第13週目の見どころ

第13週目の見どころ

レギュラーシーズンも残すところあと2週。その後にそれぞれのカンファレンスで優勝決定戦が行われ、その結果誰もが夢見る全米制覇への道であるカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進める4チームが選出されるわけです。

リーグタイトルおよびプレーオフ進出に向けてこの終盤での勝敗は直接チームの命運に関わってきます。勝てば天国、負ければ地獄・・・。様々なシナリオが考えられるドラマチックな終幕へ向けて各チームが最後の力を絞り出します。

そんな第13週目の主な見どころを紹介します。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ペンシルバニア州立大@オハイオ州立大

Big Tenカンファンレス東地区王者を決めるだけでなくCFPレースにおいても非常に重要な意味を持つこの一戦。今年で3年連続両校ともランキングでトップ10入りのままこの大一番を迎えることになります。2017年、2018年ともオハイオ州立大が勝利をもぎ取っていますが、どちらも1点差という僅差の試合になりました。果たして今年はどうなるでしょうか?

参考記事2017年】オハイオ州立大 39、ペンシルバニア州立大 38

参考記事【2018年】オハイオ州立大27、ペンシルバニア州立大26

今年はシーズン終盤の対戦となりますが、この試合の勝者が東地区を(ほぼ)制しカンファレンス優勝決定戦に駒を進めることになり、プレーオフ進出にも大きく近づくことになります。

オハイオ州立大はここまで2試合謹慎処分となっていたDLチェイス・ヤング(Chase Young)が満を持して復活してきます。ここまで8試合で13.5回もQBサックを決めているヤングがフィールドに戻ってきてくれることは既に安定した守備力を誇るオハイオ州立大にとって鬼に金棒といえるでしょう。

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オハイオ州立大のスターDLヤング(#2)

このディフェンスを崩すためにはペンシルバニア州立大は何としてもWR K.J.ハムラー(K.J. Hamler)が怪我を完治させて万全の状態でこの試合に臨みたいところ。ここまで46キャッチで791ヤードに8TDを決めているハムラーなしではQBショーン・クリフォード(Sean Clifford)は攻撃の手数が激減してしまいます。

ペンシルバニア州立大のディフェンス陣はジェームス・フランクリン(James Franklin)監督指揮下のユニットとしては史上最強の呼び声が高いですが、一方でここ2試合の内容は平凡だと言わざるを得ません。オハイオ州立大のハイズマントロフィー候補QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)とRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)らを擁するダイナミックなオフェンスを止めるには、ディフェンス陣が最高の状態で試合に望む必要があります。

ペンシルバニア州立大オフェンスがオハイオ州立大ディフェンスから大量得点出来るとは思えませんから、この試合のキーポイントはペンシルバニア州立大のディフェンスがいかにオハイオ州立大の攻撃を防げるか、というところに尽きると思います。先にも言ったように過去2年間は1点差という僅差のゲームとなっていますが、場合によってはオハイオ州立大の大差で勝利という結果になる可能性も十分ありそうです。


ルイジアナ州立大@アーカンソー大

CFPランキング1位のルイジアナ州立大は同じSEC西地区所属のアーカンソー大と対決。この試合に勝てばルイジアナ州立大が西地区優勝となりSEC優勝決定戦でジョージア大との対決が決まります。ルイジアナ州立大が地区優勝するのは2011年ぶりのことですから、彼らにとってはまさに待ちに待った瞬間がすぐ手に届くところまで近づいているのです。

ここまで2勝8敗でSEC戦では0勝6敗で2週間前にはチャド・モリス(Chad Morris)監督が解雇されるなどと全くいいところがないアーカンソー大。ESPNの予想では実に98.7パーセントの確率でルイジアナ州立大が勝つという予想が立っており、アーカンソー大のホームゲームとは言えもしアーカンソー大が勝てば天地がひっくり返るといえるぐらいの出来レースと言えそうです。

テキサスA&M大@ジョージア大

ここまで9勝1敗で既にSEC東地区を制したジョージア大はCFPランキングで4位。カンファレンスタイトルゲームに進むことは既に決定済みですが、彼らの最終目標は当然そこではなく全米の頂きですから今週末のテキサスA&M大戦を落とすことは当然許されません。

シーズン中盤でサウスカロライナ大にまさかの敗戦を喫したジョージア大ですが、それ以降はディフェンス陣を立て直しケンタッキー大フロリダ大ミズーリ大アーバン大を合計たったの31失点ですべてなぎ倒してきました。また最近3試合では相手に許したランヤードは79回のキャリーで155ヤードのみ。これは1キャリー平均2ヤード未満というすさまじい数字です。

テキサスA&M大はここまで4連勝を飾っていますがどの対戦相手もランク外のチームばかり。今季ランクチームとの対戦成績は0勝3敗と分が悪いですから、何としてもここで意地を見せたいところ。

