2022年NFLドラフト終わって・・・

2022年NFLドラフト終わって・・・

今年のドラフトも3日間の工程を無事終了。1巡目から7巡目までの指名合戦が幕を閉じまずは一息といったところですが、7巡目が終わって間髪入れず今度はドラフトに漏れた選手たちのドラフト外フリーエージェント(UDFA)契約の動きが始まっています。

ドラフトされたからと言ってすべての選手たちが実際に最終的な53人ロースター入り出来るまで生き残れるかと言ったらそんな保証は何処にもありません。UDFAで契約にこぎつけた選手にしてみればチームの一員として無事にシーズンを迎えられる確率というのはさらに減るわけです。

それでも子供の頃から夢にまで見たNFLの大舞台に立つべく、ドラフトされた選手もUDFAで僅かな望みを手にしようとしている選手たちもこれからの数ヶ月を過ごしていくわけです。

そんな様々な人達の思いが詰まったドラフトでしたが、今回は今年のドラフトをカレッジフットボールファンの目線で振り返ってみたいと思います。

3日間の全工程を終えて・・・


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出身大学別ドラフト選手数

今ドラフトでは3日間で262人もの選手が夢への切符を手に入れたわけですが、まずは出身大学ごとの指名選手数をちょっと見てみましょう。

No. チームR1R2R3R4R5R6R7
1ジョージア大522204015
2ルイジアナ州立大ルイジアナ州立大112212110
3シンシナティ大12211209
4ペンシルバニア州立大ペンシルバニア州立大12020128
T5アラバマ大22210007
T5オクラホマ大01111127
T7ベイラー大02200116
T7オハイオ州立大オハイオ州立大20201016
T7ミシシッピ大01101126
T7UCLA00202116
T11ミシガン大ミシガン大21010015
T11テネシー大01101205
T11ウィスコンシン大00210115
T14アリゾナ州立大00111014
T14アイオワ州立大01020014
T14ケンタッキー大02101004
T14ミシガン州立大00000214
T14ミネソタ大01011104
T14ノースカロライナ大00103004
T14サンディエゴ州立大00110204
T14テキサスA&M大10120004
T14バージニア工科大00001304
T14ワシントン大11011004

トップを飾ったのはジョージア大の15選手。これはこれまで最多だったオハイオ州立大(2004年)とルイジアナ州立大(2020年)の記録を塗り替える過去最多のドラフト選手数です。

前回の記事でも載せましたが、ジョージア大はすでに5人の守備選手が1巡目指名を受けており、まさにタレントの宝庫。さすが前年度の全米王者というところでしょうか。

ただ逆に言えば先発ロースターから15人のNFL級の選手がチームを去るということを意味しており、ジョージア大のカービー・スマート(Kirby Smart)監督らコーチ陣にしてみればこの穴を埋めるという作業は容易くはないでしょう。

だからこそチームが常勝チームであるためには、弛まぬリクルーティングの努力が必要不可欠となってくるわけです。アラバマ大のようなダイナスティ(王朝)を築くためにはNFLに選手が巣立っていったとしても次に控える選手の層が厚ければ厚いほど次期シーズンにゼロからチームを作り直す必要がなくなってきます。

ジョージア大はここ数年リクルーティングでも成功していますが、今回のドラフトで15人が抜ける穴をどのように埋めることができるかによって彼らのリクルーティングが本当の意味で機能しているのかどうかが明らかになってくるでしょう。

2位のルイジアナ州立大ですが、昨年は6勝7敗と惨敗。シーズン途中にはエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督のシーズン後の解雇が決まるなどいいところがありませんでした。しかし、NFLドラフトでは見事に10人の選手がプロ入りを果たしました。ブランド力から毎年リクルーティングで成功しているLSUとしてはこのレベルのタレントの高さはそこまで驚きませんが、一方でそれを結果に結びつけることができなかったことはオルジェロン監督を解雇したことの正当性を裏付けているとも言えます。

