第3位:UCLA vs ワシントン州立大
UCLA67、ワシントン州立大63
昨季第4週目、全米19位にランクされたワシントン州立大はまだ勝ち星のなかったUCLAをホームに迎え、恐らく楽に4勝目を上げることが出来ると誰もが思っていたことでしょう。しかし時差の関係もあり多くの人が寝静まってしまった西海岸ではとんでもない試合が繰り広げられていたのです。

前半35対17とダブルスコアでリードを奪ったワシントン州立大。第3QまでにQBアンソニー・ゴードン(Anthony Gordon)は何と7つものTDパスを積み重ね、このクォーター残り7分を切ったところでスコアは49対17と32点差がつき、誰しもがワシントン州立大の大勝は確実だと思っていたはずです。
しかし。
UCLAはそこから何と4連続TDを決め、8分の間にスコアは49対46の3点差にまで点差が縮まってしまいます。不穏な雰囲気が流れるワシントン州立大のホームスタジアム。しかしこの日ゴードンの8つ目のTDパスが決まり、残り時間10分というところで再びワシントン州立大が点差を広げます。
それでもひるまないUCLAはQBドリアン・トンプソン・ロビンソン(Dorian Thompson-Robinson)のTDラン、更にはカイル・フィリップス(Kyle Philips)の69ヤードのパントリターンTDで応戦し、試合時間残り7分30秒でなんと60対56と32点差あった試合をひっくり返したのです。
でもここでまだドラマは終わりません。返しのワシントン州立大の攻撃でゴードンが何と9つ目のTDパスを決め残り6分で再び63対60とリードを奪います。
UCLAは最後と思われた攻撃のチャンスで相手陣内17ヤードまで進撃しますが、4th&5ヤードという後がない状況でトンプソン・ロビンソンのパスがインコンプリート。残り時間は2分半ということで絶体絶命のピンチを迎えます。ワシントン州立大はボールを保持し時間をかせぐだけでよかったのですが、ここでマイク・リーチ(Mike Leach)監督はパスプレーを選択。ゴードンのパスはWRイーソップ・ウィンストン(Easop Winston Jr.)につながるもウィンストンがこのボールをファンブル。それをUCLAがリカバーしてここでまたとないチャンスを得ることになります。
そして4プレー後、トンプソン・ロビンソンの15ヤードTDパスが決まり、試合時間残り1分7秒というところでUCLAが起死回生の逆転TD!67対63とこの土壇場でリードを奪いました。
後のないワシントン州立大は最後の望みをかけますが、ゴードンが痛恨のQBサックを受けファンブルしたボールをUCLAディフェンダーにリカバーされ万事休す。UCLAが32点差あった試合をものにしたのです。
ワシントン州立大のQBゴードンは合計9つのTDを記録。これは昨年のQBガードナー・ミンシュー(Gardner Minshew、現ジャクソンビルジャガーズ)が樹立したスクールレコードの7TDを上回る数字ですが、これでも勝てなかったという物凄さ。ちなみにNCAA記録は元ヒューストン大QBデヴィッド・クリングラー(David Klingler)氏が1990年に打ち立てた11TDです。
また、32点差をひっくり返すという偉業はこれまで3度しか実現されていません。NCAA記録は35点差をひっくり返したミシガン州立大(vsノースウエスタン大、2006年)ですが、その次の記録は何とまたUCLA。これは2017年度の開幕戦でのテキサスA&M大戦で記録した34点差からのカムバック。この時のQBはジョシュ・ローゼン(Josh Rosen、現マイアミドルフィンズ)で彼は491ヤードを投げきってこの奇跡を起こしました。
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