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ローズボウルレビュー【2023年度CFP準決勝第1試合】

ローズボウルレビュー【2023年度CFP準決勝第1試合】

ローズボウル(CFP準決勝戦)
アラバマ大

20

ミシガン大

27

2023年度シーズンのカレッジフットボールプレーオフ(CFP)準決勝戦第1戦目はローズボウルでの1位ミシガン大と4位アラバマ大との激突となりました。

ミシガン大はここまで無敗のBig Tenカンファレンス王者。一方のアラバマ大は1敗のSEC(サウスイースタンカンファレンス)チャンピオン。カレッジフットボール界を代表する名門同士の戦いは実はこれで史上5度目という稀なマッチアップ。CFPが導入されて以来8度もプレーオフに進出しているアラバマ大に対し、ミシガン大はこれで3度目。ただミシガン大はこれで3年連続の準決勝戦となり、未だこの壁を越えられない彼らとしては是が非でもアラバマ大を倒して悲願のタイトルゲームに駒を進めたいところでした。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

第1Q:ライン戦

ミシガン大の先攻で始まったこの試合はお互いのファーストドライブが3rd&アウトという立ち上がり。しかしアラバマ大がパントしたボールをミシガン大のリターナー、セマジ・モーガン(Semaji Morgan)が取り損ね、それをアラバマ大カバーチームがリカバー。アラバマ大は相手陣内44ヤードからの絶好のチャンスをものにします。

このチャンスにRBジェイス・マクレラン(Jase McClellan)とQBジェイレン・ミルロー(Jalen Milroe)がランで押し込み、最後はマクレランの34ヤードランTDでアラバマ大がまずは先制します。

続くミシガン大のドライブは10プレーの重厚なアタック。RBブレイク・カーラム(Blake Corum)の21ヤードのランで一気にアラバマ大陣内へ侵入すると、QB J.J.マッカーシー(J.J. McCarthy)のショートパスで揺さぶりながらのカレル・マリングス(Kalel Mullings)への19ヤードパスでアラバマ大レッドゾーンへ。そして最後はマッカーシーからカーラムの8ヤードTDパスが決まってスコアは7対7のタイゲームに。

ただスコアはタイゲームとなったものの、アラバマ大はミシガン大のミスから得たチャンスをものにしてTDを挙げたのみで、立ち上がりからOL陣の連携の悪さが目立ちました。彼らが奪えたstダウンはたったの2つ。対するミシガン大は5つ。トータルヤードはアラバマ大が38ヤードに対してミシガン大がすでに104ヤードとライン戦での差が第1Qから出始めていたのです。


第2Q:ミシガン大フロントセブンの強襲

アラバマ大オフェンスがミシガン大のフロントセブンのプレッシャーに悩まされたのが如実となったのが第2Q。このQだけでミシガン大はQBミルローに4つものQBサックをお見舞いするなどし、正直この時点でアラバマ大オフェンスが得点できる姿を想像できませんでした。

ただ、アラバマ大ディフェンスも踏ん張り、ミシガン大のTDドライブ後の2度のドライブを合計9プレー24ヤードに抑え込む奮闘を見せました。実際ミシガン大の第2Qのランヤードはたったの14ヤード。ロースコアな展開をなんとか保っていました。

しかしミシガン大のこの日4度目のドライブ、自陣17ヤードからの攻撃となった彼らはRBカーラムの3連続ランプレーとQBマッカーシーのミドルレンジのパスを起点にアラバマ大陣内へ踏み込むと、残り4分弱というところでマッカーシーがクロスルートをとったWRタイラー・モリス(Tyler Morris)へのショートパスを成功させ、そのモリスが俊足を生かしてそのまま右サイドライン際を走り抜けてTDをゲット。

モリスにとってはこれがカレッジキャリアで初のTDとなりました。またこのTDでミシガン大はこの日初のリードを奪うことになりましたが、実はここまで3度のCFP出場経験があるミシガン大にとってプレーオフ戦で相手からリードを奪ったのはこれが初めてことでした。

オフェンスに形を見出せないアラバマ大にとってこの1TDはたかが1ポゼ差、されど1ポゼ差といった感じに。ただ、前半終了まで残り4分を切ったところで攻撃権を得たアラバマ大はこの日初めてまともなドライブを披露することができました。

ここまで全くといっていいほどパスを投げさせてもらえなかったミルローでしたが、自陣16ヤードからの攻撃となったこのドライブ1プレー目にWRアイゼア・ボンド(Isaiah Bond)に29ヤードのパスを成功させて大きく前進することに成功します。

さらに脚力にも定評があるミルローがミシガン大ディフェンスの一瞬の隙をついて17ヤードのランプレーを決め相手陣内30ヤード付近まで襲い掛かり、スコアリングの雰囲気を醸し出します。が、残り時間が1分を切ったこの状況でミルローが痛恨のQBサックを喰らってしまい、せっかくのチャンスも4thダウンとなり結局50ヤードのFGに甘んじてしまいます。

