Coaching Carousel【2019年度版】

レギュラーシーズンも残すはそれぞれのカンファレンスのチャンピオンを決める優勝決定戦と伝統の一戦である陸軍士官学校海軍士官学校の一戦のみとなりました。

6勝以上を獲得したチームは来週後に発表されるボウルゲームの招待状を待ち、負け越したチームは今季の全行程を終えひと時の休息に入るわけですが、今年調子が良くなかったチームには来季に向けてすでにテコ入れが敢行されています。

監督業といっても所詮は結果に伴う対価を支払ってもらう職業であることに変わりはなく、結果が出なければ当然それなりの報いを受けなくてはなりません。特に昨今のカレッジフットボールの監督は平気で100万ドル以上の年収を受け取っているわけですから、大学側はそれに見合う結果を残してもらわないと困るわけです。

そんな訳で今年もシーズンが終わった直後から各地で割りに合わないもしくは単純に結果を残せなかった監督やコーチたちが解雇処分にあっています。契約途中で解雇される監督にはそれなりのバイアウト費(違約金)が支払われることになるでしょうから懐事情には困らないものの、やはりクビを切られるというのはいいものではありません。

今回はこれまでに分かっている各地の監督交代劇を紹介したいと思います。

ヘッドコーチ

ワシントン大

今季開幕前にはカンファレンス優勝候補に挙げられていたワシントン大ですが終わってみれば7勝5敗と並みの戦績しか残せませんでしたが、意表を突かれたのがクリス・ピーターセン(Chris Petersen)監督がボウルゲーム後に勇退する決断をしたこと。

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クリス・ピーターセン監督

現在55歳でまだまだ最前線でやれる年齢だとは思いますが自ら身を引く決断を下しました。ワシントン大では53勝25敗でPac-12カンファレンスタイトル2度、CFP進出1度を達成。またこの前のチームであるボイジー州立大では92勝12敗でカンファレンスタイトル5度、最優秀監督賞3度(ドッド賞1度、ベアー・ブライアント賞2度)獲得という素晴らしい経歴の持ち主。

数年前オクラホマ大からボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏が電撃引退した時と同じくらい驚かされましたが、その後釜にはすでにチームのディフェンシブコーディネーターのジミー・レイク(Jimmy Lake)氏の昇格が決まっています。

ラトガース大

ラトガース大はシーズン途中にクリス・アシュ(Chris Ash)監督を解雇。その後釜を探していましたが、アシュ監督解雇直後からかつてチームを率いたことがあるグレッグ・シアーノ(Greg Schiano)氏が次期監督候補だと噂されてきました。一時は両サイドは同じテーブルに着きましたがシアーノ氏側の要求を大学側が飲むことが出来ずに物別れ。

しかし数日後に事態が急展開しシアーノ氏がラトガース大の新監督として復帰することが正式に決定。8年契約で総額3200万ドル(1ドル100円計算で約32億円)のサラリーを受け取ることになります。

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グレッグ・シアーノ氏

シアーノ氏は2001年から2011年までラトガース大を指揮し68勝67敗という数字を残して2012年にはタンパベイバッカニアーズの監督に就任するためにチームを去りました。その後はオハイオ州立大のディフェンシブコーディネーターを前監督であるアーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏の下で務めました。

ラトガース大時代にはカレッジフットボール界のお荷物チームだった彼らを戦える集団に変え、2006年には1976年以来の二桁勝利を挙げるという快挙も成し遂げました。

2017年にはテネシー大の新監督に任命される直前まで行くも、当時彼にかかっていた疑惑(ペンステートのサンダスキー事件に関わりを持っていたのではないかという疑惑)のせいでご破算になっていたこともあります。

ただ筆者の記憶によれば一度去った監督が復活したチームはあまり良い記録を残していません。しかもシアーノ氏が率いていた当時ラトガース大はBig Eastカンファレンスに属しており、今は強豪ひしめくBig Tenカンファレンスのチーム。シアーノ氏が戻ってきたからと言ってラトガース大が強くなるという保証はどこにもないのです・・・。

ミシシッピ大

今季4勝8敗と撃沈したミシシッピ大は今季3期目を終えたマット・ルーク(Matt Luke)監督を解雇。ルーク監督の戦績は15勝21敗と負けが先行していますが、その理由の一つは前監督のヒュー・フリーズ(Hugh Freeze、現リバティー大)氏時代にNCAAからスカラシップ減少というペナルティを喰らった影響もありちょっとかわいそうな気もしますが、かつてフリーズ政権下ではアラバマ大を2度も倒すほどの実力を備えていたチームですから、15勝21敗という数字は大学側にとっては満足できる結果ではなかったわけです。

サウスフロリダ大

アメリカンアスレティックカンファレンス所属のサウスフロリダ大は今季で3シーズン目を終えたばかりのチャーリー・ストロング(Charlie Strong)監督を解雇。