そして驚きは3番目のシンシナティ大。FBS(フットボールボウルサブディビジョン)でも中堅カンファレンス群と言われる「グループオブ5」チームとしては驚異の9人がプロチームから指名を受けました。「グループオブ5」チームとして史上初のCFP(カレッジフットボールプレーオフ)出場を果たしたのは伊達ではなかったということですね。

4番手のペンシルバニア州立大は8人をプロに送り込みましたが、これもある意味興味深い結果と言えるかもしれません。ジェームス・フランクリン(James Franklin)監督就任以来リクルーティングの高さでチームを再建してきましたが、ここ2年はピリッとしていません。しかしながら今回のドラフトの結果を考えれば、リクルーティングのおかげでチームにはかなりのタレントが揃っていることになります。ともすればそれがフィールド上の結果にもう少し現れてもいいんじゃないかと・・・。

昨年10人の選手をドラフト経由でプロ入りさせたアラバマ大は今年は7人に止まりました。ただ前回の記事でも述べたとおり、彼らは過去14年間連続で最低1人はファーストラウンダーを生んでおり、ニック・セイバン(Nick Saban)監督の腕は衰えていません。来年にはQBブライス・ヤング(Bryce Young)およびLBウィル・アンダーソン(Will Anderson)という1巡目候補が控えており、この連続記録が更新される可能性は非常に高いです。

カンファレンス別ドラフト選手数(FBS)

サウスイースタンカンファレンス(SEC)65
Big Tenカンファレンス48
Pac-12カンファレンス25
Big 12カンファレンス24
アトランティックコーストカンファレンス21
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)19
マウンテンウエストカンファレンス(MWC)11
ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)6
カンファレンスUSA6
サンベルトカンファレンス6
独立校/無所属5

まあここまで読んでいただければこの数字を見ても驚かれないとは思いますが、SEC(サウスイースタンカンファレンス)がここでもトップとなりました。昨年に自身が記録した最多レコード(65)に並ぶ65人をNFLに輩出。そして2番手のBig Tenカンファレンスに17人もの差をつけて首位の座に。これで実に16年連続SECがドラフト指名選手を出した最多カンファレンスとなったのです。

1位のSEC、そして2位のBig Tenカンファレンス以下のカンファレンスはこの2つのカンファレンスに大きく水を開けられています。特に昨年42人の所属選手をプロに輩出したACC(あとランティックコーストカンファレンス)は半分の21人と撃沈。クレムソン大が2人、フロリダ州立大が1人、マイアミ大も1人と強豪校たちが軒並み元気がありませんでした。

第1巡目でファーストラウンダーをただの1人も送り込むことができなかったBig 12カンファレンスは2巡目以降に盛り返して24人が晴れの舞台で名前を呼ばれました。上記の通り9人もの選手がドラフトされていったシンシナティ大の所属するアメリカンアスレティックカンファレンスはACCに肉薄する19位と健闘

ただ、FBSの中でも上位カンファレンス群とされる「パワー5」(ACC、Big 12、Big Ten、Pac-12、SEC)とそれ以外の「グループオブ5」(AAC、C-USA、MAC、MWC、Sun Belt)の差はやはり著しいです。「パワー5」の合計が183人に対して「グループオブ5」の合計が48人と圧倒的。同じFBS所属でもこの2つのグループの差は比較にもなりません。それだけタレントのレベルが偏っているということです。


名門じゃなくても!


