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ローズボウルレビュー【2020年度シーズン】

ローズボウルレビュー【2020年度シーズン】

ノートルダム大

14

アラバマ大

31

M.ジョーンズ(アラバマ大QB) 
297ヤード、4TD

D.スミス(アラバマ大WR) 
130ヤード、3TD

N.ハリス(アラバマ大RB) 
125ヤード

I.ブック(ノートルダム大QB) 
229ヤード、1INT

K.ウィリアムス(ノートルダム大RB) 
64ヤード、1TD

カレッジフットボールプレーオフ(CFP)第1戦目となったローズボウルアラバマ大ノートルダム大の戦いは下馬評通りアラバマ大のオフェンスが序盤から火を吹きリードを奪い卒なく快勝。見事に12勝目を挙げてCFPナショナルチャンピオンシップゲームへと駒を進めました。

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開幕前から断然有利と予想されていた第1シードのアラバマ大。チームにはQBマック・ジョーンズ(Mac Jones)とWRデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)の二人のハイズマントロフィーファイナリストだけでなく、RBナジー・ハリス(Najee Harris)もトロフィー投票で5位が確定しているということでオフェンスの駒はどのチームよりも揃っていると言えるチーム。

そのハイスコアオフェンスにノートルダム大がどう立ち向かうかに注目が集まりましたが・・・。

第1クォーター

ノートルダム大先攻で始まった第1Q、RBカイレン・ウィリアムス(Kyren Williams)の15ヤードランやQBイアン・ブック(Ian Book)の7ヤードスクランブルなどでヤードを稼ぎますがブックがファンブルを犯すなどしてこのドライブは5プレーで終了。パントを余儀なくされます。

自陣21ヤードからの攻撃となったアラバマ大の最初のドライブ。QBジョーンズがいきなり4連続パスを成功させて一気にノートルダム大陣内へ侵入するとRBハリスのランを挟んでジョーンズから放たれたショートパスを受け取ったWRスミスがするすると抜け出して難なく26ヤードのレシーブTDを記録。アラバマ大が先制します。

攻撃権が渡れば非常に高い確率で得点されることは目に見えていたアラバマ大に対抗するためにノートルダム大はRBウィリアムスのランアタックを中心のポゼッションゲームに持ち込もうとします。実際彼のランは非常に工科を発揮して長めのドライブを演出してアラバマ大オフェンスをベンチに留めはしましたが、一方で得点には中々繋がりませんでした。

そしてアラバマ大の今日2度目のドライブ。自陣奥3ヤードラインからの攻撃となりましたが、ハリスのこの「八艘飛び」とも言えるアクロバティックなプレーが53ヤードのロングランを生み一気に相手陣内12ヤード地点まで攻め込みます。

 

このハリスのプレーを起点にジョーンズがTEジャリール・ビリングスリー(Jahleel Billingsley)へ2つ目のTDパスを決めてスコアを14対0とします。


第2クォーター

いきなり2TD差を付けられてこれ以上点差をつけられると厳しい展開を強いられるノートルダム大は何とかスコアを奪うためにアラバマ大陣内を目指します。ボールコントロールを優先的にしてウィリアムスの足に頼るオフェンスは以外にも効果を発揮。

ブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督の思惑通りノートルダム大オフェンスはこのドライブを15プレーに8分を費やして進撃。最後はアラバマ大陣内1ヤードでの4thダウンプレーでウィリアムスの1ヤードランTDが決まってようやくこの費初得点をあげます。

ただそんなことにも動じないアラバマ大は粛々と攻撃開始。途中ビリングスリーのミラクルキャッチにも助けられたったの2分で敵陣内へ急襲します

このビリングスリーのプレーで相手陣内34ヤード地点まで進んだアラバマ大はジョーンズから再びスミスへ。スラントで出たスミスにジョーンズがパスを放るとそのままスピードに乗ったスミスはエンドゾーンへまっしぐら。最後は体ごとダイブさせてこの日2つ目のTDを記録。スコアを21対7とします。

前半はこのスコアのまま終了。予想通りアラバマ大がリードを奪う展開ではありますが、ノートルダム大のランアタックが功を奏し点差は14点。これはおそらくコーチ陣からすれば許容範囲内の内容だったのではないでしょうか。

ただこの時点でWRスミスはすでに101ヤードに2TDを記録。これで今季スミスは8度目の1試合100ヤード超えを達成。これはアラバマ大の新記録でもありさすがハイズマントロフィー最有力候補と言われるだけあります。

