第2週目レビュー

第2週目レビュー

ルイジアナ州立大45、テキサス大38

全米6位のルイジアナ州立大(LSU)と9位のテキサス大とのメガマッチは予想を裏切らない素晴らしい試合となり、シーズン序盤にも関わらず大変楽しませていただきました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ルイジアナ州立大のオフェンシブコーディネーターであるスティーヴ・エンスミンガー(Steve Ensminger)氏およびパスゲームコーディネーターのジョー・ブレディ(Joe Brady)氏の綿密な戦術の下、QBジョー・バロウ(Joe Burrow)がこの日そのポテンシャルを開花。先週のジョージアサザン大戦で5TD、そして強豪テキサス大ディフェンス相手にも4TDを奪い、今季のカレッジフットボール界のQB界隈で一気にその名を挙げました。

このテキサス大戦では39投中31投を成功させ(成功率81パーセント)、471ヤードをパスで稼ぎました。これだけでもこれまでのLSUのオフェンスとは一線を画していますが、それ以上にここぞという時のバロウのシャープな読みとプレーがチームを救ったという事実が今後のLSUにとって何よりもの強みとなっていくに違いありません。開幕戦とテキサス大との第2戦目だけでバロウは749ヤードを投げ9つのTDを奪ってきました。しかもテキサス大という全米でも名のあるチームを破ったのです。これはバロウがハイズマントロフィーレースに参戦するには容易な記録でありますし、チームも念願のCFP出場に向けまたとない出だしを踏み出したといえます。

一方敗れたテキサス大ですが、LSUという強豪相手に1TD差で敗戦を喫したという事実は誇るべきものだと思います。もちろん選手らからすれば勝たなければ意味が無いという言葉は出て来るでしょうが、トム・ハーマン(Tom Herman)監督率いるコーチ陣、QBサム・エリンガー、そして全ての選手たちはこのLSUとの試合で今持てる全ての力を出し切ってくれました。それは全米トップ10チームという名に恥じない立派なものでした。ただLSUがほんのちょっとだけ彼らよりチャンスをモノにした、ということだったのです。

彼らがこのLSU戦のような試合を披露し続ければ「テキサスが復活した」と心から言える日が遠くない日に来るような気がしました。

クレムソン大24、テキサスA&M大10

全米1位のクレムソン大と12位のテキサスA&M大との試合も大変注目されました。特にテキサスA&M大は昨年クレムソン大を2点差にまで追い詰める善戦を見せ、ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督2年目としてさらなる進化を遂げていると期待されていたため、いきなりディフェンディングチャンピオンのクレムソン大が敗れる波乱があるのではないかと思われましたが・・・。

立ち上がりはクレムソン大QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)がスロースタート。テキサスA&M大ディフェンスはアグレッシブにローレンスに襲いかかり、第2QにはA&M大のFGが決まって3対0と微小ながらクレムソン大がリードを奪われます。

しかしそこからローレンスが目覚め、先制された直後のドライブで89ヤードの進撃を指揮し最後はWRジャスティン・ロス(Justyn Ross)への鮮やかな30ヤードパスTDが決まってあっさり逆転。さらにクレムソン大ディフェンスがA&M大オフェンスに全く仕事をさせず、結果的にトータルディフェンスヤードが289ヤード、失点も10点と完全に相手を押さえ込むことに成功。ローレンスやロスと並び称されるスターRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)が活躍する必要もなくこのビッグゲームを難なく手中に収めました。

クレムソン大が所属するアトランティックコーストカンファレンス(ACC)には彼らに立ち向かえそうな相手が存在せず、またクレムソン大自体は今シーズン最大の強敵とされていたテキサスA&M大戦を無難にこなしたため、何かとんでもないことが起きない限り彼らがまたACCを制してカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に駒を進めるというシナリオが早くも出来上がりつつあります。