前半最終的にスコアはミシガン大13(PATを外したため)アラバマ大10となんだかんだ言って3点差に。第2Q終了間際にアラバマ大オフェンスが少々落ち着きを取り戻して攻勢に打って出ることはできましたが、ミシガン大優位をまざまざと見せつけられた最初の2Qとなったのでした。

前半のスタッツ

第3Q:アラバマ大のモメンタムとスナップの不安

後半の先攻はアラバマ大。前半は相手のブリッツ対策が無下に終わり、オフェンシブコーディネーターのトミー・リース(Tommy Rees)氏がどのようなアジャストをしてくるかに注目が集まりました。

このドライブではRBジャスティス・ヘインズ(Justice Haynes)を起用し、ミルローのランも織り交ぜてリズムよく前進することに成功。ようやくアラバマ大らしさが出てきたかと思われましたが、相手陣内に足を踏み入れたところでCセス・マクラフリン(Seth McLaughlin)が2連発でバッドスナップ。前進するどころか自陣へと後退を余儀なくされせっかくのチャンスもパントに終わってしまいます。

ただこの後はミシガン大もアラバマ大のディフェンスに阻まれ相手のミスに漬け込むことができず、ロースコアな展開が続いていきます。そんな中、第3Q終盤に攻撃権を得たアラバマ大はミルローとヘインズのランで再びミシガン大ディフェンスに揺さぶりをかけ、このQ終了時にはいよいよこの日彼らにとって初となる相手レッドゾーン侵入を果たしたのです。

第4Q:激闘の最終クォーター

第3Qから続くアラバマ大の魂の攻撃は、第4Q開始早々にRBマクレランのこの日自身2つ目のTDランで終えることに成功。アラバマ大が17対13と貴重な4点リードを奪います。アラバマ大もミシガン大ディフェンスから得点に苦労していましたが、ミシガン大オフェンスもアラバマ大ディフェンスに苦戦を強いられていたため、この4点差というのはアラバマ大にとっては喉から手が欲しかったリードだったわけです。

ちなみに後半にミシガン大がリードを奪われたのは今シーズンこれが初めてのことだったのだとか。

さらに返しのミシガン大の攻撃を一つもファーストダウンを取られずに防いだことで、モメンタムは完全にアラバマ大に傾いたかに思われました。が、その次のドライブでなんとミルローが自陣49ヤード付近でファンブル。これをミシガン大がリカバーしてせっかくのモメンタムが萎んでしまいます。

ミシガン大サイドラインはこのチャンスに息を吹き返しますが、マッカーシーからハンドオフを受けたカーラムがマッカーシーにトスし直してパスを投げるというトリックプレーを試みるも、ここでトスミスが起き7ヤードの減退。そして狙ったFGがなんと外れるという不運にも見舞われ、ミシガン大はせっかくのチャンスを台無しにし、またアラバマ大にとっては九死に一生を得る形となりました。

ことなきを得たアラバマ大は試合残り時間10分という状況から4点差を守るためにポゼッションゲームへと移行していきます。ミルロー、マクレラン、さらにはRBジャム・ミラー(Jam Miller)らのランとミルローのショートパスを駆使して時間を削りミシガン大エンドゾーンへじりじりと近づいていきます。

ここでもしTDを奪えばアラバマ大の勝利は濃厚になっていたことでしょう。しかしミシガン大は残り5分半を切ったところでミルローにこの日6つ目のサックを食らわせて3rdダウンコンバージョンを阻止。ただKウィル・ライカード(Will Reichard)が52ヤードのロングFGを決めてこの終盤にスコアは20対13と1TD差に広がります。

後半ここまで無得点に抑えられ後のないミシガン大はTDがマストな状況に。しかしながら自陣25ヤード地点からの攻撃となるもなかなか前に進めず、33ヤード地点で4th&2ヤードという状況に陥ってしまいます。

この時点でミシガン大にはまだ3つのタイムアウトが残されており、自陣内であったことを考えると通常ならばパントでフィールドポジションをフリップし、タイムアウトを使ってなんとかもう一度攻撃権を奪うのが定石だと思われましたが、ミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督はここで4thダウンギャンブルに打って出ます。

この状況でアラバマ大はショートゲインのランを警戒していたと思われますが、このことでフリーになったカーラムをマッカーシーは見逃さず、パスを受けたカーラムが一気に27ヤードのゲインを見せ、ハーボー監督のリスキーコールが功を奏します。

この土壇場でミシガン大のマッカーシーが突如としてクリックし始め、ランで16ヤード、さらにWRローマン・ウィルソン(Roman Wilson)への29ヤードのパスプレーを導き出して一気にアラバマ大陣内5ヤードまで攻め込むと最後はまたしてもマッカーシーとウィルソンのコンビでTD。残り時間1分34秒でついに試合は20対20のタイゲームとなりました。

