いよいよ今季もレギュラーシーズン最終戦を迎えるに至りました。今週末の結果次第でカンファレンス優勝決定戦出場を決めるチーム、その先にあるプレーオフ出場への望みをつなぐチーム、勝ち越しを決めてボウルゲーム出場資格を獲得するチームなど様々。さらに通常シーズンフィナーレは全国各地でライバル同士の対決、いわゆるライバリーゲームが開催されることでも知られており、優勝争いに絡んで無くとも憎き宿敵だけには負けたくないと一層気合が入る試合でもあります。またボウルゲームに出場できないチームの4年生選手としては大学生活最後の試合になるわけで・・・。
様々な思いを馳せた選手たちが駆け抜ける第14週目の見どころをざっくりお伝えします。
(今週はアメリカの休暇であるサンクスギビングで出先のため時間が限られておりまともに記事がかけないのはあしからず)
目次
オハイオ州立大@ミシガン大
「The Game」という名を持つこの2校のライバリーは1897年から始まり今年で116回目を迎えます。アメリカのカレッジフットボール界で最も有名と言われるライバリーでもあり、両チームがどんな成績を送っていたとしても常に注目を浴びるマッチアップであります。
今年はオハイオ州立大が1位でプレーオフを目指して躍進中。一方のミシガン大は既に2敗を喫しておりプレーオフレースからは脱落。しかしライバルであるオハイオ州立大にいい思いをさせまいと気合を入れてくるでしょう。しかもここまでミシガン大はオハイオ州立大に7連敗中。そろそろこの悪しきトレンドを断ち切りたいところ。
ミシガン大はウィスコンシン大に負けたあたりからチームの評価が急降下。特にオフェンスのパワー不足が強いディフェンスの足を引っ張り、結局今年もいいのは前評判だけか・・・と思わせました。
しかし2敗目となったペンシルバニア州立大戦では負けたものの後半に怒涛の反撃を見せ、その試合で何かのスイッチが入ったようにチームは徐々に上向きに。ペンステート戦後は4連勝でその4試合の平均得点が約41点、平均失点数も約11点とチーム全体としてのパワーアップが垣間見れるようになりました。この流れでオハイオ州立大を迎えられるのは絶好のタイミングだと言えましょう。
オハイオ州立大は今季からライアン・デイ(Ryan Day)新監督のもと成すべきことをしっかりと成し全勝でここまでやってきました。最新CFPランキングでは全米1位となりプレーオフに向けてまっしぐらです。先週は8位のペンステートを28対17で退けましたが、今週は再びランカー(13位)であるミシガン大との対決。このシーズン終盤に2試合連続ランカーを相手にしなければならないのは酷ではありますが、これも強豪の宿命だということでしょうか。
オハイオ州立大のオフェンスにはハイズマントロフィー候補QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)にRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)が健在。ディフェンス陣はディフェンダーとしてハイズマントロフィー候補にも挙げられているDLチェイス・ヤング(Chase Young)が中心となる強固なユニット。トータルオフェンスは全米6位、トータルディフェンスが全米1位という非常にバランスの取れたチームで平均得点約50点、平均失点約10点(共に全米1位)と今季のカレッジフットボール界でも最強の呼び声が高いチームなのです。
そんなオハイオ州立大を相手にしなければならないミシガン大ですが、シーズン中盤のときよりも彼らが番狂わせを起こす可能性は増えているのではないかと筆者は感じています。相手オフェンスを止めることは大変難しいタスクですから彼らに勝機があるとすればオハイオ州立大と点取合戦を演じてこれに競り勝つことです。
ミシガン大QBシェイ・パターソン(Shea Patterson)は過去最近4試合で12TDを獲得。犯したINTはたったの1つと絶好調。シーズン前半戦は彼のチグハグなプレーが目立ちましたが、ここ最近の活躍を見れば彼の最高潮がこの試合で発揮されればひょっとしたら・・・と思わせてくれるチーム状態だといえそうです。
アラバマ大@アーバン大
