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オバマ元大統領の苦言

オバマ元大統領の苦言

学生アスリートたちはアマチュア選手としてプレーすることの対価として金銭を受け取ることは長く禁止されてきました。一方でそのアマチュア選手たちを元手にカレッジスポーツビジネスはビリオンダラービジネスにまで発展し、一部ではそういった一部の大人たちが学生アスリートを搾取していると批判が起きて久しいです。

そんななか、あのバラク・オバマ前アメリカ大統領がカレッジスポーツ界に苦言を呈しました。

大学生アスリートはプレーする対価として何らかの支払いを受けるべきであり、そうでなかったとしても最低自分たちの肖像権を利用して利益を得ることが出来るべきだとビル・シモンズ氏のポッドキャストの中で話したのです(下記参照)。

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第44代アメリカ大統領、バラク・オバマ氏

「カレッジレベルで発生する高額の収益や、アメフトだけでなく他の大学スポーツに勤しむ選手たちが直面する怪我のリスク、そして彼らアスリートが活躍する事によって体育局長やコーチたちのサラリーが賄えられているという現状。これらを加味すると学生アスリートたちにより良い形での金銭的リターンがあってもよいのではないかと考えます。そしてこれまで培われてきた、我々が愛する大学スポーツの伝統を完全に崩壊させることなくそれを実現する術があると信じています。」

現職時代からスポーツ好きで知られていたオバマ元大統領。特にバスケットボールには目がなく、大学バスケの祭典「マーチマッドネス」においては米スポーツ専門局「ESPN」に出演してトーナメントの予想を8年連続行ったほど。ですから政治家の中でもスポーツ界のトレンドにも精通してるわけですね。

オバマ前大統領はさらに続けます。

「もしザイオン・ウィリアムス(元デューク大のスターバスケ選手で現ニューオーリンズペリカンズに所属)やトレヴァー・ローレンス(クレムソン大QB)、もしくは他のどの選手でもいいのですが、彼らが自分たちのスポーツをプレーする中で、大学に多額の投資をしている地元の車のディーラーや大学の大型後援者(ブースター)が選手や選手の家族の手助けをするためだとか、より良いトレーニングの環境を提供してあげるために金銭的サポートをしたことにより選手だけが罰を受け、その他の甘い蜜を吸っている大人たちに火の粉が降りかからないというのは理解できません。

またNCAA(全米大学体育協会)の歴史や彼らの歩みを振り返ると、学生選手たちが挙げるの声から大学らを守るためにNCAAは存在してきたと言ってもいいわけです。

『学生アスリート』という言葉が生まれた背景には、かつてチームに稼ぎ頭としてチームに連れてこられた選手らが怪我を負ったことで労災を請求したことに対し、大学側がNCAAのような団体を作り選手たちを「学生アスリート」という枠にくくることで自分たちが補償金を払わないようにした、ということがあったわけです。

ですからその様な現状には変化が必要なのです。」

確かにスカラシップ選手たちはこれまで金銭的利益を受け取ることは基本的に禁止されてきましたが、その代わりに大学の授業料が免除になったり、寮費や食費もただになると言った便宜は図られてきました。大学の経費は安くはありませんからスカラシップを貰える選手にしてみればそれらが浮くことはありがたいことですし、無償で大学教育を受けられるのは将来的に大きなプラス面であることは確かです。

しかしそういったものは直接懐に入ってくるものではありませんし、貧しい家庭出身の選手なら即効性のある家族の助けにはなりません。そのような背景を持つ選手らにしてみればフットボールをする傍らで何かしらの金銭的利益を得ることが出来るのは有益だと考えられます。

今年の4月、NCAAは学生アスリートがスポンサーからの金銭的補助を受けることができたり、選手らが自身の肖像権など(いわゆるNIL=Name Image Likeliness)を利用してお金を稼ぐことが出来るようなルール改正を支持すると公表しました。

参考記事NCAAの大英断

このように自分をブランディングして利益を得るために大学は手を貸すことは許されませんし、選手らも大学やカンファレンスのロゴを用いることもできません。しかしタダ同然でスポーツをプレーしその恩恵がカンファレンスや大学側ににしか流れなかったこれまでの仕組みを変えるには大いなる第一歩です。

アメフト選手やバスケ選手らはアマチュアの学生アスリートという枠の中で身を削ってプレーし、大学やカンファレンスはその学生アスリートたちの試合を元にマーケティングや試合放映権などで多額の利益を懐に収めています。またトップチームの監督のサラリーは一昔前とは偉い違いの高学年収になり、例えばクレムソン大ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督は一介のカレッジコーチながら大学が所在するサウスカロライナ州内で最高額所得者なのです(年収約9億円)。

これまで100年近く大学生アスリートはアマチュア選手としてお金を稼ぐことは許されてきませんでした。ですからこれまでの慣習を覆し本当に彼らがNILを利用して収入を得ることが許されるとなると違った問題もでてくるかもしれません。

例えばスター選手とそうでない選手の収入の格差だとか、そういったことに時間をとられて選手の質が落ちないかだとか、リクルーティング時のダシに使われないかどうかとか、選手たちが金銭的利益を得られることで起こる新たな問題も指摘されてはいます。

ただいずれにしても近い将来学生アスリートがお金を稼ぐことが出来るようになるという、大学スポーツ界にとってこれまでにない大きな変化は確実に訪れます。これがドミノ倒し的に様々な側面に影響を及ぼしていくのでしょうが、それが善きにしろ悪きにしろ大学側、コーチ、選手、親、その他諸々が適応していくことを強いられることになるでしょうね。

ちなみに現在オバマ前大統領は自身の著書である「A Promised Land」のキャンペーンでメディアに出まくっていますが、今回紹介したビル・シモンズ氏のポッドキャスト出演もその一環です。

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