アラバマ大セイバン監督、怒る

アラバマ大セイバン監督、怒る

今週末宿敵アーバン大との対戦を控えるアラバマ大。そのアラバマ大のヘッドコーチであるニック・セイバン(Nick Saban)監督は先日毎週恒例の公開ラジオ番組に出演。そこでの情熱あふれる(というか怒りのこもった)メッセージがちょとした話題になっています。それを翻訳・意訳してご紹介します。

早速ですが下の動画がその時の「ラント(叫び)」。

ラジオのリスナーの質問:

「メディアからの『ラットポイズン』を遮断して選手たちが試合の準備に集中できるようにするためにどのような手段を使っているのですか?例えば先週のアーカンソー大戦では皆が圧勝すると思っていたのにそうならなかった訳ですが、これまでなら我々ファンは試合に勝つのが当たり前だというあなたが作り上げた環境に慣れてしまっているもののどれ位の差をつけて勝つのかというのは分からないわけです・・・」

ラットポイズン」(Rat Poison)とはセイバン監督がかつて使用した有名なフレーズで、外野で有る事無い事騒ぎ立てて悪い影響しか与えないメディアをねずみ取りのためのポイズン(毒)に例えたことで有名になりました。面白おかしいことを事実かどうかに関係なくばら撒いて受け手の興味をそそりますが、その内容がいいことを生むことは無いという、メディア嫌いのセイバン監督らしいフレーズです(笑)。

そしてこの質問がセイバン監督に火をつけてしまったのです。

「(いつでも試合に勝つという前提で)スタジアムに観戦に来るなんて羨ましいことです。我々はそんなことを前提として試合に臨むことはないのですから。というのも私は対戦相手を軽んじることは決してありませんし、これまで勝つことを前提とされていない試合で勝つこともあれば、相手にやられてしまう試合だってあったわけです。

「メディアがラットポイズンを生み出すことを止めることはありませんが、世間の現実としてからなずしもインターネットであなたが見つけた事実や他の誰かの考えや意見が正しいとは限らないし、試合においてはライン(ラスベガスなどがその試合に付けるオッズ)が必ずしも正確な情報だとは限りません。

「そんな中でも一番重大なのは、例えばチームが2敗を喫してしまったらファンらは『今季のチームはもう終わりだ』というレッテルを貼ることです。でも実際はその逆なんです。例えばテキサスA&M大は我々と対戦するまでに既に2敗してしまっていましたが、私はこのチームを甘く見たらやられてしまうと口酸っぱく忠告していたんです。何故なら彼らは自分たちにプライドを持っており2敗していたとしてもいいチームであることに変わりはなかったからです。だから彼らは我々にとって脅威だった。

「ルイジアナ州立大にしても同じです。まわりの人々は「奴らは2連敗中だからどうってことない」といって我々が楽勝すると思い込んでいたわけですが、実際はその真逆なんです。彼らはみな負けず嫌いですし、応援してくれる家族がいるわけで自分たちのパフォーマンスにプライドを持っているし、彼らは彼らなりにゴールがあり、もっと強くなりたいと願っているわけです。そんな彼らが試合前からタオルを投げて負けを認めるようなことをするはずがありません。

「それにみんな我々アラバマ大を倒したいと意気込んでくるんです。つまり対戦相手は持てる全ての力を我々との試合にぶつけてくるわけです。それをまわりの多くは理解できていないと思うのです。我々が毎回対戦相手が持てる最高レベルの挑戦を受け続けなければならないことに対してそれは不公平だなんて言う人もいるかも知れませんが、それに関係なく我々は彼らの挑戦を受け続けなければならないことに変わりはありません。」

セイバン監督はアラバマ大が最強故に対戦相手が皆死にものぐるいで向かってくるという現状を説いています。彼らは毎試合ベストの状態である対戦相手に立ち向かっていかなければならないというプレッシャーとも戦っているというわけです。

そして以下のように続けます。

「アラバマ大に就任した当時、ファンたちは我々が試合に勝つだけで満足していたものです。でも今はただ勝つだけでは満足できなくなってしまった。我々はすべての試合において相手を圧倒しなければならないのだと。しかしその要望は選手にとってフェアではありません。彼らは毎日血の滲むような練習をこなしています。それにも関わらずファンが望む結果を残せなかったからと言って選手らに批判の矢が向けられるのは間違っています。

「ファンたちは自分ではなく選手たちがフィールド上で成功を収めることで自分を満足させアラバマ大のファンであることを誇りに思うわけです。

「しかし選手らはパーフェクトな人間ではありません。何よりも彼らは学生なんです。毎日授業に出席して勉強しなければならない。彼らはプロ選手なんかじゃないんです。彼らはプレーすることでお金を稼いでるわけでもない。プレーすることでアラバマ大の顔となっているのだから、ファンはそのことに敬意を評し選手を応援して彼らに感謝すべきなんです。

「そしてなによりも試合に一番勝ちたいと思っているのは私でもなく、ファンでもなく、他の誰でもない選手たち自身であり、試合に負けて一番悔しい思いをするのもまた選手たち自身なのです。

「だから自分のことばかり考えている利己的で自分のことを省みることが出来ないファンに言いたい。他人がしてくれることに感謝の気持をもつということを。」

後半に連れてセイバン監督の語勢がどんどん強まっていくことが分かりますが、おそらく日頃から思っていたことを吐き出すうちに熱がこもっていってしまったんでしょうね。言っていることはまさにすべて正論だと思います。自分のファンのことを「Self-Absorbed」と表現しているところにも怒りの度合いを察することが出来ます。

この様子は全米のカレッジフットボール関連メディアで多く取り上げら得ましたが、その中でも大手であるESPNの著名コメンテーターであるスティーヴン・A・スミス(Steven A Smith)氏は日頃から敬愛しているセイバン監督のこの動画を見てただただ感銘を受けていました。

アラバマ大は全米を代表する強豪校ではありますが、1980年代以降はしばらく全米制覇から遠ざかっており、1992年度シーズンにナショナルタイトルを獲得してからはセイバン監督がやってきてから3年目となる2009年度まで25年以上全米の檜舞台から遠ざかっていたチームでした。

そしてセイバン監督がやってきた2007年から昨年までの14年間で実に6度もの全米制覇を成し遂げたわけですが、この事実こそが奇跡でありこれは誰もが簡単に成し遂げることが出来るようなことではないのです。しかしアラバマ大のファンはこの常勝状態に慣れすぎており、優勝できなければそのシーズンは失敗だという極端なことを言うファンも増えてきたのでしょう。

その事を外野が言うのではなく張本人であるセイバン監督がファンに向けて叱責したことに大きな意味があります。簡単に言えばセイバン監督は公開の場で自分のファンに駄目だししたわけです。まあこれも6個もの優勝リングを手にしている名将だから為せる技なのかも知れませんが・・・。

ただ「セイバン効果」は自らのファンのみに影響を及ぼしているわけではありません。「セイバン監督が出来るならばうちのチームにも出来るはずだ」と半ば勘違いして自身の監督に異常なほど高い期待度をかける大学は増えましたし、それが出来なければ契約中であってもクビを切る大学が続出。またセイバン監督のような人材になりえそうな監督が現れれればその監督の流出を防ぐために契約金がうなぎのぼりになり、それに習って全米レベルで監督のサラリーは高騰の一途をたどるばかり。これも全てはセイバン監督率いるアラバマ大が毎年のように全米優勝争いに絡んできた結果だと言っても過言ではありません。

果たしてこのセイバン監督の叫びを聞いたアラバマ大ファンたちの心中は・・・。

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