所属するサウスイースタンカンファレンス(SEC)西地区優勝を逃した全米5位のアラバマ大。それ故このアーバン大との「アイロンボウル」が彼らにとってレギュラーシーズン最後の試合となってしまうわけですが、彼らがCFPに滑り込むための可能性を残すためにはCFP選考委員会に納得させられるような完全勝利をアーバン大から奪う必要があります。
2週間前のミシシッピ州立大戦でスターQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagoviloa)がシーズン絶望となる大怪我をして戦線離脱。その穴を埋めるのが2年生のマック・ジョーンズ(Mac Jones)ですが、先週のウエスタンカロライナ大戦では相手が超格下とは言え275ヤードに3TDとまずまずの数字を残しファンを安心させました。
他にもジョーンズは今シーズンタガヴァイロアのバックアップとして数試合に途中出場。サウスカロライナ大、テネシー大、ミシシッピ州立大、そしてアーカンソー大ではフル出場を果たし48投中34回のパスを成功させ350ヤードに3TD(1INT)という記録も残しています。
ただ当然ジョーンズが対峙しなければならないアーバン大ディフェンスは今挙げたどのチームよりも強力なユニット。経験不足なジョーンズがこのディフェンス陣にどれだけのダメージを与えられるかに勝利の鍵が隠されていると思われます。
アラバマ大にとって朗報なのは怪我で戦線を離れていたDLリーコン・デーヴィス(Reakwon Davis)、D.J.デール(D.J. Dale)、フィダリアン・マティス(Phidarian Mathis)の面々が怪我から復帰してこの試合に出場できることでしょうか。アラバマ大のランディフェンスは全米26位ですが、アーバン大のタフなランアタックを凌ぐには彼らの存在が必須です。
アーバン大ディフェンスは今シーズン一度も相手に24点以上を許してこないというパワフルなユニット。しかも試合を追うごとにどんどんシャープになっており、この「アイロンボウル」で彼らがベストの状態で臨んでくることが予想されます。
アラバマ大が勝ってプレーオフへの望みをつなぐことが出来るか、はたまたアーバン大がライバルチームの望みを断ち切る勝利をあげられることができるか・・・。オハイオ州立大とミシガン大のライバリーと知名度を二分するこの「アイロンボウル」にも目が離せません。
テキサスA&M大@ルイジアナ州立大
最新CFPランキングで2位となり首位から陥落したルイジアナ州立大ですが、プレーオフ進出に関して言えばこの順位は特に問題視することではなさそうです。テキサスA&M大は開幕前の評価ほどの結果を出すことができておらず(7勝4敗)、ルイジアナ州立大としては油断でもしない限り白星を収め来週のジョージア大とのSECタイトルマッチを迎えることになりそうです。
コロラド大@ユタ大
CFP6位のユタ大はこのコロラド大戦に勝てばPac-12カンファレンス南地区を制して北地区代表のオレゴン大と対戦することになります。プレーオフへの希望を繋ぐためにも1敗を守り続けなければなりません。仮にこの試合に負けると南地区のタイトルはサザンカリフォルニア大に渡ることになり、ユタ大はプレーオフを逃すばかりかカンファレンスタイトルも逃すことになってしまいます。
オクラホマ大@オクラホマ州立大
全米7位のオクラホマ大は既にBig 12カンファレンス優勝決定戦出場を決めていますが、だからといって今週末のオクラホマ州立大戦が何の意味もない試合であるというわけではありません。
なんと言っても両チームは同じオクラホマ州内にキャンパスを置くライバル同士。オクラホマ大はこの試合に勝ってベイラー大とのリマッチで勝利を収めなければプレーオフ出場の可能性は潰えてしまいます。オクラホマ州立大はここまで8勝3敗。この試合に勝ちボウルゲームにも勝てば10勝シーズンとなり彼らにとってもライバルを打ち負かすこと以上の意味合いをこの試合に見出してくるはず。オクラホマ大は決して気を抜くことはできません。
ウィスコンシン大@ミネソタ大
未だ1敗でCFP8位のミネソタ大。そして2敗ながらこのミネソタ大戦に勝てばBig Tenカンファレンス西地区タイトルを得て優勝決定戦に駒を進めることが出来るウィスコンシン大。勝ったほうがオハイオ州立大との試合に望むということでこの試合も見逃せない試合です。
