第6週目レビュー

第6週目レビュー

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ベースボール・マガジン社 (編集)

フロリダ大24、アーバン大13

無敗同士の対決となった7位のアーバン大と10位のフロリダ大の対決はホームのフロリダ大が周囲の予想を裏切る勝利を挙げて「ホームカミング」を華やかに飾りました。

アーバン大はここまで強固なディフェンスと堅実なランアタックでオレゴン大やテキサスA&M大などの強豪校をなぎ倒してきましたが、この日はフロリダ大のスピーディーなディフェンスにしてやられ、1年生QBボ・ニックス(Bo Nix)は27投中11投というパス成功率に145ヤードという低ヤードに加え3つのパスINTを犯すなど全くいいところがなく、ルーキーとしてのボロが出てフロリダ大に太刀打ちできませんでした。

フロリダ大は第2のQBカイル・トラスク(Kyle Trask)が好調で234ヤードのパスに2TDを獲得。途中でアーバン大ディフェンダーから激しいタックルを受け途中退場するも復活して試合終了をフィールドで見届けました。

フロリダ大も4つのターンオーバーを犯すなど決して完璧な試合とはいえませんでしたが、アンストッパブルな勢いで乗り込んできたアーバン大をどんな形でも倒せたのは大きな収穫です。これまで彼らは名前だけでトップ10入りしている感じが拭えませんでしたが、この大一番を制したことで全米の有識者たちに大きなアピールを見せることが出来たのでした。

アーバン大はニックスの若さに付け込まれ今季初の黒星を喫しました。が、今後彼らはルイジアナ州立大、ジョージア大、アラバマ大というランカーたちとの対決がありますから、それ次第では彼らが再びプレーオフ進出の話題になることは十分考えられます。まずは今週バイウィークを挟んで2週間後のアーカンソー大との試合でこの敗戦の雪辱を晴らしたいところです。

オハイオ州立大34、ミシガン州立大10

先々週のネブラスカ大戦では48対7という大差で相手を倒しその強さを見せつけたオハイオ州立大。そして今季初となるランカーとの対決、25位のミシガン州立大戦でも彼らの強さが本物であることを見せつけるほぼ完璧なゲーム運びとなりました。

とはいえゲームは非常にスローな展開で始まり、第1Qはほぼ何も出来ませんでした。しかしミシガン州立大の2つのターンオーバーのお陰で点差はたったの3対0。そして第2Qになると眠れる獅子がとうとう起き出し、このクォーターだけで294オフェンスヤードに24点と一気にミシガン州立大を突き放し、事実上この時点で試合は決定してしまいました。

この日のヒーローはRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)で172ランヤードに1TDと相手ディフェンスを翻弄。QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)は206ヤードに2TD(1INT)と並な数字でしたが、Big Ten東地区内のライバル相手に十分すぎる出来で貴重な1勝を挙げました。

ミシガン大10、アイオワ大3

2週間前ウィスコンシン大に実力を露呈されてしまったミシガン大。ランクをトップ10内から大きく落とし、今季の行く末に黄色信号が灯ってしまいましたが、このアイオワ大との試合でロースコアながら大金星を得たことで今シーズンの今後に少しの希望を残してくれました。

スコアからも分かるようにオフェンスは今季これまでと同じように何も出来ませんでしたが、アイオワ大の堅実なオフェンスを完全に攻略したミシガン大ディフェンスならびにこのユニットを指揮したディフェンシブコーディネーターのドン・ブラウン(Don Brown)氏に拍手を贈りたいです。

ただオフェンスはやはりまだパワー不足でQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)は147パスヤードに1INTと物足りない数字しか残せませんでした。オフェンス的にはまだまだ不安材料しか見つかりませんが、少なくともこのディフェンスがあれば今後ペンシルバニア州立大やノートルダム大と対戦する際にある程度の勝負を挑めるでしょう。

アイオワ大はミシガン大のディフェンスに苦しめられましたが、ターンオーバーを4つも犯してしまい自らチャンスを摘んだ感じも否めませんでした。ベテランQBネイト・スタンレー(Nate Stanley)もここまで1度もパスINTを記録しなかったのにこの日だけで2つも相手Dにパスを奪われてしまい、ミシガン大ディフェンスに翻弄されてしまいました。

サザンメソディスト大43、タルサ大37(3OT)

上に挙げた3試合はランカー同士の対決として非常に注目された試合でしたが、このサザンメソディスト大(SMU)とタルサ大の試合は「メークドラマ(このフレーズ知ってる人いるかなー)」という点では第6週目で最高の試合だったとも言えるかもしれません。

