エクストラポイント【第3週目】

エクストラポイント【第3週目】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ピンクアウト!

全米3位のジョージア大は先週末アーカンソー州立大と対決。試合は55対0とジョージア大の圧勝で幕を閉じました。しかしこのゲームは勝ち負け以上に非常に大切なことがあることを教えてくれた試合でした。

アーカンソー州立大のブレイク・アンダーソン(Blake Anderson)監督は3年間乳がんと闘っていた最愛の妻であるウェンディさんを8月末に亡くしました。その末期にはチームを一旦離れアンダーソン監督はウェンディさんにつきっきりで最後を看取ったのですが、その事が記事になったことでこの話は全米中に知れ渡りました。

アンダーソン監督は喪に服す形で開幕戦を欠場しましたが、第2戦目に選手たちに内緒でチームに復帰。そして先週のジョージア大戦を迎えたのですが、アウェー戦だったのにもかかわらずジョージア大ファンたちはアンダーソン監督ならびにウェンディさんに敬意を表する意味を込めてこの試合を「ピンクアウト」と命名し、乳がん患者をサポートする際に使われるピンク色の服やボディーペイントを施した観客たちがスタジアムをピンク色に染めたのです。

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試合後の会見でアンダーソン監督はジョージア大ファンの心意気に触れ男泣き。直接関わったこともないウェンディさんやアンダーソン監督のために盛大に哀悼の意を表してくれたジョージア大ファンたちに感動してしまいました。カレッジフットボールが勝負だけではないという素晴らしい事例だと思います。


手作りTシャツが生んだ絆

カレッジフットボールが勝ち負けでないという話ではこのストーリーも負けては居ません。

フロリダ州のある小学校で自分の好きなチームのシャツを着てこようという日があり、テネシー大の大ファンだったある少年はファン魂を見せようとテネシー大のTシャツを着ていこうと思ったのですが、そのシャツを持っていなかったのでオレンジ色のTシャツに白い紙に「UT」と手書きの文字を貼り付けたものを着て学校に登校したのです。

しかしそれをみた生徒たちにからかわれ泣いているのを見た先生が何とかしてあげたいと、このTシャツを来た少年の写真をフェイスブックに投稿。するとそれが瞬く間に拡散しテネシー大フットボール部にもその事が知れ渡りました。そのことを知った彼らはこの少年のもとに沢山のテネシー大ギアを送り彼を喜ばせたのです。

と、これだけでも素敵な話ですが、ここでこの話は終わりません。なんとテネシー大のオフィシャルストアがこの少年の手書きの「UT」を完全コピーしたシャツを売り出したのです。その売上は全ていじめ対策の公益法人に寄付されることになっていたのですが、これが即完売。

しかもこの手書きロゴが受けてTシャツだけでなくいたるところに使われるようになり、しまいにはキャンパス内にある岩のモニュメントである「The Rock」にも描かれるまでの盛り上がりを見せたのです。

テネシー大は現在2年目のジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)監督の元1勝2敗と苦戦しあまり明るい話題がありませんが、この心温まる話はいらつくファンの刺々しさを多少は和らいでくれたことでしょう。

・・・と、この話を終わらせようとしちゃいましたが、実はまだサプライズが。今度はテネシー大自体がもしこの少年が将来テネシー大に進学することになったら4年間の学費を含めた全費用を大学持ちにすると発表。ちょっとやりすぎな気もしますが、少年のチーム愛がここまで大きくなるとは何が起こるかわかりませんね。

4才男児がレモネード

アメリカでは子どもたちがファンドレイズ(募金)の際に自作のレモネードを売るというシーンを見かけることがあります。原価が安いために割りと資金確保に役に立つのです。

そして先日フロリダ州でフロリダ州立大のファンである4歳児がレモネード売りを敢行。その目的はフロリダ州立大の監督であるウィリー・タガート(Willie Taggart)氏解雇のためのバイアウト費を募るというものでした。

バイアウト費とは違約金といえると思いますが、契約途中でコーチを解雇する際には大学側がコーチに、そして契約途中でコーチが他チームに移ったりする際にはコーチが大学へ支払う違約金をバイアウト費といいます。大抵の監督には多額のバイアウト費がかけられており、そう簡単に解雇できなかったり、途中でチームを移籍できないようになっているのです。大学側も解雇するのにはお金がかかるというわけです。

