カンファレンスプレビュー【パワー5】

カンファレンスプレビュー【パワー5】

本格的なシーズン開幕まであと数日です。8月からプレシーズンキャンプ入りしこの日まで各地で開幕への準備が行われてきました。やるからには全米制覇!それが究極のゴールですが、まずは所属するカンファレンスでタイトルを獲ることが最優先であり、全米制覇を狙えなくてもカンファレンスタイトルを取れればそのシーズンは大成功といえるのが実際のところです。

そこでここでは主に上位カンファレンス群といわれる「パワー5カンファレンス」の5つのリーグの見所を簡単に紹介したいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)

昨年のディフェンディングカンファレンスチャンプであり、言わずと知れたナショナルチャンピオンでもあるクレムソン大が層の薄いACCではダントツにそのチーム力は飛び抜けています。オフェンス・ディフェンス双方に渡りタレントぞろいで尚且つ層が厚く、特にオフェンスではハイズマントロフィー候補QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)、RBトラヴィス・エディエン(Travis Etienne)、WRジャスティン・ロス(Justyn Ross)というトップレベルの駒が揃っています。昨年の完全シーズンを支えたディフェンス陣からは7人がチームを去りましたが、前述の通り近年のリクルーティングの成功のせいもあり次の出番を待つ飢えた猛者たちで溢れています。

ACC内でクレムソン大に追随できるチームが見当たらず、彼らがこのカンファレンスを5連覇する可能性はかなり高いといえます。

参考記事若き猛者たち【クレムソン大プレビュー】

シラキュース大は何十年ぶりにプレシーズンランキングで22位にランクイン。実際ACC出身校でランクインしたのはクレムソン大とシラキュース大のみ。彼らは昨年10勝シーズンを達成し波に乗るチームですが、クレムソン大と同じACCアトランティック地区所属であり、ということは彼らを倒さなければ十中八九優勝決定戦には出場できません。そしてそれが可能であるかは極めて少ないチャンスと言わざるを得ません。名門フロリダ州立大も同じアトランティック地区所属ですが、彼らが今年復活すればシラキュース大を追い抜くことは容易いことでしょうが、それでもクレムソン大のレベルにたどり着くまでは少なくともあと数年はかかることでしょう。

参考記事黄色信号?【フロリダ州立大プレビュー】

コースタル地区においても飛び抜けて強そうなチームは見当たりません。マイアミ大は先週の開幕戦でのフロリダ大との試合でOL陣の脆さが露呈されてしまいましたし、バージニア工科大フランク・ビーマー(Frank Beamer)氏が引退して以来かつての強さが消え失せてしまいました。ジョージア工科大トリプルオプションの使い手であったポール・ジョンソン(Paul Johnson)監督が引退し、その後釜に元テンプル大ジェフ・コリンズ(Jeff Collins)監督が就任。またノースカロライナ大も元テキサス大マック・ブラウン(Mack Brown)監督が就任ということで、彼らが1年目からいきなり飛び抜けるとは考えづらいです。昨年は言えばピッツバーグ大が棚ぼたでコースタル地区を制しましたが、彼らが再びこの大舞台に戻ってくるとも思えず、結果的に誰がコースタル地区を制してもクレムソン大に立ち向かうには荷が重すぎるという結論に至るわけです。

誰かがクレムソン大を倒すということは大きな番狂わせとなりますから、それが起こるとなればどの試合なのかも気になるところです。


Big 12カンファレンス

Big 12カンファレンスはやはり現在リーグ4連覇中のオクラホマ大が優勝候補筆頭に挙げられると思います。これまで2年連続ハイズマントロフィー受賞QBを輩出(ベーカー・メイフィールドカイラー・マレー)している彼らの新QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)がどこまでやれるのか気になる所。

参考記事一蓮托生【オクラホマ大プレビュー】

彼らに対抗するのが全米10位のテキサス大。昨年10年ぶりに二桁勝利を飾った彼らが本当に復活を果たしているのならば、テキサス大以外にオクラホマ大と対峙できるチームは居なそうです。10月12日に予定されている「レッドリバーの戦い」に俄然注目が集まります。

