第11週目レビュー

第11週目レビュー

今季第11週目は「Game of the Century II」と銘打たれたルイジアナ州立大アラバマ大の激戦に大きな注目が集まりましたが、その他にもカレッジフットボールプレーオフ(CFP)やカンファレンスタイトルレースに大きく影響を及ぼす試合が多々行われました。ここではそれらを一気に振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ミネソタ大31、ペンシルバニア州立大26

上に挙げた試合と同様に8勝0敗同士の試合となった全米4位のペンシルバニア州立大と17位ミネソタ大との試合もCFPレース並びに彼らが所属するBig Tenカンファレンスタイトルレースにおいて非常に重要な試合でした。

先週発表された今季最初のCFPランキングで見事4位にランクされたペンシルバニア州立大。多くのファンの目は11月23日に行われるオハイオ州立大との一騎打ちに目が行っていたと思います。選手やコーチ達が同じような心持ちだったとは思いませんし、油断していたとも思えませんが、ホームチームであるミネソタ大はこのチャンスを舌なめずりして待ち構えていました。

今季ペンステートはリードされるような展開はほぼなかったのですが、ミネソタ大相手に彼らは終始追いかける展開を余儀なくされます。ペンステートの最初のドライブではQBショーン・クリフォード(Sean Clifford)のロングパスがミネソタ大DBアントン・ウィンフィールド(Antoine Winfield Jr.)にインターセプトされスタジアムを温めてしまいます。これを起点にQBターナー・モーガン(Tanner Morgan)からWRラショッド・ベイトマン(Rashod Bateman)への66ヤードパスが決まりミネソタ大が先制。幸先のいいスタートを切ります。

ペンステートもTDを返して同点に持ち込みはしますがこの日は彼らのディフェンス陣が苦戦。全米でも今季有数のスピードとパワーを持つ彼らですが、タックルミスなどが目立ち簡単に追加TDを許します。その後は14点差が重くのしかかり試合後半になると徐々にこのままアップセットが完結してしまう空気が流れ始めます。

満員のホームスタジアムの熱気に押されるミネソタ大は最後に疑惑のTD(プレークロックがゼロになっていた)を奪われて5点差に詰め寄られますが、ペンステート最後のドライブではクリフォードのエンドゾーンへのパスをインターセプトしたディフェンス陣のお陰で番狂わせを現実のものとしたのでした。

これでミネソタ大は戦績を9勝0敗としましたが、これはなんと1904年以来という偉業。ここまで彼らは大したチームと対戦してこなかったと揶揄されてきましたが、ここに来て全米4位チームを撃退し彼らが本物であることを証明しました。彼らにはいまだアイオワ大ウィスコンシン大との試合が残されていますが、このペンステートとの試合を見る限り彼らがそれら2チームとも対等に渡り合えるだろうという感想をいだきました。そうなるとBig Ten西地区を制したミネソタ大が東地区のオハイオ州立大(おそらく)と無敗同士の対決というシナリオも見えてきます。

一方ペンシルバニア州立大はここに来てまさかの初黒星。これでオハイオ州立大との試合の盛り上がり度が多少減ってしまいますが、当然この試合をものに出来ればタイトルゲームでミネソタ大とのリベンジマッチも見えてきます。しかし現実的に言ってこのペンステートチームがオハイオ州立大に勝てるのか・・・ちょっとわからなくなりました。

因みにペンステートは高順位にランクされるとその翌週に蹴落とされるという嫌なパターンがあります。2位にランクされながらミネソタ大に敗れた1999年、3位にランクされながらランク外のアイオワ大にやられた2008年、2位にランクされながら6位のオハイオ州立大にやられた2017年・・・。むしろランクされるよりも追う立場の方が彼らにとっては本領発揮できるとか?

