デッドマネーも破格なカレッジフットボール

デッドマネーも破格なカレッジフットボール

カレッジフットボールの監督の年収が毎年上限なく増え続けているのは今に始まったことではありませんが、現在の高学年収所得コーチの状況を見ると開いた口が塞がらなくもなります。

筆者がカレッジフットボールにハマり出した20年程前、当時の業界を席巻していた監督の一人にフロリダ大スティーヴ・スパリアー(Steve Spurrier)監督が居ました。1996年にナショナルタイトルを獲得するなど当時常に上位に顔を連ねていたフロリダ大を支えた名将です。

その彼が当時史上初となる年収200万ドルを受け取った監督として大きく取りだたされていたことを今でもはっきりと覚えています。あれから20年ほどが経ち、現在(2022年5月)最も年収が高い監督と言われるサザンカリフォルニア大リンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督は1000万ドル(1ドル100円計算で約10億円)以上を受け取っていると言われています。20年で監督のサラリーは桁違いに激増しました。

しかしそういった高額サラリーを複数年契約に盛り込まれる一方で、それらの監督の指揮下でチームが不調に陥れば契約半ばにそんな監督やアシスタントコーチらを解雇しなければならない状況も残念ながら生まれます。そういった場合、解雇理由がスキャンダルでもない限りは契約途中での解雇となれば違約金が生まれます。それをバイアウト(Buyout)費と呼びます。

バイアウト費の金額は契約金の額が上がれば上がるほど膨れ上がる傾向にあります。このバイアウト費は去っていくコーチへ支払わなければならない違約金であり、大学にしてみれば新監督に支払うサラリーの他に前監督へのバイアウト費も捻出しなければならないことから、場合によっては彼らの首を大きく締めることにも繋がってしまうのです。

こういったバイアウト費は大学側にとっては何も生み出さない、何の得にもならない支出であり、そのことから「デッドマネー(Dead Money)」とも呼ばれます。「死に体のお金」とでも直訳できるでしょうか。そして契約金がとどまることを知らずに高騰する中でこのデッドマネーの額も驚くほどに増え続けているのです。

こういったデッドマネーがどれくらい生み出されているのか・・・。それが先日明らかになったのですが、過去11年間の統計によるとFBS(フットボールボウルサブディビジョン、旧NCAA1部A)のチーム全体の合計が4億230万ドル(約402億円)にまでに上るそうです。

そこでここではその内訳、特にそれを生み出したトップ10チーム(2010年1月〜2021年1月)を見ていきたいと思います。

*金額はアメフト部だけでなく体育局全体のもの

10位 UCLA:1550万ドル(約15億5000万円)

2017年にUCLAはジム・モーラ(Jim Mora、現コネチカット大HC)を契約途中で解雇したことで1200万ドル(約12億円)ものバイアウト費を支払うことを強いられました。その他にも男子バスケットボール部のHCを2人解雇したおかげでデッドマネーの総額は1550万ドルに。

9位 テキサスA&M大:1640万ドル(約16億4000万円)

デニス・フランチョン(Dennis Franchione)、マイク・シャーマン(Mike Sherman)、ケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)の3人のコーチのためにテキサスA&M大が流失しなければならかったデッドマネーの総額は900万ドル(約9億円)に。

8位 オレゴン大:1650万ドル(約16億5000万円)

オレゴン大では、2010年台前半にマイク・ベロッティ(Mike Bellotti)氏とマーク・ヘルフリッチ(Mark Helfrich)氏を追い出すために支払ったバイアウト費の合計が1200万ドル(約12億円)に。

7位 サウスカロライナ大:1860万ドル(約18億6000万円)

サウスカロライナ大は2020年にウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)氏を解雇しましたが、ここ最近では最も不可解と言われる契約内容のため、そのムスチャンプ氏にデッドマネーとして1300万ドル(約13億円)も支払う羽目に。

6位 アリゾナ州立大:1870万ドル(約18億7000万円)

Pac-12カンファレンスのアリゾナ州立大は2017年に解雇したトッド・グラハム(Todd Graham)氏に支払った1100万ドル(約11億円)のバイアウトが響きました。

5位 カンザス大:2000万ドル(約20億円)

カレッジフットボール界のお荷物(失礼!)であるカンザス大は2010年以来3人も監督を解雇。その際に生まれたバイアウト費の合計は1400万ドル(約14億円)にも上りました。

4位 ミシシッピ大:2040万ドル(約20億4000万円)

ヒューストン・ナット(Houston Nutt、2011年)、マット・ルーク(Matt Luke、2019年)の両氏を契約途中で解雇した際に生まれたバイアウト費の合計は870万ドル(約8億7000万円)。ただ2016年に解雇(辞任)したヒュー・フリーズ(Hugh Freeze、現リバティー大HC)はスキャンダルが理由だったために違約金は一銭も生まれませんでした。

3位 テキサス大:2150万ドル(約21億5000万円)

この名門校も残念ながらこのリスト入り。しかもこの合計金額には、前監督トム・ハーマン(Tom Herman)氏や彼のスタッフに支払ったバイアウト費である2400万ドルが含まれていないのですから驚きです。

2位 ネブラスカ大:2580万ドル(約25億8000万円)

Big Tenカンファレンスのネブラスカ大は2014年にボ・ペリーニ(Bo Pelini)氏、2016年にマイク・ライリー(Mike Riley)氏を解雇した際に発生した合計1280万ドルを含む合計2580万ドルのデッドマネーを生み出して2位に。

1位 アーバン大:3120万ドル(約31億2000万円)

SEC(サウスイースタンカンファレンス)所属のアーバン大は2012年にジーン・チジック(Gene Chizik、現ノースカロライナ大DC)氏と2020年にガス・マルザーン(Gus Malzahn、現セントラルフロリダ大HC)氏を解雇した際に支払ったバイアウト費を含め堂々1位に。

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デッドマネーのその殆どは契約途中であるにも関わらずチームが上向きにならないことを理由に監督らを解雇することで生まれる違約金(バイアウト)が占めています。腕が立つと見込んだコーチを長くチームに留めるために年収を上げるだけでなく契約年数も延長してしまう事によって、調子が悪くなって監督解雇という苦渋の決断を下さなければならなかったときに、大学側は巨額のデッドマネーを生み出さざるを得なくなるわけです。

監督にとって見れば解雇されてしまうということでプライドを傷つけられてしまいますが、一方で解雇されて職がなくなったとしても巨額のバイアウト費が懐に転がり込んでくることで生活に苦労することはないんでしょうね。

大学側からすれば解雇して自分の大学とは全く関わりがなくなってしまった人物に対して契約上仕方がないとはいえ、自分に何の特もない多額の違約金を支払わなければならないということで、まさに金をドブに捨てるようにバイアウト費を支払わなければならないのです。

監督のクビを切るのも高くつくというわけですね。

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