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ただそんな中FBSの下部組織とされるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン、旧NCAA1部AA)からは20人、さらにNCAA1部よりも下の2部から3人、3部から2人の選手が見事ドラフトを経てプロ入りを果たすことが出来ました。

その最たる人物が1巡目総合19番目にニューオーリンズセインツから指名されたOTトレヴァー・ペニング(Trevor Penning)、そして総合29番目にニューイングランドペトリオッツにドラフトされたOGコール・ストレンジ(Cole Strange)の2人です。ペニングはFCSのミズーリバレーフットボールカンファレンス所属のノーザンアイオワ大出身で、ストレンジはサザンカンファレンス所属のテネシー大チャタヌーガ校出身。どちらもオフェンシブラインマンというのが興味深いです。

しかし腕さえあれば所属するカンファレンスの強さなど関係ないところも「アメリカンドリーム」を地で行くようで嬉しいですし、下部リーグから参戦する選手には肩入れしてしまいますよね。

実際のところFBS出身でなくてもNFLで大成する選手は少なくありません。例えば・・・

フィル・シムス(Phil Simms):モアヘッド州立大
→ 1979年ドラフト第1巡7番目

カート・ワーナー(Kurt Warner):ノーザンアイオワ大
→ 1994年ドラフト外フリーエージェント

スティーヴ・マクネアー(Steve McNair):アルコーン州立大
→ 1995年ドラフト第1巡3番目

リッチ・ガノン(Rich Gannon):デラウェア大
→ 1987年ドラフト第4巡98番目

トニー・ロモ(Tony Romo):イースタンイリノイ大
→ 2003年ドラフト外フリーエージェント

ロドニー・ハリソン(Rodney Harrison):ウエスタンイリノイ大
→ 1994年ドラフト第5巡145番目

ジェリー・ライス(Jerry Rice):ミシシッピバレー州立大
→ 1985年第1巡16番目

テレル・オーウェンズ(Terrell Owens):テネシー大チャタヌーガ校
→ 1996年第3巡89番目

シャノン・シャープ(Shannon Sharpe)サヴァンナ州立大
→ 1990年ドラフト第7巡192番目

マイケル・ストレイハン(Michael Strahan)テキサスサザン大
→ 1993年第2巡40番目

とこのようにマイナー(失礼!)な大学出身でもやってやれないことはないわけです。ですからランスにしろその他のFBS以外のカンファレンス出身選手たちにはぜひとも周囲をギャフンと言わす活躍をしていただきたいものです。

HBCUの躍進


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また黒人学生を主に受け入れてきた大学の通称であるHBCU(Historically Black Colleges and Universities)からは4人の選手がドラフトされました。

ジョシュア・ウィリアムス(Joshua Williams):CB/第4巡目 
 フェイアットビル州立大→カンザスシティチーフス
デコビー・デュラント(Decobie Durant):CB/4巡目
 サウスカロライナ州立大→ロサンゼルスラムズ
ジェームス・ヒューストン(James Houston IV):DE /6巡目
 ジャクソン州立大→デトロイトライオンズ
ジャタイリー・カーター(J’Atyre Carter):OG/7巡目
 サザン大→シカゴベアーズ

昨年HBCU出身選手は誰1人として選択されませんでしたから、これは大きな一歩と言えそうです。近年「Black Lives Matter」に見られるように黒人への機会均等が大きく叫ばれる中でこの結果はその流れの影響を受けているとも言えます。

ちなみにジェームス・ヒューストンがプレーしたジャクソン州立大はあのディオン・サンダース(Deion Sanders)監督が指揮するチーム。「コーチプライム」にとってヒューストンは初のプロ入りを果たした教え子となりました。

今年の「Mr. Irrelevant」


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今年の総合ドライチ選手はジョージア大出身の DEトレヴォン・ウォーカー(Trevon Walker)でした。そこから順番に各チームが7巡かけて選手を指名していったわけですが、始まりがあれば終あり・・・。今年も最後の最後でギリギリ「拾われた」 選手もいたわけです。

NFLドラフトではその年の最後に指名を受けた選手を「Mr. Irrelevant」と名付けています。「最も注目の薄い選手」とか「最も影響力のない選手」とでも和訳できるでしょうか。

ドラフトされたのにもかかわらずこんな言われようになるのもまた一興ですが、今年の「Mr. Irrelevant」はアイオワ州立大出身のQBブロック・パーディ(Brock Purdy)で選択したのは選択したのはサンフランシスコ49ersでした。

