2021年度の全米王者を決めるカレッジフットボールプレーオフ(CFP)ナショナルチャンピオンシップゲームが1月10日(日本時間1月11日)にいよいよ行われます。今年の決勝進出チームは全米1位のアラバマ大と同3位のジョージア大。今回でCFPタイトルゲーム出場最多となる6度目の登場となるアラバマ大は昨年に続き連覇を、そしてジョージア大にとっては1980年以来3度目の全米制覇を狙います。
またこのマッチアップは12月に行われたSEC(サウスイースタンカンファレンス)優勝決定戦と同じカード。このときはアラバマ大がジョージア大を倒していますのでジョージア大にとってはリベンジマッチとなります。
そんなメガマッチとなった今年度のタイトルゲーム。これから何回かに分けてこの試合の見どころを探っていきたいと思いますが、今回は両チームがここまでどのようにしてたどり着いてきたか、そして双方の今季のスタッツを見ていきます。
ここまでの軌跡
アラバマ大(13勝1敗)
昨年完全優勝を果たしたアラバマ大は開幕時から全米1位発進。優勝チームのロースターからはQBマック・ジョーンズ(Mac Jones、現ニューイングランドペイトリオッツ)、RBナジー・ハリス(Najee Harris、現ピッツバーグスティーラーズ)、WRデヴォンテ・スミス(DeVante Smith、現フィラデルフィアイーグルス)、WRジェイレン・ワドル(Jaylen Waddle、現マイアミドルフィンズ)といった主力スキル選手らを失い若い新体制で臨みました。
若さはあれど彼らにとって救いだったのはQBブライス・ヤング(Bryce Young)の存在。ヤングは2年生で今季から先発を任されたルーキーとは思えないパフォーマンスでチームを牽引。そんな中開幕5連勝を飾ったところでチームはテキサスA&M大戦を迎えます。
テキサスA&M大を指揮するジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督はかつてアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督に仕えたことがありこれはある種の師弟対決でもありましたが、ここまでセイバン監督は師弟対決において無敗。フィッシャー監督がその壁を破れるか注目を浴びましたが、見事に王者アラバマ大を41対38で下しアラバマ大は今季初黒星を喫してしまいます。
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この敗戦によりアラバマ大はランクを5位まで下げ、以後絶対に負けられない状況に追い込まれます。OLの弱体化とパスディフェンスの脆さが指摘される中それでも何とか勝ち進んだ彼らはレギュラーシーズン最終戦で宿敵アーバン大との対戦を迎えます。
この試合ではお互いのディフェンスが相手を凌駕する展開で進みますが、特にアラバマ大は第3Qまで無得点。この時点で10対0とし敗戦濃厚となりましたが、FGと残り2分からの劇的な同点ドライブで試合はオーバータイムへ。そして4度のOTの末に何とかアラバマ大が白星をもぎ取ったのでした。
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サウスイースタンカンファレンス(SEC)西地区代表として出場したSEC優勝決定戦では東地区覇者で12勝0敗の全米1位ジョージア大と対戦。ジョージア大は今季全米屈指のディフェンスを擁しアラバマ大は劣勢に立たされるかと思われましたが、QBヤングの大活躍もあり41対24で快勝。2年連続7度目のCFP進出を決めたのです。
ジョージア大を倒したことで全米ランキングではテキサスA&M大に敗れて以来の首位を奪還。そして迎えたCFP準決勝戦のコットンボウル。対戦相手は全米4位でここまで無敗のシンシナティ大。彼らは「グループオブ5」勢として史上初のプレーオフ進出を果たしたチームでしたが、対戦してみると「パワー5」所属の名門アラバマ大との戦力差は歴然。27対6で相手に全く仕事をさせずに見事アラバマ大が2年連続全米王座決定戦の大舞台に降り立つことになったのです。
ジョージア大(13勝1敗)
ジョージア大は今季開幕時5位発進。その開幕戦はあのクレムソン大との一騎打ちで数ある開幕戦のマッチアップの中でも過去最大級の注目を集めました。この試合を10対3というロースコアで制しランキングも一気に2位に躍り出ます。
このクレムソン大戦で既に明らかになったのはジョージア大ディフェンス陣の凄まじさです。クレムソン大を3点に抑えたのはもとより、その後も対戦相手に得点を許さずシーズン終盤まで平均失点数が7点を割るというとんでもないユニットを擁していることが分かったのです。