ここまで30年以上ぶりに5勝無敗という素晴らしい戦績を残してきたSMUでしたが、タルサ大相手に大苦戦。第4Q開始時点で30対9と敗戦濃厚でした。しかしここからSMUの奇跡のカムバックが始まったのです。

元テキサス大QBシェーン・ビューシェル(Shane Bucechele)率いるオフェンスは第4Qだけで21連続得点を挙げ試合時間残り2分を切ったところで同点に追いつきそのままオーバータイムへ。オーバータイムでは3度目のSMUの攻撃でビューシェルからWRジェームス・プロシェ(James Proche)への25ヤードパスがエンドゾーン奥に通ったかに見えましたが審判の判定はアウトオブバウンド。しかしビデオ判定ではプロシェの片足がエンドゾーンに残っていたことがはっきりと確認されTDが確定。これが決勝点となってSMUが奇跡の大逆転勝利を収めたのです。

これでSMUは6勝0敗。開幕からの6連勝は1982年以来のことで、この時点ですでに彼らは今季ボウルゲーム出場資格を確保。彼らのドリームシーズンはまだまだ続きます。

ジョージア大43、テネシー大14

ジョージア大とテネシー大のSEC東地区対決。かつてはこのマッチアップはSEC内の行方を占うだけでなくナショナルタイトル争いでも大きく影響をおよぼすような大一番とされてきましたが、ジョージア大とテネシー大の力の差は明らか。全米3位の貫禄を見せつけたジョージア大が43対14の大差をつけてアウェーで楽勝しました。

試合開始から第2Q途中までは14対13とテネシー大がまさかのリードを奪う展開でスタジアム内は「ひょっとしたら・・・」という期待が膨らみ大変盛り上がりました。この日先発を任された1年生QBブライアン・マウアー(Brian Maurer)はWRマーキース・キャラウェイ(Marquez Callaway
)への綺麗な73ヤードTDパスを決めて華々しく先発デビューを飾ると第2Qにもリードを奪う2つ目のTDパスを記録していい立ち上がりを見せましたが、その後はジョージア大の強力ディフェンスに圧倒され、自身も怪我で一時退場を余儀なくされるなどしほろ苦いデビュー戦となりました。

ジョージア大はQBジェイク・フローム(Jake Fromm)、RBデアンドレ・スウィフト(D’Andre Swift)らが通常通りのミスのないプレーを披露。この勝利でジョージア大はテネシー大に対して3連勝。過去10年の対決でも8勝2敗と圧倒的。また対SEC東地区チームでは15連勝中とこの地区で彼らに対峙できるチームが不在。すでに紹介したフロリダ大の調子が上がってきていますから、数週間後のこの2チームの対決に注目が集まります。

ルイジアナ州立大42、ユタ州立大6

トップチームが軒並みカンファレンス戦を戦う中、全米5位のルイジアナ州立大は「グループオブ5」のユタ州立大と対決。予想通り42対6と赤子の手をひねるように相手を一蹴して開幕後5連勝目を飾りました。

スターQBジョー・バロウ(Joe Burrow)は344パスヤードに5TDを記録。これでバロウは4試合連続300ヤード超えのパスを記録したことになり、これが大学新記録に。ルイジアナ州立大快進撃の原動力として、またハイズマントロフィー候補の一員として彼の活躍は今後も続いていきます。特に今週末はフロリダ大との大一番が待っていますから、余計にバロウへの期待は大きくなるわけです。

ウィスコンシン大48、ケント州立大0

上に挙げたルイジアナ州立大と同じく格下との交流戦をこなした8位のウィスコンシン大はケント州立大を48対0と完封。

ハイズマントロフィー候補RBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)はこの日も冴え、前半だけで3つのランTDに1つのレシーブTDと28点に絡む大活躍。終わってみれば5つのTDを1人で稼ぎ格の違いを見せつけました。またこの日186ヤードを足で稼いだことで生涯ランヤードが4916ヤードとなり、最近ようやくロサンゼルスチャージャーズに合流を果たした先輩RBメルヴィン・ゴードン(Melvin Gordon)を抜いて大学歴代3位に。ちなみに1位は1999年にハイズマントロフィーを獲得したロン・デイン(Ron Dayne、7125ヤード)氏、そして2位はモンテ・ボール(Montee Ball、5140ヤード)氏です。

テキサス大42、ウエストバージニア大31

先週のウエストバージニア大戦ではDBを合計5人も怪我で起用できなかったテキサス大。にも関わらず彼らは相手QBオースティン・ケンダル(Austin Kendall)から4つものパスINTを奪って42対31とチームの勝利に貢献しました。 またこの試合ではテキサス大がこんなトリックプレーも披露。