かつてフロリダ大でディフェンシブコーディネーターを務めて名を挙げたストロング氏は2010年にルイビル大で初監督を務め、2季目と3季目にBig Eastカンファレンスタイトルを獲得。その手腕を見込まれて2014年に名門テキサス大にやってきますが、3シーズンで16勝21敗と惨敗しクビを切られた後に2017年からサウスフロリダ大を率いてきました。

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チャーリー・ストロング監督

2017年には10勝2敗という素晴らしい成績を残しましたが、これは彼の前任者であるウィリー・タガート(Willie Taggart)監督の置き見上げ(タガート氏はオレゴン大へ移籍)であり、最近18試合で14敗を喫するなど完全にストロング政権は下火となっていました。

しかもストロング監督は2019年現在FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でも16番目となる高額所得者(年収約5億円)ということで、サウスフロリダ大にとってみればまさに割に合わない結果しか残せなかったわけです。

ボストンカレッジ

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)所属のボストンカレッジもまたテコ入れを敢行したチーム。今シーズン後7年チームを率いたスティーヴ・アダージオ(Steve Addazio)監督と袂を分かちました。

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スティーヴ・アダージオ監督

かつてフロリダ大でアーバン・マイヤー監督のアシスタントを務めていたアダージオ氏はテンプル大を経て2013年にボストンカレッジの監督に就任。しかしこれまでの7シーズンで記録した勝敗数は44勝44敗と決して褒められた数字ではありませんでした。

ミズーリ大

SECのミズーリ大は今季6勝6敗と辛うじてボウルゲーム出場資格を手に入れましたが、SEC東地区のダークホースとも言われたことを考えると残念なシーズンだったと言わざるを得ません。

そんな彼らは今季4年目を終えたバリー・オドム(Barry Odom)監督をシーズン後に解雇。理由は大学は施設のアップグレードなどに相当な投資をしているのにもかかわらずチームは上向きにならないから、だということです。

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オドム監督はミズーリ大のOBでありそんな彼を解雇するのは簡単なことではなかったでしょうが、4シーズンで25勝25敗という数字だけでなく、SEC戦では13勝19敗と中々上位に食い込めないという苛立ちもあったのでしょう。またリクルーティングでもSEC内で14チーム中12位と低迷しており、何かを変えなければチーム力の底上げは望めないと考えた上層部の気持ちは理解できるところです。

UNLV

ネバダ大ラスベガス校は5年チームを率いたトニー・サンチェス(Tony Sanchez)監督を解雇。今シーズン4勝8敗だったUNLVですが、サンチェス監督指揮下5年間の戦績は20勝40敗といいところがありませんでした。

サンチェス監督はラスベガスのお膝元で全米で有名な強豪ハイスクールであるビショップ・ゴーマン(Bishop Gorman)高校で監督を6年務め85勝5敗という素晴らしい成績を残し、その手腕を認められて大学レベルへと移ってきましたが、高校時代での結果を大学レベルで再現することは出来ませんでした。

オールドドミニオン大

オールドドミニオン大は2009年から11年間チームを指揮してきたボビー・ワイルダー(Bobby Wilder)の辞意を受理しました。

ワイルダー氏はオールドドミニオン大がFBSの下部組織であるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)時代からの古株コーチ。2014年に晴れてFBSに昇格しカンファレンスUSA所属となってからもチームのリーダーとして先頭に立ち、2016年には東地区制覇を果たし10賞をあげるなどもしましたが、それ以降は3年連続負け越し。今年は1勝11敗と惨敗でついに大学側はチーム運営の舵を切ったのです。

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オールドドミニオン大のフットボール創部は1930年ですが1941年に一度廃部。そして2007年に部を復活させて2009年から正式にレギュラーシーズンをこなすようになりましたが、このときの監督がワイルダー氏であり、いうなれば現在のチームOBはすべてワイルダー氏の教え子ということになります。

双方とも愛着のある関係であることは想像に容易いですが、やはりここも結果がすべての世界。その思いを断ち切ってオールドドミニオン大は新監督に次世代を委ねます。

ニューメキシコ大

ここまで8年ニューメキシコ大を率いてきたボブ・デイヴィ(Bob Davie)監督ですが、今季限りで監督の座を持することを表明しました。

8年間で勝ち越せたのは2シーズンですが、2016年には9勝4敗というニューメキシコ大としては異例の好成績を樹立。しかしもともとチーム育成やリクルーティングが難しい場所ということもあり3、4勝するのが精一杯。今シーズンはさらに2勝10敗と苦戦。しかもシーズン中に心臓病を患い一時コーチングから離れていた時もありました。

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1997年から2001年まで名門ノートルダム大を率いたこともあるデイヴィ氏は米スポーツ専門局のESPNのカレッジフットボールゲーム解説者としても活躍。ひょっとしたら彼が試合を解説する姿が来年テレビで観られるかもしれません。

テキサス大サンアントニオ校

テキサス大サンアントニオ校(UTSA)は今季4勝8敗とし6年連続負け越しとなり、そのうち最近4年間チームを指揮してきたフランク・ウィルソン(Frank Wilson)監督をシーズン後に解雇しました。

