エクストラポイント【第2週目】

エクストラポイント【第2週目】

ニュースター

ディロン・ガブリエル(セントラルフロリダ大)

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セントラルフロリダ大の開幕QBはノートルダム大からの転校生であるブランドン・ウィンブッシュ(Brandon Wimbush)でした。ウィンブッシュはノートルダム大でイアン・ブック(Ian Book)にスターターの座を奪われ転校したのですが、彼が先発の座を後輩であるブックにダッシュされた背景には彼のパス能力の不安定さが挙げられました。セントラルフロリダ大では先発QBに任命されるも開幕戦の超格下チームであるフロリダA&M大相手に2つのTDを奪うもののパス成功率は50%を越えるか越えないかという程度のものでした。

そこでジョシュ・ハイペル(Josh Heupel)監督は先週のフロリダアトランティック大戦でウィンブッシュを下げて1年生であるディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)を起用するという苦渋の選択を下しますが、これが功を奏します。パス成功率はウィンブッシュを下回るものでしたが、ここぞというところでビッグプレーを連発。20ヤード以上のパスを5つも成功させ、合計245パスヤードに2TDを記録。ウィンブッシュには機動力がありますが、RBグレッグ・マックリー(Greg McCrae)という破壊力のあるRBとペアを組むにはガブリエルのほうが相性が良さそうです。

ライアン・ヒリンスキー(サウスカロライナ大)

サウスカロライナ大はベテランQBジェイク・ベントレー(Jake Bentley)を足の怪我の手術のため今季失うこととなり、急遽新人のライアン・ヒリンスキー(Ryan Hilinski)を先週のチャールストンサザン大戦で起用。ヒリンスキーは昨年1月に自ら命を絶ったワシントン州立大QBタイラー・ヒリンスキー(Tyler Hilinski)の弟で、兄譲りのQBの才能を持つ期待の新人。そのヒリンスキーはデビュー戦で30投中24投のパスを成功させ、282パスヤードに2TD(1INT)として72対10での大勝に大いに貢献。ベントレーというリーダーを失ったのは痛いですが、この若いヒリンスキーが経験を積んで自信をつければベントレー以上のQBになる可能性はあります。

ケドン・スロヴィス(サザンカリフォルニア大)

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サザンカリフォルニア大は先発QB J.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)をシーズン絶望となる足の怪我で失い、ただでさえ開幕前からクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督の進退に関わるシーズンと言われていたため、いきなり序盤から黄色信号が灯ったかと思われました。しかしそんな中で先週のスタンフォード大戦で先発起用された1年生のケドン・スロヴィス(Kedon Slovis)が大活躍。この試合で記録した377パスヤードという数字はUSCのQBのデビュー戦でのチーム新記録となるもので、3つのTDと合わせてセンセーショナルなデビューを飾りました。

ダニエルズにとっては不運でしかありませんが、スロヴィスがこのままUSCのオフェンスの顔となっていく可能性を十分に感じました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ノースカロライナ大👍マイアミ大👎

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)はとかく全米1位のクレムソン大のみが取り上げられやすいですが、今年からマック・ブラウン(Mack Brown)監督が指揮を執るノースカロライナ大も密かに開幕2連勝を飾って波に乗っています。開幕戦はサウスカロライナ大、そして先週末は同じACCコースタル地区所属のマイアミ大と対戦してどちらの試合でも勝ち星を拾いました。

昨年の勝利数のトータルが2勝だったことを考えるとこの時点ですでに昨年のレコードに並んだことになります。今後のノースカロライナ大に目が離せません。

一方今年からマニー・ディアス(Manny Diaz)監督に率いられているマイアミ大は開幕戦のフロリダ大との試合を落とし、このノースカロライナ大戦でも敗れ0勝2敗。彼らが最後に開幕2連敗を喫したのは41年前の1978年ということですから、この事がいかにレアなことかがわかると思います。

俗に言う「ホットシート」扱いをディアス監督が受けるとは思いませんが、前任のマーク・リクト(Mark Richt)前監督が3年間で作り上げた強きマイアミ大復活という機運が薄れてしまわないか心配です。

2年目の(も?)悪夢

テネシー大

サウスイースタンカンファレンス(SEC)のテネシー大は開幕戦でジョージア州立大にまさかの敗戦を喫してしまいました。それだでも熱狂的なファンベースは黙っていなかったのですが、先週末はブリガムヤング大をホームに迎えながら信じられない逆転負けを食らったのです。

実に先制点を入れてから約50分間も相手をリードしていながら試合終了20秒を切った土壇場で絶対に防がなければならなかったロングパスを決められてFGの末にOTに突入。結局2度目のOTでテネシー大がFGに甘んじていたところブリガムヤング大がTDを決め試合終了。テネシー大は何とホームで2週連続逆転負けを喫したのです。最後にシーズンを2連敗で発信したのは1988年のことですから、いかにこれがジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)監督にとって汚点となってしまったかがお分かりになると思います。

