最新のCFPランキングを分析【第1回目】

最新のCFPランキングを分析【第1回目】

カレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進出できる4チームを決定するためのランキング、その名もCFPランキング。今季初となるそのランキングが11月5日夜にいよいよ発表されました。最終的に12月8日に発表されるランキングでのトップ4チームにプレーオフ出場権が与えられるわけですが、これから5週間あまりこのランキングをめぐる熾烈な戦いと議論が行われていくことでしょう。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

CFPランキングとは?

CFPランキングはCFP選考委員会によって独自に発表されるランキングです。選考委員会は13人で構成され、その顔ぶれは大学長、体育局長、元監督、元選手、元陸軍将軍、大学教授など様々です。かつてはコンドリーザ・ライス元国務長官も選考委員の一員でした。

この13人の有識者たちがこれまでのシーズンの各チームの戦いぶりを踏まえてランクを決めていくのですが、2013年まで用いられていたボウルチャンピオンシップシリーズ(BCS)のようなコンピューターランキングなどのフォーミュラ(数式)などは使われず基本的に彼らの主観でこのランキングは決定されます。

参考記事ボウルチャンピオンシップシリーズ


とはいえ完全主観というわけにはいかず、CFPランキングを決めるにあたってある程度のポイントがあるのも事実です。それが以下のもの。

  • ストレングスオブスケジュール
  • 所属するカンファレンスで優勝したかどうか
  • 直接対決の結果
  • シーズンの戦績
  • 同じ対戦相手が居た場合、その試合の結果
  • その他

一番重要なのが「ストレングスオブスケジュール(Strength of Schedule=SOS)」と言われています。これは簡単に言えばそれぞれのチームがどれだけタフな(もしくは楽な)スケジュールをこなしてきたかを示すものです。わかりやすく言うと、もし2つの無敗チームが居たとして、一方のチームは多くの強豪チームと渡り合って無敗を守り、もう一方のチームは弱小チームとばかりと戦って得た全勝だとしたら前者の無敗レコードのほうが価値があるというもの。

もしくは後者のような無敗チームと、強豪校とばかり対戦して1敗を喫してしまったチームがいたとしたら、たとえ1敗していたとしてもSOSの関係で彼らのほうがランクが上になるということも大いに考えられます。

興味深いのは対戦した相手の動向もランキングに響いてくるということ。例えばクレムソン大は今季第2戦目に当時12位だったテキサスA&M大と対戦していますが、クレムソン大はこの試合に勝利して非常に価値のある1勝を手に入れたとその時は思われていました。しかしその後テキサスA&M大は3敗を喫して現在はランクすらされていません。そうなると今振り返った時にクレムソン大がテキサスA&M大から獲得した勝利はそこまで価値のあるものではないという評価を得てしまうことです。

その他にも行われた試合の天候とか、スター選手の怪我だとかも参考にされるということですから、実際にはどのポイントがどれだけの影響を与えるのかは選考委員会のみぞ知るという感じです。

ただ上位4位に入れる可能性のあるチームというのはランキング入りする25チームの中でも更に一握りのチームのみ。これまで2敗してしまったチームがプレーオフに進出した例はありませんから、チームの成績として2敗というのはカットラインに考慮されるでしょう。そうなると自ずと25チームの中でもプレーオフ進出を現実のものと出来るチームというのは自然と限られてくるのです。


第1回目のCFPランキング

さて、それでは11月5日に発表された今季初となるCFPランキングを元にどのチームが現時点でプレーオフ進出に最も近いのかを見ていきましょう。

参考ページ2019年度シーズンランキング【第11週目】

トップ4チーム

1位:オハイオ州立大(8勝0敗)
2位:ルイジアナ州立大(8勝0敗)
3位:アラバマ大(8勝0敗)
4位:ペンシルバニア州立大(8勝0敗)

今季初のCFPランキングで見事首位に輝いたのがオハイオ州立大。2位にはAPランキングで1位だったルイジアナ州立大。3位がルイジアナ州立大と同じSEC出身のアラバマ大、そして4位にはAPランキングで5位だったペンシルバニア州立大がクレムソン大を抑えてトップ4に食い込んできました。もし現時点でプレーオフが行われたとしたらこの4チームが全米で最強チームであるという選考委員会の評価だというわけです。

