今季のカレッジフットボールもいよいよ終盤。ナショナルタイトルを狙うチーム、もしくは所属するカンファレンスタイトルを狙うチームらはそれぞれもう負けることが許されない緊迫した状況に突入していきます。強豪校ですら油断できないこの第12週目の主な見どころを探っていきます。
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オクラホマ大@ベイラー大
今季9勝無敗と絶好調のベイラー大ですが、最新のカレッジフットボールプレーオフランキングでは13位。既に2敗しているフロリダ大やアーバン大よりも下ということでCFP選考委員会からの評価はイマイチです。しかしこのことが彼らのモチベーションを一層高めることでしょう。
オクラホマ大のディフェンスは不安材料を抱えますが、焦点はベイラー大ディフェンスがオクラホマ大QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)を攻略できるかという点でしょう。機動力もありなおかつパスアタックも冴えるハーツを抑えられなければ大量失点もありえます。
ベイラー大ディフェンスはパスディフェンスで全米12位ということなので、この点は期待できそうです。またこれまでパスINTを10回、そして許したパスTDが7回という数字からも彼らのパスディフェンスが頼りになるものだということが分かると思います。ただオクラホマ大オフェンスはこれまでベイラー大が対峙してきたオフェンスとは比べ物にならないので、彼らの真の力が試されそうです。
ベイラー大がこの試合に勝てばその後の結果にかかわらず彼らがBig 12カンファレンスの優勝決定戦に出場する権利を獲得します。
一方ベイラー大よりも上にランクされているオクラホマ大ですが、カンザス州立大戦でディフェンスが崩壊したことでチームの評価が一変。彼らが再びランキングで上位を狙うためには今後の試合全てにおいて相手を完膚なきまでになぎ倒すような、選考委員会にいいアピールとなる試合を演じなければなりません。そのためにもまずは13位のベイラー大に完勝することが絶対条件です。
ジョージア大@アーバン大
CFP争いで言えば上に挙げたベイラー大とオクラホマ大の試合以上にこのジョージア大とアーバン大の「深南部最古のライバリー」と呼ばれるマッチアップの方が影響力があるといえます。
サウスカロライナ大にまさかの敗戦を喫してランキングを下げたジョージア大ですが、最新のCFPランキングでは遂に4位にまで再浮上してきました。アーバン大は既に2敗しておりプレーオフ戦線からは脱落。今はジョージア大ならびにシーズン最後に対戦するアラバマ大を蹴落とすための「ヒール役」に徹します。もちろん勝ち進めば「ニューイヤーズ6」ボウル出場も見えてくるでしょう。
開幕前ジョージア大QBジェイク・フローム(Jake Fromm)はチームを全米制覇という高みに導き来るNFLドラフトで第1巡目で選択されるようなシナリオを描いていたかもしれません。現在8勝1敗でCFPランキング4位のジョージア大はプレーオフを経て悲願の全米制覇を成し遂げるチャンスを未だ持っていますが、一方でフロームのNFLドラフトでの株はイマイチ。しかしこのアーバン大戦でスカウトたちの疑念を払拭するようなパフォーマンスを見せることができればそんな状況も変わってくるかもしれません。
確かに彼はルイジアナ州立大のジョー・バロウ(Joe Burrow)やアラバマ大のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagoviloa)のようなスターQBではないかもしれません。特に最近ではサウスカロライナ大戦で4つのパスINT、ケンタッキー大ではトータルでたったの35ヤードしか記録できないなど、スランプに陥っているとも言える不調状態でした。しかし先々週のフロリダ大戦では本領を発揮して大舞台で見事にオフェンスを指揮するところを見せました。
今週対戦するアーバン大ディフェンスは全米でも随一のパワーを誇るユニットでありフロームにプレッシャーを掛けるべく波状攻撃をかけてくるでしょう。そんなディフェンス陣に対して彼がミスを連発するような事があればジョージア大のプレーオフへの希望は薄れてしまうでしょうし、フロームのNFLドラフトでの株も大暴落してしまうことでしょう。
ジョージア大がプレーオフに出場するにはフロームがフロリダ大戦で見せたような活躍が必須となります。
ルイジアナ州立大@ミシシッピ大
最新のCFPランキングで遂に1位に輝いたのが先週アラバマ大を倒したルイジアナ州立大。オハイオ州立大を飛び越して全米の頂上に立ちました。開幕以来彼らは対戦する相手を次々と料理し、4つものトップ10チームから白星を奪うという荒わざをやってのけたのです。。
今週彼らが対戦するミシシッピ大は決して今季のトップチームとはいえませんが、だからといってルイジアナ州立大が油断すべき相手でもありません。特にこの試合がアラバマ大との激戦の翌週の試合だからです。長年の雪辱を果たすために全身全霊をつぎ込んだルイジアナ州立大だからこそそれが達成できた今気を抜いてしまう・・・なんてことにもなりかねません。もしここで1敗したら悲願のナショナルタイトル獲りに傷がつきます。
