2019年度9月の通信簿

2019年度9月の通信簿

今季のカレッジフットボールも9月の全日程を終え10月に突入。レギュラーシーズンも3分の1を消化して季節はいよいよ本格的な秋を迎えていきます。カレッジフットボールの秋はちょっと肌寒いゲームデーが独特な雰囲気を醸し出し基本的に大好きな季節です。

カレッジフットボールの勢力図はと言うと5週間を終えて大分その力関係が固まってきました。開幕前と比べるとランキングの顔ぶれも多少変わっていますし、毎評判が高かった割にはいまいちなチームもあったりします。そこで今回は9月までの5週間を振り返って通信簿をつけたりしてみたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

A(大変良く出来ました)

アラバマ大

開幕戦のデューク大との試合では立ち上がりがスローで今年はどうかなーと思わせましたが、結果的にここまで259得点と1試合平均50得点というとんでもない数字を叩き出しています。ただ74失点もしており平均失点数は15点。これは決して悪い数字ではありませんが、以前のアラバマ大ディフェンスと比べれば多少いつもより失点が多いかなと思ってしまいます。どちらにせよ9月最後のランキングでクレムソン大を抜いて1位に躍り出ましたから、まずは及第点をあげても問題ないでしょう。

ジョージア大

ジョージア大もここまで無敗ですが、4週目のノートルダム大との一戦を制したことで彼らの実力を知らしめることが出来ました。派手なチームではありませんが、堅実さと安定感で言えばトップレベルのチームです。

参考記事第4週目レビュー

ルイジアナ州立大

今季のルイジアナ州立大はいつもとは一味違います。それはQBジョー・バロウ(Joe Burrow)の存在。彼の類まれなるパサーとしての才能がチームのオフェンスに広がりを見せてくれています。2戦目で強豪テキサス大を破ったのは大きなプラスですね。

参考記事第2週目レビュー

オハイオ州立大

名将アーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督が引退し、ライアン・デイ(Ryan Day)新監督体制となったオハイオ州立大ですが、開幕前はどうなのかなーと思っていたところ蓋を開けてみるととんでもなく爆発力のあるチームでした。総得点数は268点とアラバマ大と大差ありませんが、失点数が43点と1試合平均9点以下ということで攻守ともに今季随一のパワーを持っているチーム。これからミシガン州立大、ウィスコンシン大、ペンシルバニア州立大らと戦っていく中で彼らの真の力が見えてくるでしょう。

オクラホマ大

転校生QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)が2年前のベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)、昨年のカイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルス)というハイズマントロフィー受賞QBらに負けじと劣らない活躍を見せています。ひょっとしたら3年連続オクラホマ大出身QBがトロフィーを手にするという奇跡が起きるかも?!ディフェンス陣は昨年のズタボロ状態からはかなり良くなりましたが、上に挙げたチームと比べると見劣りしてしまうのは否めません。

アーバン大

今季最も厳しいスケジュールをこなさなければならないと言われるアーバン大。9月は開幕のオレゴン大と3戦目のテキサスA&M大との対戦がありましたがこれらを見事に制し無敗を守っています。1年生QBボ・ニックス(Bo Nix)は場数を踏むたびにどんどん良くなっており、このまま彼らがさらなる強豪チームを倒して全勝をキープできればプレーオフ進出は間違いないでしょう。

ウィスコンシン大

開幕前に19位と比較的評価が低かったウィスコンシン大ですが、ハイズマントロフィー候補RBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)のランアタックと緻密でタフなディフェンス陣のお陰で9月の最後にはトップ10入り(8位)を果たしました。10月末のオハイオ州立大との試合が待ち遠しいところです。


B(よく出来ました)

ノートルダム大

ノートルダム大はネームバリューだけで開幕前からトップ10入りしているなどと揶揄されることが多かったですが、ジョージア大との試合を見れば彼らの強さが本物だったことは明らか。1敗したものの、チーム力を見ればトップ10の仲間入りするだけのものは十分持っているといえます。

フロリダ大

今季ダン・マレン(Dan Mullen)監督体制となって2年目のフロリダ大ですが、ここまでいまだ無敗。ディフェンス陣はかなりのものを持っていますが、オフェンス陣に爆発力がないのが物足りない所。特にランアタックが皆無であることが今後SECの厳しいスケジュールをこなす上で不安材料です。先発QBフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)をシーズン絶望となる怪我で失ったのは大きかったですが、彼の代役であるカイル・トラスク(Kyle Trask)が新たな希望となるでしょうか。

テキサス大

前述のルイジアナ州立大に敗れはしましたが、テキサス大も確実に勝ち星を重ねてきているチーム。再来週のオクラホマ大との「レッドリバーの戦い(Red River Shootout)」でその1敗を挽回できるか。

Pac-12チーム

Pac-12カンファレンスからはオレゴン大(13位)、ワシントン大(15位)、ユタ大(17位)、アリゾナ州立大(20位)の4チームがランクインしていますし、先週まではカリフォルニア大(15位)、サザンカリフォルニア大(21位)もランク内に居たことがあり、それなりの存在感を出しては居ますが、すでにこのカンファレンスからは全勝チームが消え、毎年恒例となった「共食い」状態が続いています。このカンファレンスからプレーオフに出場できるチームを輩出するには突出した強いチームが必要なのですが、今のところそれが見当たらないのが痛いところ。

C(頑張りましょう)

