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「伝統の一戦」【2022年度15週目レビュー】

「伝統の一戦」【2022年度15週目レビュー】

陸軍士官学校20、海軍士官学校17(2OT)

カレッジフットボール界を代表するライバリーであるこの「陸軍士官学校(アーミー)vs海軍士官学校(ネイビー)」。レギュラーシーズンにおける本当の意味での最終戦となったこの試合は中立地であるリンカーンファイナンシャルフィールド(フィラデルフィアイーグルスの本拠地)で行われました。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

直接対決の総合戦績は62勝53敗分けで海軍士官学校がリード。2018年から陸軍士官学校が3連勝していたところ、昨年海軍士官学校が勝利して連敗記録を止めました。今年はここまで陸士が5勝6敗、海士が4勝7敗と決して両チームとも満足のいくシーズンを送っているとは言えませんが、この全米を代表するライバリー戦に勝つだけでそのシーズンを気持ちよく終えられるというもの。お互いのプライドを賭けた戦いが繰り広げられました。

試合会場には陸海両士官学校生が制服に身を包んでスタンドを埋めるという壮大な光景。キックオフ前には戦闘機や軍用ヘリコプターがスタジアム直上を飛び交うなどこの伝統の一戦に華を添えました。

試合の方はお互いがトリプルオプションを含むランヘビーオフェンスな為スローな展開。海軍士官学校の先攻ドライブは11プレーでたったの37ヤードの進撃の末パント。続く陸軍士官学校は3プレーでパントを余儀なくされるなど第1Qは膠着状態が続きますが、押していたのは海士。パントを繰り返す中で徐々に相手陣内に近づいた彼らは第2Q残り12分半でFGを決めて先制します。

しかしその後もお互いがパントを蹴り合う展開が続き、中々動きがない中で迎えた残り時間約1分。自陣26ヤード地点でパントとなった海士でしたが、このパントを陸士のノア・ショート(Noah Short)がブロック。そしてこのブロックされたボールをジャブリル・ウィリアムス(Jabril Williams)が拾い上げて見事にエンドゾーンまで運び、押され気味だった陸士にこの日初のスコアが刻まれました。

陸士の攻撃で始まった後半もやはりパントを蹴り合う展開となりましたが、第3Q残り時間約4分にQBゼヴィアー・アーライン(Xavier Arline)のハンドオフを受けたRBアントン・ホール・Jr.(Anton Hall Jr)がスクリメジライン中央から抜け出して77ヤードのロングTDランを決め、この日両チームで初のオフェンシブTDを獲得。海士が10対7で再びリードを奪います。

追う展開となった陸士ですが、強力な海士のフロントセブンに対して中々まとまったランが出ず攻めあぐみます。第4Q開始時には自陣15ヤードというエンドゾーンすれすれで迎えた4thダウン&1ヤードという状況でなんと4thダウントライを敢行するという、普通の試合ならほぼ見れないギャンブルなどを経て何とか追いつこうとくらいつきます。

そして迎えた第4Q残り時間約5分。自陣46ヤード地点からの攻撃となった陸士はランと慣れないパスからディフェンシブパスインターフェアレンスを引き出して海士陣内へ侵入。そして残り1分53秒でクウィン・マレツキー(Quinn Maretzki)が37ヤードのFGを叩き込んで土壇場で同点に追いつき、結局このまま10対10で試合はオーバータイムに突入します。

ちなみに今回でこの対戦は123回目となりましたが、この試合がOTに突入したのは今回が初めてのことでした。

その1回目のOTでは先攻の陸士が最初のプレーでマーケル・ジョンソン(Markel Johnson)の25ヤードのTDランが決まって先制。後攻の海士にプレッシャーを与えます。

しかしその海士も最初のプレーでアーラインからRBマクエル・ヘイウッド(Maquel Haywood)へのパスTDが決まって速攻で同点にスコアを戻します。ちなみにこのパスはアーラインにとってこの日初のパスでそれが一攫千金のTDに繋がったのでした。

2回目のOTは海士からの攻撃。このドライブではランを頼りにジリジリと陸士エンドゾーンに近づいて行きましたが、相手陣内3ヤード地点で迎えた7プレー目。ホールがランでゴールラインを割ろうと突っ込みますが、その際になんとボールをファンブル。陸士選手にリカバーされビデオ判定に持ち込まれるも陸士のリカバーが確認され海士は万事休す。

起死回生のチャンスを得た陸士はFGさえ決めれば勝つというまたとない幸運を手に入れ、結局マレツキーがしっかりとFGを蹴り込んで20対17で陸士が劇的な勝利を手に入れたのでした。

ボールをファンブルしてしまったホールは自分のミスのせいで勝てる試合をみすみす逃してしまったことからサイドラインでうなだれていましたが、その姿からもこの試合に勝つことの大きな意味と意義を感じ取ることができました。

これで陸士は6勝6敗となりボウルゲーム出場資格の最低ラインとなる6勝目を手に入れましたが、この6勝のうち2勝はFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)チームからの勝利ということでボウルゲーム出場権を手に入れることはできませんでした。

しかし絶対負けられないライバル・海士との試合に勝てたことが何よりもの殊勲。試合後はそれぞれの校歌を歌うことが伝統になっていますが、負けたチームが最初に歌い勝ったチームが次に歌うということになっており、陸士は試合の勝利の喜びを噛み締めながら海士が校歌を歌った後に自分たちの校歌を声高らかに歌っていました。

トリプルオプション好きの筆者としてはこの試合では思った以上それが使われることはなく、一方で想像以上に両校ともパスプレーを選んでいました(陸士12回、海士4回)。ただそのうちパスを成功させられたのは陸士が2回に海士がOTでの1回のみ。パスヤードも陸士が28ヤードに対して海士が25ヤードとこのマッチアップならではのスタッツ。

またラッシュヤードは海士が259ヤード(57キャリー!)に対して陸士が125ヤード(48キャリー)と陸士がかなり苦戦していたことがお分かりいただけるかと思いますが、それでもディフェンスが踏ん張って相手に追加点を許さなかったことも勝利の遠因だったと言えそうです。

試合の勝敗を分けたのがホールのファンブルだったため、彼には非常に気の毒な幕切れとなりましたが、最後の最後までガチンコでぶつかり合った両校の試合は常勝チームによく見られるような、とんでもなく身体能力の高いQBがアクロバティックなプレーを見せるとか、長身でスピーディーなWRがミラクルキャッチをするなどといった派手なプレーはありませんでした。

しかし、お互いの意地と意地のぶつかり合い、そしてこれでもかという程のランアタックという地上戦力同士の激闘は特にトリプルオプション好きの筆者としては大変見応えのある試合でした。

プレーオフやランキングなどとは完全無縁の世界ですが、これもまたカレッジフットボール特有の長年受け継がれてきたトラディションなのです。

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