 


オハイオ州立大73、メリーランド大14

全米1位のオハイオ州立大はディフェンスの要であるチェイス・ヤング(Chase Young)がNCAAからの謹慎処分で試合に出れない中、メリーランド大を73対14というアメフトのスコアとは思えない点差をつけて一蹴。難なく9勝目を挙げることに成功しました。

QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)がパスで3つランで1つTDを奪えば、RB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)、マスター・ティーグ(Master Teague)らのランアタックでトータル383ヤードを地上戦だけで獲得。容赦ないオフェンス力でメリーランド大を叩きのめしました。

ペンシルバニア州立大が1敗してしまったことでBig Ten東地区争いはオハイオ州立大が頭一歩抜きん出ましたが、彼らとの直接対決さらにはシーズンフィナーレのミシガン大とのライバリーゲームも残されています。しかし現在の彼らのチーム力を見るとこれに立ち向かえるチームは現状一握りしか存在しません。3年以来のプレーオフ出場が現実味を帯びてきました。

ジョージア大27、ミズーリ大0

全米6位のジョージア大は同じSEC東地区所属のミズーリ大と対戦しこれに完封勝利。先週のフロリダ大戦での勝利以降再び尻上がりに調子を上げて大事な終盤戦に突入していきます。

またこの勝利でジョージア大は地区制覇まであと1勝と迫り、3年連続のSEC優勝決定戦進出を決めます。残りの試合は「深南部最古のライバリー」と言われるアーバン大戦、そしてテキサスA&M大戦です。

オクラホマ大42、アイオワ州立大41

全米9位のオクラホマ大は2週間前にカンザス州立大からまさかの敗戦を喫しプレーオフ進出に向けて大きな痛手を負いました。もう二度と負けられない彼らはアイオワ州立大との手合わせとなりましたが、これが思わぬ激戦に。

オクラホマ大はQBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)が前半だけで5TDに絡む活躍を見せて35対14と余裕を持って後半戦に突入しましたが、そこでアイオワ州立大の逆襲に遭います。そして試合終了まで残り2分43秒という場面、42対35でオクラホマ大が1TD差でリードする中ハーツが自陣35ヤードラインで痛恨のINTパス。これを確実にものにしたアイオワ州立大がこの土壇場でTDを奪います。

ここでマット・キャンベル(Matt Campbell)監督はPATキックで同点ではなく2ポイントコンバージョンで逆転を狙うギャンブルに打って出ます。しかしQBブロック・パーディ(Brock Purdy)のパスは無情にもインターセプトされアイオワ州立大の追撃もここまで。オクラホマ大が冷や汗をかきながらもなんとか1敗を守りました。

1敗しているオクラホマ大がプレーオフに進出するには勝ち進むだけでなく対戦相手を完膚無きまで叩き潰すほどの強さをアピールしなければなりませんが、この試合のように後半ディフェンスが崩壊するような展開を披露してしまうようではCFP選考委員会の評価を得ることはできません。今週末は未だ無敗のベイラー大との対戦が控えていますから、ぜひともこの試合でいいところを見せたいところ。

ベイラー大29、テキサスクリスチャン大23(3OT)

全米12位のベイラー大はここまで無敗と快進撃を続け2014年以来のBig 12カンファレンスタイトルを狙い、さらにはその上にあるCFP進出をも目論みますがそれに立ちはだかったのがテキサスクリスチャン大。お互いが譲らないディフェンシブバトルとなったこの試合は9対9でオーバータイムへ突入。3度のOTにもつれ込みましたが最後はTCUの4thダウンプレーでベイラー大のグレイランド・アーノルド(Grayland Arnold)がマックス・ドゥーガン(Max Duggan)のパスをインターセプトして辛くも勝利を掴み取りました。

これでベイラー大は9勝無敗。残りを3試合としましたが、前述の通り今週はオクラホマ大、そしてその次にはテキサス大という強豪チームとの2連戦が待ち構えています。これを乗り切れればおそらくカンファレンスタイトルゲームでオクラホマ大との再戦となり、タイトルを獲得できればいよいよ夢のプレーオフ進出が見えてきます。そこに行き着くまでにはまだまだやることがたくさん残っていますが、どちらにしても開幕後9連勝というのは偉業であり評価されるべき結果です。

ウィスコンシン大24、アイオワ大22

Big Tenカンファレンス西地区同士の対決となった13位のウィスコンシン大と18位のアイオワ大の対決は古き良きBig Tenを彷彿とさせるタフで僅差な試合となりましたが、ホームのウィスコンシン大が2点差で勝利。西地区タイトル獲りへ望みを繋ぎました。

