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アイオワ大18、アイオワ州立大17
「サイホークトロフィー(Cy-Hawk Trophy)」をかけてアイオワ州出身のライバル同士が激突したこの試合。途中悪天候のため3時間も試合が中断となりましたが、さすが宿敵同士の戦いともいえる非常に均衡した試合となりました。
結果的にトロフィーは5年連続でアイオワ大に手渡されたわけですが、アイオワ州立大にもチャンスは十分にありました。アイオワ州立大が1点差リードされた状況で迎えた試合残り時間約5分、オフェンスが何も出来ずににアイオワ大に攻撃権を譲渡しますが、ディフェンスが踏ん張り相手はパントせざるを得なくなります。残り1分半ならばFGで逆転も可能であり、ホームチームであるアイオワ州立大スタジアムの盛り上がりは最高潮に達します。しかしそのパントされたボールをリターナーであるダトロン・ヤング(Datrone Young)が何とファンブル。ボールはアイオワ大にリカバーされ敢え無く逆転のチャンスをふいにしてしまったのです。
せっかくの好ゲームがこのような形で終わってしまうのは非常に残念でしたが、これもカレッジフットボールの醍醐味ですよね。
クレムソン大41、シラキュース大6
全米1位のクレムソン大の3戦目の相手は所属するアトランティックコーストカンファレンス(ACC)戦初戦となるシラキュース大でした。2年前にはシラキュース大のホームであるキャリアドームで苦渋を飲まされ、また昨年もあわやホームで番狂わせかと思わされる展開に持ち込まれるなどクレムソン大はこの相手に手こずってきましたが、今年は41対6と難なく料理し開幕後3連勝目を飾りました。
ハイズマントロフィー候補QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)は序盤2つのパスINTを放るなど精彩に書く立ち上がりでしたが、その後は立ち直り結果的に自身最多となる395パスヤードを記録。その多くはWRティー・ヒギンズ(Tee Higgins)やアマリ・ロジャース(Amari Rodgers)らへのスクリーンパスで稼いだものでした。しかしこの試合で特筆すべきは彼らのディフェンス。シラキュース大をトータルで184ヤードに押さえ込んだ守備陣は相手QBトミー・ディヴィト(Tommy DeVito)に6つものQBサックを食らわせるなど完全攻略。ディフェンディングチャンピオンとしての核の違いを見せつけました。
アラバマ大47、サウスカロライナ大23
両校にとって今季初のリーグ戦となったこの試合、下馬評通り全米2位のアラバマ大がサウスカロライナ大を敵地で撃破。ハイズマントロフィー候補QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagavailoa)が自身新記録となる444パスヤードに5TDを計上するなど圧倒的オフェンスでSEC戦初戦を白星で飾りました。
この日はアラバマ大の強みでもあるグラウンドゲームが鳴りを潜めましたが、ジェリー・ジュディ(Jerry Jeudy)やデヴォンタ・スミス(DeVonta Smith)などへのパスプレーに加え、RBナジー・ハリス(Najee Harris)へのショートパスが炸裂。ハリスは2TDを含む87レシーブヤードを記録し、スティーヴ・サーキジアン(Steve Sarkisian)新オフェンシブコーディネーターの新たな戦法を見たような気がしました。
ただ、アラバマ大帝国を支えてきたと言っていいディフェンス陣、特にフロントセブンはサウスカロライナに135ランヤードを奪われるなどし、見た限りではここ最近で最もランゲームに対しての弱さを露呈。今後テキサスA&M大やルイジアナ州立大と対峙していく中でこのユニットの出来がアラバマ大の鍵を握っていると言えそうです。
オクラホマ大48、UCLA14
オクラホマ大は西海岸へ遠征しUCLAと対決しましたが、スコアが示すとおり圧倒的大差で相手を一蹴。来週に控えたカンファレンス戦初戦(テキサス工科大)に向けいい仕上がりを見せています。