第3クォーター

後半はアラバマ大からの攻撃でしたがノートルダム大ディフェンスが踏ん張ってこの日初めてスコアレスドライブに留まりました。ここでアラバマ大に追加点をとられてしまうと流れは相手側へ流れてしまいますからこのディフェンスの健闘は後半開始早々絶好のチャンスとなる・・・はずでした。

しかしQBブックが痛恨のINTパスを犯しせっかくの反撃のチャンスを自ら溝に捨ててしまいます。

このチャンスをアラバマ大が逃すはずはなくWRジョン・メッチー(John Metchie III)の40ヤードレセプションで一気にノートルダム大陣内レッドゾーンへ接近すると最後はやはりこの男、スミスの3つ目のTDで点差を21点に広げます。

第4クォーター

最終クォーター突入時のスコアは28対7。そして開始早々にアラバマ大がFGを決めて31対7で残り時間12分半となりほぼ試合は決定的に。試合終了まで残り1分を切ったところでブックのランTDが決まってスコアを31対14とし、更にはノートルダム大がオンサイドキックを成功させて最後の攻撃のチャンスを得ますが時既に遅し。

結局アラバマ大がノートルダム大を31対14で下し1946年以来のローズボウル勝利を飾りました。そして12勝0敗と現時点でFBS(フットボールボウルサブディビジョン)唯一の無敗チームとしてCFPナショナルタイトルゲームへ進出します。

総評

1試合の平均得点数が49.7点を誇るアラバマ大としては31点という数字は物足りなさすら感じてしまうものです。実際31得点は今季最小得点数であり、初戦のミズーリ大戦の38得点以来10試合ぶりの40得点以下の試合となりました。そういった意味ではノートルダム大は大健闘したと言えるのかもしれません。

それでも大きなミスなく自分たちのオフェンスを完遂できたのはさすがです。特にWRスミスはハイズマントロフィー最有力候補と言われるだけのパフォーマンスを見せ、もしトロフィーの投票がまだ締め切られておらずこの試合も参考にすることが出来たとしたら、スミスの受賞はほぼ確定となったことでしょう。

前述の通りノートルダム大はなるべくアラバマ大オフェンスに攻撃のチャンスが渡らないようにランを多く織り交ぜたオフェンスをぶつけてきました。それはアラバマ大のトータルプレー数が55回(ノートルダム大は80回)で、ボール所有時間もアラバマ大を26分に抑えたことからもある程度の成果を出せたことにはなりました。

しかし問題は彼らにアラバマ大オフェンスと渡り合えるほどの得点力がなかったことです。

前回両チームが対戦したのは2012年度のBCSナショナルタイトルゲーム。この時はノートルダム大が全米1位ながらアラバマ大に42対14と大敗。8年の月日を経てケリー監督は進化したノートルダム大を強調していましたが、結局それが結果に現れることはありませんでした。

これでノートルダム大は「ニューイヤーズ6」ボウルならびにその前身となる「BCS」ボウルにて7連敗目。大舞台で勝てないところは相変わらずといったところです。

2000年:オレゴン州立大(フィエスタ)9-41
2005年:オハイオ州立大(フィエスタ)20-34
2006年:ルイジアナ州立大(シュガー)14-41
2012年:アラバマ大(BCS)14-2
2015年:オハイオ州立大(フィエスタ)28-44
2018年:クレムソン大(コットンボウル)3-30
2020年:アラバマ大(ローズ)14-31

試合後の記者会見でなぜノートルダム大は大舞台で勝てないのかという質問をされたブライアン監督は明らかにいらついた口調で「アラバマ大に勝てないのは我々だけではない。一体彼らにどれほどのチームが太刀打ちできたと思うのです?我々だけが何か勝てない問題を持っているわけではないのです。」とし、アラバマ大が強すぎるのだと告白。

ただいずれは自分たちもアラバマ大らに肩を並べることが出来る日が来ると話し、「全米のメディアはそれを望まなくても我々はまたこの舞台に帰ってくる」とリベンジを誓いました。

===

アラバマ大はこれで2014年度から導入されたCFPにおいて5度目のナショナルタイトルゲーム進出となり、これは当然最多回数となります。これに勝てばCFPタイトルは3つ目、そしてチームトータルでは18度目の栄冠に。執筆時には決勝戦での対戦相手はすでに明らかになっていますが、アラバマ大が彼らとどの様な試合を行うのか非常に楽しみです。

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