第10週目レビュー

第10週目レビュー

今シーズンもいよいよ11月に入り佳境に差し掛かっています。今月最初のウィークエンドは各地で多くのチームがバイウィーク(試合のない週)過ごす中、カレッジフットボール界でも著名なライバリー、Pac-12カンファレンス内での重要な試合、そして「グループオブ5」チーム同士の一騎打ちなど見どころはしっかりとありました。そんな第10週目を振り返ります。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ジョージア大24、フロリダ大17

世界最大の屋外カクテルパーティー」というあだ名を持つ(持っていた)このサウスイースタンカンファレンス(SEC)東地区のライバリー。フロリダ大は6位、ジョージア大は8位と両チームとも高順位チームであり、どちらも1敗同士ということもありこの試合の結果がSEC優勝決定戦進出ならびにカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出に大きく影響してくるということで第10週目において最も注目を浴びるマッチアップでした。

今シーズンルイジアナ州立大ジョー・バロウ(Joe Burrow)やアラバマ大トゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)がハイズマントロフィー候補としてスポットライトを浴びる傍ら、ジョージア大のQBジェイク・フローム(Jake Fromm)は3年目の先発QBながらパサーとして彼らに劣るという低評価を受けてきました。しかもここ2試合ではサウスカロライナ大戦で4つのパスINT、ケンタッキー大戦ではたったの35パスヤードに沈むなど評価はさらに下落。ジョージア大の足を引っ張っているのが彼のような言われ方すらしていました。

そんな中で迎えたこのフロリダ大戦。フロームはその悪評を払拭するようなシャープなプレーを次々と見せ復活を思わせる見事な指揮官ぶりを見せてチームのオフェンスをまとめ上げました。またRBデアンドレ・スウィフト(D’Andre Swift)の効果的なランオフェンスの助けもあり試合はジョージア大ペースで展開。最後は追いすがるフロリダ大にとどめを刺す、3rdダウンコンバージョンとなる素晴らしいパスをTEイーライ・ウォルフ(Eli Wolf)に決め、タイムアウトを使い果たしたフロリダ大は打つ手なし。ジョージア大が見事にこの大舞台で貴重な白星を挙げるのにフロームが貢献したのでした。

フロリダ大もオフェンス陣はQBカイル・トラスク(Kyle Trask)がほぼミスのないパスプレーでジョージア大ディフェンスに襲いかかりましたが、痛かったのは彼らのランアタックがほぼ効果なしだったこと。このことによりフロリダ大は長い3rdダウンを余儀なくされ、結果的にここが勝負の分かれ目になった気がします。

これでジョージア大は虎の子の1敗を守り、またフロリダ大との直接対決を制したためSEC東地区制覇に向けて大きく前進。まだ彼らにはアーバン大戦が残されていますが、この試合での白星が彼らに勢いを付けてくれることは言うまでもありません。一方のフロリダ大は6位まで上り詰めるもこの敗戦で2敗目となりプレーオフレースから敗退。東地区制覇も厳しくなってきました。目標も「ニューイヤーズ6」ボウル出場へと修正せざるを得なくなりそうです。


メンフィス大54、サザンメソディスト大48

今季信じられない快進撃を続けているサザンメソディスト大(SMU)。彼らはこの無敗神話をフィニッシュまで語り続けるためにメンフィス大に乗り込み9勝目を狙いに行きましたが、マイク・ノーヴェル(Mike Norvell)監督率いるメンフィス大がこれを返り討ち。SMUのパーフェクトシーズンの夢を打ち砕いたのでした。

グループオブ5」チーム同士の戦いであるにも関わらずこの試合は全米三大ネットワークの一つABCでプライムタイムに放映されました。それはSMUが1980年代以来のスポットライトを浴びているからであり、またスポーツ専門局ESPNの恒例プリゲームショーである「カレッジゲームデー(College Gameday)」がこのメンフィス大キャンパスで生放送されたこともこの試合を大いに盛り上げました。その結果メンフィス大のホームスタジアムはほぼ満員。「パワー5」同士の試合に負けじと劣らない素晴らしい雰囲気を作り出していました。

そして試合内容もその盛り上がりに応えるように非常にエンターテイメント性に富んだものに。予想通りの点取り合戦になりましたが、このハイスコアゲームを制したのはホストチームのメンフィス大でした。

メンフィス大QBブレディ・ホワイト(Brady White)は3TDを含む350パスヤード、RBケネス・ゲインウェル(Kenneth Gainwell)は1TDを含む88ヤードを記録。そしてWRアントニオ・ギブソン(Antonio Gibson)が1TDを含む130レシーブヤードに加え78ヤードのTDラン、更には97ヤードのキックオフリターンを見せるなど大車輪の活躍。SMU守備陣にとってメンフィス大攻撃陣は荷が重すぎました。

