新時代【オハイオ州立大プレビュー】 - ANY GIVEN SATURDAY

新時代【オハイオ州立大プレビュー】

新時代【オハイオ州立大プレビュー】

いつ何時でもカレッジフットボール界でヘッドコーチの入れ替えが起きれば、不安要素や未確定要素が生まれるものです。今シーズンを迎えるにあたって新監督を擁して開幕を迎えるチームは数チームありますが、その中でもオハイオ州立大ライアン・デイ(Ryan Day)監督は新体制へのトランジションが上手くいっているのではないでしょうか。

オハイオ州立大は2012年から7年間チームを率いてきたアーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏が昨シーズン後に引退。その彼が直々に後継者として任命したのが当時オフェンシブコーディネーターだったデイ監督だったわけです。

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今年から名門オハイオ州立大の指揮を執るデイ監督

マイヤー元監督指揮下のオハイオ州立大は毎年所属するBig Tenカンファレンスのタイトル争いに絡み、更にはナショナルタイトルも狙えるチームをコンスタントに世に送り出してきました。2014年度には2002年以来の念願の全米制覇も果たし、フロリダ大で獲得した2つのタイトル(2006年と2008年)と合わせて3つのナショナルチャンピオンシップをして、当時現役コーチとしてはアラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督と並び称される名将とされてきました。

そのマイヤー監督が自身の健康上の理由で引退を決意。まだ55歳ということもあり惜しまれつつ現場を去りましたが、名門オハイオ州立大の新時代は若干40歳のルーキー監督であるデイ氏に託されることになったのです。

たった今ルーキーという言葉を使いましたが、その言葉通りデイ監督にとってオハイオ州立大での仕事は彼自身初のヘッドコーチ職。初仕事がカレッジフットボール界を代表する名門とくれば武者震いの少しもすることでしょう。しかしデイ氏にとってオハイオ州立大で指揮をとるのは実はこれが初めてのことではありません。

ご存じの方も多いかと思いますが、昨年度開幕前にオハイオ州立大ではマイヤー監督及び彼のアシスタントコーチ絡みのスキャンダルが勃発。簡単に言うとアシスタントコーチの1人が元妻にドメスティックバイオレンスをはたらいていたことが発覚するも、当初マイヤー監督は知らなかったと嘘をついてしまい、その影響で彼は開幕から3試合の謹慎処分に処されたのです。その時臨時監督としてチームを率いたのがデイ氏でした。

関連記事オハイオ州立大マイヤー監督の処遇が決定

この3試合を無難に乗り切り無敗でチームをマイヤー前監督に手渡したデイ氏でしたが、この時点で大学内での彼への信頼度は急上昇していました。ですからマイヤー氏が引退を表明した時にその後継者としてデイ氏の名前が挙がったことは何ら不自然ではありませんでした。

確かにデイ氏にはチームを1から築き上げてきたという実績はありません。しかしオハイオ州立大には多くの経験豊富なコーチたちが彼をサポートする体制が整っていますし、彼自身もこれまで幾つかのチームを渡り歩く中で様々な指導者から教えを請って来たはずです。

その中で彼のオフェンスコーチのバックグラウンドを強固にした人物に現UCLA監督のチップ・ケリー(Chip Kelly)監督がいます。デイ監督は現役時代FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のニューハンプシャー大でQBとしてプレーしましたが、この時のチームのOCがケリー監督でした。

ケリー監督はニューハンプシャー大で指導した後にオレゴン大の監督に就任し、アップテンポなスプレッドオフェンスで業界を席巻。2010年にはナショナルタイトルゲームにまで進出し、その名を轟かせました。ケリー監督のDNAを選手として注入されたデイ監督がそのスタイルを踏襲するとしても何ら不思議はありません。

そしてもちろん監督としての帝王学を直接教え込んでくれたのがマイヤー前監督です。生涯戦績187勝32敗という素晴らしい数字を残したマイヤー氏から多くのことを学んだはずですし、またマイヤー氏自身が引退後もチームの体育局長補佐として大学に残っていることを考えれば、頼れる相談役がすぐそこにいるということでデイ監督にとっては鬼に金棒とも言えるでしょう。

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マイヤー前監督(右)とデイ新監督(左)

そんなデイ監督のオハイオ州立大での初年度ですが、彼のオフェンスが機能するかどうかは昨年のメンバーから実に4人の先発選手が抜けてしまったOL陣を立て直せるかどうかにかかっていると言えそうです。春季トレーニングにおいてある程度その現状が頭のなかに入ったとは思いますが、唯一の残留選手であるサヤー・マンフォード(Thayer Munford)は怪我のため春季トレーニングを棒に振ってしまいました。リクルーティングのお陰で有能な若手が出番を待っているとは思いますが、Big Tenカンファレンスだけでなくその上を目指す上でその屋台骨となるOL陣を組織することは急務であります。

仮にOL陣が崩壊するようなことがあれば、今季から先発を任されると思われるQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)はさらなるプレッシャーと戦わなければならず、仮にそのせいでフィールズが怪我を負い戦線を離脱することになれば、それだけでオハイオ州立大のシーズンは終わってしまうといっても過言ではないでしょう。

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ジョージア大からから転校してきたフィールズ

2018年度のリクルーティングクラスでクレムソン大トレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)の次に有能だと言われたフィールズはジョージア大に入学しましたが、先輩QBジェイク・フローム(Jake Fromm)から先発の座を奪えないと悟るとたったの1年でジョージア大から転校。その転校先をオハイオ州立大に決めました。オハイオ州立大は昨年まで先発だったドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins、現ワシントンレッドスキンズ)が抜け、そこにフィールズが滑り込むという図式になっていたのです。

関連記事コーチたちの新たな挑戦 〜ジョージア大の場合〜

しかしハスキンズのバックアップを2年間務めた、元5つ星リクルートのテイト・マーテル(Tate Martell)との先発争いのバトルが繰り広げられると思われていた所、そのマーテルも先発の座を射止められないかもしれないという不安からオハイオ州立大を転校。マイアミ大へと去ってしまいました。

関連記事マーテルはマイアミへ

確かにフィールズにはポテンシャルがあるとは思いますが、ジョージア大でのパフォーマンスだけではそれを確証してくれるものはなく、デイ監督は経験不足の転校生を先発に据えなければならないわけです。しかもマーテルもいなくなってしまい、フィールズ(彼が先発の座を射止めると仮定しての話ですが)のバックアップもまた未経験者ということで、QBポジションは実はかなり危うい状況なわけです。

そこへ来てOL陣がフィールズを守れないとなるとまさにオフェンスは根底から崩れてしまいます。デイ監督の今季に向けての最大の仕事はやはり頼れるOL陣の確保ということになるわけです。

常に勝つことを宿命付けられてきたオハイオ州立大において、果たしてデイ監督はいいスタートダッシュを切れるのかどうか・・・。非常に楽しみなシーズンであります。

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