2019年に不当解雇されたとペンシルバニア州立大(ペンステート)を訴えていた元チームドクターのスコット・リンチ(Scott Lynch)医師が今年5月にこの訴訟に勝利し賠償金として525万ドル(1ドル100円計算で約5億2500万円)が支払われる決定がくだされました。
この裁判には元選手だったRBセイクワン・バークリー(Sequon Barkley、現ボルティモアレイヴンズ)やQBトレイス・マクソーリー(Trace McSorley)が参考証人として呼ばれるなどしました。
2019年に訴えを起こした際、リンチ医師は訴訟の理由として、自分がフットボール部のヘッドドクターだったときに、HCのジェームス・フランクリン(James Franklin)監督が診断の決定に介入しようとしてきたことを頑なに断ったために解雇されたのは不当だ、ということでした。
当時リンチ医師はフランクリン監督の行動は適当ではないと訴える電子メールを監督自身に送ったようですが、これ以降双方の関係は悪化。このことからフランクリン監督の意思でリンチ医師は不当に排除(解雇)された、と訴えたのです。
その他にも怪我をしている選手をフルで練習させたり、主力選手が怪我で試合に出れないとなると大きく反発してきたり、リンチ医師がミーティングの要請をしても無視を決め込んだりと、フランクリン監督とリンチ医師の関係はどうやら大変ギスギスしていたものだったようです。
ただ、最終的にこの裁判の被告人からペンステートの体育局、フランクリン監督、AD(体育局長)は除外され、裁判に負けたのはリンチ医師の直接の雇用人だったペンステートメディカルセンターでした。ただ、火のないところに煙は立たないといいますから、フランクリン監督の評判は少々下がってしまいそうです。
ちなみに実は2014年にも似たような事が起きており、このときは当時のチームドクターだったピート・セイデンバーグ(Pete Seidenberg)医師が、フランクリン監督がスカラシップの枠を確保するために、当時自殺未遂を犯していたスカラシップ選手を医療の理由で引退(Medical disqualification)させるようセイデンバーグ医師に迫った、という出来事でした。
これも勝利至上主義が生む悪しき風習なのか、もしくはただ単にフランクリン監督自身の問題なのか・・・。