試合の鍵はジョージア大QBジェイク・フローム(Jake Fromm)がどれだけシャープなプレーを見せられるかどうかにかかっています。負けたサウスカロライナ大戦およびケンタッキー大戦では不調のどん底に陥りましたが、フロリダ大およびアーバン大戦では経験豊富な選手らしいプレーを見せてくれました。彼がこのテキサスA&M大戦でもチャンスをものにして得点を重ねれば、彼らのディフェンス陣があとは相手オフェンス陣を料理してくれるはずです。

オレゴン大@アリゾナ州立大

CFP6位のオレゴン大はシーズンを通してディフェンス陣が徐々に調子を上げ、先週のアリゾナ大戦では相手をトータル240ヤードに押さえ込み34対6で快勝する原動力となりました。

そのディフェンス陣で光るのは1年生のDLケイヴォン・ティボデウ(Kayvon Thibodeaux)。ここまで彼はチーム最高となる8QBサックを記録。先週のアリゾナ大戦だけで2つも稼ぐなどチーム守備陣の原動力となっています。

そんなオレゴン大を相手しなければならないアリゾナ州立大は現在4連敗中。先週はオレゴン州立大に35対34で屈し、いい時では17位までランクを上げていたチームとは思えないスランプぶり。オレゴン大は彼らにとって肩の荷が重すぎるかも。

ユタ大@アリゾナ大

現在7位のユタ大の目標はシンプル。勝ち続けてカンファレンスタイトルを手に入れることです。同じPac-12カンファレンス出身で6位のオレゴン大とタイトルゲームで相まみえるためにはとにかくあと2試合負けることは許されません。

先週はUCLAに49対3と快勝しその舞台への階段をまた確実に一歩登りました。そして今週末はアリゾナ大との対戦を控えます。アリゾナ大はとにかくディフェンス陣の崩壊が激しく、シーズン途中でディフェンシブコーディネーターとLBコーチを解雇すると先日はDLコーチも解雇。ケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)監督の荒治療は続きますがそれがユタ大に通用するか・・・。

テキサスクリスチャン大@オクラホマ大

先週ベイラー大から貴重な勝利を得たオクラホマ大は今週テキサスクリスチャン大と対戦です。テキサスクリスチャン大は最近オクラホマ大と相性が良くなくここ3年間では3連敗中。

オクラホマ大の勝利が予想されますが、この試合の勝利がCFP選考委員会にどれだけのアピールが出来るかわかりません。しかし少なくとも持ち前のオフェンス力に加え最近不安定なディフェンス陣がその不安を払拭するようなパフォーマンスを見せて少しでもプラスなイメージを選考委員会に残したいところ。

もちろん万が一でも敗れることがあったら彼らのシーズンはそこで終了となってしまいます。

パデュー大@ウィスコンシン大

Big Ten西地区争いでミネソタ大を追うのが12位のウィスコンシン大。すでに2敗しているのでプレーオフレースからは脱落していますが、西地区を制してBig Tenカンファレンスタイトルゲームに出場することができれば、プレーオフを逃したとしても今シーズンをポジティブに終われることでしょう。

彼らはシーズンフィナーレでミネソタ大との一騎打ちを控えていますからその舞台を整えるためにもこのパデュー大に足元を救われるようなことがあってはなりません。先日NCAAの新記録を樹立したRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)の活躍が期待されます。

ミシガン大@インディアナ大

13位のミシガン大ペンシルバニア州立大ウィスコンシン大に敗れ一時は全米の表舞台から消えかかりましたが、終盤に差し掛かり何かのスイッチが入ったように調子を取り戻してきています。残り試合はあと2つ。最終戦が当然永遠のライバル・オハイオ州立大との一戦ですから、調子を上げてくるには絶妙のタイミングだといえます。

ここまで3連勝のミシガン大は先週に同州内ライバルのミシガン州立大を44対10と圧倒。その中核をなすのは全米でも10本の指に入ると思われるディフェンス陣。それにようやく追いついてきているのがQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)率いるオフェンス陣。

インディアナ大は例年よりも高いレベルでプレーを続けていますが、先週はペンシルバニア州立大に最後まで食らいつき34対27で惜しくも敗れました。その試合ではQBペイトン・ラムジー(Peyton Ramsey)が自身最多となる371パスヤードを記録。今週はミシガン大の鉄壁ディフェンスに挑みます。

ベイラー大@テキサス大

昨年度シュガーボウルジョージア大に勝ち二桁勝利を飾ったテキサス大はいよいよ全米の表舞台に復活してきたかと思われましたがここまでの戦績は7勝4敗と正直期待はずれと言わざるを得ません。

