ローズボウルレビュー


オハイオ州立大28、ワシントン大23

Big Tenカンファレンスの優勝チームとPac-12カンファレンスの優勝チームが毎年対戦してきた伝統あるローズボウル。今年はBig Tenからオハイオ州立大、Pac-12からワシントン大がそれぞれのカンファレンスを代表して出場し、雌雄を決しました。

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オハイオ州立大は昨年に続きカンファレンスタイトルを獲得しながらカレッジフットボールプレーオフ(CFP)出場を逃しました。今年は特に開幕前から元アシスタントコーチをめぐる騒動でアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督が3試合の謹慎処分に処されるという史上稀に見るドタバタ劇でシーズンの幕を開けましたが、8戦目のパデュー大ではまさかの大敗を喫してしまい、結局レギュラーシーズン中の敗戦はこの試合だけでしたが、それが原因でプレーオフ進出を逃したとされています。

そんな彼らにとってローズボウルに出場することは他のどのボウルゲームに出場するよりも価値あることですが、それとは別に彼らにはどうしても勝ちたい理由がありました。それはこの試合で引退を表明しているマイヤー監督の花道を飾るためです。2014年にナショナルタイトルへ導いてくれた名将は健康状態の悪化から現場を退くという苦渋の選択を強いられました。選手たちはそんなマイヤー監督にどうしても勝ち星を献上したかったのです。

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このローズボウル後に現役から退くマイヤー監督

試合はオハイオ州立大が序盤から主導権を握ってワシントン大をリードする展開に。今シーズン後NFLドラフト入りがささやかれているQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)は、超カレッジ級のパフォーマンスでワシントン大ディフェンスからヤードを奪っていきます。さすがプロ入り候補と言われるプレーの連続でこの日は全米トップクラスのワシントン大パスディフェンスを相手に251パスヤードに3TDと活躍。またハスキンズは実に9人のレシーバーにパスを散らせるという戦術眼を見せ、プロのスカウトを唸らせました。

そして1年生時から活躍してきたRBマイク・ウェバー(Mike Weber)はハスキンズと同じように早期ドラフト入りを表明しており、このローズボウルが彼のカレッジ生活最後の試合となりましたが、TDはありませんでしたが96ヤードを足で稼いハスキンズのパスアタックを効果的にサポート。マイヤー監督の現役最後の勝利試合に華を添えました。

ワシントン大は第3Q終了時までに28対3と大量リードを奪われましたが、第4Qに怒涛の反撃を見せます。まずは残り時間12分過ぎにRBマイルズ・ガスキン(Myles Gaskin)が元フロリダ大QBティム・ティーボ(Tim Tebow)の十八番プレーで知られている「ジャンプパス」を決めて10点目を獲得。

さらにガスキンは残り6分42秒で1ヤードのTDランを決めて28対17とさらに点差を縮めます。そして試合終了間際には残り42秒で再びガスキンの2ヤードTDランで28対23(2ポイントコンバージョンが失敗)とTD一つで逆転というところまでオハイオ州立大に迫ります。が、ワシントン大のオンサイドキックは残念ながらオハイオ州立大に確保され万事休す。奇跡の大逆転はなりませんでした。

ワシントン大は第3Qまでのオフェンスの火力の無さに泣きましたが、それでもオハイオ州立大に最後までくらいつけたのは彼らのディフェンスがオハイオ州立大を何とか食い止めることが出来たからです。オハイオ州立大はミシガン大から62点、そしてカンファレンス決勝戦でのノースウエスタン大から45点を奪ったチームですが、この日ワシントン大は失点を28点に抑えることに成功。しかも先発Sテイラー・ラップ(Taylor Rapp)とLB D.J.ビーヴァーズ(D.J. Beavers)を怪我で欠いていながらこのパフォーマンスを見せることが出来たのは不幸中の幸いとも言えます。もちろん負けてしまっては元も子もないのですが・・・。

どちらにしてもワシントン大にとっては2001年以来のローズボウル出場を果たし、クリス・ピーターセン(Chris Petersen)監督が就任して5年間でワシントン大は瞬く間に常勝チームに成長。あとは2016年以来のCFP出場を果たしたいところです。

しかしこの試合は何と言ってもマイヤー監督の最後の試合(今のところ?)ということに一番の注目が集まりました。今回の勝利により彼の通算勝利数は187勝32敗。そしてオハイオ州立大での戦績は7年間で83勝9敗。ちなみに彼の187勝32敗で勝率85.3%というのは、FBS(フットボールボウルサブディビジョン、旧NCAA1部)内の記録ではノートルダム大クヌート・ロックニ(Knute Rockne)元監督の88.1%(105勝12敗5分け)、ボストンカレッジ及びノートルダム大フランク・リーヒー(Frank Leahy)元監督の86.4%(107勝13敗9分け)に次ぐ史上3番目の記録。ロックニ氏やリーヒー氏と言うカレッジフットボール界のレジェンドに肩を並べるほどの記録を残したのです。

ちなみに現役FBSコーチでマイヤー監督の次に通算勝率が高いのは何を隠そうワシントン大のピーターセン監督で80.8%です。

マイヤー監督が近代のカレッジフットボールを代表するヘッドコーチであることは明らかです。しかしながらフロリダ大時代にチーム内の内規が乱れて多くの問題児を生んだことや、今回のアシスタントコーチの一件など、必ずしも100%クリーンなイメージがあるとはいえないマイヤー監督。それでも54歳の若さで現役から退くというのはいかに健康上の理由だとしても残念なことです。

試合後のインタビューでこのローズボウルが本当に現役最後の試合なのか、現場復帰は100%ありえないのか、と聞かれた際、マイヤー監督ははっきりと「I don’t believe I am going to coach again(もう2度とコーチングに携わることはないでしょう)」と答えていました。

引退後はオハイオ州立大にとどまり、体育局長補佐としてアスレチックスをバックアップする他、大学で教鞭を執ることがわかっています。これまでハイプレッシャーな環境で常に勝ちを求められる中結果を残し続けてきたマイヤー監督ですが、そのせいで自身の健康状態が悪化しそれをそばで見ていたマイヤー夫人が現役引退を強く望んだとのこと。おそらくこの名将は健康状態が120%良くならない限り再びチームを率いることはなさそうです。

そんな偉大な監督にチームはローズボウルの勝利というこれ以上ない贈り物をプレゼントしました。チームはオフェンシブコーディネーターのライアン・デイ(Ryan Day)氏に受け継がれていきますから、オハイオ州立大では一つの時代が終わり、新たな幕が上がるという記念すべき日となりました


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