第12週目レビュー

第12週目レビュー

レギュラーシーズンも残すところあと僅かとなり、この終盤での勝負がカンファレンスタイトルレースおよびカレッジフットボールプレーオフ(CFP)レースに大きく影響してきます。1敗が命取りとなる中それぞれのチームたちはレギュラーシーズンの最終コーナーを曲がろうとしています。

第12週目も手に汗握る好ゲームが各地で行われましたが、5チームいた無敗チームの内実に2チームが初黒星を喫したり、またハイズマントロフィー候補と言われるスター選手がシーズン絶望となる大怪我を負うなどドラマに満ちた週末になりました。そんな第12週目のカレッジフットボールを振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

オクラホマ大34、ベイラー大31

全米10位のオクラホマ大とここまで無敗で13位のベイラー大の一騎打ちとなったこの試合。終始ベイラー大がリードするもオクラホマ大が25点差をひっくり返して大逆転勝利をおさめるというドラマティックなエンディングが待っていました。

オクラホマ大QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)はこの日3つのターンオーバーを犯すなどミスも目立ちましたが、同時にこの大逆転劇演出してその埋め合わせをするという素晴らしいパフォーマンスも見せてくれました。チームのスターWRシーディー・ラム(CeeDee Lamb)を欠くも結果的にハーツは4TDにトータル411ヤード(297パスヤード、114ランヤード)とこの試合でも素晴らしい数字を残しました。

ディフェンス陣は前半やられっぱなしでしたが、ハーツの活躍に引っ張られるようにして自陣を守り、最後はQBチャーリー・ブリューワー(Charlie Brewer)のパスをLBニック・ボニット(Nic Bonitto)がインターセプトしてベイラー大の追撃を振り払いました。

長いオクラホマ大フットボール部史上でも25点差をひっくり返したというのは初ということでハイズマントロフィー候補としてハーツの新たな勲章になりました。またチームもランクチームにアウェーで勝利したということで、プレーオフ進出にはまだ上が詰まっていますが希望はまだ残されています。

ベイラー大はブリューワーの冴えたパス及びランプレー、そして相手のターンオーバーをものにするなど前半は完全に自分たちの流れとなっていましたが、後半のハーツのヒロイックなプレーを止めることができず、まさかの逆転負けを喫してしまいました。これが今季初黒星となりましたが、13位からランクをおとすということになり実質彼らのプレーオフ進出の道は絶たれたと言っていいでしょう。


ジョージア大21、アーバン大14

深南部最古のライバリー(Deep South’s Oldest Rivalry)」という異名を持つこの伝統の一戦。どちらも上位にランクされていますが、特にCFP4位のジョージア大にとってはプレーオフ進出のために絶対的に負けられない試合となりました。

CFPランキング上位に顔を連ねるチームの中でもジョージア大はディフェンス力が売りのチーム。それはここまで平均失点数約10点(全米2位)という記録にも現れています。そしてそのディフェンス力はこのアーバン大戦でもいかんなく発揮されました。さらにディフェンスが調子がいいことでオフェンスがよりアグレッシブになれるという相乗効果を生んでいるのです。

またQBジェイク・フローム(Jake Fromm)は今季調子の波が激しい不安定なところが多かったのですが、この日はパスの精度が冴え相手ディフェンス陣を散らすことになり、その結果ランゲームが活きるという非常に効果的なオフェンスを指揮していました。

この勝利のお陰でジョージア大はサウスイースタンカンファレンス(SEC)東地区を制覇。3年連続となるSECタイトルゲーム出場を果たしました。

アラバマ大38、ミシシッピ州立大7

先週ルイジアナ州立大に敗れたためCFP進出への道が険しくなってしまったアラバマ大ですが、このミシシッピ州立大戦ではそれに追い打ちをかけるような凶報が。

試合自体はアラバマ大がリードを重ね続け余裕の勝利となるムード満載でした。しかし事件が起きたのは第2Q。スターQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagoviloa)は相手ディフェンダーからのタックルを受けてフィールドに叩きつけれると悶絶。そのままカートに乗せられて退場する事態に陥ってしまいました。

