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Championship Saturday【2021年度第14週目レビュー】

Championship Saturday【2021年度第14週目レビュー】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

アラバマ大41、ジョージア大24

SEC優勝決定戦

全米1位のジョージア大と3位のアラバマ大の対戦。今季最強と謳われたディフェンスをバックボーンにジョージア大がアラバマ大を蹂躙するかと思いましたが、まさかまさかのこのスコア。アラバマ大が周囲の予想を大きく裏切る形でSEC(サウスイースタンカンファレンス)2連覇を成し遂げました。

アラバマ大の勝利の要因はずばりQBブライス・ヤング(Bryce Young)の大活躍。ジョージア大ディフェンスを相手に421ヤードに3TDという数字を残しトータルディフェンスやスコアリングディフェンスなどで全米1位の強敵を料理。パスの成功率こそ60%を切りましたが、ポケット内での冷静さや球離れの良さは相変わらずで、常にクールを装う姿は2年生のものとは思えないものでした。

しかし影の立役者はOL陣ではないでしょうか。先日のアーバン大戦では相手ディフェンスに押されっぱなしで合計7つものQBサックを許したこのユニットは、試合前の予想ではジョージア大の重量級パスラッシュには耐えられないと誰もが思ったものです。しかしこの日彼らはそのジョージア大ディフェンスに1つのQBサックも許さなかったのです。このOL陣の奮闘もありクリーンなポケット内でヤングは2列目3列目の穴を逃しませんでした。

ジョージア大は思わぬ形でアラバマ大に得点の量産を許しましたが、それに対応出来るためのオフェンス力が備わっていませんでした。もちろんアラバマ大のディフェンスも全米トップレベルではありましたが、今季追う展開を一度も経験してこなかった彼らにとって、点差を詰めるだけの術を持ち合わせていなかったのです。

その大きな要因はQB力の差。5つ星QBとしてポテンシャル最高値のアラバマ大ヤングに対し、ジョージア大は怪我で出遅れたJ.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)の代わりに出場し続ける元バックアップのステソン・ベネット(Stetson Bennett)。彼は今季ここまでジョージア大の強力ディフェンスに助けられて大きな仕事をする必要はありませんでした。もちろん彼自身もシーズンを通してミスの少ない安定したプレーをし続けてはいたのですが、アラバマ大のようなディフェンスと対戦してこなったことが仇となってしまいました。

実は昨年この2チームが対戦した際もベネットが出場しましたが、この時はアラバマ大QBマック・ジョーンズ(Mac Jones、現ニューイングランドペイトリオッツ)との投げあいとなり、地力の差が出て敗れました。その再現を見ているような気がしました。しかもスコアは今回と同じ41対24。なんという因果でしょうか。

あまりにジョージア大が強すぎたため今シーズン第4Qにベネットが登場する必要がありませんでした。この試合ではリードを詰めるために追わなければならない状況に追い込まれた中でベネットは新人TEブロック・ボワーズ(Brock Bowers)とのホットラインで攻め込みますが、一方で2つのINTパスも犯しそのうち1つは「ピック6」となってしまいました。

それにしてもこのボワーズは凄かった。チームナンバーワンとなる139ヤードに1TDを獲得しましたが、このTDプレーは圧巻。

またジョージア大オフェンスの要でもあったランアタックがそれほど威力を発揮できなかったも痛かった。ザミアー・ホワイト(Zamier White)、ジェームス・クック(James Cook)、ケニー・マッキントッシュ(Kenny McIntosh)の3RB合わせても100ヤードに届きませんでした。これはアラバマ大のフロントセブンの勝利と言えるでしょう。

ジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)はかつてアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)に仕えていたこともあり「師弟関係」にあります。彼はこの試合も含めて4回セイバン監督に挑戦してきましたが、またも師に阻まれたことになります。悔しさはひとしおでしょう。

ただ、試合後にフィールド上でかわされる監督同士の挨拶では普通は握手程度で終わるのですが、この二人は長いことなにか言葉をかわしていました。二人の関係の深さを表しているようでした。

