第2週目の見どころ

第2週目の見どころ

LSU vs テキサス大

昨年シュガーボウルテキサス大ジョージア大を倒した際、QBサム・エリンガー(Sam Ehlinger)が「We are baaaaack!(俺達は復活した!)」と叫んでいたのは記憶に新しいですが、その言葉が本当かどうか、今週末のルイジアナ州立大(LSU)戦で試されることになります。

ルイジアナ州立大はこれまで地上戦力を主軸にオフェンスを組み立ててきたチームでした。そのアイデンティティがあったからこそそれに見合った優良なリクルートたちを確保することが出来たのですが、カレッジフットボール界がスプレッドオフェンスへ移行していく中で彼らは遅れを取り、結果として2016年度のレス・マイルズ(Les Miles、現カンザス大)監督の解雇に繋がったわけです。

その後を継いだエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督はオフェンスを立て直そうと四苦八苦してきましたが、それを体現できるQBに巡り合うことがありませんでした。しかし昨年オハイオ州立大からやってきたジョー・バロウ(Joe Burrow)が先発QBとなるとようやくオフェンスが生まれ変われる希望が湧いてきました。そして今年の開幕戦、LSUは相手が格下のジョージアサザン大だったとは言え、バロウとバックアップのマイルズ・ブレナン(Myles Brennan)二人合わせて350ヤードのパスを投げ、バロウは1人で5つのTDを奪いLSUオフェンスの進化を見せてくれたのでした。

そのLSUをホームに迎えるのがテキサス大なわけですが、彼らのオフェンスは前述のQBエリンガーの手に委ねられます。先週の開幕戦(対ルイジアナ工科大)では276ヤードに4TDとバロウにも引けを取らない数字を残したエリンガー。テキサス大もまたこれまで偉大なるRBを擁して攻撃を組み立ててきたチームではありますが、パサーとしても能力のあるエリンガーを持ってして、今年3年目となるトム・ハーマン(Tom Herman)監督がいよいよテキサス大を全米の檜舞台へ挙げてあげる絶好のチャンスがやってきたというわけです。

そのエリンガーが対峙するLSUのディフェンスは全米でも屈指のユニットですが、特にNFLドラフトにおいても注目されているSグラント・デルピット(Grant Delpit)を中心とするDB陣を攻略するのは簡単なことではありません。バロウが立ち向かうテキサス大のバックフィールドにも高タレントの選手たちが揃っていますが、LSUのそれと比べれば断然エリンガーの方が厳しい戦いを強いられると言えそうです。

どちらにしても全米のプライムタイムでその存在感を見せるために両校ともこの試合はまたとないチャンスです。勝ったチームは強烈にその強さをファンたちや後にカレッジフットボールプレーオフ(CFP)の選考に携わる人達の印象に残ることになり、CFP進出を強く後押ししてくれるはずです。そしてテキサス大はオクラホマ大、LSUはフロリダ大アーバン大アラバマ大とそれぞれリーグ戦で対戦していく強豪校との戦いへ向けこの試合の勝利が最高の推進剤となってくれるでしょう。

一方負けてしまったチーム、特にそれが大差をつけられてしまった結果を生んでしまっていたとしたら、どちらのチームにしても昨年から盛り上がってきた期待度が一気に萎んでしまうことになりかねません。シーズン第2戦目とまだ序盤とは言え、今後を占う非常に重要な試合なのです。果たしてこの試合を制して一気にランクを上げてくるのはどちらのチームでしょうか。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

テキサスA&M大 vs クレムソン大

昨年完全無敗シーズンを送ったクレムソン大ですが、その中でも唯一と言っていいほど彼らを脅かせたチームがテキサスA&M大でした。この試合ではトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が不調で代わりに出たケリー・ブライアント(Kelly Bryant、現ミズーリ大)がチームを救ったという経緯がありましたが、この試合後以降チームはそのローレンスを軸にオフェンスを開花させ、あのアラバマ大ですら完敗するほどまでにチームは強くなりました。

参考記事第2週目レビュー

テキサスA&M大は名将ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督の2年目を迎え、去年のチームよりも進化しています。クレムソン大でのアウェーゲームではありますが、OLジャレッド・ホッカー(Jared Hocker)が「この試合で番狂わせが見れるだろう」と勝利を予期するようなコメントも残すほど彼らには自信で満ちています。

先週のクレムソン大のジョージア工科大との試合ではローレンスがハイズマントロフィーレース最有力選手とは似つかない並の数字しか残せず、先週のようなパフォーマンスしかローレンスがこのテキサスA&M大戦で披露できなければ、今季序盤の最大の番狂わせが確かに見れるかもしれません。が、クレムソン大には同じくハイズマントロフィーレースに名を連ねるRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)が健在。ローレンスとエティエンを同時に攻略しなければならないA&M大ディフェンスは一瞬の隙を見せることも出来ないでしょう。