今季の内容を見てもアベレージなチームとしか見ることができない彼らですが、特にパスディフェンスが全米でも117位と非常に残念なことになっています。

そのテキサス大の相手となるのがベイラー大。彼らは先週オクラホマ大から今季初となる痛い黒星を食らい、プレーオフレースで大きく後退。1敗なのに既に2敗しているフロリダ大ウィスコンシン大ミシガン大よりも下にランクされているということでかなり評価は薄めです。だからこそこのテキサス大に勝ち彼らのシーズンに箔をつけたいところ。

テンプル大@シンシナティ大

現在9勝1敗のシンシナティ大は先週サウスフロリダ大に勝ったもののランキングで同じAAC(アメリカンアスレティックカンファレンス)所属のメンフィス大に抜かれてしまいました。シンシナティ大は最終戦でメンフィス大との一騎打ちが待っていますが、まずは今週末に行われるテンプル大との試合を最初に片付けなければなりません。

先週のサウスフロリダ大戦では相手のキッカーがFGを外したために辛くもシンシナティ大が勝ち星を拾いました。そのようなチグハグなプレーをしているようではテンプル大に足元を救われかねません。テンプル大は今季ジョージア工科大ボストンカレッジという「パワー5」チーム2校から白星を奪った実力のあるチーム。番狂わせも十分ありえます。

ユタ州立大@ボイジー州立大

ボイジー州立大ユタ州立大に勝てば彼らがマウンテンウエストカンファレンス山岳地区の勝者となります。

ボイジー州立大は当初の先発QBだったハンク・バックマイアー(Hank Bachmeier)が怪我で過去2試合欠場。そのバックアップであるチェイス・コード(Chase Cord)は先週のニューメキシコ大戦で負傷退場。第3のQBである4年生のジェイロン・ヘンダーソン(Jaylon Henderson)が急遽出場し40対17でニューメキシコ大を退けました。このユタ州立大戦でどのQBが出場するのかまだ分かっていません。

一方ユタ州立大もベテランQBジョーダン・ラヴ(Jordan Love) が先週のワイオミング大との一戦で途中退場。こちらはその退場理由が明らかにされていませんが、誰がこの試合でスナップを受けるかも明らかになっていません。

ボイジー州立大としては確実にMWCタイトルをものにし、「グループオブ5」出身チームとして「ニューイヤーズ6」ボウルのいずれかに出場するためにシンシナティ大およびメンフィス大を追い抜いて「グループオブ5」で最高位にランクされる必要があります。そのためにもまずこのユタ州立大戦をしっかりと手中に入れておきたいところです。

UCLA@サザンカリフォルニア大

Pac-12ではオレゴン大とユタ大ばかりが注目されますが、このサザンカリフォルニア大もまだタイトルレースから脱落したわけではありません。

カンファレンス戦で5勝2敗とする彼らですが、大きな強みなのは南地区で首位を走るユタ大から彼らが白星を奪っているということです。サザンカリフォルニア大にとってみればユタ大と戦績が並びさえすれば南地区を制してオレゴン大との対戦が約束されます。そしてそのうえでオレゴン大を倒せば大外から彼らがリーグタイトルをかっさらうというシナリオも残されているのです。

彼らはスタートダッシュに失敗しクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督のクビはかなり危ないと言われてきました。ヘルトン監督はファンの間ではかなり不評で今季シーズン後に解雇されるという味方が濃厚でしたが、もし仮に彼らが上のシナリオを辿ってPac-12王者にでもなった日にはヘルトン監督の首を切りづらくなります。

もし大学側がヘルトン監督と袂を分かちたいと思っているとしたら、彼らが勝ち進むことは歓迎されないことなのです。

カリフォルニア大@スタンフォード大

この試合はカンファレンスタイトルゲームやCFPレースには全く関係ない試合ですが、西海岸を代表するライバリーとしてここに書き留めておきたいと思います。

Big Game」と呼ばれるこのマッチアップは1982年に行われた試合の結果がその呼ばれ方に影響しています。この試合ではスタンフォード大が14対10でリードし残り時間あと4秒というところでスタンフォード大がプーチキック。これをレシーブしたカリフォルニア大がリターンするわけですが、プレーはカリフォルニア大選手がタックルされて試合終了となった・・・ように見えたのですが、ボールはラグビーのようなラテラルパスによって次々とカリフォルニア大選手の手に渡り、試合が終わったと勘違いしたスタンフォード大のマーチングバンドがフィールドになだれ込んでくる間をカリフォルニア大選手が走り抜け奇跡のリターンTDを決めて逆転勝ちした、というカレッジフットボール史上にも刻まれている有名な「The Play」が生まれたのです。

この因縁があるため毎年この試合は注目されるようになりました。現代でこのプレーが起きたとすればビデオ判定に持ち込まれおそらくTDはなかっことにされる(ラテラルパスの一部はフォワードパスだったため)でしょうが、これがカレッジフットボールの醍醐味だったりするんですよね!

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