この結果アラバマ大とジョージア大両校のプレーオフ進出がほぼ現実のものとなり、状況によればリマッチが実現するかも知れません。


ミシガン大42、アイオワ大3

Big Ten優勝決定戦

全米2位のミシガン大と同13位のアイオワ大の間で争われたBig Tenチャンピオンシップはスコアの通りミシガン大の圧倒で彼らが2003年以来のBig Tenチャンピオンに輝きプレーオフへの道を確かなものにしました。

第1Qにミシガン大が立て続けにロングヤードプレーで得点して一気に差をつけましたが、第2Qはお互いのディフェンスが相手を牽制しあって無得点。14対3と予想外にも僅差で前半を終えます。しかし後半に入るとミシガン大オフェンスをアイオワ大ディフェンスが抑えきれなくなり、ミシガン大が怒涛の28連続得点。最終的には地力の差が出てミシガン大が予想通りの勝ち星を手に入れました。

ミシガン大は持ち前のランアタックを全面に押し出すオフェンス。トータル211ヤードに4TDを足で稼ぎましたが、そのうちの1つであるRBブレイク・カーラム(Blake Corum)の67ヤードランTDは圧巻。またこのプレーではバクアップQB J.J.マッカーシー(J.J. McCarthy)がQBながらリードブロックをかって出るなどチームが一丸となっていることを示してくれたプレーでした。

またRBハッサン・ハスキンズ(Hassan Haskins)も後半2つのTDをランで獲得。これでハスキンズの今シーズンのトータルランTDが20個目となりこれはミシガン大フットボール部の新記録となりました。

対するアイオワ大はランでもパスでも活路を見出すことが出来ず、結果的にはトータルヤードで279ヤード(ミシガン大は461ヤード)と撃沈。途中先発QBスペンサー・ペトラス(Spencer Petras)からアレックス・パディラ(Alex Padilla)に代えて流れを取り戻そうとしましたが強力なミシガン大ディフェンスを前にほぼ無力でした。

ミシガン大は既に発表されたファイナルCFPランキングで2位となり3位のジョージア大との準決勝戦(オレンジボウル、12月31日開催)が決まりました。プレーオフ進出は彼らにとって初めてのことです。

ちなみにこの日ミシガン大は先日ミシガン州で起こった高校校舎内での銃乱射事件で命を落とした4人の犠牲者を弔うパッチを身に着けてこの試合に臨みました。

この犠牲者の一人であるテイト・マイアー君がフットボール部所属で背番号「42」をまとっていたことからこのパッチに「42」があしらわれましたが、ミシガン大のこの日のファイナルスコアが偶然にも「42」。試合後ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督はこのことについて「これも神の仕業に違いない」と感慨深げでした。

ベイラー大21、オクラホマ州立大16

Big 12優勝決定戦

全米5位のオクラホマ大と9位のベイラー大の対戦となった今年のBig 12カンファレンス優勝決定戦。ベイラー大は2014年ぶり、オクラホマ州立大は初出場となったこの大舞台でしたが、試合の行方は終了直前まで分からないという展開になりました。

場面は第4Q残り時間3分14秒。21対16の5点差でベイラー大を追うオクラホマ州立大はここまで調子の悪かったQBスペンサー・サンダース(Spencer Sanders)が最後のチャンスをものにすべくパスを立て続けに成功させてベイラー大陣内へ急襲。13プレーを経て遂に相手陣内2ヤード地点までたどり着きます。ここで残り時間はあと1分19秒。TDを奪いさえすれば逆転となる場面でしたがここからドラマが生まれたのです。

最悪4度のチャンスでエンドゾーンに飛び込めれば良かったオクラホマ州立大でしたが、1stダウンで1ヤード進撃するもそこからあと1ヤードが遠く、迎えた4thダウン。ハンドオフを受けたRBデズモン・ジャクソン(Dezmon Jackson)がエンドライン左側のパイロン目がけて激走しますがDBジェイロン・マクヴェイ(Jairon McVea)がジャクソンを追撃しボールがエンドラインを超えるわずか手前でジャクソンを押し出すことに成功。4thダウンプレーは失敗し残り約20秒を残してベイラー大ディフェンスがゴールラインスタンドをやってのけたのです!

