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画竜点睛【2020年度第16週目レビュー】

画竜点睛【2020年度第16週目レビュー】

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ACC優勝決定戦

クレムソン大34、ノートルダム大10

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今季10週目に一度実現しているカードのリマッチとなったアトランティックコーストカンファレンス(ACC)の優勝決定戦。先の対戦ではノートルダム大が激戦の末に大金星を挙げましたが、今回のタイトルゲームではクレムソン大が完膚なきまでにノートルダム大を制して見事にリベンジを果たしリーグ6連覇を果たしました。

今回の試合での決定的な違いはQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)並びに守備陣の要であるLBジェームス・スカルスキ(James Skalski)ら新型コロナや怪我の影響で出場でいなかった選手が健在であったこと。特にディフェンスのレベルは所詮のときとは桁違いでQBイアン・ブック(Ian Book)率いるノートルダム大オフェンスを翻弄。彼らはこの試合まで全米7位の3rdダウンコンバージョン率を誇っていたのも関わらずこの日は12回中3回しかコンバートできませんでした。またラッシュヤードもトータルで44ヤードに沈み、クレムソン大守備陣を前にノートルダム大オフェンスは何もやらせてもらえませんでした。

ローレンスは投げては322パスヤードに2TD(1INT)、走っても90ヤードに1TDと一人で400ヤード超えのオフェンスヤードに絡む活躍。少し遅れを取っていたハイズマントロフィーレースでもアピールするには十分なパフォーマンスを見せてくれました。

当サイトのシナリオ予想でも触れましたが、この試合が僅差の結果でクレムソン大が勝った場合には敗れたノートルダム大にもCFP(カレッジフットボールプレーオフ)進出のチャンスが残されると思われていました。しかしこのタイトル戦でのノートルダム大を見るとクレムソン大に打つ手なしといった面が露呈され、果たしてこのチームが上位4チームにふさわしいチームなのかと再考せざるを得ない状況になってきました。これは5位以下のチームが最後に滑り込むにはまたとないシナリオですが果たして・・・。


SEC優勝決定戦

アラバマ大52、フロリダ大46

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全米1位のアラバマ大が7位のフロリダ大とサウスイースタンカンファレンス(SEC)の王座をかけて対戦。この舞台で両校が激突するのは実に10回目のことですが、今回のマッチアップは息つく間もないシュートアウトに。お互いがハイスコアリングオフェンスを擁することもあり点取合戦になりましたが、最後に勝ったのアラバマ大。彼らが無敗を守って2年ぶりのSECタイトルを獲得しCFP進出を当確としました。

この試合ではアラバマ大のオフェンス側で数々の新記録が樹立。特にQBマック・ジョーンズ(Mac Jones)、RBナジー・ハリス(Najee Harris)、WRデヴォンテ・スミス(DeVonta Smith)の三人がそれぞれ大活躍し、三人ともハイズマン級の数字を残しました。

前半を終えた時点でスコアは35対17とアラバマ大が大きなリードを奪いましたが、この35得点はSEC優勝決定戦での前半のスコアとしては過去最多のもの。それに大きく貢献したのが上に挙げた三人。後半も彼らがフロリダ大ディフェンスをアタックし続け、終わってみればジョーンズは418ヤード(5TD、1INT)とタイトルゲームでの新記録を樹立すれば、パス成功数(43回中33回)も新記録。ハリスは走って2TD、捕っては3TDと計5つのTDを計上。ハリスの今季総合TD数は27となり、2015年にハイズマントロフィーを獲得したデリック・ヘンリー(Derrick Henry、現テネシータイタンズ)のSEC記録である28に肉薄。この日は足で178ヤードを稼いだだけでなくレシーバーとしても67ヤードを記録し、一夜にして彼もハイズマントロフィーレースの仲間入りを果たしました。