スタンフォード大 vs サザンカリフォルニア大

今年後がないと言われるサザンカリフォルニア大(USC)のクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督ですが、開幕戦では是が非でも手に入れたかった白星をフレズノ州立大から手に入れることができました。が、一方で先発QB J.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)を膝の怪我で失うことにもなってしまいました。またスタンフォード大も先発QB K.J.コステロ(K.J. Costello)が先週のノースウエスタン大戦で負った脳震とう(Concussion)の影響で今週の試合出場が見送られることがすでにわかっています。

どちらのチームも所属するPac-12カンファレンスレースにおいて負けられない状況の中、バックアップQBで立ち向かわなければならないという厳しい台所事情。特にUSCは先にも挙げたようにヘルトン監督のクビを繋ぐためには是が非でも勝ちたい試合となり、その結果に注目が集まりそうです。

シンシナティ大 vs オハイオ州立大

ジョージア大からの転校生ジャスティン・フィールズ(Justin Fields)はオハイオ州立大でのデビュー戦で5TDを奪う活躍を見せ、その才能をスタジアムに押し寄せた10万人を超えるファンに強烈に印象づけました。がそれは格下フロリダアトランティック大相手であり、彼らの進化が試されたとは到底いえません。恐らくそれを見ることが出来るのはリーグ戦が始まるまで待たなければならないかもしれませんが、少なくとも今年から指揮をとることになったライアン・デイ(Ryan Day)新監督にしてみれば最高の出だしとなったことに変わりはありません。

参考記事新時代【オハイオ州立大プレビュー】

そのオハイオ州立大は今週末再び「グループオブ5」所属チームでありながらフロリダアトランティック大よりも実力のあるシンシナティ大をホームに迎えます。シンシナティ大は先週末UCLAから4つのターンオーバーを引き起こして番狂わせを起こしました。昨年全米11位のディフェンスを持つシンシナティ大をフィールズ率いるオハイオ州立大オフェンスが攻略できるのか?恐らくオハイオ州立大が勝つとは思いますが、フロリダアトランティック大よりもチーム力が上のシンシナティ大相手にどれだけやれるか気になるところです。

ネブラスカ大 vs コロラド大

全米25位のネブラスカ大は先週サウスアラバマ大と対戦しましたが、思いがけず苦戦を強いられました。その彼らが対戦するコロラド大は先週コロラド州立大相手に52得点。当然ながらサウスアラバマ大とは比べ物にならないくらい強敵です。しかも敵地での試合とあり、いかにネブラスカ大が25位だからといって油断はできません。逆に言えばスコット・フロスト(Scott Frost)監督にとってみれば今年のネブラスカ大は一味違うというところを見せるために是非とも勝たなければいけない試合ということにもなります。

陸軍士官学校 vs ミシガン大

今週7位のミシガン大は先週ミドルテネシー州立大を相手に40対21とほぼダブルスコアで勝利を手に入れましたが、トップ10チームとしての印象が強いとは決して言えない試合でした。

陸軍士官学校はご存知かと思いますが、今では稀となったトリプルオプションの使い手。それを持って昨年オクラホマ大をあと少しのところまで追い詰めた実績を持っています。トリプルオプションの強みは攻撃権を維持し続けられれば相当なポゼッション時間をかせぐことが出来ることで、つまりそれは相手オフェンスにプレーする機会を与えないことと同義でもあります。もし陸軍士官学校のトリプルオプションがミシガン大ディフェンスに効果を発揮するようなことがあれば、ミシガン大にとってはQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)がその限られたチャンスにしっかりと得点できるかに勝利が左右されることになるでしょうね。

ブリガムヤング大 vs テネシー大

先週まさかまさかの敗戦をジョージア州立大に食らったテネシー大。今年2年目のジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)監督は現時点で全米でも最もクビに近い監督の1人と言っても過言ではないでしょう。何と言ってもそのジョージア州立大の選手たちがテネシー大よりもFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)チームのほうがマシな試合をすると言わしめるほど。また元々プルイット監督はテネシー大のライバルでもあるアラバマ大でディフェンシブコーディネーターを務めた過去がありますが、プルイット監督がテネシー大の監督に就任したのは、そのことでテネシー大を弱体化させるためのアラバマ大の陰謀である、などというとんでもない噂も立っているほど。

こんな状態で今週末彼らはブリガムヤング大をホームに迎えるわけですが、この嫌な流れを断ち切るにはこの試合に勝つことが必須条件です。が、もし本拠地で2連敗でもなってしまえば、古豪復活を心待ちにしている狂ったファンたちがプルイット監督排除の声を一斉に挙げることでしょう。テネシー大にとっては負けられないゲームです。

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