その一つ上へ【ジョージア大プレビュー】

その一つ上へ【ジョージア大プレビュー】

現在全米で最も将来有望とされているのがクレムソン大QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)です。そして昨年のハイズマントロフィーレースにおいてほぼ全期間において最有力候補とされていたアラバマ大トゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)も健在。2017年度はタガヴァイロア、2018年度はローレンスがそれぞれチームのナショナルタイトル獲得に貢献。今年3年生のタガヴァイロアは2020年のNFLドラフト、2年生のローレンスは2021年のNFLドラフトにおいてそれぞれ総合ドライチの呼び声高い素晴らしいタレントの持ち主たちです。

ではジョージア大ジェイク・フローム(Jake Fromm)はどうでしょうか?

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ベースボール・マガジン社 (編集)

今年で3年生になるフロームは1年生からプレーしており、今シーズン後の2020年NFLドラフトへ早期ドラフト入りする権利を持っています。が、上に挙げた二人やオレゴン大ジャスティン・ハバート(Justin Herbert)などが常にNFLドラフトマーケットで名前が出てくる中で、フロームのことはあまりフィーチャーされていないように思えます。

2年前にはジョージア大をナショナルチャンピオンシップへ牽引する立役者の一人になりましたし、昨年はSEC優勝決定戦でアラバマ大をあと少しのところまで追い詰めました。そのチームの先発QBを務めているということはQBとしての履歴書があったとすればかなり見栄えはいいはずなのですが・・・。

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今年3年生となるフロームは1年生のときから先発を任される

過去2年間でフロームが獲得したTD数は54。それに対して犯したINT数はたったの13。派手さはないもののその堅実さでカービー・スマート(Kirby Smart)監督らの信頼を勝ち取りました。その結果、2018年度のトップリクルートであったQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)に今オフジョージア大から転校する決意をさせるに至ったのです。もっといえば、1年生時には当時全米でも最高QBの一人に数えられていた1年先輩のジェイコブ・イーソン(Jacob Eason)から先発の座を奪い、結果イーソンはワシントン大へ転校していきました。

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それにもかかわらず彼の実力が過小評価されているように感じるのは筆者だけでしょうか?その理由を探ってみると彼がジョージア大の顔になれない理由が少しずつ見えてきます。その一番の理由として挙げられそうなのは、彼がチームの表舞台に立つことがなかったからかもしれません。

1年生だった2017年度シーズン、ジョージア大オフェンスはニック・チャブ(Nick Chubb、現クリーブランドブラウンズ)とソニー・ミシェル(Sony Michel、現ニューイングランドペイトリオッツ)の二人のRBが軸になっていました。そしてコーチ陣たちはルーキーだったフロームを上手く起用し、チャブとミシェルを活かすためのプレーを多様。フロームから不要なプレッシャーを取り除きそれに見事それに応えた訳ですが、この時のスター選手はRBの二人でした。

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全米でも屈指のタンデムだったチャブ(27)とミシェル(1)

そして昨年ですが、フローム自身は卒のないいぶし銀的なプレーをし続けましたが、チームとしては勝ち星を重ねたものの周囲の目を開かせるような試合は見当たらず、負けた3試合を見てみるとLSU戦では彼らの20点差からの大逆転劇、SEC優勝決定戦でのアラバマ大戦では途中出場したQBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts、現オクラホマ大)の神がかったプレーで再び逆転を許し、しかもこの試合では前述のフィールズの失敗したフェイクパントばかりが取り上げられる始末。そして最終戦のシュガーボウルテキサス大戦ではテキサス大復活のお膳立てをしてしまう負け方を喫し、フロームが輝けるシーンがあまりありませんでした。

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こんな数字もあります。過去2年間でジョージア大が喫した5敗を見てみると、どの試合も彼らのランオフェンスが機能しなかったという事実があります。1試合で1キャリーの平均が約4ヤードを超える試合では彼らの勝敗は実に24勝無敗。そして4ヤード以下の試合では0勝5敗となっているのです。

つまり堅実なイメージの強いフロームではありますが、ランが機能しない時にそれを補うように彼のパス能力でチームを引っ張ることができていないという分析もできるわけです。

クレムソン大のローレンスは昨シーズン途中から先発QBの座を奪いましたが、彼が出場した試合のうち30回以上パスを投げた試合では7勝0敗という強さを持っています。CFP準決勝戦(コットンボウル、対ノートルダム大)、そしてCFPタイトルゲーム(対アラバマ大)ではどちらの試合でも300ヤード強のパスに3つのTDを獲得しています。

またアラバマ大のタガヴァイロアというと、30回以上のパスを投げた試合は3勝1敗、そして上記のような300ヤード超えに3つ以上のTDを獲得した試合は実に8試合もあります。

フロームはといえば、上記のような数字を残せたのは2年間のトータルで8試合という数字になっています。

もちろん上の数字だけでQBがエリートかそうでないかを決めることはできません。フロームの強みは正確なパスと効率よくオフェンスを回せる器量にありますから。実際そういった能力のほうがプロで重宝すると思われますし。

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スマート監督の信頼を勝ち取ったフローム。今季はもう一皮むけて欲しいところ

ただやはり派手なパフォーマンス、そして大舞台での強さのほうが人の目を引くのが世の定め。それがローレンスやタガヴァイロアにあってフロームにないものなのでしょう。

だからこそジョージア大がアラバマ大という目の上のたんこぶを攻略して2年ぶりにCFPに返り咲き、そして1980年以来の全米制覇を成し遂げるためには、フロームにもう一皮むけてもらいたいところなわけです。

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