2019年度春季トレーニングリポート【その4】

2019年度春季トレーニングリポート【その4】

各地で行われている春季トレーニングもいよいよ佳境を迎えています。先週末はルイジアナ州立大、サザンカリフォルニア大、クレムソン大、フロリダ州立大などのチームが紅白戦「スプリングゲーム」を行いました。今週末は「スプリングゲーム」のピークを迎え、さらに各地で多くの春季トレーニングの締めくくりとなる紅白戦が行われる予定です。その中から主なチームの春の状況を織り交ぜながら紅白戦で注目したいポイントを紹介します。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

アラバマ大

昨年はクレムソン大との頂上決戦に敗れ2連覇を逃したアラバマ大。その悔しさをモチベーションに変えて来季に向けた春季トレーニングをこなしています。

先日も書いたようにアラバマ大からはアンサンヒーロー、ジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)がオクラホマ大へ旅立っていきました。ファンに愛されたハーツが出ていったことはファンをセンチな気持ちにしましたが、戦力的にはアラバマ大には確固たる先発QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)が健在。彼がもし怪我したら・・・という状況を除けばチームのQB事情は安泰です。

RB陣からはベテランのダミアン・ハリス(Damien Harris)とジョシュ・ジェイコブス(Josh Jacobs)がチームを去り、昨年まで3番手だったナジー・ハリス(Najee Harris)がいよいよフューチャーRBとして登場します。一時は先発機会に恵まれずトランスファー(転校)も考えていたというハリスですが、満を持してアラバマ大のランゲームを担うことになります。WR陣はほぼ全員が昨年のチームから戻ってくることになり、オフェンス陣の火力はおそらく落ちることはないでしょう。

立て直しが必要となるのはディフェンス陣、とくにDLのメンツです。昨年ブレークしたDLクウィンエン・ウィリアムス(Quinnen Williams)に加えアイゼア・バグス(Isaiah Buggs)がチームを去り、この穴を誰が埋めるのかがきになるところ。しかし毎年多くの人材をプロに送り出しながら次々の次世代の選手が育っているところにアラバマ大の層の厚さを見ることが出来ます。まさに「Rebuild(再建)」ではなく「Reload(補充)」でチーム力を維持しているのです。


フロリダ大

長らくナショナルタイトル争いから遠ざかっているフロリダ大ですが、昨年ダン・マレン(Dan Mullen)監督を新監督に迎え10勝3敗と二桁勝利を挙げることに成功しました。そして今年こそいよいよカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場を、と期待がかかっています。

オフェンスのマジシャンとして知られるマレン監督にとってQBフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)の育成は必須事項です。マレン監督以前にはなかなか絶対的なQBが成長してこなかったフロリダ大ですが、ティム・ティーボ(Tim Tebow)氏やダーク・プレスコット(Dak Prescott、現ダラスカウボーイズ)を育てたマレン監督のもとフランクスは昨年見違えるほどに進化を遂げました。しかしフロリダ大が再び天下を取るには彼にはさらなる成長が望まれます。

その他に注目したい選手はカーダリウス・トニー(Kadarius Toney)。RB、WR、そしてワイルドキャットQBとなんでもこなすマルチタレントプレーヤーであるトニーは3年生となりチームのオフェンスのカギを握る選手となります。2019年度シーズンにカレッジフットボール界で旋風を巻き起こせるだけのポテンシャルを持っている彼がどのように起用されるのかが注目されます。

一方昨年マレン監督初年度ながらチームが躍進した背景には堅実なOL陣の存在がありました。しかしその5人のメンバーから実に4人の選手が抜け今年のこのユニットはリフォームを強いられます。

ペンシルバニア州立大

サンダスキー事件」に端を発し全米の表舞台から消えかけていたペンシルバニア州立大ですが、紆余曲折を経て2016年度には大外からBig Tenカンファレンスタイトルを獲得。このタイトルシーズンを支えたRBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley、現ニューヨークジャイアンツ)は一昨年に去り、さらにはQBトレース・マクソーリー(Trace McSorley)もいよいよ昨年度を最後にチームを去り、チームの色は来季からガラリと変わることになります。

マクソーリーの後釜に期待されているのは3年間この機会を待ち続けてきたトミー・スティーヴンス(Tommy Stevens)ですが、彼は昨シーズン後に足の出術を受けたためにこの春季トレーニングはその回復に努めていると思われます。そこで注目されるのは鳴り物入りで入部してきた1年生(レッドシャツ)ウィル・レヴィス(Will Levis)です。将来のペンステートを背負って立つことになるレヴィスがどれだけのポテンシャルを秘めているのか、その片鱗を見ることができるかもしれません。

ペンステートは今オフ実に11人の選手が大学外へと転校していきました。そしてマクソーリーだけでなく先発RBマイルズ・サンダース(Miles Sanders)、DLケヴィン・ギヴィンズ(Kevin Givens)、OLライアン・ベイツ(Ryan Bates)などはNFLへと旅立っていきましたし、その他にも数人が問題を起こして退部させられるなどしロースターは穴だらけ。ジェームス・フランクリン(James Franklin)監督体制になってからリクルーティングで大成功を収めているため、ポテンシャルの高い下級生達が揃っているとはいえ、来季のペンステートはチーム色がガラッと変わったチームになっていることでしょう。それがどんなものなのかを多少なりとも彼らの紅白戦「Blue & White Game」で拝めるかもしれません。

ミシガン大

ミシガン大のオフェンス陣ではQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)の昨シーズン以降の去就に注目が集まっていましたが、プロ入りを延期して今年もミシガン大に帰ってくることになり、ファンは一安心していることでしょう。元5つ星QBでミシシッピ大からの転校生であるパターソンはジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督の目指すオフェンスを体現できるQBとして期待されました。明らかにそれまでのオフェンスとは違う一面を見せてくれたパターソンではありますが、彼らがさらに上の高みに上り詰めるためにはパターソンがこれまで以上にプレーのレベルを高める必要があります。

そしてミシガン大の新オフェンシブコーディネーターには昨年までアラバマ大にいたジョシュ・ガティス(Josh Gattis)氏。アラバマ大のオフェンスをそのままミシガン大に注入するとは思えませんが、アラバマ大ではパス4.5:ラン5.5ぐらいの割合のオフェンスが用いられていました。もしこれがミシガン大にも適用されるのであれば、ミシガン大に確固たるランゲームが確立されればひょっとしたらパターソンのパス能力を引き出すきっかけになるかもしれません。そのためには今年のNFLドラフトへ早期入りしたRBカラン・ヒグドン(Karan Higdon)の後継者が誰になるのか気になるところです。

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