないクレムソン大はQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)の冴え渡るドライブとアラバマ大のミスでボールは試合終了6秒前にアラバマ大陣内2ヤードへ。最後はワトソンからWRハンター・レンフロー(Hunter Renfrow)へのTDパスが決まってクレムソン大が再々逆転。35年ぶりにクレムソン大が優勝トロフィーを手にしたのでした。

【関連記事】2016年度ナショナルチャンピオンシップゲーム分析

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ドラマとしてはもう出来過ぎです。しかもこのカードは一昨年と同じ顔合わせ。アラバマ大は最強チームとして連覇を目指し、一方のクレムソン大はその雪辱を晴らすべくリベンジを誓いました。またこの試合にあたりアラバマ大はオフェンシブコーディネーターだったレーン・キフィン(Lane Kiffin)氏がチームを試合日数日前に退団。新たにスティーブ・サーキジアン(Steve Sarkisian)氏をOCに据えて臨んだ試合でした。しかし試合では敵なしと謳われたアラバマ大ディフェンスが、前年度と同じくワトソンを攻略することができず、ついにその牙城は崩れクレムソン大が念願のナショナルタイトルを獲得したのです。

試合前から試合当日、そしてゲームの流れまで、この試合のように注目を浴び、なおかつ試合内容も素晴らしいものになることはそう滅多にありません。もちろんこれが全米優勝決定戦ということで、普通のレギュラーシーズンの試合とは一線を画してはいますが、それでもこの試合は「ベストゲーム」と呼ばれる試合の一つに数えられることができると思います。

そしてそんな試合に巡り会うために我々ファンは試合を見続けているんだと思うのです。

ただ、確かにこのナショナルチャンピオンシップゲームは素晴らしい余韻をオフシーズンに残してくれましたが、常にその様相を変えていくカレッジフットボール界においてこの「世紀の一戦」はその一部でしかありません。


マネーパワー

アラバマ大、オハイオ州立大、フロリダ州立大、アーバン大、フロリダ大、ルイジアナ州立大、テキサス大・・・そんな太古の昔から毎年のようにナショナルタイトルを目指して切磋琢磨してきたチームではない、いわば新興勢力とも言えるクレムソン大がここ数年で全米の頂点に立つことができるほどのチーム作りをしてきたのは、もちろんヘッドコーチのダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督の手腕があってこそですが、彼らのおかげでこれまでの常勝チームと言われてきた以外のチーム達にも「俺たちだってできるかも」と思わせてくれたのです。

と言ってもその「俺たちだってできるかも」という「言葉」だけは昔から叫ばれ続けてきました。それは今も昔も大して変わらないのですが、違うのは昔と違って今はそれを実現するだけの環境が整い、その環境を自分のものにできるチームが増えてきたからです。それを可能にしたのはやはりカレッジフットボールというスポーツが肥大し、そのおかげでメディア(主にテレビ放映)での収入が格段に増えたからに他なりません。

例えばパワー5と呼ばれる、FBSでも上位リーグに属するBig Tenカンファレンスパデュー大。このチームはBig Ten所属ではありますが、2000年以来カンファレンスタイトルから遠ざかっていますし、しかも2000年よりも前のタイトルとなると1967年まで遡らなければなりません。要するにこのチームはBig Tenカンファレンスでも中堅ないしその下を行ったり来たりしているようなチームなわけです。

そんなパデュー大ですが、この度新監督にジェフ・ブローム(Jeff Brohm)氏を起用したのですが、大学側はこのブローム氏に330万ドル(約3億5千万円)の年収を提示したのです。さらにその他のボーナスを含めれば500万ドル(約5億円)まで収入は膨れ上がるとのこと。おまけにブローム氏には彼のアシスタントコーチ用に350万ドル分の予算も別に用意されているということです。

全米の強豪チームの監督のサラリーが100万ドル(約1億円)を超えてきたということがニュースになったのはそんなに大昔のことではありません。しかし今ではパデュー大のような、過去最近4年間で9勝しかしたことがない中堅チームでさえ、新監督に上記のような破格の給料その他諸々をオファーできるようになったのです。それだけ大学がフットボール部に勝ってほしいと思っているということですが、それだけでなく大学側にそれを可能にするだけの「収入」ができたからということも言えます。

このパデュー大の「収入」というのはBig Tenから配分された3240万ドル(約33億円)の取り分のことを指しています。なんだか額が桁外れになってきましたが、Big Tenのメディアネットワークやボウルゲーム出場に際しカンファレンスに支払われた金額、その他諸々のお金が所属チーム全チームに配分されたのです。

お金がたくさんあるからと言ってそれが勝利に直結するとは限りません。しかしカレッジフットボールで言えば、これまで常勝チームでしか成せなかった様々なこと、例えば敏腕コーチを雇ったり、施設をアップグレードしたり、リクルーティング費に充てたりすることを中堅チームでも可能にしたのです。

これが上位校と中堅校の格差を埋め、ゲームとしてフットボールのレベルを底上げすることに(理論的には)繋がります。

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