1巡目から指名される順番が下がるたびに一般的な評価は落ちていくわけで、極稀に7巡目で指名された選手でも大成する選手はいますが、基本的には7巡目の選手のほうが上の選手よりも生き残る可能性は低くなっていきます。

その7巡目の中でも更に一番最後に滑り込みで選ばれたのが「Mr. Irrelevant」なわけですが、過去最近5年間の「Mr. Irrelevant」が今どうしているかを見てみると・・・。

2017年

チャド・ケリー(Chad Kelly)
ミシシッピ大QB→デンバーブロンコス

クレムソン大を経てミシシッピ大に流れ着いたケリーはここで名を挙げますが2017年度のドラフトでは「Mr. Irrelevant」に。初年度はシーズン前に負った手首の怪我のせいでIR入り。翌年となる2018年にはケイス・キーナム(Case Keenum、元ヒューストン大)のバックアップに指名され、第6週目に試合終了時のスナップを受ける形でNFLデビュー。しかし2019年に不法侵入の疑いが浮上してチームを解雇さてしまいます。その後インディアナポリスコルツに拾われてましたが2020年度シーズン後にリリースされました。

2018年

トレイ・クウィン(Trey Quinn)
サザンメソディスト大WR→ワシントンレッドスキンズ

全米の高校で最多レシーブヤード(6566ヤード)という記録を持っている元サザンメソディスト大のクウィンは「Mr. Irrelevant」としてワシントンレッドスキンズ入り。初年度にはファイナルロースター入りし開幕を迎えるも怪我に悩まされますが、ルーキーとして3試合に出場を果たします。2019年にはさらに試合出場数を伸ばし(12試合)、開幕戦となったフィラデルフィアイーグルス戦でNFLキャリア初となるTDを記録。昨年9月にリリースされるとジャクソンビルジャガーズと契約するもシーズン終盤には練習選手に格下げされ今年初めに解雇。そして現在は今年のドラフトの直前にデンバーブロンコスと契約を結びました。

2019年

ケイレブ・ウィルソン(Caleb Wilson)
UCLA TE→アリゾナカーディナルズ

2019年ドラフトの「Mr. Irrelevant」となったウィルソンはその年のファイナルロースターには惜しくも残れず一度リリースされますが練習選手として残留。その年の12月にワシントンレッドスキンズ(元ワシントンフットボールチーム)と契約を結びますが翌年のキャンプ中でロースターに入れず解雇。同じ年にフィラデルフィアイーグルスに拾われ同じように一度解雇されて練習生として復帰。その後もアクティブロースターと練習生を行ったり来たり。現在はフリーエージェント中です。

2020年

テイ・クラウダー(Tae Crowder)
ジョージア大LB→ニューヨークジャイアンツ

昨年度のアクティブロースターに生き残ったクラウダーは初戦を怪我で欠場したものの、第6戦目のワシントンフットボールチーム戦ではファンブルリカバーをTDに繋げる活躍。途中再び同じ怪我に悩まされるも第13戦目のシアトルシーホークス戦でQBラッセル・ウィルソン(Russell Wilson、元ウィスコンシン大)にQBサックを食らわすなどそれなりに結果は残しているようです。2022年現在もまだチームに残っています。

2021年

グラント・スチュワード(Grant Stuard)
ヒューストン大LB→タンパベイバッカニアーズ

昨年の「Mr. Irrelevant」であるスチュワートは昨年しっかりとルーキー契約4年間を結んで現在もタンパベイにて健在。主にスペシャリストとしてプレーしている模様です。

===

さて今年の「Mr. Irrelevant」であるパーディの行く末は・・・。

ちなみに上記の選手のほかに2021年現在で未だに現役を続けている「Mr. Irrelevant」は2009年にドラフトされたキッカーのライアン・スコップ(Ryan Succop、元サウスカロライナ大、現タンパベイバッカニアーズ)のみです。

🎙ポッドキャストでも話しています!

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