オハイオ州立大42、シンシナティ大0

開幕戦でフロリダアトランティック大を蹴散らして華やかにライアン・デイ(Ryan Day)新政権を発足させたオハイオ州立大。フロリダアトランティック大の弱小ディフェンス(失礼!)相手とあって彼らの実力をはかるには次期早々かと思われましたが、2戦目のシンシナティ大戦でもその威力を発揮。初戦での勝利がただ単に相手が弱かっただけではないところを2戦目でも存分に見せつけてくれました。

QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)は引き続き冴えるプレーを見せ、25投中20投を成功させ224ヤードを稼ぎ2つのTDも獲得。さらに彼は足でも2TDを記録しすれば、RB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)も141ランヤードを叩き出し、シンシナティ大とは明らかにある実力の差を見せつけてくれました。

しかしさらに彼らの勝利に華を添えたのはそのディフェンス陣。次期NFLドラフト第1巡目候補と言われるDLチェイス・ヤング(Chase Young)を軸としたフロントセブンは相手QBにとってはまさに悪夢。シーズンはまだ始まったばかりとは言え、爆発力を持つオフェンスと全米屈指のディフェンスを擁するオハイオ州立大は現時点でCFP進出候補の1つに挙げていいでしょう。

ミシガン大24、陸軍士官学校21(2OT)

オハイオ州立大がデイ体制に移行し、いよいよそのライバルであり、ここまで苦汁をなめさせられ続けているミシガン大にとって今年はチャンスかと誰もが思いながら開幕を迎えました。前述の通りそのオハイオ州立大はアーバン・マイヤー(Urban Meyer)前監督が去ったあとでもその勢いを失う機運が感じられませんが、対するミシガン大はと言うと・・・。

第2戦目の相手はトリプルオプションの使い手である陸軍士官学校でしたが、ミシガン大は最後の最後まで手こずらされ2度のオーバータイム(OT)にもつれ込む大接戦に。陸軍士官学校は勝負時というところで2度もオプションからのパスプレーを敢行しそれが見事に大失敗。その大失敗に救われてミシガン大はホームで2007年以来のアップセット(アパラチアン州立大)を逃れました。

勝ちはしましたが、明らかにミシガン大は全米7位に見合わないパフォーマンスしか残せませんでした。QBシェイ・パターソン(Shea Patterson)はこの試合で2つのファンブル。先週も1つ犯していますしこれはオフェンスのリーダーとしてあるまじき行為と言っても過言ではありません。また、ミシガン大のランアタックはほぼ皆無と言って良く、陸軍士官学校に対しては1キャリー平均2.4ヤードと撃沈。全体的に見て今年からオフェンスの指揮を執る新コーディネーターであるジョシュ・ガティス(Josh Guttis)氏のシステムが機能しているとは思えません。

とはいえ陸軍士官学校は昨年オクラホマ大を同じように苦しめたチームであり、そのオクラホマ大は結局CFPに駒を進めることが出来ました。そういった意味では陸軍士官学校は決して楽に白星を奪えるようなチームではない訳ですが、同時に彼らはオハイオ州立大と同じレベルにあるともいえません。今年こそ憎きライバルを倒せると思われていたミシガン大ですが、ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は早急にテコ入れをしないとこのままでは・・・。

ウィスコンシン大61、セントラルミシガン大0

Big Ten西地区の雄ウィスコンシン大はプレシーズンランキングで19位にランクされましたが、筆者的にはいささか過小評価されているように見えました。その彼らは開幕戦でサウスフロリダ大を49対0で圧勝。そして第2戦目のセントラルミシガン大戦でも61対0と相手を完膚なきまでに叩きのめしました。

当然2試合連続で無失点という記録はたとえ相手が格下であったとしても評価されるべきです。しかしやはり注目したいのはハイズマントロフィー候補とも言われるRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)の出来。この試合で彼は102ヤードに3TDという高数字を残しましたが、さらにレシーブ技術の高いところも見せ1TDを奪いました。