UCLA

またUCLAも2年目のコーチであるチップ・ケリー(Chip Kelly)監督に率いられていますが、彼らもシンシナティ大との初戦に続き2試合目のサンディエゴ州立大にも23対14で敗れ2連敗。

この試合はUCLAのホームゲームでしたが、初戦での敗戦ですでにファンたちが諦めてしまったのか、この日の観客動員数は過去25年間のうちで最も入りの少ないゲームとなってしまいました。しかしファンとしてはわざわざスタジアムに足を運ぶほどの試合ではなかったので、むしろ観客は少なかったほうが良かったのかもしれません。

格下(なはず)のサンディエゴ州立大に獲得ヤード数で100ヤード以上上回れるとスコア的にも試合終了3分前まで23対7と全くいいところがなく完敗。これでケリー監督のUCLAでの戦績は3勝11敗、そしてカンファレンス外チームとの交流戦成績はなんと0勝5敗。来週はオクラホマ大との対戦を控えており、3連敗は免れなそうです。

深夜4時半に試合終了・・・

先週14位だったワシントン大カリフォルニア大と対戦。この試合の開始時刻は現地時間で夜7時半、東海岸時間で夜10時半のキックオフタイム。しかし何と途中で悪天候のため3時間も試合が中断され、その結果試合が終わったのは現地時間の深夜1時半。東海岸時間なら朝4時半というとんでもない試合となりました。

ゲームの方はというと、カリフォルニア大が1点差でワシントン大を下す大金星を手に入れますが、ワシントン大にとってみればいかにキャンパスのあるシアトル市が雨が多い都市だったとしても、流石にこの試合はワシントン大に分が悪かったのでしょうか。

アウェーの洗礼?

先週の大一番となったルイジアナ州立大テキサス大の試合はルイジアナ州立大に軍配が上がりましたが、彼らが克服しなければならなかったのはテキサス大の猛攻だけではなく、それ以外にもあったようです。

というのも彼らに与えられたビジター用のロッカールームには動いているエアコンが一つもなかったのだとか。テキサス州は高温で知られており、この日も気温は華氏100度(摂氏約38度)とかなりの暑さ。にも関わらずエアコンが動いていなかったというのはまさにアウェーの洗礼だったのでしょうが、それにも負けず試合に勝ったルイジアナ州立大に拍手を贈りたいです。

それはないんじゃない?!

秋の大学スポーツはとかくアメフトが取り上げられますが、アメリカにはその他にもシーズン中のスポーツがたくさんあります。そのうちの一つがフィールドホッケーなのですが、ケント州立大のキャンパスで行われていたテンプル大とメーン大のフィールドホッケーの試合がケント州立大のフットボール部の試合のせいで強制終了させらたのだとか。

このフィールドホッケーの試合は接戦の末オーバータイムにもつれ込んだそうですが、そのせいで同じエリアで試合時間が迫っていたケント州立大とケネソー州立大の試合開始のための花火を上げるため、消防局の規制により大学側がフィールドホッケーの試合の継続を許さなかったというのです。つまりフットボールの試合のほうがフィールドホッケーよりも重要だという判断なのでしょうね。

まあフィールドホッケーとフットボールの試合がオーバーラップしてしまうようなスケジュールを組んだ人間も悪いのですが、大学スポーツではアメフト部やバスケ部が贔屓される傾向がある中で、彼らをあまり良く思っていない他のスポーツ部選手がいることも実は多く、今回のこの事によりさらにアメフト部に嫌気が差してしまった人が増えてしまったでしょうね。

Who da boss?!

これは先週末の話ではないのですが、開幕戦デューク大と対戦してこれを一蹴した全米2位のアラバマ大の話。

アラバマ大の長であるニック・セイバン(Nick Saban)監督はサイドラインで感情を隠さない非常に激情的な人物として有名です。気に入らないことがあればたとえそれが自らのアシスタントコーチでも人目をはばからず怒鳴り散らします。それを「Ass Chewing」なんて表現するメディアもありますが、当然それは審判団にも向けられることがあります。

そしてデューク大戦での第3Q、審判団の判定に不服を持ったセイバン監督は放送禁止用語連発で彼らをこき下ろしたのですが、これが行き過ぎて非紳士的行為(アンスポーツマンライクコンダクト)の反則を取られたのです。

もちろん感情的になってしまうのは仕方ないことなのですが、これをよく思わない人も中にはいるわけで、その最たる人物が彼の奥様であるテリー・セイバン(Terry Saban)さん。なんと彼女は旦那様の行き過ぎた行為に対してトレッドミルで20分走るという「罰則」をセイバン監督自らに課したといのです。

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2年前のCFPナショナルタイトルゲーム後のセイバン夫妻

これまで6度のナショナルタイトルを手に入れているセイバン監督はカレッジフットボール史上最高の監督という呼び声が高いですが、その彼もテリーさんには頭が上がらない所を見ると、アラバマ大の本当のボスはテリーさんということにもなりそうです(笑)。

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