後続チーム

5位:クレムソン大(9勝0敗)
6位:ジョージア大(7勝1敗)
7位:オレゴン大(7勝1敗)
8位:ユタ大(7勝1敗)
9位:オクラホマ大(7勝1敗)
12位:ベイラー大(8勝0敗)
17位:ミネソタ大(8勝0敗)

現実的に見てここまでに挙げた11チームにプレーオフ進出の可能性が残されていると言っていいと思います。

トップ4チームはそれぞれが直接対決を残しておりますので、その結果最大2チームがトップ4から一旦は脱落することは確実です。今週末ルイジアナ州立大とアラバマ大が対戦しますし、11月23日にはペンシルバニア州立大とオハイオ州立大も直接対決を控えています。違いがあるとすればルイジアナ州立大とアラバマ大の試合の敗者にはそれを取り返すだけの時間が残されているということ。

どういうことかと言えば、シーズン終盤での敗戦というのは選考委員会に強い印象を与えるため負けるなら早くに負けてしまったほうが巻き返すことが出来るということです。そうなるとレギュラーシーズン最終戦となるカンファレンスタイトルゲームで負けてしまうのは最悪のパターンとなります。

ただ今回のランキングを見て言えることは、少なくとも第2回目のランキングが発表される来週にはルイジアナ州立大とアラバマ大のどちらか負けた方はトップ4から一時的とは言え陥落するということです。

そうなると有利なのはクレムソン大です。前年度覇者のクレムソン大は開幕前の評判ほど強いチームではありませんが、所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)において彼らに立ちはだかるチームは見当たらないため、彼らとしては全勝さえすれば十中八九プレーオフ進出を決めるだろうというのが大方の予想です。ですから彼らが現時点で5位であることに何の問題もないわけです。

面白くなりそうなのはその下の4チーム。ジョージア大オレゴン大ユタ大オクラホマ大はそれぞれすでに1敗を喫したチーム。このCFPランキングが発表される直前となった先週末にジョージア大は当時AP6位のフロリダ大を倒すという金星を手に入れており、これが選考委員会の目に留まったと言っても過言ではありません。

となればオレゴン大、ユタ大、オクラホマ大はこの位置からジョージア大をまず追い越さなければなります。こうなると自力でのランクアップは非常に厳しいので上位チームが落っこちてくるのを待つ「たなぼた」的な要素が必要になってくるのです。そしてその中でもSOSが弱いユタ大、そしてカンザス州立大との敗戦でディフェンスの脆さを露呈してしまったオクラホマ大にとっては「たなぼた」のシナリオが複数起きてもらわないと厳しくなります。

12位と17位で共に無敗のベイラー大ミネソタ大も全勝してそれぞれがカンファレンスタイトルを獲得すればプレーオフ出場の道はかなり開けてきますから、彼らには自力でのプレーオフ進出の可能性があるといえます。特にミネソタ大は今週末4位のペンシルバニア州立大、さらにBig Tenカンファレンス優勝決定戦で1位のオハイオ州立大を共に倒し完全シーズンを達成したとしたらプレーオフ進出という夢は現実のものとなるでしょう。

グループオブ5の戦い

ナショナルタイトルを狙えるのは事実上FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でも上位格と言われる「パワー5」カンファレンス群(ACC、Big Ten、Big 12、Pac-12、SEC)に絞られますが、それ以外の5つのカンファレンス群である「グループオブ5」(AAC、C-USA、MAC、MWC、Sun Belt)のチームたちもプレーオフに進めなくてもCFPランキング入りする意味は大いにあります。

というのもこの「グループオブ5」出身チームの中でランキング最高位に位置づけられたチームにはレギュラーシーズン後に行われるボウルゲームの中でも特に招待されることに大変な価値があるとされる「ニューイヤーズ6」ボウルへの出場権を与えられるからです。

「ニューイヤーズ6」ボウルとはローズボウルオレンジボウルフィエスタボウルシュガーボウルコットンボウルピーチボウルの6つのボウルゲームのことで、今年はCFP準決勝戦の2試合がフィエスタボウルとピーチボウルに指定されているため、その他の4つのボウルゲームのどれか1つに「グループオブ5」出身チーム1校が出場できるのです。

現在最新のCFPランキングにおいて最高位となる「グループオブ5」チームは20位のシンシナティ大。それを追うのが21位のメンフィス大、22位のボイジー州立大、24位の海軍士官学校、そして25位のサザンメソディスト大。この「グループオブ5」の争いも今後注目されていくポイントとなります。

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