ハイズマントロフィーはQBの手に渡ることが多いですが、もしテイラーがトロフィーを受賞することがあれば2015年のデリック・ヘンリー(Derrick Henry、元アラバマ大&現テネシータイタンズ)以来の非QB選手の受賞という快挙となります。テイラーはこれまで2試合連続三桁ランヤードを記録していますが、このペースでいけばその快挙を本当に成し遂げるかもしれません。

コロラド大34、ネブラスカ大31

開幕前その期待度から全米24位にランクされていたネブラスカ大ですが、開幕戦ではホームにも関わらずサウスアラバマ大に思ってもず苦戦。勝ったものの奪ったヤードは276ヤードに3つのターンオーバーなどいいところがありませんでした。第2週目は辛うじて25位以内に踏みとどまり何とかその威厳を守りましたが、ファンたちにして見れば「ゴールデンボーイ」スコット・フロスト(Scott Frost)監督の実力はこのコロラド大戦で明らかになると思われていました。

そのアウェーでのコロラド大との試合ではオフェンスがトータル469ヤードを記録するなど確かに開幕戦とは違うところが見られましたが、残念なことに彼らのエースQBエイドリアン・マルティネス(Adrian Martinez)がチグハグでファンブルとパスINTで自身の首を絞めることになります。さらにネブラスカ大のディフェンス陣は第4Qの一番の踏ん張りどころで崩壊。コロラド大に第4Qだけで24点も与えてしまい、結局OTの末に敗れてしまったのです。

フロスト監督としてはネブラスカ大2年目でまだまだ再生過程にあるといえますが、チームが躍進すると期待していたファンたちにとって見れば出鼻をくじかれた感は否めません。

メリーランド大63、シラキュース大20

昨年はOLジョーダン・マクネアー(Jordan McNair)の死やそれに関連してD.J.ダーキン(D.J. Durkin)監督の謹慎並びに解雇という問題で揺れたメリーランド大。その立て直し役に抜擢されたのが昨年アラバマ大でオフェンシブコーディネーターを務めたマイク・ロックスリー(Mike Locksley)新監督。その新体制の下メリーランド大は今季開幕戦から大爆発。初戦のハワード大戦で79対0と華々しくデビューすると、2戦目のシラキュース大(全米21位)との試合でも63対20とどちらがランカーなのか分からないくらいのちからの差で相手を圧倒。この2試合だけで142得点というとんでもないスタートダッシュを切りました。

メリーランド大のオフェンスを担うのは元バージニア工科大のQBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)。彼を軸にしたオフェンスは得点力のある非常にバランスの取れたものとなり、またディフェンス陣もシラキュース大のランゲームを完全攻略(70ヤード)。ターンオーバーも2つ引き出しており、チームとして非常に完成度の高いところを見せてくれました。

彼らが所属するBig Tenカンファレンス東地区はオハイオ州立大ミシガン大ペンシルバニア州立大などが注目を集めていますが、今年はひょっとしたらこのメリーランド大が台風の目になってくれるかもしれません。

フロリダ州立大45、ルイジアナ大モンロー校44(OT)

開幕戦でボイジー州立大に逆転負けを喫して早くもウィリー・タガート(Willie Taggart)監督の尻に火がついたフロリダ州立大ですが、2戦目は「カップケーキ」ゲームと俗に呼ばれる「出来ゲーム」のルイジアナ大モンロー校と対決。しかしこれが思わぬ展開に。

前半24対7とリードを奪うも後半31失点を犯し、楽に白星を手に入れられるはずがオーバータイムに突入。OTでは相手のキッカーがPATを外して辛うじて1点差で逃げ切りましたが、「強豪」なはずのフロリダ州立大が後半に崩壊して超格下なはずの相手にいい勝負に持ち込まれたということだけで十分危機的状況であることは明らかです。

勝ったから良かったものの負けていたらとんでもないことになっていたでしょうが、これが恐らく今季のフロリダ州立大の現状なのでしょうね。正直ちょっと悲しくなってしまいます。

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