参考記事Are They BAAAAACK?【テキサス大プレビュー】

またいつも必ずといっていいほど優勝争いに絡みながらシーズン最後に息切れしてしまうオクラホマ州立大、若大将マット・キャンベル(Matt Campbell)監督の指揮下着実に力をつけてきているアイオワ州立大、さらにはテキサスクリスチャン大らはオクラホマ大とテキサス大が万が一でも敗戦を重ねればいつでもタイトルレース戦線に飛び込んでくるでしょう。

参考記事2年目のマジック?【ネブラスカ大プレビュー】

近年スキャンダルのせいで戦力がズタボロになってしまったベイラー大ですが、マット・ルール(Matt Rhule)監督はチームの再建を着実に遂行しており、昨年の7勝6敗から今年はさらに白星を重ねてくる可能性は十分有ります。

個人的にはLSU時代から好きだったレス・マイルズ(Les Miles)監督が新たにチームを指揮するカンザス大に注目したいですが、テキサス工科大カンザス州立大ウエストバージニア大という、今年から新監督が就任したチームがどこまでやれるのかにも注目です。

Big Tenカンファレンス

今季プレシーズンランキングで「パワー5」カンファレンス群で最多の7チームがランクインしたBig Ten。その筆頭となるのが5位のオハイオ州立大と7位のミシガン大。彼らは当然シーズン最終戦の11月30日に直接対決を控えていますから、両校が下馬評通りの力を見せ続ければ自ずとこの試合がBig Ten東地区の優勝決定戦となるでしょう。オハイオ州立大は名将アーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏が引退し今年からライアン・デイ(Ryan Day)新監督体制となります。マイヤー氏に苦汁をなめさせられてきたミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督ですが、いよいよミシガン大がオハイオ州立大に勝つ姿を見ることが出来るでしょうか?

参考記事新時代【オハイオ州立大プレビュー】

参考記事Now or Never【ミシガン大プレビュー】

これに絡んでくると思われるのがペンシルバニア州立大ミシガン州立大ですが、ペンシルバニア州立大は2年前にRBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley、現ニューヨークジャイアンツ)、昨年QBトレース・マクソーリー(Trace McSorley、現ボルティモアレイヴンズ)というチームの柱を失い、今季はまさにジェームス・フランクリン(James Franklin)監督の進化が問われる年となりそう。ミシガン州立大は毎年ブルーカラーの地味ながら堅実なフットボールを披露してきていますが、4年前カレッジフットボールプレーオフ(CFP)に出場したようなブレークアウトなシーズンになるでしょうか。

参考記事問われる真価【ペンシルバニア州立大プレビュー】

西地区は混戦です。その中でも力を持つのがウィスコンシン大。今年はプレシーズンランキングで19位と幾分低評価な気がしますが、RBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)はここ数年でも秀逸のRB。彼と絶対防御のOL陣をすれば彼らがランクをどんどん上げていくことは容易いことでしょう。

昨年西地区を制したノースウエスタン大、上昇気流に乗るパデュー大、今季21年目という絶対的な安定感を持つカーク・フェレンツ(Kirk Ferentz)監督率いるアイオワ大らがウィスコンシン大に挑んでいきます。

その中でも注目したいのが今年2年目となるスコット・フロスト(Scott Frost)監督率いるネブラスカ大。彼らはプレシーズンランキングで24位にランクインするというサプライズ。これはフロスト監督が全敗だったセントラルフロリダ大をたったの2年で全勝チームにリフォームしたことによる、投票者たちの期待度の現れでしょうが、その期待に彼らは応えることが出来るでしょうか。

Pac-12カンファレンス

Pac-12カンファレンスのことは正直当サイトでもカバーしきれていないのは否めませんが、プレシーズンランキングトップ10にどのチームも食い込めなかったものの、トータルでは5チームがランクインを果たしています。その中でも最上位(11位)なのが北地区所属のオレゴン大。来年のNFLドラフトでも注目されるQBジャスティン・ハバート(Justin Herbert)を軸に2014年度シーズン以来の栄冠を狙います。

しかしオレゴン大と同じ北地区にはワシントン大(13位)、ワシントン州立大(23位)、スタンフォード大(25位)と強敵がひしめいており、正直何が起きても不思議ではない感じがします。さらにカリフォルニア大も今年3年目となるジャスティン・ウィルコックス(Justin Wilcox)監督指揮下で着実に力をつけてきています。

