エクストラポイント【第13週目】

エクストラポイント【第13週目】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

異色の「The Game」

今週末はレギュラーシーズン最終週末として各地で「いわくつき」のライバリーゲームが行われることになっていますが、先週行われたアイビーリーグハーバード大イェール大のライバリーは双方ともFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)所属チームとは言えその歴史からこのゲームは全米でも一目置かれる存在です。

The Game」というあだ名をもつこの良好の対決は1875年から始まり今年で136回目を迎えます。今シーズンはイェール大がここまで8勝1敗ということでリーグ優勝がかかった試合だったのですが、ここでとんだ珍事件が。

15対3とハーバード大リードで試合は前半を折り返しましたが、後半が始まる直前に約150人の在校生と卒業生からなるプロテスター(抗議者)たちがフィールドになだれ込みその中央に座り込むという前代未聞の事件が発生。彼らは地球温暖化防止を訴えるためにこの抗議行動に打って出たのだとか。 というのもハーバード大とイェール大はどちらも化石燃料を推進する企業に資金援助しているということで、それに抗議するためにこの試合を選んだのだそうです。

彼らは居座ることなんと1時間。最終的に地元警察等によって撤去・解散させられたのですが・・・。 試合はと言うと第4Q残り13分の時点でハーバード大が36対19とリードしホームチームであるイェール大のファンは試合の結果が見えたとその多くがスタジアムをあとにしたのですが、ここからイェール大が反撃開始。そして2度のオーバータイムの末になんと50対43でイェール大が逆転勝利を収めたのです。

イェール大のホームスタジアムであるイェールボウルは設立105年の由緒正しきスタジアムでかのローズボウルのモデルにもなった施設なのですが、ここには実はナイトゲーム用のライティング装備が備わっておらず、予想外の抗議行動のため後半開始が1時間遅れた挙句ゲームはオーバータイムに突入したために試合終了時には明らかに視界が悪くなっていたとか。

このような劇的な試合を制したイェール大がアイビーリーグレコード6勝1敗でダートマスカレッジとリーグ優勝を分け合いました。いろいろな意味で歴史に名を刻む試合になったのです。

因みに負けたハーバード大のRBエイダン・ボーグエット(Aidan Borguet)はこの日たったの11キャリーで269ヤードに4TDを奪う信じられない数字を残しました。これは1キャリー平均24.5ヤードという計算になりこれもまたしばらく語り草となりそうです。 


喜ぶ価値もなし?

先週アーカンソー大を56対20で倒してサウスイースタンカンファレンス西地区優勝を決めたルイジアナ州立大。このことで彼らはタイトルゲームでジョージア大との対戦が確実なものとなったわけですが、それは彼らの悲願であるプレーオフ進出並びにナショナルタイトル獲りという目標を達成するためには重要な通過点であったはず・・・なのですが。

試合後のインタビューで同校のエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督はこのアーカンソー大戦での勝利並びに地区優勝を決めたことに関して感想を聞かれた際、彼はこう答えました。

「アーカンソー大を倒したことで喜ぶことなど何一つありません。彼らは長いこと弱小チームなのですから。」

アーカンソー大にしてみれば怒り心頭ともなりそうなコメントですが、2011年以来彼らは二桁勝利に手が届かず、過去2年間連続負け越しとし今シーズンはシーズン途中にチャド・モリス(Chad Morris)監督を成績不振の責任を取って解雇。強豪ひしめくSECの中でも彼らの存在感はかなり希薄になっていました。ですからオルジェロン監督のコメントも一理あるわけです。

ルイジアナ州立大に妥協や油断の隙きは全くなさそうです。

シャック登場!

そんなルイジアナ州立大とアーカンソー大の試合に特別ゲストが登場!それが元NBAのスーパースター、シャキール・オニール(Shaquille O’Neill)氏でした。 というのも彼は何を隠そうルイジアナ州立大の卒業生。この日は母校の活躍を一目見ようとキャンパスに戻ってきたというわけです。 そしてフィールドではチアリーダーの一人を軽々と持ち上げるパフォーマンスも披露。

さすが体だけでなく存在感も規格外です(笑)。

シャーロット、初のボウルゲーム出場へ

カンファレンスUSA所属のノースカロライナ大シャーロット校は先週同カンファレンス東地区で首位を走っていたマーシャル大から24対13と大金星を奪うやってのけました。

この勝利により彼らはボウルゲーム出場資格となる6勝目を挙げたのですが、これはチーム史上初となる快挙。しかも彼らはたった5年前にFCSからFBSへ昇格してきたばかりのチーム。 このことがどれだけチームにとって大きな意味を持っているかは当の本人たちが一番知っているわけですが、その最たる人物がウィル・ヒーリー(Will Healy)監督。その喜び様と言ったら本当にこれがチームの監督なのか?と目を疑うぐらい。

しかもこれが試合後のロッカールームというのですから。決してクラブやディスコなんかなじゃないんですよ(笑)。

スロヴィスの新記録

今季前半の時点で3勝3敗としその時点で今シーズンは終わったと思われていたサザンカリフォルニア大ですが、後半は5勝1敗と持ち直して8勝4敗とし、今週末のユタ大コロラド大の試合でユタ大が敗れればサザンカリフォルニア大がPac-12カンファレンス南地区代表に決まるというところまで持ち直してきました。

