春季フットボール案の落とし穴 - ANY GIVEN SATURDAY

春季フットボール案の落とし穴

春季フットボール案の落とし穴

何としても開幕したい事情

刻一刻と迫るカレッジフットボール2020年度シーズン開幕。しかしその開幕もコロナ禍で危ぶまれていますが、カンファレンスレベルでスケジュールをスリムダウンしたり全スケジュールをキャンセルしたりと調整が続いていますが、最低でもFBS(フットボールボウルサブディビジョン)のチームたちは何なんとして開幕にこぎ着けたいと躍起になっているようです。

開幕出来ないとなると選手の出場機会が奪われるだけでなく、カレッジフットボールから莫大な恩恵を得る大学体育局にも経済的な大ダメージが襲うことになるからです。

つい先日にはウィスコンシン大の元監督で現体育局長のバリー・アルヴァレズ(Barry Alvarez)氏が、もし今季フットボールが開幕しなければ体育局は1億ドル(1ドル100円計算で約100億円)の損失が出るだろうと試算しています。開幕したとしても観客をフルで動員することは出来ないでしょうから、どっちに転んでも減収となることは避けられなさそうですが、開幕しないことで1億ドルの赤字となるなら何としても今季開催にこぎ着けたいと思う大学運営者の切な願いはわからなくもありません。

しかし感染者数が増え続け、しかも確実なる治療法が確立されていない今、開幕したとしても陽性反応を示す選手が現れることはほぼ避けられないでしょうし、そうなった場合最悪チーム全体が隔離されざるを得ない状況になりかねません。この状況で開幕を迎えるというのはまさに綱渡り状態なのです。


春季開催案

そこでもし秋季開幕が絶望的ならばシーズンを春季にずらすという案もあります。秋開催への懸念は今の所コロナウイルス感染の度合いが改善しないという現状にもありますが、後にやってくるインフルエンザの季節とかち合うことで再び感染者数が増え、医療機関がパンク状態になることを防ぐためでもあります。それを回避するために春にフットボールを開催しようというのが代案として挙げられているのです。まあ当然先にも述べたように完全にシーズンが無くなると破綻するチームがあちこちで生まれるため、是が非でも開催させたい案でもあるのですが。

ただこれに関してはちょっと前の記事でも述べたようにそう簡単にいくとは思えません。強豪校や名門校と言った、資金が潤沢な大学は秋スポーツと春スポーツ(もっといえば一部の冬スポーツも)をすべて同時に行うことの出来る人的・金銭的リソースが揃っているでしょうが、そうでない大学もたくさんあります。

また通常カレッジフットボールはナショナルチャンピオンシップゲームまで入れると4ヶ月以上と長いシーズンですが、春に同じ長さだけ開催するとしてチャンピオンシップゲームを5月に行うとすると、春シーズンもカンファレンス戦に絞って開催するならまだしも、そうでなければ2月とか遅くても3月初旬には開幕しなければならなくなります。地域によってはこの時期はまだ極寒であるところもあり、また屋内練習場を持たないチームなどはプレシーズンのトレーニングをろくに積めないという可能性も出てきます。

まあここまでは私も前回の記事を執筆していた際に思いついていたのですが、もっと肝心なジレンマがあることを忘れていました。それはNFLドラフトです。


ドラフト候補生たちへの影響

御存知の通りドラフトは4月の後半に行われるイベントです。カレッジからプロに上り詰めたい選手らにしてみればそれは登竜門的存在ですが、もしカレッジフットボールが春に行われるとすれば十中八九NFLドラフトの日程と丸かぶりしてしまうのです。

近年のトレンドとしてNFLドラフトで高順位で指名されるという高評価を得ている候補選手たちは、怪我を負ってドラフトでの株を落とさないためにボウルゲーム出場を回避するという現象があります。一昔前なら批判を受けたこの行為も、ドラフトでの契約金が高騰し続けることからそのようなお金を怪我のせいで手にできないことに理解を示す声が増えてきました。

そのような風潮があるというのに、ドラフト候補生たちが春シーズンを本気でプレーするのか疑問が湧いてきます。特にそれは現時点でよほどのことがない限りプロチームからお声がかかると思われるハイプロファイルな選手たちに言えることでしょう。

すでにコロナの影響で秋シーズンが始まったとしても参加を固辞する選手もいるという状況の中で、もしドラフトが通年通り4月に行われることになったら、果たしてどれだけのハイプロファイル選手が出場を辞退してドラフトに備えることになるでしょうか?

秋シーズンに大怪我を負ったとしてもドラフトまでに回復しているケースは十分に考えられます。たとえば昨年シーズン後半に大怪我を負ってシーズン絶望となったアラバマ大QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)はなんとかドラフトまでに回復し、総合5位という高順位でマイアミドルフィンズに指名されました。

しかし、例えば来年のドラフトで総合1位最有力候補と言われる、クレムソン大QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が春シーズンにシーズンを棒に振るような怪我をしたとします。それがいかに回復可能な怪我だったとしても、NFLチームたちは怪我の影響によるローレンスの長期的プランを再考せざるを得なくなるでしょう。もしそれで彼の指名順位が激落ちしたとしたら、それだけで彼は何億円(もしくは何十億円)という契約金を溝に捨てる事になりかねないのです。

というような不測の事態を考えればそのような選手たちが春季フットボールを回避する決断をしたとしても不思議ではありません。

またオハイオ州立大元監督の名将、アーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏はつい先日、もしカレッジフットボールが春に行われることになったら、自分だったらNFLドラフト候補選手たちに試合出場を回避するよう進めると話しています。

「もしすでに在籍大学にて大きな貢献を果たした選手がいたとしたら、そんな選手たちには迷わず職業としてのプロ選手となれと話すでしょう。特にNFLドラフト前に春シーズンが行われるとしたら、彼らにシーズンをこなせと告げるとは思えません。」とはマイヤー氏の談。

「春シーズンをプレーしてからドラフトまで十分な準備期間がないことを考えればそれは彼らにとってフェアではありませんから。」と現場から退いた身でありながらもマイヤー氏はプロへ進める逸材ならば大学に残留するよりもより確実に職業プレーヤーとしての道を進めるを選ぶよう進言するということです。まあもし彼が未だにオハイオ州立大の監督をしていたとしたら、同じセリフを言ったかどうかは定かではありませんが😁

もちろんもしカレッジフットボールが春に開催されることになり、NFLドラフトともろかぶりになるような事態になればおそらくドラフトはシーズン後に先延ばしにされるなどの処置が取られるでしょうが、どちらにしてもローレンスのようなハイプロファイル選手らは重大な決断を下すための家族会議が行われることになるでしょうね。

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