がそれでもSMUオフェンスは得点されても取り返すという意地を見せ続け常にリードされる展開ながら最後まで諦めずにプレーしている様子が手に取るようにわかりました。テキサス大からの転校生QBであるシェーン・ビューシェル(Shane Buechele)は3TDを含む456パスヤードというとでもない数字を残しましたし、最後にオンサイドキックをものにしていればひょっとしたら・・・という展開にまで食らいついていったのです。

しかしそれもこれも彼らのディフェンスがメンフィス大相手に為す術がなかったことが響きました。これでメンフィス大は所属するアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)で単独首位となり、自力優勝に大きく一歩前進。一方SMUは連勝記録が遂に途絶え、「グループオブ5」出身チームで最も高くランクされているチームに与えられる「ニューイヤーズ6」ボウル出場という大きな夢が一つ遠のいてしまいました。

オレゴン大56、サザンカリフォルニア大24

ランキングの上位5位が変動する気配がない中11月5日には今季初のCFPランキングが発表されますが、その直前となる先週末にCFP選考委員会にまたとないアピールが出来たのがPac-12カンファレンスオレゴン大でした。APランキングで7位の彼らはサザンカリフォルニア大を56対24と料理して8勝目を挙げPac-12出身チームとしてプレーオフ進出への希望をしっかりと繋ぎました。

10対0とUSCにリードを奪われるスローなスタートとなったオレゴン大でしたが、第2QにはパスTD、ディフェンスのINTからの「ピックシックス」、そして100ヤードのキックオフリターンTDと攻・守・スペシャルチームとすべての側面から得点を奪って一気に逆転すると以後は振り返ることなくリードをどんどん奪い、終わってみればダブルスコアとなる一方的な試合となりました。

ユタ大33、ワシントン大28

昨年レギュラーシーズン中、そしてカンファレンス優勝決定戦と2度対戦しながら2度ともワシントン大に敗れ去っていたユタ大。今年は全米9位という勲章を引っさげてリベンジに臨んだ彼らでしたが見事にそれを達成。オレゴン大に続きユタ大もプレーオフ進出に大きな望みを繋ぎました。

ワシントン大の激しいディフェンスに翻弄されながらもユタ大QBタイラー・ハントレー(Tyler Huntley)は284パスヤード、RBザック・モス(Zach Moss)が100ランヤードを獲得。また彼らのディフェンス陣も今季ここまで彼らが対戦してきた中でも最強と言えるワシントン大オフェンスを苦しめ許した3rdダウンコンバージョンは5回、ターンオーバーも3つも奪うなど善戦。

これでユタ大はオレゴン大と共にPac-12カンファレンス出身校としてトップ10入りを維持できそうです。そしてこのままいけばこの両校がカンファレンス優勝決定戦で激突することになりそうなので、そこまでお互いが1敗を守り続けられればその試合の勝者がCFP出場というシナリオも考えられます。そうなれば2016年度にワシントン大が出場して以来3年ぶりにどうカンファレンスからプレーオフ出場校を輩出ということになり、開幕当初Pac-12カンファレンスが共食いしあってレベルを落としているという危惧を払拭することが出来ます。

ノートルダム大21、バージニア工科大20

先週ミシガン大に手痛い黒星を喫し2敗目となりプレーオフ進出の可能性が実質消えてしまったノートルダム大。その痛手が響いたのかこのバージニア工科大戦では常にリードを奪われる展開で、エースQBイアン・ブック(Ian Book)も2度もターンオーバーを犯すなど精彩を欠き、あわやホームで敗れて2連敗となるかと思われましたが・・・。

6点差とリードされる展開で迎えた終局、ブックは18回のプレーで87ヤードの進撃を見せる決死のドライブを演出。そして最後は自らが7ヤードランでエンドゾーンに飛び込み試合終了30秒前にギリギリのところで逆転。本拠地での黒星を何とか回避できました。

マイアミ大27、フロリダ州立大10

かつて互いが全米制覇を狙えるチームでありこのマッチアップは全米の注目をかっさらうほどのビッグゲームでしたが、近年はどちらも低迷状態にあり今年のこのゲームは全く話題にすら上がってきませんでした。カレッジフットボールファンとしては大変寂しい限りですが、何しろ1975年以来初めて両チームが対戦時に負け越しレコードを背負っているという事実もあり注目度の低さは致し方ありません。

そんなこの試合はこの試合で怪我から復帰してきたマイアミ大QBジャレン・ウィリアムス(Jarren Williams)が2TDを含む313ヤードを投げるなどして復活を華々しく飾りこのライバル戦を制しました。

ちなみにこの17点差というのはこのマッチアップにおいて2001年以来最大のもの。それもこれもフロリダ州立大のオフェンスにパンチ力がまったくないことに起因しています。この敗戦でフロリダ州立大は残り3試合で2勝しなければ昨年に続きボウルゲーム出場を逃します。そうなれば1975年と1976年に続き40年以上ぶりの2年連続ボウルゲーム不出場という汚点を残してしまうことになります。

おそらくそれを防ぐという理由もこのニュースの一因となったのでしょう・・・。

フロリダ州立大よ、どこへゆく・・・。

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