このプレーでオクラホマ州立大は文字通り勝利まであと一歩及ばず惜敗。悲願だったカンファレンスタイトルを逃しただけでなく、CFP進出への切符も手に入れそこねてしまいました。

オクラホマ大と対戦したときのような冴えたプレーが失せていましたが、筆者も心配していたQBサンダースの悪い癖である好調と不調の並の激しさがこの試合に出てしまいました。彼はこの日なんと4つのINTパスを記録。これではいくらなんでも勝てる試合も逃すというものです。その割にこの僅差なのが不思議なくらいですが、頑張っていたディフェンスの奮闘も水の泡に。

ベイラー大は負傷欠場の先発QBゲリー・ボハノン(Gerry Bohanon)の代わりにブレイク・シェイペン(Blake Shapen)が出場。180ヤードと距離を稼ぐことはありませんでしたが、重要なのはミスが無かったこと。3つのTDを奪い全ての得点に絡む活躍を見せ2014年以来のタイトル獲得に大いに貢献しました。

また今年で就任2年目のデイヴ・アランダ(Dave Aranda)監督は第3Qに自陣36ヤード地点で迎えた4th&1ヤードという場面で4thダウントライを敢行。これが阻止されてその後に失点につながるという無茶とも言える采配もありましあが、結果的には就任2年目にてリーグ優勝を果たす偉業を成し遂げました。

シンシナティ大35、ヒューストン大20

AAC優勝決定戦

アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)の優勝決定戦は全米4位のシンシナティ大と21位のヒューストン大の間で争われました。

勝って無敗を守り13勝目を挙げれば「グループオブ5」勢として夢のプレーオフ進出を確実なものにできるシンシナティ大は前半こそヒューストン大と接戦となりますが、QBデスモンド・リダー(Desmond Ridder)の3つのパスTD、RBジェローム・フォード(Jerome Ford)の187ヤードという鬼神のごとし走りで相手を突き放し35対20で勝利して見事にAACタイトル2連覇を果たし、プレーオフへの切符を手に入れました。

第1Q出だしから両校は火花をチラシ、リダーならびにヒューストン大QBクレイトン・トューン(Clayton Tune)二人合わせて316ヤードを計上。そのスタイルからハイスコアな試合になることが予想されました。

しかしモメンタムが変わったのは第3Q序盤。攻めるシンシナティ大は4thダウントライを阻止されれたかと思われましたが相手のパスインターフェアレンスの反則に助けられてドライブを生かすとリダーからWRレナード・テイラー(Leonard Taylor)へのパスが通ってTDを奪います。さらにその次のヒューストン大の攻撃ではトューンのパスをシンシナティ大のLBジョエル・ドュブランコ(Joel Dublanko)がインターセプト。そのチャンスを逃さず再びリダーのパスTDが決まって一気に28対13と突き放します。

ヒューストン大もTDを1つ奪って点差を詰めますが、アラバマ大からの転校生であるRBフォードが42ヤードのロングTDランを見せて35点目を奪いヒューストン大にとどめを刺したのでした。

この勝利の後シンシナティ大はCFPランキングで4位となり準決勝戦のコットンボウルにて1位で前年度覇者のアラバマ大と対決。横綱の胸を借りることになります。「グループオブ5」チームで初のプレーオフ進出。この偉業だけに満足せずさらに上を目指せるか?

ユタ大38、オレゴン大10

Pac-12優勝決定戦

Pac-12カンファレンス優勝決定戦は10位のオレゴン大と17位のユタ大のマッチアップ。オレゴン大は今季最高3位まで上昇するもこのユタ大に一度敗れたためにプレーオフの夢を絶たれたチーム。せめてリベンジを果たしカンファレンスタイトルを獲得してローズボウルに出場したいとこでしたが・・・。

試合開始後からユタ大のフィジカルフットボールがオレゴン大に襲いかかり前半を終えた時点で23対0と圧倒。特にQBキャメロン・ライジング(Cameron Rising)の投走における活躍でオフェンスの流れをつかめばRBタヴィオン・トーマス(Tavion Thomas)が2つのランTDで得点を重ね、またディフェンスでもLBデヴィン・ロイド(Devin Lloyd)がオレゴン大QBアンソニー・ブラウン(Anthony Brown)から「ピックシックス」を奪うなど一方的な展開となり、ユタ大がPac-12カンファレンス初優勝。同カンファレンス代表として由緒あるローズボウルに出場することが決定しました。