彼らはすでにレギュラーシーズンのスケジュールを先週のUCLA戦で既に終えていますが、この試合で1年生QBキードン・スロヴィス(Kedon Slovis)が515ヤードのパスヤードを記録。これは1試合のパスヤードでは同校新記録となる快挙。

まだ1年生ながらすでに大学の歴史に名を刻んだスロヴィス。しかもサザンカリフォルニア大はこれまで多くの名QBを輩出してきた名門であり、そこでルーキーとしてこのような記録を残したというのはチームにとって未来は明るいといえるでしょう。

ウィスコンシン大の新記録

ウィスコンシン大といえばスーパーRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)を擁するチームとして知られていますが、彼はつい先日3年生としての生涯ランヤードで歴代1位となる快挙を成し遂げたばかり。そして先週のパデュー大戦でまた新たな金字塔を打ち立てたのです。

この日テイラーは222ヤードに1TDを記録したのですが、これで彼は200ヤード超えの試合が通算12試合目となり、同じウィスコンシン大の先輩であるロン・デイン(Ron Dayne)氏、元テキサス大リッキー・ウィリアムス(Ricky Williams)氏、そして元サザンカリフォルニア大マーカス・アレン(Marcus Allen)氏ら大物RBの記録を抜いて歴代1位に躍り出たのです。

現在1685ヤードを記録中のテイラーですが、今週末はミネソタ大戦、そしてこの試合に勝てばカンファレンス優勝決定戦に出場しオハイオ州立大とのリベンジ戦、さらにはその先のボウルゲームと最大3試合が残されており、昨年に続いて2000ヤード超えシーズンを達成する可能性もまだ残されています。

一方このパデュー大戦で別のスクールレコードを打ち立てた選手がいます。キッカーのザック・ヒンツ(Zach Hintze)です。 彼は前半最後のプレーで62ヤードのFGを決めたのですが、これが1899年にパット・オデア(Pat O’Dea)氏が記録した62ヤードに並ぶスクールレコードとなったのです。

映像でみるとわかると思いますが、本当にギリギリのところでボールがゴールポストを通過しています。練習時にこれくらいの距離を決めるキッカーはいくらでもいるでしょうが、試合の本番となると話は別。よく見るとゴールポストの下にはパデュー選手がボールが届かなかったときのために待ち構えていますが、どうやら無駄骨となったようですね。

カリフォルニア大がスタンフォード大に勝つ

Big Game」の異名をもつカリフォルニア大スタンフォード大のライバリーゲームが先週行われました。このライバリーゲームは同じカリフォルニア州のチーム同士の宿敵同士というのもありますが、やはり先日も紹介したような1982年の出来事もあり因縁の対決になっているわけです。

ここ最近はスタンフォード大の台頭とカリフォルニア大の低迷によりスタンフォード大の9連勝となっていましたが、この日はカリフォルニア大が24対20でスタンフォード大を2009年以来撃破。このマッチアップの勝者だけが手にできる「スタンフォードアックス」を10年ぶりに地元に持ち帰ることに成功したのです。

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9年ぶりに「スタンフォードアックス」を手にするカリフォルニア大の面々

またこの勝利でカリフォルニア大は6勝目となりこれで2年連続ボウルゲーム出場県を獲得。今年3年目のジャスティン・ウィルコックス(Justin Wilcox)監督のチーム育成が着実に実を結んでいるようです。

一方負けたスタンフォード大はこの敗戦で7敗目となり今週のノートルダム大戦に勝っても6勝に手が届かなくなり、10年連続ボウルゲーム出場を果たしてきた連続記録に終止符が打たれることになりました。

マイアミ大の大恥

今季マニー・ディアス(Manny Diaz)監督体制初年度となったマイアミ大はここまで6勝4敗と決して褒められた成績は残せませんでしたが、最低でも6勝を挙げボウルゲーム出場権は手に入れました。

しかし先週のフロリダインターナショナル大との試合を30対24で落とすという大失態を犯し、ボウルゲーム出場資格をゲットしたことが帳消しになってしまうくらいの大恥をかいたのです。

フロリダインターナショナル大(FIU)といえばマイアミ大が属する「パワー5」カンファレンスの下部組織である「グループオブ5」の一員であり、しかもその中でも決して強いチームで知られているチームではありません。そんなチームに名門マイアミ大が敗れたということは受け入れがたい事実なのであります。

しかも現在FIUを率いているのがかつてマイアミ大を指揮していたブッチ・デーヴィス(Butch Davis)監督。1995年、96年、2000年にカンファレンスタイトル(当時Big Eastカンファレンス)を獲得するなどまだ強かったマイアミ大を率いていたデーヴィス監督が古巣を打ち破ったということもあり、マイアミ大としてはダブルパンチを喰らったようなものです。

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試合後のゲーターレードシャワーを浴びるデーヴィス監督

またこれでFIUは6勝目となりボウルゲーム出場資格を獲得。二重に嬉しい人なったのでした。 マイアミ大としてはディアス監督初年度ということもあり今年のこの結果に一喜一憂することもないのかもしれませんが、マーク・リクト(Mark Richt)前監督がせっかく作り上げた上昇気流を見事に打ち消すシーズンを送ってしまったことで強い「U」復活を願うファンとしては歯がゆいシーズンとなってしまいました。

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