シュガーボウル
#5 ジョージア大 vs #7 ベイラー大
1月1日午後8時45分(日本時間1月2日午前10時45分)キックオフ
メルセデスベンツスーパードーム(ルイジアナ州ニューオーリンズ市)
「ニューイヤーズ6」の最後を締めくくるのが1月1日8時45分キックオフ予定のシュガーボウル。今年のシュガーボウルはSEC出身のジョージア大とBig 12出身のベイラー大とのマッチアップとなりました。
今シーズン第15週目を迎えるにあたりジョージア大とベイラー大はそれぞれCFP(カレッジフットボールプレーオフ)進出に手が届く位置にいました。ジョージア大はSEC優勝決定戦でルイジアナ州立大に勝てば確実にプレーオフ入りが決まっていたでしょうし、ベイラー大はオクラホマ大とのBig 12優勝決定戦に勝ちなおかつジョージア大がルイジアナ州立大に負けていれば彼らにもプレーオフ出場のチャンスがありました。しかし残念ながらどのシナリオも発生せず、あともう少しというところで夢の舞台への切符を手に入れそこねたのです。
そういう意味では両チームとも心打ちひしがれていたとも言えるでしょうが、どちらもこれまでの戦績が11勝2敗ということで12勝目を賭け、そして2020年一発目から白星を飾って心機一転新しい年を迎えたいものです。
ジョージア大にとっては2年連続の参戦となったシュガーボウル。昨年はテキサス大に破れてしまったため、今年こそはこのボウルゲームで勝利の美酒に酔いたいところ。
しかし最近のカレッジフットボールのトレンドでもある、選手がNFLドラフトのためにボウルゲーム出場を拒否する動きがジョージア大でも起きており、既にOLアントリュー・トーマス(Andrew Thomas)とアイゼア・ウィルソン(Isaiah Wilson)が出場しないことを宣言していますし、ベン・クリーブランド(Ben Cleveland)が学業面での問題で出場できなくなりました。
その他にもスターS J.R.リード(J.R. Reed)が足の怪我で欠場、さらにはRBブライアン・ヘリエン(Brian Herrien)も出場しない事がわかっており(理由は明らかにされていません)、極めつけはオフェンスの要であるRBデアンドレ・スフィフト(D’Andre Swift)がSECタイトルゲームで負った肩の怪我のせいで欠場するかもしれないという話です。スフィフトは次期NFLドラフトへ早期入りする可能性もあるため大事を取って出場を見合わせることは十分に考えられます。つまりシーズン中のチームと比べれば戦力が落ちたままベイラー大戦を迎えることになります。
RBスウィフトが出場するかどうかがジョージア大にとって最重要課題
そうなれば自ずとジョージア大オフェンスの注目はQBジェイク・フローム(Jake Fromm)に集まるわけですが、今年3年目のベテラン先発QBとはいえフロームは彼自身のパフォーマンスで試合の流れを変えるような選手ではなく、あくまで司令塔としてミスを犯すこと無く周りのタレントをうまく使っていく選手。となれば駒が揃わなければ大量得点は望めません。
ジョージア大の強みはディフェンス。全米でも5本の指に入るほどのディフェンス力を持つ彼らがベイラー大に大量得点を許すとは考えづらいのですが、一方でジョージア大がフルパワーでないことを考慮するとディフェンスに全幅の信頼を寄せていいものか迷います。ルイジアナ州立大とのSECタイトルゲームではハイズマントロフィー受賞QBジョー・バロウ(Joe Burrow)にやられっぱなしでしたし。もちろんベイラー大がルイジアナ州立大と同レベルだとは思いませんが、パスディフェンスに穴があることは確かです。現にランディフェンスは全米3位である一方パスディフェンスは24位という数字も出ていますし(24位も上等な数字ですが笑)。
対するベイラー大ですが、最大の焦点だったのはQBチャーリー・ブリューワー(Charlie Brewer)の怪我(脳震とう)の具合。オクラホマ大とのカンファレンス優勝決定戦で負傷したブリューワーでしたがこの度シュガーボウル出場のゴーサインが下りたということで、ジョージア大とは正反対で彼らはフルパワーでこの試合に臨むことができそうです。
QBブリューワーがこの試合に間に合ったことはベイラー大にとって朗報
しかしブリューワー復帰は朗報であるのは事実ながら、ベイラー大勝利の鍵は彼らのディフェンス力にかかっています。オールアメリカンLBジェームス・リンチ(James Lynch)が軸となるフロントセブンなら上記のように3人の先発選手を欠くOL陣にダメージを与えることは十分可能。彼らが敗戦を喫した2敗はすべてオクラホマ大にやられたものですが、オクラホマ大QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)は機動力を活かしたハイブリットQB。しかしジョージア大のフロームは基本的にポケットパサーであり、ベイラー大ディフェンスがジョージア大OL陣を掻い潜りフロームにプレッシャーをかけ続けられればジョージア大オフェンスは打つ手なしという状況に陥る可能性もあります。
たった2年前には1勝11敗だったベイラー大が今年は11勝2敗という素晴らしい成績を収めることが出来たのはひとえにHCであるマット・ルール(Matt Rhule)監督の手腕に尽きると思います。その手腕を認められ現在プレーオフに突入しているNFL界から彼をヘッドハンティングしたいチームが複数存在する噂が立っています。
NFLから熱視線が注がれるベイラー大のルール監督
そんな中ルール監督は先日チームミーティングで将来的に無視できないほどのいい条件がNFLから提示されれば耳を傾けると選手たちに告げたといいます。こういった噂が立つと普通なら何も言わないかうやむやにしてしまうコーチが多い中、正直に自分の思っていることを選手に伝えたことは選手自体に評価されているようです。とりあえずこの試合が終わるまではルール監督は打倒ジョージア大のために全身全霊を尽くすことでしょう。
ただどちらにしてもジョージア大がトータルで13人の選手が出場しないという事実がこの誉れ高いシュガーボウルが軽んじて見られていることにつながり、これはCFPボウル以外は出る価値なしと考えている選手の増加を意味しているとも考えられ、かつてのボウルゲームの存在意義を知る者としては大変残念なことです。これもCFPシステムが産んだ負の副産物ということでしょうか。