フロリダ州立大、タガート監督を解雇

ツイートこの記事でもすでに紹介しましたが、先週マイアミ大とのライバルゲームで27対10と惨敗し今季4勝5敗となったフロリダ州立大ウィリー・タガート(Willie Taggart)監督をシーズン途中ながら解雇する苦肉の決断を下しました。

タガート監督はここ数年短期間で多数のチームを乗り換え、2017年度のオフシーズンに彼の長年の夢でもあったフロリダ州立大の監督に就任。オレゴン大から移ってきた彼ですが、同大での在籍期間は1年弱であったためオレゴン大を去る際には大変な批判を受けたものですが、それでも彼がフロリダ州立大を選んだのはこのチームがタガート監督にとって子供の頃からの憧れのチームだったからです。

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フロリダ州立大で2年持たなかったタガート監督

そんな最大の夢を叶えたタガート監督でしたが、そのチームから2年も絶たずに三行半を突きつけられたのですからこんなに心打ちひしがれることはないでしょう。

フロリダ州立大というチーム

そもそもフロリダ州立大は1990年代からボビー・バウデン(Bobby Bowden)元監督のもと一世を風靡した強豪校。その強さといったら今のアラバマ大を想像していただければ分かると思います。フロリダ州立大=最強のブランドが完成したわけですが、バウデン監督も高齢となるとそのカリスマ性が薄れチームも徐々に下降気味になっていきます。

そして2009年にバウデン監督が引退すると彼の下でオフェンシブコーディネーターを務めていたジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)氏が満を持して監督デビュー。2010年度シーズンからいきなり10勝シーズンを獲得。その後も素晴らしい成績を残し2012年からアトランティックコーストカンファレンス(ACC)タイトルを3連覇。2013年には全米制覇を果たしチームは完全復活した・・・と思われました。

しかし2015年からACCの覇権をクレムソン大に奪われると2017年には7勝6敗となりフィッシャー監督への風当たりも強くなります。そんな折テキサスA&M大ケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin、現アリゾナ大監督)を解雇、その空いた椅子にフィッシャー監督が滑り込みボウルゲーム前にフロリダ州立大はチームの長を失うことになります。

そこで彼らが触手を伸ばしたのが当時オレゴン大の監督を務めていたタガート監督。彼はオレゴン大の前にサウスフロリダ大で監督を務め、フロリダ州でのリクルーティングの土壌はしっかりしていましたから、チームにとっては監督として適任だと白羽の矢を立てたのでしょう。個人的には当時からこの起用はどうなのかな・・・と思っていましたが。


惨状

タガート監督がフィッシャー監督から受け継いだのは脆いOL陣、スターQBの欠如、そして低落したチームの規範という惨状でした。これを一から叩き直してかつての強いフロリダ州立大に再生させるのがタガート監督の責務でしたが、これが一日二日で達成されるはずがなく再建には数年かかることは現実的に見て明らかでした。

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タガート監督としてはここで華々しくキャリアを終えたかったことでしょうが・・・

しかし王政復古をいち早く懇願する大学関係者、後援者、ファンはタガート監督1年目からクレムソン大を脅かすようなチームに変身することを当然のように望み、タガート監督はチームの育成に時間がかかることを知りながらもそのような無慈悲な期待に応えなければならなかったのです。

チームの育成にはリクルーティングが必要不可欠ですが、資金の問題でフロリダ州立大の施設は他の強豪チームから大きく遅れを取っており、そのサポートの無さがフィッシャー監督がチームを去った大きな一因とされていますが、近代のリクルーティングにおいてリクルートたちの気を引くような施設を持つのはもはや当たり前のこと。この面でタガート監督はいきなり厳しい現実を突きつけられます。

そして現存の選手の育成ですが、これも一筋縄では行きません。一番問題視されていたのはチーム内の選手の士気の低下。この選手たちの緩んだ根性を鍛え直しチームとして一つの目標に向かっていけるカルチャーを作らなければならなかったのがタガート監督最大の課題だったのです。そしてそれもそう簡単になされることではありません。