今季のオクラホマ大は何と言ってもアラバマ大からの転校生QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)。リンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督のシステム下でハーツの才能が昇華しており、この日は投げては289ヤードに3TD、走っても150ヤードに1TDと1人で約450ヤードのオフェンスヤードを獲得。オクラホマ大出身QBとして3年連続のハイズマントロフィー受賞に向け確実にその道を進んでいます。
一方のUCLAですが、相手がオクラホマ大とは言え全く何も出来ずに撃沈。今年2年目のチップ・ケリー(Chip Kelly)監督はオフェンスの鬼才としてかつてオレゴン大で一世風靡を巻き起こしましたが、それも遠い過去の話。確かに彼のオフェンスを体現するためにはそれなりのアスリートを囲わなければならず、そのようなチームが出揃うにはあと数年かかることでしょう。しかし、ホームゲームなのにガラガラのスタジアムを見ると、このままの状態では大学側がそれまで待ってくれるかどうか定かではありません。
オハイオ州立大51、インディアナ大10
全米6位のオハイオ州立大にとって今季初のロードゲームでありカンファレンス戦初戦となったインディアナ大との試合ですが、QBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)とRB J.K.ドビンズ(J.K. Dobbins)がインディアナ大を粉砕。51対10という大差で今季3勝目を挙げました。
この日のフィールズは199パスヤードに3TD、11ランヤードに1TDと堅実なパフォーマンスを見せましたが、攻撃陣の原動力となったのはドビンズ。193ランヤードに1TDとガッツリと足で稼ぎ格の違いを見せつけました。またディフェンスもインディアナ大オフェンスを258ヤードに押さえ込み、17回中3度しか3rdダウンコンバージョンを許さないという鉄壁ぶり。今のところBig Tenカンファレンスで彼らが確実に他チームから頭一つ抜きん出ています。
フロリダ大29、ケンタッキー大21
昨年ケンタッキー大はフロリダ大を31年ぶりに倒してシンデレラシーズンを邁進しました。そのリベンジとばかりかフロリダ大はギリギリではありましたが昨年の借りを返しケンタッキー大を退け貴重なカンファレンス戦白星を手に入れました。
しかしながらその代償は大きく、フロリダ大の先発QBフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)が足首に重傷を負い戦線離脱(足首脱臼)。試合後の話では今シーズン復帰は絶望的ということで、フロリダ大オフェンスは彼のバックアップであるカイル・トラスク(Kyle Trask)の手に委ねられます。今後カンファレンス戦で強豪校との戦いが始まる中でこのことがどのように今季のフロリダ大の命運を握るか注目が集まります。
ペンシルバニア州立大17、ピッツバーグ大10
今回で100回目を迎える記念すべきペンシルバニアダービー。その試合を制したのはホームのペンシルバニア州立大でした。
試合はディフェンスがぶつかり合うシブい展開となりましたが、興味深かったのは残り5分を切った時点でのピッツバーグ大の攻撃。7点を追う展開で迎えたペンステート陣内1ヤードラインでの4th&ゴール。この好機にパット・ナドゥージ(Pat Narduzzi)監督はFGチームをフィールドに送り込みますが、このキックがポストに阻まれ無得点。ナドゥージ監督がTDを狙っていたらオーバータイムに突入もあり得たのではないかと少し首を傾げたくなる選択でした。
前述の通りこのライバリーは100戦目を迎えましたが、今のところこの先両チームが対戦する予定は立っていません。一日も早くまたこの両校の対戦が見てみたいですね。
セントラルフロリダ大45、スタンフォード大27
「グループオブ5」カンファレンス群の雄、セントラルフロリダ大が「パワー5」のスタンフォード大をホームに迎えたこの一戦。セントラルフロリダ大が「兄貴分」を完全にいなして45対27と完勝。彼らが「パワー5」チームと対等に渡り合えるところを見せつけてくれました。
