カレッジフットボールの様々なシーンで耳にすることができるミュージックを紹介するシリーズ。
第1弾では、カレッジフットボールを放映してきたテレビ番組のテーマ曲やイントロ曲を紹介。そして第2弾ではスタジアムでのパンプアップソングをご紹介しました。
最終回となる第3弾目の今回は、カレッジフットボールの試合会場であるスタジアムにおいて、ファンたちが合唱してしまうようなシングアロングソングをいくつかご紹介足します。
シングアロングソング
海外のサッカーの試合を見たりすると応援の一部として集まったファンが示し合わせるように歌を歌って会場を盛り上げているようなシーンを見かけることが多いのではないでしょうか。日本でも野球なら阪神の「六甲おろし」を大合唱するとか、そういったものに非常に似ています。
カレッジフットボールの試合でもそのように思わず会場中が大合唱してしまうようなミュージックがあったりします。それは時に皆が知っているような歌であったり、時にその大学でだけ歌われるユニークな由来を持つ歌だったりと様々です。
試合会前、試合途中、そして試合終了後と様々なシーンにおいてこの大合唱のシーンが見られますが、今回はその中でも筆者にとって印象深いシングアロング曲を数曲ピックしてお届けいたします。
目次
Sweet Caroline
1969年にニール・ダイアモンド(Neil Diamond)によってリリースされたのがこの「Sweet Caroline」。
ダイアモンド氏はこの曲を奥様のマーシア(Marcia)さんに送る曲として書きましたが、「Sweet Marcia」というタイトルは語呂が悪いということで他に何かないかと探していたところ、当時非常に可愛いということで話題になっていた、ジョン・F・ケネディー(John F. Kennedy)大統領のお嬢さんであるキャロライン(Caroline)さんから名前を拝借してそれを歌のタイトルにしたという経緯がありました。
そして時が流れて1997年。MLB(大リーグ)のボストンレッドソックスのフェンウェイパークにおいて、当時スタジアムのスタッフに赤ちゃんが産まれその子の名前がキャロラインだったことから、それを祝福するためにこの「Sweet Caroline」が試合中に流されたのですが、これが流れるとファンが合掌し始め、しかも試合にもボストンレッドソックスが勝ったため、以来この曲が勝利をもたらす曲ということで頻繁に流されるようになりました。
そしてこの曲がレッドソックスの試合でだけでなく他のスポーツイベントでもよくかけられるようになり、その度にそれぞれの会場ではファンが曲に合わせて大合唱するというのがお決まりのシーンとなったのです。
ちなみにこの「Sweet Caroline」を合唱するという現象は海を超えてヨーロッパのサッカーの試合でも見られるようになり、国際的なトラディションとなっているようです。
Sweet Home Alabama
アメリカのロックバンド、レナード・スキナード(Lynyrd Skynyrd)の曲である「Sweet Home Alabama」はその名の通りアラバマ大のフットボールの試合でなくてはならない名物曲となっています。
サビの部分の「スウィート・ホーム・アラバマ!」と歌うところではその後に間髪入れずに、アラバマ大の決まり文句でもある「ロール・タイド・ロール」をファンはねじ込んできます(笑)。この一体感はなかなかのものです。
1974年にリリースされたこの「Sweet Home Alabama」は実はそれより前にリリースされた、ニール・ヤング(Neil Young)の「Southern Man」という曲に対するアンサーソングでもありました。
「Southern Man」が人種差別が蔓延っていたネガティブなイメージの南部のことを歌っていたのに対し、レナード・スキナードはその逆に南部は非常にいいところだということを歌い、また直接ヤング氏を暗に批判する歌詞すら含まれています。
もっというと、当時人種差別主義を明言していたアラバマ州の州知事であるジョージ・ワレス(George Wallace)氏をチクリとする歌詞すらあったりするのです。
アラバマ大ではそのタイトルから長年愛される曲となってはいますが、実はこの曲にはそんな歴史的背景が含まれていたんですね。
Rocky Top