とはいえハイズマントロフィー最有力候補QBジョー・バロウはアンストッパブルですし、普通に戦えば間違っても負けてしまうような相手ではありません。もし彼らが今季の王者たるべきチームであるならばどんな相手でも容赦なく叩きのめせるはずです。
アラバマ大@ミシシッピ州立大
CFPが導入されて以来唯一毎年プレーオフに進出してきたのがアラバマ大ですが、先週ルイジアナ州立大に敗れその連続記録更新に黄色信号が点滅しました。このまま行けば彼らはSEC西地区の栄冠をルイジアナ州立大に譲ることになります。そうなってしまった場合彼らがプレーオフに進出するためには残りの試合でCFP選考委員会に度肝を抜くようなパフォーマンスを見せなければなりません。
特に彼らは残りの試合のうちウエスタンカロライナ大という「カップケーキチーム」との対戦が組まれてしまっていますから、今週末のミシシッピ州立大、そして最終戦のアーバン大戦でいつも以上の結果を残して勝たなければならないのです。まずは彼らが今週ルイジアナ州立大戦での敗戦を乗り越えてミシシッピ州立大を料理できるかが見ものとなってきます。
アリゾナ大@オレゴン大
CFPランキング6位のオレゴン大はホームにアリゾナ大を迎えますが、この試合はおそらくオレゴン大の圧倒的なペースで進むと思われます。アリゾナ大はここまで4連敗でしかも敗戦全てにおいてふたけた以上の点差を付けられています。彼らのディフェンスがとにかくスカスカで、ここまで5試合連続で相手に30点を許しており、オレゴン州立大に至っては56点も奪われたのです。
そんなアリゾナ大を相手にするオレゴン大は万に一つプレーオフに進出するためにはもう負けることは許されません。2週間前にサザンカリフォルニア大を32点差をつけて退けたオレゴン大は先週バイウィークで休みだったこともあり、アリゾナ大退治は万全です。
UCLA@ユタ大
CFP7位のユタ大とUCLAの試合はプレーオフレースに多少なりとも関わってくる試合。そういった意味だけでも観戦したい試合ですが、それがなかったとしても純粋に楽しませてくれるような試合になりそうです。
UCLAは開幕後1勝4敗とし誰もが彼らのシーズンは終わり、今年2年目のチップ・ケリー(Chip Kellly)監督のクビも危ないなんてささやかれていましたが、後半持ち直してここ最近は3連勝。計算上は彼らにも南地区優勝の可能性が残されているのです。
ユタ大はサザンカリフォルニア大に敗れて1敗を喫していますが、それ以降は持ち直し2週間前にはワシントン大をアウェーで倒しています。Pac-12カンファレンスからプレーオフチームを輩出するためにはユタ大がここで負けるわけには行きません。しかしUCLAを応援したくなってしまう筆者・・・。
ミネソタ大@アイオワ大
先週当時CFP4位のペンシルバニア州立大を倒し9勝0敗としたミネソタ大CFPランキングも17位から8位にまで上昇させ彼らへの株は上がる一方です。今週末は20位のアイオワ大と対戦しますが彼らがこの20位のアイオワ大を倒せれば8位よりも更にジャンプアップする可能性を秘めているといえます。が、負けてしまった場合にはおそらく彼らの1941年以来のナショナルタイトルの夢はここで潰えてしまうでしょう。
特にペンステートとの大一番を制したミネソタ大は敵地へ乗り込まなければならないですし、ミシガン大、ペンステート大、ウィスコンシン大を苦しめたディフェンス陣は伊達ではないです。果たしてミネソタ大は無傷で10勝目を飾ることが出来るでしょうか?
インディアナ大@ペンシルバニア州立大
先週上記のミネソタ大に敗れ今季初黒星を喫したペンステートはランキングを4位から9位に下げてしまいました。とはいえ彼らはいまだオハイオ州立大との直接対決を控えているのでこれにさえ勝てば彼らが再び上位4チームの一角を成すことは可能です。
彼らの対戦相手であるインディアナ大はこれまでペンステートの本拠地であるステートカレッジ市で白星がいまだ無く、総合対戦成績もなんと1勝21敗とペンステートに手も足も出ない状況が20年以上続いている訳になります。しかし今季のインディアナ大はここまで7勝2敗と絶好調。CFPランキングにランクされていてもおかしくないチームと言えます。
そんなチームをホームに迎えるペンステート大がプレーオフに進出するためにはすべて勝つ必要があり、来週のオハイオ州立大戦が最重要ゲームという認識が生まれることでしょうが、インディアナ大に足元をすくわれないようにしないといけません。
ミシガン州立大@ミシガン大
ミシガン州内のライバル対決であるこのマッチアップですが、今季のミシガン州立大の不調を考えるとカレッジフットボールファンの興味は半減してしまっています。しかしライバリーはいつの時も何が起こるかわからないもの。その落とし穴にミシガン大がはまらないか・・・。