貴重なカンファレンス戦での勝利を挙げたテキサス大は今週末ライバル・オクラホマ大との「レッドリバーの戦い(Red River Shootout)」を控えます。

ペンシルバニア州立大35、パデュー大7

ここまであまり話題に上がってこないのが12位のペンシルアニア州立大。そんな彼らはパデュー大相手に試合開始後から28連続得点を挙げて28対0と一気にリードを奪うとその後も相手の追随を許さず35対7と快勝。連勝記録を5に伸ばしました。

今季割りと若いオフェンスに心配の声が上がっていましたが、QBショーン・クリフォード(Sean Clifford)は予想外の安定感を見せ、1年生RBノア・ケイン(Noah Cain)はその非凡な才能を披露して105ヤードのランに1TDを獲得。ジェームス・フランクリン(James Franklin)監督の秘蔵っ子として2年前のスターRBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley)の再来と期待が集まります。

しかしなんと言ってもこのチームの強みはディフェンス陣。13個のタックルフォーロス(TFL)に10個のQBサックを御見舞するなど見た感じでは全米でも5本の指に数えられるくらい強力なフロントセブンを擁しています。

来週はいよいよアイオワ大というカンファレンス内でも強豪チームとの対戦が待っています。これに勝つことができれば更にペンシルバニア州立大の株は上がっていくことでしょう。

スタンフォード大23、ワシントン大13

Pac-12の共食いは続きます・・・。

15位のワシントン大はランク外のスタンフォード大と対戦。今季苦戦が続くスタンフォード大相手にワシントン大は23対13とまさかの敗戦。特にこの日は得意のダイナミックなオフェンスが鳴りを潜め、QBジェイコブ・イーソン(Jacob Eason)は5割以下のパス成功率で206ヤードに1TD(1INT)と冴えず、ランゲームも不発。スタンフォード大に金星を献上してしまいました。

この勝利でスタンフォード大は3勝3敗。北地区での優勝争いは依然として厳しいものの、6勝以上を挙げてボウルゲーム出場資格を得ることは視野に入ってきそうです。

シンシナティ大27、セントラルフロリダ大24

過去2年間連勝を重ね「グループオブ5」で最も「パワー5」に近いチームと賞賛されてきたセントラルフロリダ大。2年前には完全無敗を達成し、今季も一時は15位にまでランキングを挙げてきた彼らですが、ピッツバーグ大に敗れて今季1杯目を喫すると先週は同じアメリカンアスレティックカンファレンス所属のシンシナティ大に足元を救われ早くも今季2杯目。これで彼らの「ニューイヤーズ6ボウル」に3年連続出場するという目標はほぼ達成不能となってしまいました。

2年前の快進撃を支えたスコット・フロスト(Scott Frost)監督は彼の母校であるネブラスカ大へ去っていきましたが、彼の後任であるジョシュ・ハイペル(Josh Heupel)監督は昨年フロスト監督が残していったタレントとプレーコーリングを駆使してレギュラーシーズン無敗を達成。しかしハイベル監督2年目となる今年、フロスト監督色が薄れハイペル監督の真の手腕が問われる中で前半だけで2敗してしまったことは、今後のセントラルフロリダ大の行く末に一抹の不安を感じてしまいました。

ベイラー大31、カンザス州立大12

ベイラー大といえばかつてカレッジフットボール界のお荷物とまで言われたチーム。そんなチームを救ったのがアート・ブライルス(Art Briles)氏。彼は巧みなオフェンス術とリクルーティングでベイラー大を短期間で強豪チームの仲間入りさせ、2013年と2014年にはBig 12カンファレンスタイトルを連覇。しかしチームはスキャンダルに襲われて2015年度シーズン後にブライルス氏は解雇されてしまいました。

参考記事ベイラー大のブライルス監督が解雇

チーム再建のためにチームは2017年にテンプル大からマット・ルール(Matt Rhule)氏を招聘するも初年度は1勝11敗。ここで完全に強かったベイラー大はまた元の弱小チームに戻ってしまうかと思われましたが、昨年7勝6敗と勝ち越し嫌な流れを食い止めると、今年は開幕から連勝を重ね、そして先週のカンザス州立大戦でも見事に勝利を収めてなんと5連勝。

チームの快進撃を支えるのはディフェンス陣で、先週末は許した3rdダウンコンバージョンはたったの5回。QBサックも6度も記録し2つのターンオーバーを引き出すなど大暴れ。もしオフェンス陣が一皮剥ければベイラー大はBig 12カンファレンス内でダークホース的な存在となりそうです。

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