恐れていたことが現実に・・・ - ANY GIVEN SATURDAY

恐れていたことが現実に・・・

恐れていたことが現実に・・・

今シーズン第4週目を迎えるカレッジフットボール界ではいよいよ業界随一のパワーを誇るサウスイースタンカンファレンス(SEC)が今週末に開幕を迎えます。

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)やBig 12カンファレンスら他の「パワー5」カンファレンスが開幕してからさらに2週間後の開幕と遅めのスタートとなりますが、これは今季開幕を目指してきたカンファレンスの中でもSECが状況を冷静に捉え、万全を喫してシーズンを送るために敢えて開幕を引き伸ばしたからであります。

それは当然現在も世間を窮屈にさせているコロナウイルスの影響なわけですが、大学の授業が始まり学生たちがキャンパスに戻ってきて、なおかつ集団での部活動を行う中でコロナウイルスの感染がどのようにそれぞれの大学で生活を左右するかを見極めるためでした。

カレッジフットボール自体の開幕も疑心暗鬼の中始まりましたが、無観客や観客の動員数を大きく制限したり、サイドラインでは極力マスクを着けるなどといた、コロナのご時世ならではの配慮はあるものの、カレッジフットボールは開催可能だということがなんとなく世の中に示されてきました。

そんなおりSECがいよいよ登場というわけですが、このカンファレンスにはアラバマ大、ジョージア大、フロリダ大、ルイジアナ州立大、アーバン大、テキサスA&M大など大御所がひしめいており、カレッジフットボールファンなら誰しもが彼らの参戦を心待ちにしていたことでしょう。

チーム活動が休止となるガイドライン

しかし。

今のコロナ禍下でのカレッジフットボールの現状を手放しで喜ぶことは残念ながら出来ません。

それはシーズンが開幕し数々の試合が開催されている裏でコロナの影響で試合が延期ないしキャンセルになっているという事実も発生しているからです。

シーズンが始まる前からコロナ感染者を出したチームが部活動を続行できるのかどうかという危惧はありました。練習だけでなくミーティングやフィルムセッション、さらには日々の生活を共にする選手やチーム関係者にとって部は運命共同体ともいえます。

これだけ大勢の団体がソーシャルディスタンシングなどを行っていたとしても密な状態で生活していれば、誰かが感染してしまえば途端に部内全員に感染の恐れが起きてもおかしくない訳です。

特に密接者(コンタクト)たちをどう定義づけするかによって感染者を出したチームは場合によっては部活動の一切を停止しなければならなくなる可能性を秘めていたわけです。

先日Big Tenカンファレンスは開幕前に不参加を表明しながら10月後半に遅れて秋シーズンを開幕させる決断を下しました。ここに至るまでには多くの医学的議論がかわされてきたわけですが、この決定の裏には所属大学の上層部らを納得させるだけの決定材料がありました。

その中に「部内で5%以上の感染者を出した場合には直ちに部活動を停止する」というガイドラインを見つけることが出来ます。5%という確かな数字を出したことでカンファレンス内でいざというときの判断をうやむやにさせない狙いがあるわけです。

この5%という数字はおそらく他のカンファレンスやチームでも採用されているものだと思いますが、実際どのくらいの数字かといえば、例えば100人の部員を抱えるチームなら単純計算で5人、そしてコーチやサポートチームなどを考えると150人は部活動に関わっていると考えれば7人から8人ぐらいがチームの5%という計算になります。

これを多いか少ないかと見るのは主観も入りますが、例えばOL陣やDL陣で連鎖的に感染者をこれだけの人数出したとすれば、それだけでチームの戦力は壊滅的となりますから5%という数字は侮れないのです。

しかも忘れてならないは感染者だけでなく、感染していないながらその感染者に密接していた「コンタクト」たちも自主隔離しなければならないというガイドラインがあることです。

それを考えれば、アメフトという集団グループで1人でも感染者を出せばそれだけで全員が「コンタクト」に指定されてしまってもおかしくはないのではないかという危惧は開幕前からありました。

それを防ぐために「ポッド(Pods)」というコンセプトを各チームは導入しているはずです。これはチーム活動を極力小さなグループに分けて行うことで、練習以外はなるべくそのグループを時間差でスケジュールに組み込むことで部内での密接時間を減らそうという狙いです。

例えばWRグループは極力WRグループだけで行動するとか、もしくは1軍は1軍だけで行動するとか、そういったことで部内全員にコンタクトトレーシング(密接者の追跡およびその該当人物を自主隔離に置くこと)が及ばないようにする訳です。


影響が及んだ試合

しかしそれでも部内での複数の感染者、およびそのせいで生まれたコンタクトたちの自主隔離という自体は各地で発生しています。

ここまでで一番悲惨なのはアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)所属のヒューストン大です。

彼らは9月3日にライス大との開幕戦が予定されていましたが、ライス大がコロナの影響で部活動の開始を9月の後半まで遅らせたことでこの試合がキャンセルに。

9月12日には第2戦目としてワシントン州立大との試合が組まれていましたが、彼らが所属するPac-12カンファレンスは開幕前に今季の参戦を見送る決断を下したためにこの試合は流れてしまいました。