南地区では唯一ユタ大がランクされました(14位)が、どのチームもチャンスが有るように思えます。注目は今年2年目のチップ・ケリー(Chip Kelly)監督率いるUCLAサザンカリフォルニア大が不調な昨今、いよいよ同じロサンゼルスにキャンパスを置くUCLAがハリウッドにおける覇権を奪うことが出来るでしょうか。

また同じく2年目のハーム・エドワーズ(Herm Edwards)監督が指揮を執るアリゾナ州立大ですが、半ば実験的なエドワーズ監督の起用は周囲の予想を裏切り7勝6敗という勝ち越しシーズンで皆を驚かせてくれました。今年はただ勝ち越すだけでなく、さらにその上に進化してカレッジフットボール界を盛り上げてもらいたいものです。

とは言え、南地区は昨年のトータルディフェンスヤードで全米15位を誇る強固な守備陣を擁するユタ大が引っ張っていくと思われます。北地区との力関係を考えると北地区代表がリーグタイトルを獲得する可能性は高いですが、問題はそのチャンピオンがCFPに出場できるかどうかです。過去2年間CFPにチームを送り出すことに失敗しているPac-12カンファレンスの大きな問題は共食いして黒星を重ねてしまうこと。果たして無傷でこのカンファレンスを制することの出来るチームが現れるでしょうか。

サウスイースタンカンファレンス(SEC)

SEC出身チームからはトータル6チームがプレシーズンランキング入り。特筆すべきはそのうち4チームがトップ10入りを果たし、このカンファレンスの強さを物語っています。その先陣を切るのは言わずと知れたアラバマ大。今年は1位の座をクレムソン大に譲りましたが、タレント力、コーチ力らを考えればSECの優勝筆頭候補に彼らが挙げられるのはごく自然なことです。

参考記事雪辱に燃える!【アラバマ大プレビュー】

このアラバマ大と同じ西地区に所属するルイジアナ州立大が6位。これまで対戦成績で8連敗を喫している彼らは是非ともこの悪しき慣習を今年砕きたい所。そうなれば自ずと西地区制覇も見えてきます。また12位のテキサスA&M大はポテンシャルの非常に高いチーム。ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督2年目の今年、彼らが台風の目になる可能性は十分有ります。その他にもアラバマ大の永遠のライバル・アーバン大(16位)、そしてランクはされていないもののその実力は持っているミシシッピ州立大など、多くの強豪校がアラバマ大を追随します。

一方の東地区は全米3位のジョージア大が先陣を切ります。2年前SECの栄冠を獲得した彼らはこの時はアラバマ大と対戦することはありませんでした(のちにナショナルタイトルゲームで激突)。そして昨年、SEC優勝決定戦で顔を合わせた両者でしたが、ジョージア大が終始リードする展開を見せるも土壇場でジェイレン・ハーツの活躍により逆転を許しました。今年もこのまま行けばジョージア大がタイトルゲームで再びアラバマ大と対戦することになるでしょうから、果たして3度目の正直ということになるのか注目です。

同じく東地区所属のフロリダ大は8位ですが、先週末行われたマイアミ大との試合を見る限りでは、勝ったもののこの試合だけ見ればジョージア大との差はまだまだある感じが否めませんでした。

ジョージア大を追随する東地区チームとしては、フロリダ大以外ではベテランQBジェイク・ベントレー(Jake Bentley)とウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督の息の掛かったディフェンス陣を擁するサウスカロライナ大、古豪復活を狙うテネシー大などが挙げられます。

そんな中でも注目したいのはミズーリ大。4年目のバリー・オドム(Barry Odom)監督の下2年連続で勝ち越しているミズーリ大ですが、昨年は敗れた試合のうち3試合は5点差以内でしたから、たらればを言えば彼らが10勝に手が届いていた可能性は十分有りました。そして今年はクレムソン大の元先発QBの転校生、ケリー・ブライアント(Kelly Bryant)が攻撃の起点となります。トレヴァー・ローレンスに主役を奪われたブライアントのモチベーションは最高潮に達しているはずですからそれも見ものです。

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