またこの試合ではWRヘンリー・ラグス(Henry Ruggs III)、DLリーコン・デーヴィス(Raekwon Davis)も怪我で退場を余儀なくされるなど痛みを伴う白星となってしまったのです。

タガヴァイロアはそのままヘリコプターでアラバマ州バーミングハム市にある医療センターへ直行。検査の結果大腿関節の脱臼およびその周辺部位の骨折ということが判明し今季復帰は絶望。すでにプレーオフ進出の可能性が減ってしまったアラバマ大としては痛すぎるニュース。ミシシッピ州立大に勝った事自体が霞んでしまうほどの事実にファンの悲鳴が聞こえてきそうです。

アイオワ大23、ミネソタ大19

今季この週末まで5チームが無敗を守ってきましたが、前述の通りそのうち2チームに土がついてしまいました。その1チームが8位のミネソタ大でした。彼らは先週4位(当時)のペンシルバニア州立大を倒して遂に全米中の注目を浴びるようになりました。そうして迎えたこのアイオワ大戦でしたが、相手に常にリードを奪われる展開。後半なんとか追いつくような仕草も見せましたが、タフなアイオワ大がそれを許さずミネソタ大に遂に今季初黒星が。先週ペンステートをホームで倒して試合後にフィールド上がミネソタ大ファンで埋まりましたが、皮肉なことにこの試合ではアイオワ大のファンが試合後にフィールドになだれ込んで先週と全く同じ光景を再現したのでした。

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ファンの海と化す試合後のキニックスタジアム

それにしてもアイオワ大というチームはこれまで優勝するようなチームを世に送り出してきませんでしたが、同時にどんな相手でも倒せるだけのポテンシャルを秘めているチームでもあります。2009年には5位のペンステート、2010年には5位のミシガン州立大、2016年は2位のミシガン大、2017年は3位のオハイオ州立大と大物食いでも知られています。そして今回ミネソタ大が新たな被害者の仲間入りを果たしてしまったわけです。

ミネソタ大は負けてしまったもののBig Tenカンファレンス西地区レースでは未だに首位。次のノースウェスタン大戦に勝ちウィスコンシン大パデュー大に敗れれば地区制覇を果たし自身初となるBig Ten優勝決定戦に駒を進めます。しかしながらたとえタイトルゲームに進出してオハイオ州立大もしくはペンシルバニア州立大に勝って1967年以来のリーグタイトルを獲得したとしても、夢のまた夢であったCFP進出の可能性はこの試合の敗戦により低くなってしまったと言わざるを得ません。

ルイジアナ州立大58、ミシシッピ大37

最新のCFPランキングで1位に躍り出たルイジアナ州立大。アラバマ大を破るという偉業を成し遂げたその反動でこのミシシッピ大に落とし穴が待ち受けているかも・・・などとという心配もされましたが、それは余計な心配でした。

試合開始から一気に28点を奪って前半だけで既に試合を決めたかに見えましたが、ミシシッピ大が以外にも踏ん張り一時は点差を11点にまで縮めてきました。しかし彼らがルイジアナ州立大に近づけたのもここまで。ハイズマントロフィー最有力候補とされるQBジョー・バロウ(Joe Burrow)の489パスヤードに5TDという活躍の元に沈みました。

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ハイズマントロフィー獲得へまた一歩近づいたQBバロウ

これでルイジアナ州立大は9勝目を挙げ、西地区制覇にあと1勝と迫りました。次戦のアーカンソー大に勝てば2011年以来のタイトルゲーム進出となります。

オハイオ州立大56、ラトガース大21

全米2位のオハイオ州立大がアウェーでラトガース大と対戦。今季ここまでたったの2勝しか挙げていないラトガース大相手に56対21と楽勝。

ハイズマントロフィー候補QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)は後半早々にお役御免なりましたが、305ヤードに4TDという記録を約2クォーターだけで獲得。これで彼は今季41TDに絡む活躍を見せていることになります。

またトータルディフェンスとスコアリングディフェンスで全米1位という数字を持つオハイオ州立大の守備陣はラトガース大をトータル231ヤードに封じ込めました。先週NCAAからの制裁を受け謹慎処分になっているスターDLチェイス・ヤング(Chase Young)はこの試合も試合出場はなりませんでした。しかし次戦のペンシルバニア州立大との大一番には復帰できる予定です。