そして3試合目の試合相手がヒューストン大と同じメンフィス大でしたが、彼らの部内でもコロナ感染が発生してチームが一時活動休止となったためにこの試合は延期に。

その延期を受けて急遽彼らが対戦相手に選んだのが同じテキサス州内にキャンパスを構えるBig 12のベイラー大。試合開催まで1週間もない状態でよくマッチアップ出来たものだと感心していましたが、試合前日にベイラー大でも感染者を出してしまったせいでヒューストン大はまたも開幕戦のチャンスを逃してしまいました。実際スタッフはベイラー大キャンパスへ前乗りしていましたから、この試合キャンセルを受けてとんぼ返りを強いられてしまったのです。

そして今週。いよいよヒューストン大の今季初戦が迎えられるかと思いましたが、なんとその対戦相手であるノーステキサス大でもコロナ感染者が出たためこの試合も中止に。なんとヒューストン大は合計5つの試合が何らかのコロナ関連の理由でとんでしまったのです。つまり開幕から4週目を迎えても未だ試合が行われていないのです。

実はこのようにまだ試合を行えていないというチームは他にもあります。SECは以前から今週末まで開幕を引き伸ばす計画でしたから彼らは除外すると以下が該当チームです。

イーストカロライナ大(AAC)
ヒューストン大(AAC)
テンプル大(AAC)
バージニア大(ACC)
バージニア工科大(ACC)
ベイラー大(Big 12)
テキサスクリスチャン大(Big 12)
フロリダアトランティック大(C-USA)
フロリダインターナショナル大(C-USA)
ライス大(C-USA)

また試合開催にこぎ着けても感染者およびコンタクトの選手たちを出したせいでアクティブロースターの数が減るという現象も起きています。この数はピンきりですがかなり多くのチームでこのことに対処せざるを得なくなっています。

もっとも際立っていたのは2週間前に行われたキャンベル大とジョージアサザン大戦。この試合でジョージアサザン大は実に33人の選手が何らかの「事情」で試合に出場できないという自体に陥ったことです。33人全員がコロナ関連ではないにせよ(怪我も含まれる)、33人とは全体の約3割近い人数でありこれだけの選手が出場できないというのは異常です。

このようなコロナのせいで試合に出れないというのはチームの強い弱いに関わらず全米で起きていることであり、どのチームも万全の予防法を強いているにも関わらずこのようにウイルスから完全に感染を防ぐことがいかに難しいかを示していると思います。


対戦相手にも・・・

さらに疑問だったのはコンタクトトレーシングが一体どこまで及ぶのかということでした。

選手と選手とのぶつかりあいが避けられないのがアメフトというスポーツです。ですから当然感染者が部内で出てしまえば今お話したとおり部の活動に多大なる影響を及ぼすわけですが、ではもし試合に出ている選手に無症状のウイルス感染者が出ていたとしたら、相手チームにもコンタクトトレーシングは及ぶのか?という疑問です。

この危惧が遂に現実のものとして今週起こってしまいました。

今週ノートルダム大は部内で7選手がコロナ検査で陽性を示したため部活動を一時休止に。そして予定されていたウェイクフォレスト大との試合を12月に延期することを決定しました。

このような処置がノートルダム大のような名のある大学でも起きたことは驚きでもありながら忖度なくどのチームでもガイドラインに従って適切な決断を下しているのだということに安心しました。

しかし彼らが部内感染を公表したのは月曜日のこと。では一体どの時点でこれらの選手が感染したのかということになりますが、一般的にコロナの潜伏期間は3日から5日と言われていますから、試合開始前日までに感染していても陰性を示し、試合後の検査で陽性を示すという可能性はあったわけです。そしてそれがこのノートルダム大で起きたのです。

そして彼らの部内感染はそのタイミングを考えると先週の対戦相手だったサウスフロリダ大にも影響を及ぼします。彼らがノートルダム大の「コンタクト」チームになってしまった影響で今週末予定されていたフロリダアトランティック大との試合も延期となってしまったのです。

ちなみにフロリダアトランティック大は上記の通り現在まで未だ開幕を迎えられていないチームの1つであり、このサウスフロリダ大との試合が延期となったことでその開幕戦は次週以降に繰り越しとなってしまいました。

ですから今週からSECが参戦だ!と盛り上がる一方で、ここまでお話したとおり物事がすべて予定通りに行くとは限りません。SECのスケジュールを持ってしてもおそらく延期やキャンセルを余儀なくされる試合は必ず出てきます。そしてアメリカではインフルエンザのシーズンにも突入することになり・・・。

そして10月後半から参戦するBig Tenカンファレンスは8週間のスケジュールで8試合をこなす計画です。ですからもし感染者を出して試合が行われなくなったら延期して別日に開催ということは不可能なわけです。おそらくカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場を可能にするためには8試合は最低行わないと選考基準に達しない(もっともその明言化は行われていませんが)と考えられているため、Big Tenカンファレンスはさらに厳しい状況に置かれることになるでしょう。

もっともそれでも開幕できれば万々歳だと当事者は思っているのかもしれませんが、それが果たして正しい思考なのか・・・。それについては後日お話したいと思います。

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