そしてWRスミスは184ヤードに2TDといつもの彼らしい素晴らしいプレーを連発。彼もまたハイズマントロフィーレースにて存在感をガッツリと刻みつけました。

ただフロリダ大も黙って彼らの攻撃を受け続けたわけではありません。同じくハイズマントロフィー候補のQBカイル・トラスク(Kyle Trask)も408ヤードに3TD(&1ランTD)を記録してアラバマ大バックフィールドにチャレンジし続けました。特にTEカイル・ピッツ(Kyle Pitts)とWRカダリウス・トニー(Kadarius Toney)はアラバマ大ディフェンス相手に軽々とヤードを稼ぎ二人で約300ヤードを記録。アラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督もお手上げの状態でした。

しかし一方でトラスクは何度かファンブルを犯したり絶好のチャンスを物にできなかったりと、ハイズマントロフィーを争うアラバマ大のジョーンズに少々差をつけられてしまう結果に。何度もQBドローを見せて果敢に攻め込む姿には震えましたが、あと一歩というところで及ばず最後は相手から激しいQBサックをお見舞いされて万事休すとなったのです。

この勝利でCFPで第1シード獲得は間違いないアラバマ大。気がかりなのはOLの中心人物であるCランドン・ディッカーソン(Landon Dickerson)がファイナルドライブで膝を怪我したこと。彼がCFPに出場できなくなればそれはチームとしてかなりの打撃となるでしょう。

Big Ten優勝決定戦

オハイオ州立大22、ノースウエスタン大10

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全米4位のオハイオ州立大はレギュラーシーズンの最後に自分たちがCFPに選ばれるだけの力を持っているチームであることを大いに証明。ノースウエスタン大を22対10で退けて6勝無敗のBig Tenカンファレンスチャンピオンとして選考委員会へ強烈なアピールを残しました。

ここまで5試合しか開催できずそんなチームがCFPに出場する資格があるのかという批判を受け続けてきた彼らですが、予想以上に踏ん張られたノースウエスタン大ディフェンスの風穴をこじ開けるのに成功。それを成したのはQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)ではなくRBトレイ・サーモン(Trey Sermon)でした。彼はこの日ランだけで331ヤードを稼ぐ大活躍。この数字は1試合の記録としてはチーム新記録だけでなくBig Tenタイトルゲームでも新記録となりました。

ただその走りの割にノースウエスタン大ディフェンスはオハイオ州立大オフェンスを予想以上に抑え込みサーモンの走りがあったにもかかわらずロースコアで粘り続けました。QBフィールズも114パスヤードに0TD(2INT)と冴えずハイズマントロフィーレースでも完全に置いていかれる状況になりました。ただノースウエスタン大はオフェンスがディフェンスの好プレーを活かすことができずに次々とチャンスを潰してしまい、踏ん張っていたディフェンスも遂に最後に失点。最終的にタレント力や選手層の違いといった地力での差が出てしまい大きなチャンスを逃しました。

Big 12優勝決定戦

オクラホマ大27、アイオワ州立大21

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Big 12カンファレンスのタイトルは6位のアイオワ州立大と10位のオクラホマ大との間で争われることになりました。どちらも中盤までに2敗を喫してしまったチームでしたが見事にこの大舞台に駒を進め、オクラホマ大はカンファレンス6連覇を、そしてアイオワ州立大は初優勝を狙いました。

アイオワ州立大が6位であることに疑問を投げかける声は少なくありませんでしたが、オクラホマ大との対決で彼らが2敗をすでに喫しているチームとしてでも強豪チームであることが明らかに。シーズン終盤にかけての伸び率だけ見ればオクラホマ大の強さは10位以上とも言われますが、そのチーム相手にアイオワ州立大は健闘。特に最大17点差あった場面から諦めずに追撃を仕掛けたのにはあっぱれでした。

が、結局この試合をものにしたのはオクラホマ大。1年生QBスペンサー・ラトラー(Spencer Rattler)はこの日2つのTDに絡む活躍を見せてオフェンスを牽引しましたが、勝利を呼び込む原動力になったのは彼らのディフェンス。相手QBブロック・パーディ(Brock Purdy)から3つものパスINTを奪い、特に3つ目はアイオワ州立大の最後の逆転へのドライブにてパーディから奪ったもの。彼らが追いすがるアイオワ州立大に引導を渡したのです。