ユタ大は過去1年間でタイ・ジョーダン(Ty Jordan)とアーロン・ロウ(Aaron Lowe)を相次いで事故死で亡くし精神的に辛いシーズンを送ってきました。しかし試合後の会見では監督であるカイル・ウィッティングハム(Kyle Whittingham)監督やチームメートが「この勝利はタイとアーロンに捧げる」と話していたことが印象的でした。

一方オレゴン大はここまで何度もマリオ・クリストバル(Mario Cristobal)監督が他大学に引き抜かれてしまうのではないかという噂や攻撃コーディネーターのジョー・モアヘッド(Joe Moorhead)氏がアクロン大の監督に就任するのではないかという噂(実際にこの試合後にモアヘッド氏はアクロン大監督に就任)に振り回されたのか、チーム内の集中力が欠けているようにも見えました。途中プレーオフ進出が手に届くところまでいただけに10勝シーズンとはいえ不完全燃焼感にあふれる幕切れとなってしまいました。

ピッツバーグ大45、ウェイクフォレスト大21

ACC優勝決定戦

アトランティックコーストカンファレンス(ACC)の優勝決定戦は15位のピッツバーグ大対16位のウェイクフォレスト大。2014年以来初めてクレムソン大が出場しないフレッシュな顔合わせ。どちらも有能QBを擁すためハイスコアゲームに期待がかかりましたが・・・。

ピッツバーグ大の先制点はQBケニー・ピッケンズ(Kenny Pickens)の58ヤードのロングランTDでしたが、このプレーでピッケンズはディフェンダーが近づいてきたところでスライドするかと思いきやフェイクで彼らを交わしてTDを奪うというプレーを見せました。

無防備のQBを守るためにQBには不必要にコンタクトできないルールが増えてきましたが、それを逆手に取ったかのようなこのプレー。これはディフェンダーにとっては不公平とも言え、頭脳的と卑怯の紙一重ともいえるこのプレーに今後賛否が分かれそうです。

結局試合の方はウェイクフォレスト大QBサム・ハートマン(Sam Hartman)が第1Qに2本のTDパスを決めさらにランTDで21点を量産するも以降第2〜第4Qに無得点となり、その間にピッツバーグ大が点を重ね続け終わってみればダブルスコアの差がついてピッツバーグ大が圧勝。ACC初タイトル奪取を成し遂げたのでした。

Elsewhere…

C-USA優勝決定戦:UTSA49、ウエスタンケンタッキー大41

MAC優勝決定戦:ノーザンイリノイ大

MWC優勝決定戦:ユタ州立大46、サンディエゴ州立大13

マウンテンウエストカンファレンスタイトル戦初出場のユタ州立大が全米21位のサンディエゴ州立大を圧倒。同カンファレンス優勝決定戦において史上最多特典となる46点を叩き出してユタ州立大が初優勝。

昨年までアーカンソー州立大を率いたブレイク・アンダーソン(Blake Anderson)監督が就任初年度でのいきなりの快挙。昨年チームが1勝5敗だったことを考えると10勝3敗でタイトル奪取とはお見事です。

サンベルトカンファレンス優勝決定戦:ルイジアナ大24、アパラチアン州立大16

ルイジアナ大ラフィエット校は既にこの試合後にフロリダ大HC就任が決まっているビリー・ネイピアー(Billy Napier)監督に花道をと選手たちが健闘。見事にアパラチアン州立大を抑えて史上初の単独リーグ優勝並びに12勝シーズンを達成。

これまでフットボール部は無名の弱小チームでしたが、ネイピアー監督在任4年間で40勝12敗。特に最近3年間では連続で二桁勝利シーズンを飾り確実に彼のもとで強くなりました。しかしそんな指揮官が去るのを選手たちはむしろ喜んでいるようで、それがオクラホマ大やノートルダム大のケースと真逆で痛快です。

(完)

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