後半戦
10月の第3週に入りカレッジフットボール界は第7週目を迎えますが、この週に行われたアラバマ大(3位)とテネシー大(6位)の決戦は今季を代表する(と個人的には思っている)名勝負となりました。結果だけ言うとテネシー大がライバル・アラバマ大に52対49というハイスコアゲームを3点差で逃げ切って勝利。試合後はフィールドに傾れ込んだテネシー大ファンがゴールポストをへし折ってスタジアムの外へ持ち出すという大フィーバー。ついにアラバマ大に土がつきテネシー大が優勝候補の一角に躍り出たのです。
またそのほかにもBig Tenカンファレンス東地区の三つ巴のうちの一つ、ミシガン大対ペンシルバニア州立大(41対17でミシガン大が勝利)の試合や、未だ無敗のテキサスクリスチャン大がオクラホマ州立大を破った試合、Pac-12カンファレンスの雌雄を決するユタ大とサザンカリフォルニア大の試合(ユタ大が43対42で勝利)など各地でカンファレンスの優勝決定戦レースで重要な試合が数多く行われました。
第8週目までになると、ここまで「シンデレラチーム」として快進撃を続けてきたチームがスケジュールが厳しくなるにつれて黒星を喫するようになりましたが、そんな中でもBig 12カンファレンスのテキサスクリスチャン大は8週目でカンザス州立大を38対28で下して未だ負け知らず。全米の目も否が応でも彼らに向かざるを得なくなってきます。
第9週目は10月最後の週末。この週末が終わればいよいよカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出を決定するためのランキングであるCFPランキングが発表されることになり、それに先駆けて各地で熱戦が繰り広げられます。
Big Tenカンファレンスでは先ほども紹介した東地区の三つ巴の2戦目であるオハイオ州立大とペンシルバニア州立大の対決が行われ、これに44対30で勝ったオハイオ州立大がいよいよ最終戦(第12週目)でのミシガン大と対決することによって地区優勝が決まると言うシナリオが見えてきます。
またSEC東地区ではジョージア大とフロリダ大の恒例のライバルゲームがジャクソンビル(フロリダ州)で行われこれをジョージア大が42対20で難なく制し翌週のテネシー大との決戦を迎えることになります。また7位まで上昇したテキサスクリスチャン大はウエストバージニア大に勝利して連勝記録を更新し続けます。
シーズンも11月に入った第10週目にはとうとう今季最初のCFPランキングがリリースされました。以下がそのトップ10チームの顔ぶれ。
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- テネシー大
- オハイオ州立大
- ジョージア大
- クレムソン大
- ミシガン大
- アラバマ大
- テキサスクリスチャン大
- オレゴン大
- サザンカリフォルニア大
- ルイジアナ州立大
そんな中行われたのが1位のテネシー大と3位のジョージア大の直接対決。1998年以来の全米1位の座を獲得したテネシー大でしたが、それまで1位だったものの3位に下げられてしまったジョージア大のモチベがテネシー大を圧倒。27対13でジョージア大がスコア以上の内容で快勝し首位奪還に成功します。
またSEC西地区のライバルゲームであるアラバマ大とルイジアナ州立大の試合ではOTにルイジアナ州立大が2ポイントコンバージョンを成功させるサヨナラ勝利でアラバマ大に勝利。アラバマ大はこれでテネシー大戦に続き2敗目。実質的にプレーオフレースから脱落したと言われます。
さらにここまで内容はイマイチながら無敗を続けCFPランキングで4位につけたクレムソン大がノートルダム大にまさかの敗戦。このシーズン初の黒星ながら彼らの試合内容を考えるとプレーオフレースにおいて大打撃となってしまうのでした。
FBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でも上位5つのカンファレンス群を「パワー5」カンファレンスと呼びますが、その下にある5つの中堅カンファレンス群は「グループオブ5」と呼称されます。今季この「グループオブ5」勢で一世を風靡していたのがアメリカンアスレティックカンファレンスのトゥレーン大。彼らはマーシャル大に敗れたものの格上のカンザス州立大に勝利するなどしてここまで8勝1敗で全米18位まで上り詰めていました。
その彼らは11週目に同じアメリカンアスレティックカンファレンス所属のセントラルフロリダ大(22位)と対決。激戦の末に38対31でトゥレーン大が惜敗。ただこの2チームはこのあとカンファレンスタイトルゲームで再び合いまみえることになります。
また最新のCFPランキングでついに4位に食い込んできたテキサスクリスチャン大が大御所テキサス大と対決。敵地での対戦となりましたが、この日はこれまでの快進撃を支えてきたオフェンスではなくディフェンスがテキサス大と互角以上の戦いぶりを見せ17対10というロースコアゲームを制しいよいよ10勝目を獲得します。
そのほかにはPac-12カンファレンスの優勝レースで有利に立っていたオレゴン大がワシントン大にホームでまさかの敗戦を喫し、また12位だったUCLAがアリゾナ大にアップセットを食らうなど、同カンファレンスの優勝戦線がここにきて混沌としてきます。
レギュラーシーズンもいよいよ終盤。13週目には俗に言う「ライバリーウィークエンド」が待っており、その大舞台の前の最後の週末となった第12週目ではPac-12カンファレンスのサザンカリフォルニア大とUCLAの著名ライバリーが開催。点の取り合いになるもサザンカリフォルニア大が48対45でUCLAに競り勝ちUCLAは優勝レースから脱落。
また「The Game」と呼ばれる、カレッジフットボール界で最も有名なライバル関係にあるミシガン大とオハイオ州立大はそのビッグゲームを控えながらミシガン大はイリノイ大と、オハイオ州立大はメリーランド大と対戦し苦しみながらもなんとか勝利して両校とも無敗を守り、いよいよ無敗同士の直接対決が実現することになります。
一方4位のテキサスクリスチャン大はベイラー大と対決し終始押される展開となりいよいよ彼らのマジカルシーズンも終わってしまうかと思われましたが、時刻一刻と試合終了までのカウントダウンが続く中でテキサスクリスチャン大がゲーム終了と同時にFGを決めて辛くも無敗を守ると言う劇的な勝利を手に入れます。
さらに5位につけていたテネシー大がサウスカロライナ大にホームで63対38という大量失点の末に破れ去ったり、12位だったオレゴン大が10位だったユタ大に競り勝ったりと「ライバリーウィークエンド」を待たずとしてドラマに満ち溢れていた第12週目となったのでした。
そしていよいよ迎えたレギュラーシーズン最終節。全国各地でライバル同士の対決が行われるためライバリーウィークエンドと呼ばれますが、この週末もたくさんのいい試合が行われました。
その中でもやっぱり注目されたのは2位のオハイオ州立大と3位のミシガン大の「The Game」。2021年度は9年ぶりにミシガン大がオハイオ州立大から白星を獲得してそのままBig Tenカンファレンスを制した故に、今年はオハイオ州立大の気合も十分だったと思われましたが、試合の方はミシガン大がフィジカルで圧倒。オハイオ州立大のホームだったのにも関わらず45対23でミシガン大が快勝しました。
また既にACCタイトルゲーム出場を決めていたクレムソン大(8位)はサウスカロライナ大と対決し31対30と惜敗。オレゴン大もオレゴン州立大に38対34で敗戦とプレーオフ戦線に影響を及ぼす結果がずらり。
そんなこんなで2022年度のレギュラーシーズンは終了し、第14週目には各カンファレンスの優勝決定戦が行われることになります。