ミネソタ大はこの試合に勝ちオハイオ州立大にも勝つことができればプレーオフ進出が可能とされており、究極的に言えば全米タイトル争いをしているチームと言えます。この試合に勝てば自身初のカンファレンス優勝決定戦出場となりこの試合に様々な意味合いが込められていますが、今季ホームで負けなしの彼らが本拠地でウィスコンシン大を迎えられるのは強みです。
ウィスコンシン大は今季NCAAレコードを塗り替え続けるスターRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)がどれだけミネソタ大ディフェンスを掻い潜ってヤードを稼げるかに注目。ミネソタ大は今季テイラーほどのエリートRBを相手にしたことがありませんから、彼らのランディフェンス(全米27位、1試合平均123.8ヤード)がどれだけ通用するのかも気になるところです。
シンシナティ大@メンフィス大
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)の東地区を既に制しているシンシナティ大とこの試合に勝てば西地区を制することになるメンフィス大との対決。「グループオブ5」チーム同士の試合ですが、メンフィス大が18位、シンシナティ大が17位とランクされているだけでなく彼らが「グループオブ5」出身チームでランクされているからこそこの試合にはぜひ注目していただきたいところ。
それは「グループオブ5」カンファレンス群出身チームの中でCFPランキングが最も高いチームが「ニューイヤーズ6」ボウルと呼ばれる上位レベルのボウルゲームに招待されるからです。今年は「コットンボウル」に招待されることが予想されていますが、この試合の勝者がその栄誉あるボウルゲーム出場に一歩近づくからです。
メンフィス大が勝てば彼らが地区優勝を果たし翌週に再びシンシナティ大とのAAC優勝決定戦に臨むことになります。それは同時にシンシナティ大が「ニューイヤーズ6」ボウル出場権を逃すことを意味します。もしメンフィス大が敗れ、さらに海軍士官学校がヒューストン大に勝つとメンフィス大は「ニューイヤーズ6」ボウルに出場できないだけでなく海軍士官学校に地区優勝をさらわれてしまいます。
バージニア工科大@バージニア大
今季開幕後2勝2敗とした古豪バージニア工科大はしばらく全米の表舞台から消えましたがこの最終戦に至るまで3連勝。結果的に8勝1敗でアトランティックコートカンファレンスの海岸地区(コースタル)でバージニア大と1位を争うところまで復活してきました。
そのバージニア大とこの最終戦で地区優勝を賭けて争うわけですが、チーム名からも察しがつくようにこの2チームはバージニア州にあってライバル関係にあります。そんな2チームが最終戦に地区優勝を賭けて対戦するとは中々出来すぎているセッティングです。
バージニア工科大が地区制覇を果たせば2016年以来、バージニア大が制すれば初出場となります。(ACC優勝決定戦は2005年から導入されたため)
その他のライバリーゲーム
(括弧内はライバリーゲームの別名あるいは勝者に贈られるトロフィーの名前)
クレムソン大@サウスカロライナ大「パルメットボウル」
ジョージア大@ジョージア工科大「クリーン、オールド・ファッションド・ヘイト」
フロリダ州立大@フロリダ大「サンシャインショーダウン」
オレゴン州立大@オレゴン大「シビルウォー」
ノートルダム大@スタンフォード大
ルイビル大@ケンタッキー大「ガヴァナーズカップ」
ノースカロライナ大@ノースカロライナ州立大
テキサス工科大@テキサス大「キャンセラーズ・スパーズ」
ノースウェスタン大@イリノイ大「スウィート・サイオックス・トマホーク」
インディアナ大@パデュー大「オールド・オーケン・バケット」
ワシントン州立大@ワシントン大「アップルカップ」
アリゾナ大@アリゾナ州立大「テリトリアルカップ」
カリフォルニア大@UCLA「ベアーボウル」
ミシシッピ大@ミシシッピ州立大「エッグボウル」
ヴァンダービルト大@テネシー大
ジョージア州立大@ジョージアサザン大「モダンデー・ヘイト」
ルイジアナ大モンロー校@ルイジアナ大ラフィエット校「バトル・オブ・バイユー」