各地で行われている春季トレーニングもいよいよ佳境を迎えています。先週末はルイジアナ州立大、サザンカリフォルニア大、クレムソン大、フロリダ州立大などのチームが紅白戦「スプリングゲーム」を行いました。今週末は「スプリングゲーム」のピークを迎え、さらに各地で多くの春季トレーニングの締めくくりとなる紅白戦が行われる予定です。その中から主なチームの春の状況を織り交ぜながら紅白戦で注目したいポイントを紹介します。
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オクラホマ大
オクラホマ大の紅白戦は土曜日に行われる予定でしたが、天気予報によると土曜日は天候が荒れるようなので予定を繰り上げて金曜日にリスケジュールされました。
オクラホマ大の最大の注目点はなんといっても今年から加入した元アラバマ大QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)です。26勝2敗という先発戦績を保持しながら昨年度は1年下のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)に先発の座を奪われたハーツ。しかしそこで彼は腐らずチームのためにバックアップに徹し、そして迎えたSEC優勝決定戦では負傷退場したタガヴァイロアに代わって出場し、リードされていた展開を引っくり返して見事にカンファレンスタイトル獲得に貢献しました。
そして大学で残されたプレー資格最後の1年を使用するためにアラバマ大からオクラホマ大に転校。ここ最近では超目玉選手の「移籍」ともあり、ハーツが果たしてオクラホマ大で輝くことができるのかに焦点があつまります。
勝負師としての顔、そしてそれを裏付けるだけの経験値を持つハーツはチームに合流してすぐにチームメートのハートをゲット。リーダーとしての存在感を惜しみなく発揮し、コーチたちからの信頼も熱くなっているようです。が、だからといって彼が自動的に先発QBに任命されるかと言えばそうではない、とリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督は述べています。チームにはすでにレッドシャツ1年生のターナー・モデカイ(Tanner Mordecai )が居ますので彼とハーツとの先発争いが繰り広げられるとライリー監督は表向きはいっています。
しかし2年前のベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)、そして昨年度のカイラー・マレー(Kyler Murray)という2人のQBはともに転校生ながらハイズマントロフィーを受賞。そして彼らと同じく転校生であるハーツはあの王者アラバマ大で2年間先発を張ったQBであり、普通なら先発争いがあったとしても十中八九ハーツがその座を射止めると見るのが妥当でしょう。メイフィールドとマレーを育てたライリー監督の元で果たしてハーツは一皮むけることができるでしょうか?
テキサスA&M大
テキサスA&M大もオクラホマ大と同じく紅白戦を悪天候の影響で土曜日から金曜日に早めました。
昨年初年度となったジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督に率いられたテキサスA&M大は9勝4敗と健闘しました。そしてその勢いを止めることなくオフシーズンのリクルーティングでは最終的に全米3位の評価を得る結果を残し、フィッシャー新体制のチームは確実にレベルを上げてきています。
2019年度シーズンを迎えるにあたり彼らの強みとなるのは昨年才能の華が咲いたQBケレン・モンド(Kellen Mond)の存在と彼の右腕となるWR陣が昨年と同じメンバーであること。TE陣は新顔となりそうですが、モンドとWR陣のさらなる連携が期待されるためこのユニットがチームのオフェンスを引っ張っていくことになるでしょう。
一方昨年ディフェンスの要となったLB陣から2人がチームから抜けたことは不安材料といえます。しかしリクルーティングマシーンのフィッシャー監督は今年5人のLB新入生を迎え、すでにそのうちの2人は大学に入学済みでこの春季トレーニングに参加しています。R.J.オレボ(R.J. Orebo)とアンドレ・ホワイト(Andre White)の2人です。果たして新入生が先発の座を射止めるのかどうかも今後夏のキャンプインまで気になるところです。
オハイオ州立大
2019年度のオハイオ州立大はまさにリフォームを遂げるチームに変貌していることに違いありません。
というのもQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)やRBマイク・ウェバー(Mike Weber)という主力選手が居なくなるだけでなく、チームの長であったアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督が昨シーズン後に引退し、彼の後継者である元OCのライアン・デイ(Ryan Day)新監督が新たにチームの指揮をとることになります。デイ監督は昨シーズン中マイヤー氏が3試合の謹慎処分に処されたときに代理監督を務め見事3連勝を飾り、それが認められた形になったわけですが、今年からは完全にデイ氏のチームとなることになり、本当の意味での指導者としての質が問われそうです。
またハスキンズがNFLドラフト入りを表明したことで先発QBの座は現在空いています。そこに滑り込むようにやってきたのがジョージア大からの転校生ジャスティン・フィールズ(Justin Fields)です。ハスキンズのバックアップを務めていた元5つ星QBテイト・マーテル(Tate Martell)がマイアミ大へ転校してしまったことで、次期先発の座はフィールズのものになるのが濃厚ですが、果たしてフィールズがその期待に応えられるのかが気になります。
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ノートルダム大
昨年は2012年度以来最もナショナルタイトルに近づいた年となった名門・ノートルダム大。出場した準決勝戦ではクレムソン大に手も足も出ませんでしたが、それでもその時点まで無敗を貫いたことは大いに評価されるべきことです。
昨季ノートルダム大を昇華させた人物といえばやはりQBイアン・ブック(Ian Book)ではないでしょうか。ブックのパス能力をしてノートルダム大オフェンスは安定感を手に入れ、もともと力のあったディフェンス陣と相まってプレーオフ出場に足るチームにまで成長したのです。
そのブックが来季も健在なのは朗報ではありますが、一方でチームナンバーワンWRだったマイルズ・ボイキン(Miles Boykin)が抜け、さらには先発RBデクスター・ウィリアムス(Dexter Williams)もチームをさりました。それだけでなくディフェンス陣の大黒柱であったドリュー・トランクイル(Drue Tranquill)とテヴォン・コニー(Te’Von Coney)の両LBが抜けたのも痛手です。2019年も再びプレーオフに出場したいのであれば、この抜けた大きな穴をいかに修復さらには育て上げていくかにかかっていると言えそうです。