その全米随一のディフェンス力を持って連勝し続けますが、シーズン6週目でそれまで1位だったアラバマ大がテキサスA&M大に敗れるという大波乱が起きます。これに乗じて遂にジョージア大が首位の座を獲得。シーズン中盤にはケンタッキー大(当時11位)、アーカンソー大(当時8位)、アーバン大(当時18位)といったランカーとの3連戦をこなしますが、これを難なく料理しこの辺からジョージア大の今季の強さが常軌を逸しているという論調になっていきます。ジョージア大の一強時代が到来したのです。
そのままレギュラーシーズンゲームを12勝無敗で終えたジョージア大はSEC東地区代表として西地区代表のアラバマ大とリーグタイトルを巡って激突することになります。
ここ最近ジョージア大はアラバマ大に6連敗中。またかつてアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督の右腕としてディフェンシブコーディネーターを務め現在ジョージア大を指揮するカービー・スマート(Kirby Smart)監督としてはここまで事あるごとに古巣チームに行く手を阻まれています。2017年度のCFPナショナルタイトル戦然り、2019年度のSECチャンピオンシップ戦然り。
下馬評はジョージア大の圧倒的有利でしたが、蓋を開けてみるとハイズマントロフィー受賞QBであるアラバマ大のブライス・ヤングがジョージア大ディフェンスをけちょんけちょんに。またあの強力なフロントセブンがアラバマ大OL陣によって抑え込まれ、これまで平均失点数が約6失点だったのに対しこの試合では相手に41失点。またオフェンス陣も24得点に留まりまさかまさかの敗戦でここに来て今季初黒星。
SEC優勝決定戦での思わぬ敗戦で全米1位の座をアラバマ大に明渡し3位まで順位を落としてしまったジョージア大。それでも上位4位以内に留まったためにCFP出場は果たすことができました。そのセミファイナルで対戦したのがBig Tenカンファレンスチャンピオンのミシガン大。
ランを起点とするオフェンスと強力なディフェンスというスタイルで言えばこの両校は似通ったチームとも言え、また大御所同士の対決ということで期待が高まりましたが・・・。
蓋を開けてみればジョージア大がミシガン大を圧倒。持ち前の強力ディフェンスが火を吹きミシガン大オフェンスに全く仕事をさせず、またオフェンスもミシガン大ディフェンスからパスで331ヤード、ランで190ヤードをもぎ取って34対11で完勝。見事にSECタイトルゲームでの敗戦を払拭してアラバマ大とのリベンジを果たすべく再びこの大舞台へ帰ってきました。
スタッツ比較
チーム概要
両チームともカレッジフットボール会で知らない人はいない名門中の名門。共にSEC所属(アラバマ大は西地区、ジョージア大は東地区)でスタッツを見る通りどの部門でも上位に位置する伝統校です。
アラバマ大は2000年代に低迷した時期もありましたが、2007年から現在の監督であるニック・セイバン監督が就任すると復活。以来彼らは15年間で6つのナショナルタイトルを獲得するというダイナスティーを闊歩しています。
一方のジョージア大はナショナルタイトルこそ1980年以来獲得できてはいませんが、常に全米ランキングに顔を出すチーム。ただ中々そこから一皮むけないような時間が流れましたが、2016年にカービー・スマート監督が就任すると急成長。彼の2年目となった2017年には早くもCFPに進出し決勝戦ではアラバマ大と対決。リードするも後半にセイバン監督が当時アックアップで1年生だったトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa、元マイアミドルフィンズ)をジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts、元フィラデルフィアイーグルス)に代えて起用する荒療治によりオーバータイムの末敗れるという苦い思い出があります。
つまりこの対戦は今季のSECタイトルゲームのリマッチというだけでなく、2017年度の全米王座決定戦のリマッチでもあるという訳です。
ちなみに、ジョージア大とアラバマ大の歴代直接対決戦績は42勝25敗4分けでアラバマ大がリード。さらにここ最近ではアラバマ大が7連勝中となかなかジョージア大が勝たせてもらえない天敵でもあります。
2021年度シーズン比較(オフェンス)
両チームのオフェンスのスタッツを見るとやはり目に入るのはスタイルの違いです。