クレムソン大52、ウェイクフォレスト大3

所属するアトランティックコーストカンファレンス(ACC)の大西洋地区を既に制している全米3位のクレムソン大は、同じ地区2位のウェイクフォレスト大と対戦。しかしスコアが示すように2位チームとの力の差は歴然。クレムソン大が余裕の10勝目を挙げました。

QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)は前半頭部に怪我を負う場面がありヒヤッとさせられましたが、プレー続行に支障はなく272ヤードに4TDを獲得する活躍。

このようにACCはクレムソン大以外は強いチームが見当たらず彼らの独走態勢が続いていますが、だからこそ彼らが足元を救われて黒星を喫することは致命傷となります。残りの試合は2週間後の州内ライバル・サウスカロライナ大戦そしてACCタイトルゲームの2試合。これを乗り切ればプレーオフ進出は確定です。

オレゴン大34、アリゾナ大6

全米6位のオレゴン大アリゾナ大相手に34対6と快勝。あと2試合を残してPac-12カンファレンス北地区のタイトルを手中に収めました。

来年のNFLドラフトでの注目株であるQBジャスティン・ハバート(Justin Herbert)は333パスヤードに4TD(1INT)と活躍。またペンシルバニア州立大からの転校生WRジュワン・ジョンソン(Juwan Johnson)が93ヤードを記録すればもうひとりのジョンソンであるジョニー・ジョンソン(Johnny Johnson)が73ヤードのロングTDパスをハバートから受け取るなどサポート陣も冴えました。

さらに隠れた強みでもあるディフェンス陣は6つのQBサックに9つのTFL(タックルフォーロス)を記録するなどアリゾナ大オフェンスを翻弄。攻守にバランスの取れたチーム力で9勝目を挙げました。

オレゴン大がCFP出場を果たすには最低でも1敗を守ってPac-12カンファレンスのチャンピオンとなること。可能性は高いとはいえませんが、彼らに出来ることはこの試合のようにチームの強さを世に知らしめつつ勝ち星を重ねることだけです。

ユタ大49、UCLA3

オレゴン大とともにPac-12カンファレンス出身でトップ10入りを果たしているユタ大はこの日UCLAと対決。ここまで3連勝と波に乗るUCLAが何かでかいを事をやらかすかと微かな期待を抱いた筆者ではありますが、ユタ大はそんな隙きを一切見せず49対3と圧倒。彼らのドリームシーズンは続きます。

ユタ大の屋台骨であるディフェンスはこの試合でも健在。UCLAから5つものターンオーバーを引き出し、QBサックも4つ。相手の1プレー平均ヤードは4ヤード以下とUCLAはユタ大守備陣に対し為す術なし。格の違いを見せつけました。

ペンシルバニア州立大34、インディアナ大27

先週ミネソタ大に敗れてランキング4位の座から陥落したペンシルバニア州立大。ここにきての1敗は痛手ですが、彼らにはまだBig Ten東地区制覇の可能性が残されています。そのためにもまずこのインディアナ大を仕留めなければなりませんでしたが、思わぬ苦戦を強いられました。

試合はペンステートのペースで進みますが、ここまで7勝を挙げてきたインディアナ大も引き下がりません。第4Qの時点で27対24とホームのペンステートを脅かす追い上げを見せたインディアナ大。2連敗など許されるはずがなく、スタジアムに不穏な雰囲気が流れましたが、その嫌な気配を打ち消したのがQBショーン・クリフォード(Sean Clifford)。第4Q残り時間10分45秒からのペンステートのドライブはインディアナ大ディフェンスの戦意を消失させるに十分な9分間のドライブとなり、最後は残り時間1分44秒というところでクリフォードのQBスニークTDが決まってこの土壇場で追加点。インディアナ大もFGを決めますが反撃もここまで。ペンステートが虎の子の1敗を守りました。

これでペンステートとオハイオ州立大の一騎打ちの舞台は揃いました。東地区1位のオハイオ州立大と2位のペンステートは今週末にいよいよ対決。勝ったほうが十中八九東地区を収めることになりBig Tenタイトルゲームに駒を進めることができます。

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