今季1勝2敗と厳しい立ち上がりのタガート監督率いるフロリダ州立大ですが、タガート監督ではチームは沈没すると考えるファンも少なくない中、この4歳時のグレイトン・グラントくんはタガート監督を解雇するために必要な多額のバイアウト費を負担しようとレモネードを売ることを決心したのです。

といっても4才児ですから当然これは親の入れ知恵であり、しかも彼の父親であるダニエル・グラントさんは知る人ぞ知るフロリダ州立大のブースター(支援者)。彼の話によると、先週のバージニア大戦でチームが負けた際に悔しがっていたお父さんが面白がってこの話をグレイトン君に話すとその翌日に1杯20ドル(約2000円)でレモネードを売ってみようと遊び半分で始めたのだとか。

結局売り上げた総額は241ドルでお父さんがさらに241ドルを上乗せした総額482ドルをセミノールズブースターに寄付したのだそうです。ちなみにタガート監督のバイアウト費は1700万ドル(1ドル100円計算で約17億円)ですからレモネードを何杯売っても到底賄える額ではありませんが、この話は冗談であってもそのうち本気でクラウドファンディングを始める輩がでてきてもおかしくはありません。それぐらい今のフロリダ州立大の現状は芳しくないということです。

SMUが1980年以来のベストスタート

APランキングのトップチームたちが軒並み3勝0敗といういいスタートダッシュを切る中、ランキング外でもこれまでにないというベストスタートでシーズンを送っているチームがあります。

その中でも特筆すべきはサザンメソディスト大(SMU)。彼らは現在3勝0敗といまだ負けなしですが、最後に開幕後3連勝を飾ったのはなんと1984年まで遡らなければなりません。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、1980年代SMUはカレッジフットボール界を代表するパワーハウスでした。しかしリクルーティング違反などを起こしてNCAAから1年間の対外試合禁止処分という後にも先にもこれ以上無い重い制裁をくらい(俗に言う「デスペナルティ」)それ以降彼らが立ち直ることはなくカレッジフットボールの歴史の闇に埋もれる事になってしまったのです。

参考記事日大アメフト部の騒動に際して・・・

そんなSMUですが今年はなんと16人もの転校生を受け入れ、その中には元テキサス大先発QBシェーン・ビューシェル(Shane Buechele)、元ネブラスカ大Sキャメロン・ジョーンズ(Cam’ron Jones)、元アーカンソー大CBチェヴィン・キャロウェイ(Chevin Calloway)、元ボストンカレッジOLトーマス・シェルメアー(Thomas Shelmire)、元アラバマ大TEケンドリック・ジェームス(Kendrick James)、元アーバン大LBリチャード・マクブライド(Richard McBryde)など「パワー5」出身選手がズラリ。そのせいかどうかはわかりませんが、SMUフットボール部史上稀に見る快進撃を見せています。

彼らが栄華を極めていた時代とは状況が全く変わってしまいましたので、再びナショナルタイトルを獲るとかそういうレベルに戻ることは残念ながら無いでしょうが、昔の強い彼らの姿を知るファンとしては恐らく痛快なことでしょうね。

カンザス大、アウェーゲーム連敗記録を46でストップ

今年から元ルイジアナ州立大監督のレス・マイルズ(Les Miles)氏に率いられているカンザス大。カレッジフットボール界の弱小パワー5チームとしてレッテルを貼られてしまっている彼らですが、マイルズ監督という実績のあるコーチを招聘してこの悪しきサイクルを何とか断ち切ろうと今シーズンをスタートさせました。

そして第3戦目となったACC所属のボストンカレッジとのアウェーゲーム。結果は48対24と圧勝。これで開幕以降2勝1敗という勝ち越しペースで来ていますが、カンザス大の新監督が初年度に開幕から2勝1敗という成績を残せたのは、なんと1997年に開幕3連勝を飾った以来と言いますから、マイルズ監督が今季まだ3試合とはいえここまで成し遂げたことの凄さがわかると思います。

またアウェー戦での試合での勝利ということに関して言えば、2009年の9月12日以来11年ぶりということで、FBS記録だった46連敗という記録を何とか止めることに成功。まだシーズン序盤とは言えカンザス大は今年がいつもとはちょっと違うと思わせるのに十分な出だしを切っています。