試合はウィスコンシン大のペースで進み第4Qには21対6と2TD以上の点差が開いていましたが、ここからアイオワ大がTDとFGでスコアを21対16としアイオワ大の反撃の機運が流れました。

その流れをピシャリと止めたのがウィスコンシン大RBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)。このドライブだけで58ヤードを稼いだテイラーのお陰でウィスコンシン大はFGを稼得しますが、何よりもテイラーのランで残り時間を6分も縮めたことが一番大きく、アイオワ大の勢いを殺すには十分でした。

しかし諦めないアイオワ大は残り時間3分でQBネイト・スタンリー(Nate Stanley)の75ヤードのTDパスが決まって土壇場で24対22まで詰めより、2ポイントコンバージョンが決まれば同点となるチャンスを得ます。が、このトライが失敗に終わり万事休す。ウィスコンシン大がこの激戦を制したのです。

西地区レースで2敗で首位のミネソタ大を追うウィスコンシン大は彼らとの直接対決を今週末に控えています。これに勝ちさらにミネソタ大がアイオワ大かノースウェスタン大にもう1敗すれば直接対決に勝ったウィスコンシン大が逆転優勝となりますが、他力本願とならざるをえない状況は変わりません。まずは今週末のミネソタ大に備えたいところです。

テキサス大27、カンザス州立大24

全米16位まで駆け上がってきた今季のカンザス州立大ですが、これをテキサス大が試合終了と同時に決まったFGによって撃退。テキサス大がわずかながら残っているカンファレンス優勝決定戦進出への望みを繋ぎました。

バージニア工科大45、ウェイクフォレスト大10

今季ここまで7勝1敗とし19位にランクされていたウェイクフォレスト大でしたが、バージニア工科大に完敗。この敗戦でアトランティックコーストカンファレンス(ACC)出身チームでランクされるチームはクレムソン大のみとなってしまいまいた。

バージニア工科大は今季開幕後2勝2敗でいいところがありませんでしたが、ここ最近だけで見れば5戦4勝中。戦績も6勝3敗でまずはボウルゲーム出場権を獲得するという目標を達成。残り3試合を全て白星で飾りボウルゲームでも勝利すれば10勝に手が届くところまで復活。やはりバージニア工科大が強くないとACCは盛り上がりませんから彼らが今後さらにかつてのような強さを取り戻してくれることを期待したいです。

イリノイ大37、ミシガン州立大34

4週間前ウィスコンシン大からまさかの白星を奪ったイリノイ大は続くパデュー大ラトガース大にも勝利して3連勝。開幕後一時は2勝4敗と惨敗シーズンほぼ確定かといわれていたこのチームに何が起きたのかはわかりませんが、このミシガン州立大戦を迎えるにあたり5勝4敗としてこの試合に勝てばボウルゲーム出場資格が与えられる6勝に手がとどく所まで来ました。

試合は大方の予想通りミシガン州立大のペースで進み第4Q開始時には31対10と大きく点差が開き既に敗色濃厚・・・かと思われました。

しかしここからイリノイ大の怒涛の反撃が始まります。彼らはこのクォーターだけで27点を叩き出し大逆転。元ミシガン大QBブランドン・ピーターズ(Brandon Peters)が369ヤードに3TDを記録する活躍でこの軌跡のカムバックを演出してくれました。

これでイリノイ大は6勝4敗。残る試合はアイオワ大ノースウェスタン大ですが、このどれか一つにでも勝てば2011年以来の勝ち越しシーズンを確定させることができます。2勝4敗スタートだったチームとは思えない華麗なる変化を遂げたイリノイ大でした。NFLシカゴベアーズなどで活躍したロヴィー・スミス(Lovie Smith)監督が就任して4シーズン目。最初の3年間は9勝27敗と冴えずいよいよ彼の去就問題に発展するかと思われましたがようやくチームが上向きになってきました。

 

担ぎ上げられるロヴィー・スミス監督

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