創部が2011年とまだ若いチームであり、テキサス州という土地柄いい人材はすべて周囲の強豪校に持って行かれるという状況でUTSAのようなチームがコンスタントに勝ち星を挙げるのは決して楽なことではありません。ウィルソン監督の後任が誰になるか分かりませんが、彼らの苦難の道は続くでしょう。

フロリダ州立大

フロリダ州立大はシーズン途中にウィリー・タガート監督を解雇。残りのシーズンは監督代行を立てて乗り切り何とかボウルゲーム出場権獲得の最低ラインである6勝を確保。今後のチーム再建のために敏腕指導者のヘッドハンティングが既に水面下で行われていることでしょう。

因みにタガート氏は解雇された翌週にミシガン大ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督とともに男子バスケットボール部の試合を観戦している姿が見受けられました。タガート氏は現役時代ウエスタンケンタッキー大でQBを務め後に監督として凱旋もしていますが、現役時代の彼の監督がこのジム・ハーボー監督の父であるジャック・ハーボー(Jack Harbaugh)氏。家族ぐるみの関係性を持つタガート氏がミシガン大にスタッフとして入閣する可能性は十分にありそうです。

アーカンソー大

アーカンソー大もシーズン途中に監督だったチャド・モリス(Chad Morris)氏を2年も経たずに解雇。2年間で4勝18敗(SEC戦は0勝14敗)という成績では致し方ないところ。

彼らも当然後釜探しに奔走していることでしょうが、先日のリポートによると元テネシー大サザンカリフォルニア大の監督で、アラバマ大のオフェンシブコーディネーターを経て3年前からフロリダアトランティック大の監督を務めているレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督がこのポジションに興味を示しているとか。


アシスタントコーチ

テキサス大

今季7勝5敗レギュラーシーズンを終えたテキサス大ですが、当然名門としてこの戦績は受け入れられるものではありません。その責任を取らせる形でトム・ハーマン(Tom Herman)監督はディフェンシブコーディネーターのトッド・オーランド(Todd Orlando)氏を解雇しました。

アシスタントコーチとしては全米でも高額年収(約1億7000万円)を受け取っているオーランド氏ですが、ここまで名を上げてきたオーランド氏の名に傷がついてしまいました。

またハーマン監督はWRコーチのドリュー・メリンガー(Drew Mehringer)氏を解雇しオフェンシブコーディネーターだったティム・ベック(Tim Beck)氏を降格させる改革も実行。空きとなった新OCにはサザンカリフォルニア大のグラハム・ハレル(Graham Harrell)氏、ルイジアナ州立大ジョー・ブレディ(Joe Brady)氏、元ラトガース大監督のクリス・アシュ氏の名前が挙げられています。

アリゾナ州立大

今季一時は全米ランキングにも名を連ねたアリゾナ州立大ですが、終わってみれば7勝5敗と良くもなく悪くもない結果に終わってしまいました。この結果に満足しないハーム・エドワーズ(Herm Edwards)監督はOC、TEコーチ、WRコーチを相次いで解雇。

そして先日の報道では次期OCにNFLクリーブランドブラウンズの元監督であるヒュー・ジャクソン(Hue Jackson)氏が差有力候補であるという情報が流れています。

NFLで培ったコネを最大限に使っているエドワーズ監督ですがチームには既に元シンシナティベンガルズ監督のマーヴィン・ルイス(Marvin Lewis)氏がスペシャルアドバイザリーとして帯同していますし、ジャクソン氏とルイス氏が緊密関係であることからもジャクソン氏がアリゾナ州立大入りする可能性は十分あります。

そうなればエドワーズ監督、ジャクソン氏、そしてルイス氏というNFL監督経験者が3人もいるということになり、これはアリゾナ州立大が今後リクルーティングバトルで他校に差を付けるには何物にも代えがたい強みとなるでしょう。

ノースウエスタン大

昨年Big Tenカンファレンス西地区を制し(といっても棚ぼた的にですが)カンファレンスタイトルゲームに進出もしたノースウエスタン大ですが、今季は絶不調で3勝9敗とし4年ぶりにボウルゲーム出場を逃しました。

そして次期チーム再建のためパット・フィッツジェラルド(Pat Fitzgerald)監督はQBコーチ兼OCのミック・マッコール(Mick McCall)氏を解雇。今シーズンはクレムソン大からの転校生で元5つ星QBのハンター・ジョンソン(Hunter Johnson)を擁するもパワー5チームでは最低レベルのオフェンスしか組み立てることが出来ず、この責任をとらされた形になります。

フィッツジェラルド監督は通常スタッフを解雇したりしないことで知られていますから、彼がマッコール氏を解雇せざるを得なかったことからもいかに彼らのオフェンスが残念なものであったかが窺い知れると思います。

ノーステキサス大

今季4勝8敗だったノーステキサス大はオフェンシブコーディネーターとディフェンシブコーディネーターを二人とも解雇。

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