凋落

1年目となった2018年度は5勝7敗と惨敗。負け越したことで1982年から続いていたボウルゲーム連続出場が途切れるという、フロリダ州立大フットボール部史上に残る汚点を残してしまったタガート監督。フィッシャー監督の1年目が10勝3敗だったことも相まってすでにこの時点でタガート監督はフロリダ州立大の監督にふさわしくないという声が高まっていました。

そして今年、開幕戦でいきなりボイジー州立大にホームで敗れると3戦目のバージニア大にも黒星を喫し1勝2敗発進となり先行きが怪しくなります。そして10月に入るとクレムソン大に45対14と大敗し、ウェイクフォレスト大にも2点差の僅差ではありましたがこれにも敗れて2連敗。そして迎えた先週末のライバル・マイアミ大戦では全くいいところなく27対10と敗戦。これを見かねた大学側が遂に2年も満たないタガート政権に見切りをつけたのです。

先に紹介した問題点(OL、QB、選手の規律)は未だに残っており、たしかにこのチームには何かポジティブなものが現在進行形として起こっているとは外から見ると全くわかりません。しかし年収500万ドル(1ドル100円計算で約5億円)も支払えばチームとしてはそれに見合うだけの結果を一刻も早く出してもらわないと困るわけです。しかも弱体化するチームのせいでホームゲームの観客動員数も減る一方。大学側としては「解雇せざるを得ない」状況だったといえます。


今後は?

自分好みの選手を揃え、自分色にチームを染めるには少なくても3年から4年はかかるとというのが普通の考えだと思いますから、いくらなんでも2年も経たずに解雇してしまうというのは狂気の沙汰だと思います。しかし先にも述べたとおりタガート監督にはそれだけの期待を込めて大金をはたいている訳で、今日のカレッジフットボール事情を考えると致し方ない結果です。

それもこれもアラバマ大やクレムソン大がナショナルタイトルを獲得し、その対価としてとんでもない額のサラリーを受け取っているからに他ならず、「奴らが出来るならウチラも出来るはずだ」という精神に基づいていると言えるでしょう。しかし考えてみればナショナルタイトルを連覇できたりするのは非常に稀なケースであり、カンファレンスタイトルを争い数年に1度その栄冠を手に入れることができれば上々だと考えられなくもないと思うのですが、やはりお金が絡んでくるとそうも行きませんね・・・。

タガート監督が去った後チームはDLコーチのオデル・ハギンズ(Odell Haggins)氏が臨時監督として残りの3試合を凌ぐようですが、当然注目となるのは誰がこの名門校を立て直すことが出来るのか、ということです。

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この伝統校が再び一世風靡する日は来るのでしょうか・・・

今のところ名前が上がっているのが元オクラホマ大監督のボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏、彼の弟でケンタッキー大監督のマイク・ストゥープス(Mike Stoops)氏、ワシントン州立大マイク・リーチ(Mike Leach)氏、ミネソタ大監督のP.J.フレック(P.K. Fleck)氏、クレムソン大DCのブレント・ヴェナブルズ(Brent Venables)氏、さらには元オハイオ州立大監督のアーバン・マイヤー(Urban Meyer)氏などなど・・・。

どちらにしてもこの大学をまた全米の表舞台に引っ張り上げるのは簡単な仕事ではなさそうですから、それを引き受けるとしたらよほどの覚悟が必要でしょうね。

ちなみに6年契約の途中で解雇されてしまったタガート監督ですが、その違約金(バイアウト費)としてフロリダ州立大は彼に約1800万ドル(約18億円!)を支払うことになるとされています。これはかつてノートルダム大が同じように契約途中で解雇したチャーリー・ワイズ(Charlie Weis)氏に支払った1890万ドルに次ぐ史上2番目に高額なバイアウト費になるということです。解雇するのも安くつきません。

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