オクラホマ大は開幕後3試合で2敗した時点で今シーズンは終わったと誰もが思いましたがそこから立て直し、この試合での勝利でリーグ6連覇を達成。10位というポジションからCFPランキングで4位以内を狙うのはかなり厳しいですが、Big 12カンファレンスチャンピオンとして「ニューイヤーズ6」ボウルに出場する権利を手中に収めました。

AAC優勝決定戦

シンシナティ大27、タルサ大24

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グループオブ5」勢としてかすかにCFP出場のチャンスを残しているシンシナティ大は所属するアメリカンアスレティックカンファフェンス(AAC)のタイトルゲームでタルサ大と激突。試合はお互いが点を取り合うシーソーゲームとなりましたが、試合時間残り3分半というところでタルサ大が同点となるTDを獲得してスコアが24対24になります。

しかしここからがシンシナティ大の真骨頂。残り時間が3分半弱という場面で自陣32ヤード地点から勝ち越しの得点を目指して進撃開始。実に11プレーかけてタルサ大陣内14ヤード地点までたどり着き残り3秒で決勝点となるFGを狙います。これをキッカーのコール・スミス(Cole Smith)が見事に決めて試合終了と同時に優勝が決定。なんとも劇的な幕切れを迎えたのでした。

これでシンシナティ大は無傷の9連勝。CFP選考委員会がこのチームを明日のファイナルランキングでどの程度評価するのかに注目が集まりますが、どちらにしてもこの試合は「グループオブ5」としては十二分に見応えのある試合でした。

Pac-12優勝決定戦

オレゴン大31、サザンカリフォルニア大24

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今年のPac-12カンファレンスタイトルゲームは北地区のワシントン大と南地区のサザンカリフォルニア大(USC)の激突が予定されていましたが、ワシントン大で新型コロナウイルス感染者が出たため彼らが出場不可能となり繰り上げでオレゴン大が急遽出場するという事態に陥っていました。しかしそんな不意のチャンスをものにしたオレゴン大が31対24でUSCを倒しカンファレンスタイトル2連覇を果たしました。

オレゴン大のオフェンスヤードはたったの244ヤードでしたが、相手QBキードン・スロヴィス(Kedon Slovis)から3つのパスINTを奪ってUSCの反撃の芽を摘み、しかもそのうち2つを自身のTDに結びつけるなどして少ないチャンスを見事にものにしました。

この日一番光っていたのはオレゴン大ディフェンス。昨年鉄壁だったディフェンス陣は今年苦戦し続けレギュラーシーズン中2敗を喫するなどしましたが、この試合では今季一番のパフォーマンスを見せてくれました。特にDEケイヴォン・ティボドウ(Kayvon Thibodeaux)のパスラッシュはNFL級。スロヴィスにポケット内でディフェンスを読む時間を与えませんでした。

その他

陸軍士官学校10、空軍士官学校7

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サービスアカデミー同士の最後の戦い、勝ったほうが「総司令官杯」(Commander-in-Chief Trophy)を獲得できるという重要な試合は毎年の通りロースコアゲームに。前半を終えて3対0と空軍士官学校が僅かなリードで折り返した後半、第3Q終了時に空軍士官学校のQBハジク・ダニエルズ(Haaziq Daniels)からカイル・パターソン(Kyle Patterson)への10ヤードTDパスが決まって7対3の空士リードで迎えた最終Q、陸軍士官学校ディフェンスがダニエルズのパスをインターセプトして攻撃権を奪うと7分間で16ドライブの魂の攻撃をみせ、最後は試合残り時間1分13秒でジャコビ・ブキャナン(Jakobi Buchanan)の4th&ゴール@1ヤードラインからの決死のランでTDを奪い遂に逆転。返しの空士の攻撃では陸士ディフェンスがダニエルズのパスをインターセプトしてとどめを刺し3点差の接戦を制して2年ぶりの「総司令官杯」を獲得。

陸士は今季9勝2敗とパンデミック下でも抜群の戦績を収め、筆者の大好きなトリプルオプションオフェンスもまだまだ捨てたものではないところを証明してくれました。

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