先週先発QBを任された1年生のディロン・ガブリエル(Dillon Gabriel)がこの日も大活躍。スタンフォード大相手に4つのTDパスを含む347ヤードを投げ、次期NFL入りが噂されるDBポールソン・アデボ(Paulson Adebo)らDB陣を完全攻略。またRB陣も200ヤード近くを足で稼ぎ非常にバランスの取れたオフェンスでセントラルフロリダ大がまぐれチームでないことを世に示しました。
セントラルフロリダ大の来週はまたも「パワー5」所属のピッツバーグ大。この試合にも勝てればいかに彼らが「グループオブ5」出身チームだとしても誰も彼らの力を疑うことはなくなるでしょう。そうなれば念願のプレーオフ進出への道も開けてくるかもしれません。
アリゾナ州立大10、ミシガン州立大7
ファイナルスコアからも分かるように両チームともオフェンスで結果を出せない中、勝利をもぎ取ったのはアウェーチームのアリゾナ州立大でした。
第4Qに入った時点で3対0のアリゾナ州立大リードとなったこのロースコアゲーム。残り時間8分37秒でミシガン州立大RBイライジャ・コリンズ(Elijah Collins)の9ヤードTDランが決まりミシガン州立大がようやくリードを奪いますが、残り時間1分を切った時点でアリゾナ州立大QBジェイデン・ダニエルズ(Jayden Daniels)からWRイーノ・ベンジャミン(Eno Benjamin)へのパスTDが決まり土壇場でサンデビルズが逆転。
しかしミシガン州立大も最後の望みをかけて敵陣内へ強襲。残り11秒で42ヤードFGが決まってオーバータイムへ突入・・・と思われましたが、ミシガン州立大はキックフォーメーションで12人をフィールドに送り込むという痛恨のファールを犯し、5ヤード下がって47ヤードのFGの再トライとなり、これが外れて万事休す。マーク・ダントニオ(Mark Dantonio)監督という厳しい統制力で知られるコーチのチームとは思えない失敗でミシガン州立大が痛い1敗を喫しました。
テンプル大20、メリーランド大17
開幕以降2試合を消化して平均得点数が70点を越えるというとんでもないスタートを切ったメリーランド大。今季のシンデレラチームとして期待がかかっていたチームでしたが、格下テンプル大にまさかの敗戦を喫し今季初黒星となってしまいました。
爆発力抜群の攻撃力が鳴りを潜めたメリーランド大はテンプル大ディフェンス相手に得点を奪うことが出来ず、何度かあったゴールラインでの攻防戦でもエンドゾーンに飛び込むことが出来ませんでした。RBアンソニー・マクファーランド(Anthony McFarland)は163ヤードのランを記録するなど数字を稼ぎはしましたが、彼の活躍も得点に結びつきませんでした。
メリーランド大にとってみればこの試合はカンファレンス戦ではな交流戦でしたので、Big Tenカンファレンスタイトルレースに支障をきたすことはありませんが、開幕後にわかに沸き起こっていたファンたちの盛り上がりに水を指したことに変わりはありません。
ブリガムヤング大30、サザンカリフォルニア大27
先々週テネシー大をアウェーで粉砕したブリガムヤング大ですが、先週末は再び「パワー5」チームであるサザンカリフォルニア大から大金星を奪う偉業を成し遂げました。
先週から先発QBを任されていたUSCのキードン・スロヴィス(Kedon Slovis)ですが、この試合では1年生らしいミスを連発。ポケットの中でも焦る姿が頻繁に見られ、先週のスタンフォード大で見せたクラッチプレーを影を潜めてしまいました。
スタンフォード大戦での勝利のお陰で24位にランクインしていたUSCですが、それが過大評価されすぎたのかすぐさま敗戦を喫してしまい、ランク外への転落はもちろんいよいよクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督への批判の声が高まっていきそうです。
バージニア大31、フロリダ州立大24
名門フロリダ州立大の失墜が止まりません。全米25位のランクチームであるバージニア大が相手とは言え、昔だったら赤子の手をひねるように勝利できていた相手にシーソーゲームの末競り負けてしまいました。これで3年連続開幕後1勝2敗発進。今季まだ2季目のウィリー・タガート(Willie Taggart)監督体制ですが、まだまだ先の長い今シーズンが彼らにとっては更に倍近く長く感じるものとなりそうです。