アラバマ大がパスでヤードを稼ぐ一方、ジョージア大はランで距離を稼いでいることがわかります。アラバマ大にはハイズマントロフィーを獲得したQBブライス・ヤングがいることを考えればごく自然な数字といえます。
ただランのヤードだけみるとジョージア大のほうがランに比重をおいているという風に見えますが、プレーコールのチョイスを見るとアラバマ大のほうがランプレーを採用している数が多いのが興味深いです。必ずしもパスだけに頼るチームではないということでバランスの取れたオフェンスを操るチームだと言うことが伺えます。
2021年度スタッツ比較(ディフェンス)
全体的に見るとどちらも素晴らしいディフェンス力を誇っていると言えますが、局地的に見ればやはりジョージア大のディフェンスが全体的に見て優れているといていいでしょう。
まず特筆すべきは失点数。今季唯一の一桁平均失点数を持つジョージア大。彼らはSEC優勝決定戦でアラバマ大に41失点を喫してしまいましたが、それまでの彼らの平均失点数は6点台でしたから、まさにシーズン通して鉄壁の守備力を誇っていたと言えます。
またパスディフェンスも非常に優れています。ただこれも先のアラバマ大戦ではQBヤングに421ヤードも投げられてしまったことを考えるとハイズマン級のエリートQBに対しての脆さを露呈してしまったことにもなります。
しかしアラバマ大のパスディフェンスこそあまり褒められたものではなく、この点はシーズン通して彼らの弱点と言われていた部分。ただパスINTの数がジョージア大を上回っている部分を見ると、球際に強いDBが揃っていることがわかります。それよりもゾーンディフェンスの際のコミュニケーション不足が指摘されていることから守備コーディネーターのピート・ゴールディング(Pete Golding)氏の力不足だというファンの不満も挙がるほどです。
さらに目を引くのはレッドゾーンディフェンスです。ジョージア大が全米1位のところアラバマ大は70位と全体の半分以下。ジョージア大の場合はおそらくシーズンを通して相手に得点を与えてこなかったことからも相手をレッドゾーンに侵入すらさせなかったという事実が浮かび上がってきます。アラバマ大ディフェンスの場合は一旦押し込まれると守りきれないという見方が出来るでしょう。
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前回対戦時のスタッツ
ついでに前回SEC優勝決定戦で対戦したときのスタッツを簡単に見てみましょう。
この時の数字を見ると、1stダウン数ならびにボール所有時間でジョージア大がアラバマ大に勝っているところからジョージア大はそれなりにアラバマ大ディフェンスを押し込むことができていたことが浮かび上がってきますが、最後得点に結びつけることができなかった事もわかります。それはQBステソン・ベネット(Stetson Bennett)が2つもINTパスを犯してしまったことや、3rdダウンコンバージョンが12回中3回しか成功しなかったことにも表ています。
またランディフェンスにおいてはお互いのディフェンスが相手のランを止めていたことが分かりますが、ジョージア大の平均ランヤードが191ヤードなのを考えるとアラバマ大がランディフェンスにおいて健闘したと言えそうです。
そして試合をご覧になった方は覚えていらっしゃるとは思いますが、この試合はジョージア大ディフェンスがQBヤングにしてやられたという試合でした。パスディフェンスで平均171ヤードと全米3位の実力を誇るジョージア大バックフィールドは前回のアラバマ大戦でヤングに400ヤード以上を投げられてしまったのですから。
この時の試合内容をスタッツと合わせて考えるとこのナショナルチャンピオンシップゲームでお互いがどう攻めどう守るかがちょっとだけ見えてくるような気がします。
🚨朗報🚨
今年は「日テレジータス」でこのCFPナショナルチャンピオンシップゲームが生放送されますよ!是非この機会にこのビッグゲームを日本で観戦してみてください!
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🏟CFP全米王座決定戦プレビュー🏟
— Any Given Saturday (@ags_football1) January 6, 2022
今年度のCFP全米王座決定戦は1月10日にいよいよ行われます。今年の決勝進出チームは全米1位のアラバマ大と同3位のジョージア大。今回はここまでの両チームの軌跡を探りそして数字の上でこの2校を比較をしてみます。
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