1967年にリリースされたカントリーバンドのオズボーン・ブラザーズ(The Osborne Brothers)が発表したロッキートップ(Rocky Top)は、発売当初は泣かず飛ばずでしたが、1971年にリン・アンダーソン(Lynn Anderson)がこの曲をカバーしたことでポピュラリティーが一気に上がりました。
アパラチア山脈に位置するテネシー大のあったノックスビル市はたびたび「ロッキートップ」と呼ばれることがあり、そのことからこの曲がテネシー大に深く関わるまでそう時間はかかりませんでした。1976年にはすでにテネシー大のマーチングバンドがフットボールの試合で演奏されており、以来現在まで正式な同大のファイトソングである「Down the Field」よりも有名なファイトソングとして愛されています。
また現在では勝った試合の後に先発QBがマーチングバンドを指揮してこのロッキートップを演奏するのがトラディションとなっていますが、これを始めたのがかのペイトン・マニング(Payton Manning)氏だとされています。
Mr. Brightside
ミシガン大では2003年にリリースされたザ・キラーズ(The Killers)のMr. ブライトサイド(Mr. Brightside)が流されてそれに合わせてスタジアム中が大合唱するのがトラディションとなりつつあります。
アメリカで最も収容人員数が多いミシガン大のミシガンスタジアム(10万7601人)でこの曲が歌われるシーンは圧巻!特にスタジアム中をスクールカラーの黄色(メイズ色)に染め上げる「メイズアウト」の試合でこの曲が流される風景は特筆に値します。
またこの曲はミシガン大だけでなく、ACC(アトランティックコーストカンファレンス)所属のボストンカレッジでも同じようにこの曲が流されると観客中が合唱することが通例となっているようです。
I Won’t Back Down
1989年にリリースされたこの「I Won’t Back Down」を歌うトム・ペティー(Tom Petty)はもともとフロリダ大があるゲインズビル市出身。若い頃はフロリダ大のベンヒルグリフィンスタジアムでグラウンドクルーとして働いていたこともあるくらいフロリダ大とはゆかりのある人物です。
この曲はそのタイトル通り「やられても立ち上がる」とか「苦境に負けない」といった意味が込められており、2001年の9月11日に起きた全米同時多発テロ後には、悲劇にも負けずに立ち上がるという復興のシンボルとして流された曲でもあります。
しかしそのペティー氏は2017年に急死。そしてフロリダ大は彼を追悼する意味を込めて他界後翌週のルイジアナ州立大戦でこの曲をかけるとスタジアム中のファンがペティー市に届けとばかりに大合唱を始めたのです。
以来フロリダ大では第3Qが終わり第4Qが始まる前にこの曲が流されることがトラディションになっています。
Take Me Home, Country Roads
カントリーシンガーのジョン・デンヴァー(John Denver)が1971年に発表したのがこの「Take me Home, Country Roads」です。この年の最大のヒットソングとなったこの曲はビルボードでも2位まで上昇するなどし、知名度を上げました。
曲の方はウエストバージニア州の美しい風景を歌うような内容で、「ウエストバージニア」という固有名詞も出てくるほど。そんなこともあってこの曲はウエストバージニア州で最も州民から愛される曲へとなっていきました。
そしてウエストバージニア大のフットボールの試合ではリリースの翌年である1972年から大学のマーチングバンドによってこの曲が演奏され、これに合わせてファンと選手が一体となって歌うのが慣習となりました。特に勝った試合の後に選手たちがスタンド側までよってファンと共に歌うのが印象的です。
===
ということでここまで3回にわたって「カレッジフットボールを彩るミュージック」をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
選曲の方は筆者がパッと思いついたものを集めさせていただきましたが、今回ご紹介した曲以外でもカレッジフットボールのシーンでよく耳にするミュージックがあるかと思います。
もし他にもこんな曲もあるよとか、この曲が私は大好きです、とかそういったコメントがあればぜひTwitterのDMやメール、もしくは当サイトのGoogleフォームにお寄せいただけると幸いです!
(終わり)