ちなみにカンザス大は今週末ウエストバージニア大のカンファレンス戦を控えていますが、彼らのカンファレンス戦戦績だけで振り返ってみると2010年度シーズン以来の戦績はなんと5勝76敗。誤字脱字ではありません(笑)。仮にカンザス大がウエストバージニア大に勝つようなことがあれば否が応でも全米中がカンザス大に注目することになるでしょう。

バージニア工科大の苦戦

バージニア工科大といえばそんなに遠くない過去にランキングに常時顔を連ねる強豪校として知られていましたが、レジェンダリーコーチであるフランク・ビーマー(Frank Beamer)氏が2015年度シーズンを最後に引退し、その後釜に元メンフィス大ジャスティン・フエンテ(Justin Fuente)新監督が就任しますが、年を追うごとに負けが込んできて昨年は1992年度シーズン以来の負け越しという汚点を残してしまいました。

そして今年、第3戦目はFBSの下部組織であるFCS所属のファーマン大に大苦戦。前半でファーマン大に14対3とリードを許す展開となると何とホームゲームにも関わらずブーイングの嵐がスタジアムに起こります。結果的に24対17と1TD差で何とか勝利を手に入れましたが、この試合は大勝して楽に白星を飾るための出来レースであったはず。このような不甲斐ない展開にブーイングを浴びせるファンの気持ちも分かるというものです。

UNC戦での誤審

今年からマック・ブラウン(Mack Brown)新監督を迎えて新たな船出となったノースカロライナ大ですが、開幕戦でサウスカロライナ大、第2戦でマイアミ大を下し、今季序盤でのサプライズチーム筆頭となっていました。そんな中迎えた第3戦目のウェイクフォレスト大とのゲーム。試合終了間近に18対24と相手にリードされていたノースカロライナ大ですが、最後の望みをかけて迎えた自陣45ヤードでの4th&1ヤード。ここでハンドオフを受けたRBマイケル・カーター(Michael Carter)が13ヤードのランで1stダウンを奪いましたが、彼がアウトオブバウンドになるかならないかというところで試合時間がゼロになり、なんともあっけない試合終了となってしまいました。

しかし両チームが所属するACCは、この場面で試合時間がゼロになる前にカーターがラインを超えていたかどうかをビデオ判定で確認すべきだったところ、この試合の審判団がそれを怠ったとその過ちを認める珍しい発表をしました。もしそれが行われていれば試合時間は残り1秒残されており、ノースカロライナ大が最後の攻撃のチャンスを与えらるべきだったのです。もちろんそれが試合の結果を左右したかどうかは知る由もありませんが、仮にヘイルマリーパスか何かでノースカロライナ大が得点しさらに2ポイントコンバージョンを決めていれば同点でオーバータイムに突入していた可能性が残されていたのも事実です。

何にせよこの試合結果が覆ることはありませんが、ノースカロライナ大にはもう少しだけでも無敗シーズンを送ってもらいたかったものです。

ジョージア工科大、シタデル大に敗れる

昨年まで現在のカレッジフットボールでは絶滅の危機に瀕しているトリプルオプションを軸とするオフェンスを持っていたジョージア工科大。しかしポール・ジョンソン(Paul Johnson)監督が引退し、ジェフ・コリンズ(Geoff Colloins)新監督が後を継ぐとオフェンスはオプションフットボールを捨て今トレンディーなスプレッドオフェンスへ移行。この変化はまさにオフェンスの戦略を180度変える作業であり、そう簡単にジョージア工科大が新オフェンスの下で結果を残すとは誰も思っていませんでした。

しかし相手がFCSのシタデル大となれば別の話です。自分たちのオフェンスが発展途上であるとは言え、FBSチームとしての威厳を守るべく決して負けてはいけないゲームだったのです。しかし。

オーバータイムまでもつれ込んだこの試合、まさかまさかの番狂わせでなんとジョージア工科大がファーマン大に敗れ去ったのです。

しかもジョージア工科大はファーマン大とのマッチメーキングの際に40万ドル(1ドル100円計算で約4000万円)を支払っていますから、これだけの大金を積んだのにも関わらず黒星を喰らうという踏んだり蹴ったりな週末だったわけですね。

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