コットンボウルプレビュー

コットンボウルプレビュー

コットンボウル

#17メンフィス大 vs #10ペンシルバニア州立大
12月28日午後12時(日本時間12月29日朝2時)キックオフ
AT&Tスタジアム(テキサス州アーリントン市)

数あるボウルゲームの中でも招待されることに大きな意義があるとされるボウルゲーム6つを総して「ニューイヤーズ6」ボウルと呼びますが、そのうちの一つであるコットンボウルの今年のマッチアップは「パワー5」出身のペンシルバニア州立大(Big Tenカンファレンス)と「グループオブ5」出身のメンフィス大(アメリカンアスレティックカンファレンス)の顔ぶれとなりました。

「ニューイヤーズ6」ボウルは「メジャーボウル」とか「BCSボウル」とかかつては呼ばれていましたが、これらのボウルゲーム(ローズボウルシュガーボウルフィエスタボウルコットンボウルオレンジボウルピーチボウル)に出場できたのはFBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でも上位カンファレンス群とされる「パワー5」チームのみというのが慣例でした。しかしそうでない「グループオブ5」出身でもいい成績を残したチームにチャンスを与えるために、最近では「グループオブ5」チームでCFPランキングで最上位にランクされたチームに自動的に「ニューイヤーズ6」ボウルのどれか1つに出場できるというルールが制定されまいた。それに今年当てはまったのがメンフィス大というわけです。

12勝1敗のメンフィス大ですが、1敗を犯した「グループオブ5」チームとして「ニューイヤーズ6」ボウルに出場できるのは2015年以来のこととなります。そのメンフィス大がBig Tenの雄・ペンシルバニア州立大(全米10位)と対戦することになったのです。

メンフィス大は2016年以来4年間に渡りマイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督に率いられてきましたが、この4年間での戦績は38勝15敗。カンファレンス戦は24勝8敗で今年の12勝1敗という成績も含めて非常に安定した成績を残してきたチーム。そしてその手腕を買われてノーヴェル監督はレギュラーシーズン後にフロリダ州立大の新監督に抜擢されメンフィス大を去ってしまいました。ということでこの試合はノーヴェル監督の跡を継いで正式に次期監督に任命されたOLコーチのライアン・シルヴァーフィールド(Ryan Silverfield)氏の初陣となります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

メンフィス大オフェンス vs ペンステートディフェンス

オフェンス畑を渡り歩いてきたノーヴェル監督にとってメンフィス大は彼の初監督職でした。そのノーヴェル監督のオフェンスで勝ち星を重ねていたメンフィス大にとって同氏の離脱は多少なりとも痛手となるでしょう。しかしだからといって全米でも随一のディフェンス力を誇るペンシルバニア州立大相手に何もできなくなるということは無いと思います。

メンフィス大が「グループオブ5」出身チームであるが故に彼らの話題は他の名門チームと比べると話題に上がりませんが、QBブレディ・ホワイト(Brady White)とRBケネス・ゲインウェル(Kenneth Gainwell)のQB/RBコンビは今季のカレッジフットボール界でも指折りのタンデムです。ホワイトは今季3560パスヤードに33TDを叩き出していますし、ゲインウェルは1年生ながら1425ランヤードに12TDを足で稼ぎました。

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メンフィス大のQBホワイト(#3)とRBゲインウェル(#19)

対するペンシルバニア州立大ディフェンスですがチーム全体では全米7位となるスコアリングディフェンス(失点数)を誇るなど全米トップレベルの守備力を誇ります。その要となるのがDLイトー・グロス・マトス(Yetur Gross-Matos)とLBマイカ・パーソンズ(Micah Parsons)の二人です。

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ペンステートのDLマトス(#99)とパーソンズ(#11)

ただ最近のペンシルバニア州立大のボウルゲームでの戦績は芳しくありません。過去4年間の試合では20点以上の失点を相手に許し、勝敗も1勝3敗とボウルゲームには結果を出せずに終わっています。それはチームがボウルゲームで本気になれないからなのか・・・だとしたらジェームス・フランクリン(James Franklin)監督の準備力不足を指摘せざるを得ませんが・・・。


ペンステートオフェンス vs メンフィス大ディフェンス

ペンシルバニア州立大オフェンスにとって朗報なのはメンフィス大のディフェンスが1試合平均失点24.4点と全米46位の実力ということでつけ入るすきがありそうだというところです。特に最近5試合では合計133失点(1試合平均約26点)ということで、ペンシルバニア州立大がBig Tenカンファレンスという強豪リーグで毎週相手にしてきた連中と比べれば恐れるに足りません。

RBジャーニー・ブラウン(Journey Brown)並びにノア・ケイン(Noah Cain)らがランゲームを構築してポゼッションゲームに持ち込めればQBショーン・クリフォード(Sean Clifford)の良い援護射撃となるでしょう。クリフォードは今年から先発を任されている選手ですが、必ずしも彼の腕でゲームをコントロールするほどの力量を持っていませんから、メンフィス大相手とは言えバランスの取れたアタックが求められます。

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ペンステートQBクリフォード

注目は今季チームナンバーワンとなる858レシーブヤードを誇るWR K.J.ハムラー(K.J. Hamler)。スピードが売りのハムラー、そして頼れるTEパット・フリーマス(Pat Freiermuth)というレシーバー陣のお陰でスコアリングオフェンスのカテゴリーで全米10位に位置しているペンシルバニア州立大なら確実に得点をスコアボードに叩き込めるポテンシャルを持っています。

総評

両チームとも高得点を狙えるオフェンス力を持っている故に前半から点取合戦となる匂いのするこのマッチアップ。ですが、メンフィス大OL陣がペンシルバニア州立大のパスラッシュを60分通じて防げるとは考えづらく、点の取り合いとなっても後半その面で差が出るのではないかと考えます。

そして前述の通りメンフィス大はここまでともに歩んできたノーヴェル監督を失った状態でこの大一番に望みます。シルヴァーフィルード新監督が内輪の人間であったとしてもチームのダイナミックが大幅に変わっていても不思議ではありません。

しかし一方でペンシルバニア州立大は今年もBig Tenタイトルどころか東地区優勝も逃し、悲願のCFP出場も果たせず仕舞いで目標を果たせなかったという感は否めません。たとえ彼らが出場するコットンボウルが「ニューイヤーズ6」ボウルの1つだったとしても、この試合に臨むモチベーションを保てるのかどうかも微妙なところ。そういった面ではメンフィス大が番狂わせを起こす可能性も見えてきます。

「パワー5」の意地が勝つか、「グループオブ5」の反骨精神が勝つか・・・。

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