ミシガン大

開幕時には全米7位という評価を受けていたミシガン大は陸軍士官学校に苦戦するとウィスコンシン大に弱さを露呈され20位まで急降下。オフェンス面でのアイデンティティの無さが不調の元凶と言えましょうか。10月以降復活するためにはオフェンスのオーバーホールが急務です。

ネブラスカ大

今季2年目となるスコット・フロスト(Scott Frost)監督へのネブラスカ大ファンの期待は想像を絶するものでしたが、現状はと言うとまだまだリーグ制覇を目論めるほどの実力がないと言わざるを得ません。就任2年目で二桁勝利を求めるのもやりすぎだとは思いますが、期待度からするとがっかりさせられたことは否めません。10月以降の活躍に期待したいところ。

スタンフォード大

Pac-12カンファレンスで常に力を誇示してきたスタンフォード大ですが、2戦目から3連敗と大不振。先週オレゴン州立大に勝ちはしましたが2勝3敗と負け越しており、完全に期待はずれと言わざるを得ません。

マイアミ大

今年からマニー・ディアス(Manny Diaz)監督体制となったマイアミ大。オフシーズンにはオハイオ州立大からの転校生QBテイト・マーテル(Tate Martell)がマイアミ大を復活させるなどという機運が流れていましたが、マーテルは先発QBの座を射止められないばかりかWRに転向するという話も流れ、開幕前の話題はそういった噂話で持ちきりでした。シーズンが始まると開幕戦でフロリダ大、さらに2戦目もノースカロライナ大に敗れ2連敗。現在2勝2敗で彼らのことは話題にも上がってきません。やはり彼らが弱いカレッジフットボール界は面白くないので、早期の復活を願います。

D(残念です)

ジョージア工科大

ジョージア工科大自体は開幕から注目を浴びていたチームというわけではないのですが、トリプルオプションが大好きな筆者としては前監督であるポール・ジョンソン(Paul Johnson)氏が引退したことでジョージア工科大がトリプルオプションを捨てたことがまず残念。そしてジョンソン氏の後を継いだジェフ・コリンズ(Geoff Collins)監督新体制下でチームは超弱体化。たしかにオプションフットボールから近代のスプレッドオフェンスに移行するのは簡単なことではありませんが、個人的にはこんなことならオプションで戦える監督を起用しろよ!と思ってしまうわけです。完全な個人的意見ですが。

バージニア工科大

かつてナショナルタイトル争いにも絡むことが出来たバージニア工科大ですが、それを支えたフランク・ビーマー(Frank Beamer)氏が2015年を最後に引退してからチームは徐々に弱体化。ジャスティン・フエンテ(Justin Fuente)監督1年目の2016年こそビーマー元監督の置き土産を元に10勝を挙げましたが、2017年には9勝、そして昨年は1992年以来の負け越しシーズン(6勝)となり、現在4戦を終えて2勝2敗。カンファレンス戦では未だ勝ち星なしです(0勝2敗)。このままだとフエンテ監督のクビも怪しくなってきます。

ラトガース大

とにかく勝てない。強豪揃いのBig Tenカンファレンスにおいて完全に格の違いを見せつけられているラトガース大はつい先日クリス・アシュ(Chris Ash)監督を解雇。カンファレンス戦では2戦していまだ無得点。残念なチームと言わざるを得ません。

関連記事エクストラポイント【第5週目】

UCLA

オフェンスの鬼才チップ・ケリー(Chip Kelly)監督を迎え2年目となるUCLAですが、昨年の4勝8敗という残念な流れを今年も止められず現在1勝3敗。ワシントン州立大との乱打戦を制して1勝挙げられたのは評価したいのですが、ケリー監督に寄せられる期待度からすればやはりここまでの結果は残念なものです。ただ、先週のアリゾナ大戦では負けはしたものの20対17と調子が上向きになっている気配を醸し出してくれました。せめて今年は勝ち越してかつてのオレゴン大のような爆発力のあるチームに生まれ変わるところを見てみたいものです。

テネシー大

1998年度にナショナルタイトルを獲得したことのあるテネシー大。その頃を知る人物としてはあの強かったテネシー大がここまで落ちぶれてしまっているのは非常に辛いです。名将フィリップ・フルマー(Phillip Fulmer)元監督が解雇されてから10年以上が経ちますが、以来4人の監督がチームを率いてもあの頃の強さを取り戻すことが出来ずに居ます。今年2年目のジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)監督下でも昨年の負け越しの嫌な流れを食い止められずここまで1勝3敗。開幕戦では格下ジョージア州立大にホームで敗れるなどいいところがまるでなし。心の底から残念です。

ここまでの無敗チーム(全18チーム)

アラバマ大
クレムソン大
ジョージア大
オハイオ州立大
ルイジアナ州立大
オクラホマ大
アーバン大
ウィスコンシン大
フロリダ大
ペンシルバニア州立大
アイオワ大
ボイジー州立大
ウェイクフォレスト大
サザンメソディスト大
メンフィス大
ベイラー大
ミネソタ大
アパラチアン州立大

AGS版全米トップ10チーム

9月の各チームの戦いぶりを見て決めた、筆者オリジナルのランキング。完全主観です。

  1. オハイオ州立大
  2. アラバマ大
  3. ルイジアナ州立大
  4. ジョージア大
  5. クレムソン大
  6. アーバン大
  7. オクラホマ大
  8. ノートルダム大
  9. ウィスコンシン大
  10. ペンシルバニア州立大
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