ただ残された時間を考えればアラバマ大にもサヨナラ勝ちのチャンスは残されていましたが、一方で彼らのスタイルを考えると75ヤードを速攻をかけて進撃してTDないしFGを奪うのはそう簡単なことではありませんでした。

その不安が的中し、アラバマ大は自陣43ヤード地点で4thダウンを迎え、タイムアウトを使用したミシガン大が残り時間約50秒で逆に勝ち越しのチャンスを得るかと思われました。が、ミシガン大のパントをリターナー、ジェイク・サウ(Jake Thaw)がボールをミスハンドルしてあわやセーフティーかという危機一髪な状況に。結局ボールはミシガン大ゴールライン際ギリギリに配置され、リスクを恐れたミシガン大は膝をついて勝負をオーバータイムに持ち込むことに。

レギュレーション終了時のスタッツ

OT:激戦の果てに・・・

オーバータイム(OT)のコイントスに勝ったのはアラバマ大。その彼らは後攻を選び、ミシガン大の先攻からOTが始まります。ミシガンの通算OTレコードが13勝3敗、アラバマ大が7勝9敗と、OTではミシガン大の勝負強さが際立っていましたが・・・。

先攻のミシガン大はなんとしてもTDを奪って後攻のアラバマ大にプレッシャーをかけたいところでしたが、そんな重圧時に頼りになるのはベテランでありチームのリーダーでもあるRBカーラム。最初のプレーで一気に8ヤードを稼ぐと、アラバマ大陣内17ヤードでスナップを受けたマッカーシーが再びカーラムにハンドオフ。そのカーラムは素晴らしいサイドキックを使ってアラバマ大のフロントDをかわすとそのまま左側へと駆け抜け、パシュートするアラバマ大数人のディフェンダーを振り切ってTD!

この日50ヤードそこそこに抑えられていたカーラムでしたが、ここしかないという場面でしっかりと結果を残すところは流石。またこれでカーラムは大学通算56個目のランTDとなり、これはミシガン大史上最多記録となりました。

後のないアラバマ大は最低でもTDを奪わなければ試合終了となる状況に追い詰められます。ここで彼らの頼りになるのはやはりエースQBのミルロー。彼の15ヤードのランでミシガン大9ヤードラインまで詰め寄りますが、アラバマ大にとってここからが遠かった。

マクレランのランは2プレー連続で止められ、特に2つ目は4ヤードロス。3rdダウン&14ヤードという状況でミルローはWRジャーメイン・バートン(Jermaine Burton)へ11ヤードのパスを決めてなんとか3ヤード地点まで押し戻します。そして迎えた運命の4thダウン。

アラバマ大、ミシガン大がタイムアウトを取り合って相手の出方を探った後にアラバマ大OCリース氏が選んだのは、2人のWRを左サイドに置き、サイドに従えたRBロイデル・ウィリアムス(Roydell Williams)がモーションで左側へ。ミシガン大はカバーゼロのワンオンワンディフェンス。ウィリアムスのモーションに反応したLBをを除き、ミシガン大のボックスには7人、対するアラバマ大のブロッカーはTEを含めて6人。

このプレーが最初からQBのパワーランだったのか、もしくはウィリアムスへのスイングパスだったのか、それは定かではありませんが、分かっているのはCマクラフリンのスナップがまたしても低くなり、それをキャッチするために刹那の時間戸惑ったミルローは、キャッチするなり真っ直ぐにインサイドへ突っ込んで行きましたが、ブロックの人数で勝るミシガン大フロントセブンがガッチリとペネトレーとしてミルローの前進を阻止。4thダウントライは失敗に終わり、勝利を手に入れたミシガン大選手スタッフが感情を爆発させてフィールド上に溢れ出てきたのでした。

名門同士の激しいぶつかり合いは全米1位のミシガン大に軍配。これで彼らは3度目の正直とばかりに3度目のCFP進出でついに悲願の全米優勝決定戦進出を決めました。ハーボー監督の謹慎処分、サイン盗み疑惑など選手たちにとっては多くの障害を超えなければならないシーズンでしたが、それらを跳ね退けて強豪アラバマ大を撃破。1997年以来の全米制覇に挑みます。

一方のアラバマ大はニック・セイバン(Nick Saban)監督体制になってから最も不完全なチームだというレッテルを貼られ続けましたが、試合をこなすたびに成長しCFP史上最多となる8度目のプレーオフ進出を果たしました。今回の敗戦で2020年度以来のタイトル獲得のチャンスを逸し、セイバン監督にとっても自身8度目の栄冠を手にすることはできませんでしたが、その彼に試合後「このチームは自分にとってスペシャルだった」と言わしめたのは印象的でした。

総合スタッツ

ハイライト動画

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