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第15週目の見どころ「伝統の一戦」【2022年度シーズン】

第15週目の見どころ「伝統の一戦」【2022年度シーズン】

陸軍士官学校 vs 海軍士官学校 @ リンカーンファイナンシャルフィールド

カレッジフットボール界は各カンファレンス優勝決定戦を終え、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出を果たした4校も決まり、各アワードの受賞者たちも発表され、ボウルゲームが始まる来週まで一段落・・・。と思っているあなた!今週末にも見逃せない試合が1試合だけ用意されていますよ!

それが伝統の陸軍士官学校vs海軍士官学校アーミーvsネイビー」戦です。

その名の通り将来陸軍士官や海軍士官になる候補生たちが通う学校。通常の大学とはちょっと違いますが、陸士・海士の他に空士(空軍士官学校/エアフォース)にはそれぞれスポーツ部が存在し当然アメフトチームも運営されています。

海軍士官学校はアメリカンアスレティックカンファレンス所属、空軍士官学校はマウンテンウエストカンファレンス所属で、陸軍士官学校だけは現在どこにも属さない独立校(無所属)となっています。この3つの士官学校(サービスアカデミー)間では総当たり戦が行われ、勝ったチームには総司令官杯(Commandar-in-Chief Trophy)が授与されることになっています。

(今年は空軍士官学校が陸・海士官学校に勝っているため彼らがこの総司令官杯を受賞)

しかしその3つの士官学校間の対戦でも陸士と海士の一戦は別物。永遠のライバル関係ということで他のライバリーと同じようにレギュラーシーズンの最後に試合が行われますが、ここ最近は他の大学のカンファレンス優勝決定戦が終わった翌週に行われる傾向にあり、その週の唯一の試合ということで特別感が更に増しているのです。

この両校の特徴といえばなんといってもどちらも「トリプルオプション」使いであるということ。現在のフットボールといえばパスがガンガン飛び交うオフェンスが主流であり、QBの出来次第で試合が決まってしまうというのが常識と化しています。そんな中で士官学校(空士も含め)は未だにランヘビーのオプションフットボールを使用している数少ないチーム。その地上戦でガチンコ勝負が見れるのですが、スタイルから言ってハイスコアの点の取り合いになることがなく、そういった点取合戦を期待する方にとって見ると見ていられない試合なのかもしれません。

しかし決められたアサインメントを正確にこなし、精密に計算されたプレーを完璧なタイミングでこなさなければ成功しないトリプルオプションをマスターしている彼らの試合を見るのは至高の喜び。陸軍士官学校は5勝6敗、海軍士官学校は4勝7敗と今季の戦績はそれぞれ満足できるものではありませんが、それでもトリプルオプション同士のぶつかり合いはその他のチーム同士の試合とは全く異なる試合展開となり、是非見ていただきたいマッチアップです。

士官学校が未だにオプションフットボールを起用する背景には彼ら選手たちが士官候補生であること、将来軍人になることが挙げられると思います。個を優先するのではなく団体を優先すべきである軍隊というカルチャーがオプションフットボールに通ずるものがあることから長い間好んでこのオフェンスが使われているんだと思います。あとはランヘビーなスタイルであることからタフネスが求められ、それもまた士官学校の方針とマッチするという理由も挙げられるでしょう。

また士官学校は本当のエリートしか入ることを許されませんし、将来軍人になりたいと思っている選手をリクルートしなければいけないという面でフットボール選手としての能力の高い人物を連れてくるのは簡単ではありません。その限られたリソースの中で戦っていくには反復練習で精度を高めることができるオプションフットボールは使用価値があるのです。

オプション使いの士官学校のスタッツは大抵ランに偏っています。たとえば今季のこれまでのランオンオフェンスを見ると1位が空軍士官学校で1試合平均339ヤード、2位が陸軍士官月東で304ヤード。海軍士官学校は239ヤードと差が出ましたがそれでも全米7位。プレーオフ進出チームではミシガン大が243ヤードで6位となっていますが、上位2チームだけと比べるとその差は歴然です。

そしてランでゴリ押しするオフェンスであることからボール所有時間(ポゼッションタイム)も自然に増えていきますが、その証拠に空軍士官学校は平均36分で全米1位、海軍士官学校は34分で全米3位、陸軍士官学校は平均32分で全米11位タイ、ということで、ポゼッションゲームに持ち込めるという大きな利点を持ち合わせています。

おそらくこの試合でも走り合いになると思われ、ポゼッション数も極端に少なくなることが予想されます。一昨年の同じマッチアップでは1つのクォーターでのお互いの平均ドライブ数は3回でした。

ただ今年は両チームとも普段よりも少しパスを織り交ぜてきている気がします。それは時代の流れに追随するためなのかもしれませんが、それでも他チームと比べるとパス回数は極端に少ないです。

昨年のマッチアップでは陸軍士官学校が16回のパスで7回成功(108ヤード)、海軍士官学校は6回のパスで4回成功(82ヤード)という数字が残っています。

予想としては今季5勝6敗の陸軍士官学校に分があると思われますが、トリプルオプションの弱点はターンオーバーが起きやすいこと。特にピッチを失敗するシーンはよく見られますから、海軍士官学校としてはターンオーバーを起点に何とかライバルを出し抜きたいところ。

昨年はニュージャージー州のメットライフスタジアム(NYジャイアンツとNYジェッツの本拠地)で行われましたが、今年はフィラデルフィアイーグルスの本拠地、リンカーンファイナンシャルフィールドが開催地。スタジアムには陸海両士官学校生が制服を揃えて纏いスタンドを覆い尽くします。この光景はどの試合にもない独特なものです。

また現職大統領が観戦することでも知られいますが、今の所ジョー・バイデン大統領が観戦に訪れるという正式な発表はありません。警備の面で直前まで分からないのかもしれませんが。

またこの試合では両チームともスペシャルデザインのユニフォームを用意。

陸軍士官学校は「1st Armored Division(第1機甲師団 )」が1942年に北アフリカで初陣を飾った「トーチ作戦」の80周年を記念して戦車をモチーフとしたデザインを採用。

海軍士官学校はNASA(アメリカ航空宇宙局)並びに宇宙飛行士をモチーフとしたユニフォームを着用。これは1985年に初めて命綱無しの宇宙遊泳をしたブルース・マッカンドレス(Bruce McCandless II)氏が海軍士官学校の卒業生だったことにちなんでいます。彼以降宇宙飛行士となった海軍士官学校卒業生は2022年現在合計54人います。

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1890年が初顔合わせとなったこのライバリー、これまでの通算対戦成績は62勝53敗7分けで海軍士官学校がリード。2002年から2015年まで海軍士官学校は14連勝しましたが、それ以降は陸軍士官学校が4勝2敗とリード。昨年は海軍士官学校が17対13で競り勝ちましたから今年は陸軍士官学校にとってはリベンジとなります。

「America’s Game」とも言われる伝統の一戦。観る機会があれば是非観戦していただきたいマッチアップです。

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