2019年度のカレッジフットボールシーズンも今週末のフロリダ大vsマイアミ大の試合で幕を開けますが、本格的にシーズンインするのは来週末です。8月初旬からキャンプインしているチームたちはそのプレシーズンキャンプを打ち上げ、いよいよそれぞれの開幕戦に備えるわけです。
その過程の中で各チームではどのポジションにおいて誰が先発出場するかというスターティングメンバーが決められていると思いますが、やはり気になるのはオフェンスの顔となるQBポジション。既にその椅子を確固たるものにしている選手も居ますが、春季トレーニングからプレシーズンキャンプにおいてその座を複数の選手が争うというチームも存在しました。そして開幕を目前に控え、各地で次々と先発QBが指名されています。
そこでここでは開幕を控え、オフェンスのフィールド上の指揮官を指名した主なチームを紹介します。
オクラホマ大
プレシーズンランキングで4位にランクされたオクラホマ大は昨年先発を務めたカイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルズ)の後継者にアラバマ大からの転校生、ジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)を指名しました。
2016年と2017年にアラバマ大で先発QBとしてプレーしたハーツは26勝2敗という素晴らしい成績を持っていますが、昨年は後輩のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)にその座を奪われてしまいます。しかしチームプレーヤーに徹して大学に残留。SEC優勝決定戦では負傷退場したタガヴァイロアに代わって出場し、ジョージア大から逆転勝利を奪う立役者となりました。
参考記事第14週目レビューそんなハーツが転校先のオクラホマ大で先発となるのはほぼ分かりきってはいましたが、リンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督はオフシーズンから一貫して先発QB争いを促してきました。それは他のQBの戦意を喪失させないためだったのでしょう。
関連記事一蓮托生【オクラホマ大プレビュー】ちなみにアラバマ大では背番号「2」だったハーツですが、オクラホマ大では「1」に変更しています。チーム事情はわかりませんが、背番号はその選手の顔でもありますから、しかも「1」は前述のマレーが背負っていた番号でもあり、それを敢えてハーツが引き継いだ理由が気になります。
オハイオ州立大
オハイオ州立大もまた昨年の先発QBをNFLドラフト入りで失いました。絶対的リーダーだったドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)はワシントンレッドスキンズへ旅立ちましたが、その後釜争いには少々のドラマが生まれていました。彼のバックアップだったのはテイト・マーテル(Tate Martell)でしたが、昨シーズン後にジョージア大からジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が転入してくるとマーテルはマイアミ大へ転校。そうなれば自ずとフィールズが先発となるのは目に見えていましたが、今回オフィシャルに彼がオハイオ州立大の先発QBに任命されました。
関連記事新時代【オハイオ州立大プレビュー】アーバン大
過去2年間先発を務めてきたQBジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham、現ニューイングランドペイトリオッツ)が去ったアーバン大ですが、新たに今年からオフェンスを率いることになったのは、新入生のボ・ニックス(Bo Nix)です。アーバン大で1年生(トゥルーフレッシュマン、レッドシャツを使用していない1年目の選手)が先発QBとなるのは1946年以来のことということです。ちなみに彼のお父さんであるジョーイ・ニックス(Joey Nix)氏もアーバン大で1992年から1995年までQBとして活躍したことがあります。
ウエストバージニア大
Big 12カンファレンスのウエストバージニア大の今年の先発QBに選ばれたのは、元オクラホマ大QBオースティン・ケンダル(Austin Kendall)です。2016年にオクラホマ大に入学したケンダルはベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)、そしてマレーという2人のハイズマントロフィー受賞QBを間近で見てきましたが、オクラホマ大に前述のハーツが転校してくると出場機会を求めて今オフにウエストバージニア大に転校していました。
ウエストバージニア大は昨年まで2年間同じく転校生(元フロリダ大)であるウィル・グリアー(Will Grier、現カロライナパンサーズ)が先発QBを務めてきましたから、再びそのポジションを転校生に託すことになります。
イリノイ大
2016年からイリノイ大で指揮を取っている、元NFLヘッドコーチであるロヴィー・スミス(Lovie Smith)監督。これまでのイリノイ大での戦績は9勝27敗と大苦戦中ですが、そのオフェンスの起爆剤として今季の先発QBに起用されることになったのは元ミシガン大のブランドン・ピーターズ(Brandon Peters)です。
元4つ星リクルートだったピーターズはミシガン大で10試合に出場(そのうち4試合が先発)。しかしミシシッピ大からシェイ・パターソン(Shea Patterson)が転校してくるとピーターズは第3のQBにまで転落。そしてつい最近の6月にミシガン大を出てイリノイ大入りすると2ヶ月あまりで同校の先発QBに任命されたのでした。
サザンカリフォルニア大
低迷中のサザンカリフォルニア大ですが、後のないクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督が今年の先発QBに選んだのは昨年と同じJ.T.ダニエルズ(J.T. Daniels)でした。
昨年1年生として先発を任されたダニエルズでしたが、若さがモロに出てオフェンスの不調の原因ともされてきました。結果チームは5勝6敗と負け越してしまったわけですが、ヘルトン監督はそれでも今年の先発にダニエルズを選んだのです。とはいえシーズン終盤にはようやくオフェンスが機能し出して、ノートルダム大戦では349ヤードを片で稼ぎもう少しのところで大金星を手に入れるところまで相手を追い詰めました。新OCグラハム・ハレル(Graham Harrell、元テキサス工科大QB)氏の下ダニエルズは進化の2年目を送ることが出来るでしょうか?
アリゾナ州立大
昨年NFLで長年指揮を執ったハーム・エドワーズ(Herm Edwards)新監督の下新たな船出を果たしたアリゾナ州立大。周囲の懐疑的な予想を上回り、それなりの成績(7勝6敗)という成績を収めました。今年2年目を迎えるエドワーズ政権ですが、そのオフェンスの担い手に新入生のジェイデン・ダニエル(Jayden Daniel)を起用することが明らかになりました。
カリフォルニア州出身のダニエルは高校時代に同州のレコードで歴代2位となる総合パスヤードとTD数を引っさげてアリゾナ州立大に入学。そして今回紹介した通り先発に抜擢されたわけですが、1年生(トゥルーフレッシュマン)としてアリゾナ州立大で開幕QBとなった選手は後にも先にもこのダニエルのみ。期待の大きさが伺えます。