2019年度CFP全米王座決定戦【分析】 - ANY GIVEN SATURDAY

2019年度CFP全米王座決定戦【分析】

2019年度CFP全米王座決定戦【分析】

2019年度のナショナルタイトルゲームはルイジアナ州立大の勝利で幕を閉じました。あれからすでに数日が経ちあの興奮もようやく冷めてきたところですが、冷めきってしまわないうちにこのタイトルゲームを観た感想を書き記しておきたいと思います。

御存知の通り頂上決戦はルイジアナ州立大がディフェンディングチャンピオンのクレムソン大を42対25と2TD以上の差をつけて退けて全米の頂きに立ちました。過去を振り返っても今年のルイジアナ州立大ほどアンストッパブルなオフェンスを持ったチームは見当たらず、まさにカレッジフットボール史に名を残すチームとなったのでした。

しかし試合開始直後は彼らよりもクレムソン大のほうが上手のチームのように思えたのも事実。先制したのは彼らですし、一時は17対7と10点差のリードを奪ったほどでしたから。あのQBジョー・バロウ(Joe Burrow)もクレムソン大ディフェンシブフロントの猛攻にあいリズムを掴めずにいましたし。

しかしルイジアナ州立大が違ったのはその相手ディフェンスに対して上手くそして素早く戦略を練り直したことです。バロウも第2Qには落ち着きを取り戻し徐々に相手の作戦を読み出すと攻撃陣もそれに伴ってビックプレーを連発。ハーフタイムに突入する頃にはしっかりとリードを奪い返していました。試合中にこれができたルイジアナ州立大は明らかに一枚上手のチームだという印象を受けました。

タイトルゲームともなれば大舞台でいつもの調子が出なくなることもあるでしょう。そうなったときでもその状況を打開できたルイジアナ州立大に軍配が上がったのです。

ただクレムソン大もハーフタイム中に戦略を手直しし、後半開始後には再びバロウら相手オフェンスへアグレッシブなプレッシャーをかけて追加点を与えず、さらにはオフェンスがラン主体の変調アタックでTDを奪い再び射程圏内に相手を捉えました。

しかしここからというところでLBジェームス・スカルスキー(James Skalski)がターゲッティングの反則を取られて退場処分になったのですが、これが痛かった。そもそもこのターゲッティングの反則も結果的に彼のヘルメットがジャスティン・ジェファーソン(Justin Jefferson)の頭部にコンタクトしてしまったという感じでタックル事態はクリーンだったように思えます。ルール上は確かにターゲッティングなのですが、この判定はクレムソン大にとっては致命傷とも言えました。

とはいえ、ルイジアナ州立大がハイスコアチームであることは周知の事実であったため、クレムソン大としては相手をスローダウンさせることはもちろん作戦の一つだったとは思いますが、究極的に点取合戦でルイジアナ州立大を上回らなければ勝機はありませんでした。

そのような中で決定的な誤算だったのはスターQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)の不調です。結果的に彼は37投中18投の成功ということでパス成功率は50%を割りました。ルイジアナ州立大ディフェンスがローレンスを混乱させるシフトを敷くと彼のパス精度は極度に低下しオーバースローを連発。冷静沈着な4年生のバロウと才能があると言ってもまだ19歳の2年生ローレンスの違いがモロに出た試合でした。

しかしやはりどう考えてもこの試合はバロウの独壇場でした。史上最大の得票差でハイズマントロフィーを獲得した彼はそれ以外のアワードを総なめ。そしてこの試合では6つのTDに絡む活躍(パス5、ラン1)。結果今シーズンのパスTD数が60、トータルTD数が65となりどれもFBS(フットボールボウルサブディビジョン)新記録。QBレーティングも史上初となる200ポイント超え(202)ということで獲れる賞は片っ端から手に入れ、NCAAレコードも塗り替えまくり、名実ともにカレッジフットボール史に永劫名を刻むQBとなったのです。

そして忘れてはならないのはエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督の存在です。オハイオ州立大でくすぶっていたバロウにルイジアナ州立大でチャンスを与えたのはオルジェロン監督ですし、バロウのハイズマントロフィー授賞式でのスピーチでも彼はオルジェロン監督への感謝と恩義のコメントを涙ながらに語っていました。

彼が監督に就任した当初、この起用は失敗に終わると多くの陰口を叩かれてきました。特にオルジェロン監督は監督として過去に成功した経験がなかったからです。しかし時を経て多くのチームを渡り歩きコーチとして一皮も二皮も向けた彼は総監督としてチームをどのように束ねるかに徹し、実際の試合での戦略は敏腕コーディネーターたちに委ねたのです。

そういうコーチ陣を呼び寄せて脇を固めたという手腕も評価されるべきですし、チームの長として選手たちを鼓舞しモチベーションを高め、「この監督のために勝ちたい」と思わせるようなカリスマ性を持つまでに至ったことも今回のこの快進撃に繋がったのでしょう。結果ルイジアナ州立大での戦績は40勝9敗と勝率81%という素晴らしい数字を残すまでに至ったのです。

シーズン終了後パスゲームコーディネーターで今年度トップアシスタントコーチに贈られるブロイルズ賞を受賞したジョー・ブレディ(Joe Brady)氏がカロライナパンサーズのOCに就任するためにチームを離れ、つい先刻DCのデイヴ・アランダ(Dave Aranda)氏もベイラー大の新監督に就任するためにチームを去りました。選手に関してもバロウは卒業してしまいますし、今のところ7人の3年生が4年生シーズンをスキップしてNFLドラフト入りすることを表明しており、来季の戦力が落ちてしまう可能性は十分に考えられます。

しかしながら2019年度シーズンに彼らが成し遂げたこと、全米のファンたちに見せつけてくれた試合内容は今後長いこと語り継がれていくことでしょう。オルジェロン監督にとっては再びトップを狙えるチームを育てなければならないという大きな仕事が残ってはいますが、優勝リングを手に入れたことで彼もトップコーチの仲間入りを果たしましたから、後はルイジアナ州立大が常勝チームになれるかどうかは彼の「CEO」としての腕次第。ここ最近はアラバマ大かクレムソン大かという勢力図が続いていましたが、この現状に風穴を開けたルイジアナ州立大。カレッジフットボール界としては彼らの台頭は歓迎されるべきことだと思います。

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